若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

赤旗まみれの市庁舎 ~ あなたの個人情報は、ここで管理されています ~

2014年08月20日 | 地方議会・地方政治
共産党による、市役所庁舎内での地方公務員への赤旗購読の勧誘が、全国的に問題になっている。このお題については、過去2度、当ブログで取り上げた。

○共産党の「倫理」を問う ~市役所内での赤旗勧誘~ - 若年寄の遺言

○赤旗の押し売りで生計を立てています - 若年寄の遺言

この問題を全国に問いかけた小坪氏が所属する、福岡県の行橋(ゆくはし)市議会の会議録には、市当局がどのように現状を認識しているのかの遣り取りが記録されている。引用が大量になるが、ちょっと見てみよう。


平成25年12月 定例会(第8回) - 12月09日-02号
==========【引用ここから】==========
◎総務部長(松本英樹君)
まず1点目、いつから取っているのか、部数、それから人数・期間ということでございます。部課長の大半ということを小坪議員がおっしゃっていますが、はっきり今、把握したわけではございません。ただ部課長職の数で言うと、約60人おります。その何人が取っているのかというのは、調査しておりませんので、この場では、お答えできない。それから期間でありますが、この期間についても、私の知る範囲では、もう数十年経っているんじゃないかと考えております。
 それから、2点目の庁舎内での配布・集金・勧誘、事実か否かでありますが、これは事実であります。
 それから、3点目の心理的強制という部分がございます。政党機関紙を含めて、いろんな新聞紙面を個人で取っているという部分がございます。その購読する、しないの判断は、個人の意思に基づいて判断されているものでありまして、その判断に至った経緯を、そこに心理的な強制があったかどうか、これは個人的な意思の問題でありますので、この場で私があったとかないとか、そういうふうな答弁が出来る立場ではないということをご理解頂きたいと思います。
 それから、政治的中立性を疑わせる行為、市民からの苦情ということでありますが、少なくとも総務課に、こういった苦情が過去はあっておりません。ただし、政治的中立性を疑われるというような状況で、小坪議員が指摘されましたけども、多くの市民がいらっしゃる場所で、多くの市民の目に触れるような形で置かれている状況というものは、いかがかという判断をしなければいけない部分もあるかと思います。それはケースバイケースの対応によって対応していく必要があるかと考えます。

◎総務部長(松本英樹君)
 それと置く置かないという話しがありましたけども、購読意思で購読を決定した以上は、その機関紙を含めて新聞等をどういった形で処理するのか、それは購読した以上は個人の判断であります。ただそれが先程言いましたけども、机の上にうずたかく積まれて、あたかもそれが政治的中立性を阻害しているような状況が見受けられれば、それについては対応する必要があるかと思いますけども、それ以外については、それは個人の資料の整理の仕方もあるかもわかりませんけども、それぞれの個人の見解に任せざるを得ないのかなと。ただ繰り返しますけども、それで誤解を招くようなことであれば、その資料の管理について、少し工夫してくれという指導はできるかもしれません。

==========【引用ここまで】==========

平成26年 3月 定例会(第9回) - 03月06日-02号
==========【引用ここから】==========
◎総務部長(松本英樹君)
配布そのものについては、若干、解釈は出ていませんけども、前回の質問にもありましたが、政党機関紙を含めて、いろんな印刷物を個人が購入している。その前段、状況を考えて、そのものが机の上に置かれている。そのものが前回言いましたように、選挙活動に当たるのではないかというふうに見られれば、それはそれに対応すると申し上げました。今もその気持ちは変わっていませんし、そういった部分で、これからは庁内の管理を見ていく必要があるんではないかと思っています。

◎総務部長(松本英樹君)
配布についての問題ですが、例えば選挙リーフレットを含めてとありました。小坪議員が言われるように、沢山机の上に置いている。それがあたかもその人を支持しているように置かれている。それがカウンターの外からはっきり分かる。そういう状況にあれば、それはもう当然注意して然るべき対応だと思います。それが庁舎管理規則というよりも、やはり地公法の規程の適用で、そこはちゃんと注意する必要があると思っています。

◎総務部長(松本英樹君)
政党機関紙の購読が、あたかも政治的中立性を損なうような状況にある場合は、という前提でお話をしました。今回も実は質問通告にありますアンケートの関係もありましたが、やはりそういった部分を確認する上で、私も見てまいりましたけども、時間帯にもよりますが、そういった部分での状況というのが、私が確認する時点では見受けられなかったというものがございます。

==========【引用ここまで】==========

平成26年 6月 定例会(第11回) - 06月17日-03号
==========【引用ここから】==========
◆2番(小坪慎也君)
 まず質問に移るにあたり、共通認識を得るため、確認されている事実について述べさせて頂きます。平成25年12月議会及び平成26年3月議会の一般質問、及び私自身が直接確認させて頂いた内容や聞き取りの内容、また配布資料により以下が明らかとなっております。もし、不足な点、誤りがあれば、あわせてご指摘をお願いします。
 1つ、行橋市では、役付職員、係長職以上が役付に昇任と同時に、共産党市議会議員らから赤旗の定期購読を勧誘されている事実。
 2つ、同政党機関紙の購読費の勧誘・配布・集金業務が同党市議会議員ら、及び民間人の支援者によって、職務時間中の庁舎内で公然と行われている事実。
 3つ、上記行為が数十年前から常態化していること。このような状態にあることを多くの職員、議員が慣習として周知していること。
 以上の事実については、私が直接確認させて頂いた内容や、またちょっと繰り返しにはなりますが、25年12月議会及び26年3月議会の議事録、執行部答弁からも明らかです。市議及び民間人を含む、勧誘・配布・集金の実態について、間違いないでしょうか。この点について、誤りがあればご指摘下さい。

◎副市長(松本英樹君)
 質問にお答えいたします。まず事実確認ということで、3点ございました。これについては、事実に近いものがございますので、事実だというふうに、まず申し上げておきます。
 それから、職員の部長級以下の数をあげられまして、そういった職員が購読されていると把握しているかということですが、これは具体的には把握しておりません。またこの段階では、把握する必要がないと思っております。

==========【引用ここまで】==========


では、次の状況を見て、皆さんはどう思うだろうか。





ホコリよけのためだろうか、カウンターに置いてある端末やプリンターに新聞紙がかけられている。画像が見にくいかもしれないが、この新聞紙がなんと「しんぶん赤旗」なのである。接客応対のためのカウンター、事務機器、執務机が、見渡す限り「しんぶん赤旗」で覆われている。まさに「赤旗まみれ」である。

ちなみに、撮影場所は市役所1階ロビー、カウンターの外から。撮影したタイミングは市役所の営業時間外。ただし、営業時間外の土日祝日であっても、死亡届や出生届、婚姻届などは持参されるため、職員以外の不特定多数の人が出入り可能な空間であることに変わりはない。その空間が、見渡す限り「しんぶん赤旗」なのである。

私は、この状況を見たときに「ここは赤旗の印刷所か販売店か?あるいは共産党事務所か?」と呆れてしまった。不特定多数の住民が出入りする空間で、しかも、一般質問で度重なる指摘を受けた後で、この状況である。

政党機関紙である「しんぶん赤旗」は、特定の政治思想を正当なものであると主張し、これに沿わない政策を非難し、これに沿った候補者への支持を呼びかける記事を掲載することができる。表現の自由である。表現の自由ではあるが、しかし、記事の政治的な中立性は全く担保されていない。共産党の思想、共産党の主張、共産党の政権与党批判、共産党の特定候補者応援が、接客応対カウンターを覆いつくしているのである。

この状況を見て、なお、

「多くの市民がいらっしゃる場所で、多くの市民の目に触れるような形で置かれている状況というものは、いかがかという判断をしなければいけない部分もあるかと思います。」

「政治的中立性を阻害しているような状況が見受けられれば、それについては対応する必要があるかと思いますけども、それ以外については、それは個人の資料の整理の仕方もあるかもわかりませんけども、それぞれの個人の見解に任せざるを得ないのかなと。」

「政党機関紙を含めて、いろんな印刷物を個人が購入している。その前段、状況を考えて、そのものが机の上に置かれている。そのものが前回言いましたように、選挙活動に当たるのではないかというふうに見られれば、それはそれに対応すると申し上げました。」

「例えば選挙リーフレットを含めてとありました。小坪議員が言われるように、沢山机の上に置いている。それがあたかもその人を支持しているように置かれている。それがカウンターの外からはっきり分かる。そういう状況にあれば、それはもう当然注意して然るべき対応だと思います。」

「職員の部長級以下の数をあげられまして、そういった職員が購読されていると把握しているかということですが、これは具体的には把握しておりません。またこの段階では、把握する必要がないと思っております。」

と、悠長なことを言えるだろうか。

こうした、ガチで「赤旗まみれ」の状況を、庁舎管理者(総務部長)は把握していなかったのだろうか。把握していなかったとしたら、著しい注意力欠如である。把握した上でこうした答弁をしていたとしたら、地方公務員法第36条第2項第4号で禁止される「図画の掲示」を隠蔽し、意図的に容認していたことになる。

なお、上記、小坪氏のブログにおいても、赤旗まみれの庁舎画像が掲載されている。この小坪氏の写真撮影について、市当局は次のように述べている。

平成26年 6月 定例会(第11回) - 06月17日-03号
==========【引用ここから】==========
◎副市長(松本英樹君)
 それから、単独で執務室に入る行為を認めているのか。これも、全て庁舎管理規則上の問題になると思うんですが、庁舎管理規則上、基本的には入室を禁じる場合がございます。ただそれも入って来られる方については、適正な範囲内で執務に支障のない範囲で入って来られているというふうに理解しておりますので、若干、部分的に支障があるという状況がございましたら、それについては注意していくということになろうかと思います。

 それから、地方公務員法36条に当たるか、これは地方公務員36条というのは、職員がしてはいけないということですので、当然、職員がこういうことをすれば、地公法36条に当たります。ただこれは、いま小坪議員が言われたのは、新聞の配達等々が36条に当たるのかというふうなニュアンスで言われたと思いますので、これは36条に当たらないと思います。ただ1点、いろいろ資料も出して言われましたけども、この新聞を机の上に置いている状態での写真撮影、これが逆にいかがなものかなと。机に担当者がいないなかで、書類があるなかで写真を撮っている、これが問題だと。こういうふうに整理をしていないという職員も問題ですけども、写真撮影していることについても、どうかなというふうに、悪いけれども申し上げておきます。

==========【引用ここまで】==========

職員以外の者が単独で執務室に入る行為、これは原則として認められている。だから赤旗勧誘員、赤旗配達員が執務室に入るのはOK。なのに、赤旗配達が可能な場所を撮影するのはNG。

こうした場当たり的判断は、法制執務のあり方、庁舎管理のあり方として非常に問題だ。

執務室では、住所、家族構成、収入、病歴等、個人情報を多数管理している。こうした情報を扱う端末や書類がある執務室内は、部外者の出入りを禁止するとともに、写真撮影を禁止するという取扱いにしなければ、ダブルスタンダードである。逆に、赤旗配達員が新聞を置いて回ることが可能な場所であれば、赤旗配達員が置いて回った時の目線で写真を撮影しても問題はないはずである。

場当たり的な判断をせず、きちんと基準を作り、基準に当てはめて判断する。これが法制執務的なものの考え方である。撮影をしてはいけない理由を明示した基準を整えるとともに、その基準を同様に適用し部外者の出入りを規制するのが筋である。写真撮影をしてはいけない場所(≒個人情報を管理している場所)に部外者たる赤旗配達員が自由に出入りしているという状況は、個人情報漏洩の危険性が極めて高いと言わざるをえない。

小坪氏の主張する
「庁舎内での赤旗配布、勧誘、集金を全面禁止し、購読希望者は自宅への配達にする」
という主張は、市庁舎における政治的中立の確保と同時に、個人情報保護の観点からも至極当然のことである。少なくとも、現在の状況はあまりに杜撰である。


ということで、


管理職に昇任した職員に強い立場で赤旗購読を勧誘して回る議員も問題ですけども、そうした共産党の赤旗勧誘を黙認し続け、ガチ「赤旗まみれ」を放置してきた庁舎管理者も、どうかなというふうに、悪いけれども申し上げておきます。
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