夏の参院選に向けて、各党がバラマキモードに突入しました。
選挙を前に各党とも景気の良い無責任な主張を並べています。
このように、選挙があるたびに短絡的に補助金・給付金をぶら下げて票集めに走り、政府による社会・経済への介入を強めていくのが民主制の弊害と言えます。普通選挙制においては、このバラマキの弊害がより顕著に現れます。民主制・普通選挙制と自由主義は本当に相性が悪いと思いませんか。
一体、幾らが妥当なのでしょうか。
彼らは、どういった根拠に基づいて最低賃金の目標を設定しているのでしょうか。
高ければ高いほど良いのなら、じゃあ、時給3,000円でも良いのではないか、いっそのこと時給10,000円でも良いのではないか。こういった疑問がわいてきませんか。
最低賃金時給10,000円なら、一日4時間勤務でも40,000円。
一月のうち十日出勤で400,000円。
このくらい収入があれば、時間にゆとりを持ちつつ素敵な生活できそうです。
最低賃金時給10,000円社会、最高☆
・・・・・・なんてことは起こりません。
これが、お馬鹿な某党が主張するように、最低賃金が全国一律で時給1,500円になったとします。
あなたはどうしますか。
経営状況に余裕があるなら、今までと同じように5人を雇い続けて、1時間あたり1,500円×5人=7,500円の人件費を払うことができるでしょう。
経営状況に余裕がなく、1時間あたり負担できる人件費の上限が4,500円であれば、5人のうち2人を解雇して1,500円×3人=4,500円の体制で今までの業務を回すことになるでしょう。勤務内容、密度はハードになるわけですが、解雇されたくなければ仕方ありません。耐えて働くしかありません。
経営状況に余裕がなく、かといって3人で業務を回すことも難しいのであれば、ここで店仕舞いして5人全員を解雇することになるでしょう。
解雇された人達はどうなるでしょうか。
労基法や最低賃金法なんか最初から無視したブラック企業で働くか、違法な商品・違法な営業の世界に飛び込むのでしょうか。
あるいは、「党機関紙の配達は、党員としての活動であって雇用関係ではありません。だから賃金ではありませんし、最低賃金とか関係ありません」という某党の新聞配達員として時給120円でこき使われるのでしょうか。
最低賃金制度は、底辺の労働者の収入を底上げする制度ではありません。
最低賃金に満たない労働契約を違法なものとして失業者を増やす制度であり、同時に、経営基盤が不安定な中小企業、新規参入企業の経営状況を悪化させ、相対的に大企業を優遇する制度です。これによって大企業による独占・寡占が進みます。独占禁止法において最初に規制すべきは、この最低賃金法を運用する厚生労働省と、最低賃金UPを主張する各政党です。
最低賃金の引き上げと中小企業支援を同時に挙げる党公約もありますが、これは給付金を受け取る企業側と給付金を支払う役所側の双方に膨大かつ無駄な事務仕事を発生させます。同時に、不正受給の温床となり、企業と役所の無限のいたちごっこに悩まされることになるでしょう。
当事者間で任意に定められる賃金であれば、キツイが賃金の高い仕事が存在し、並行して、肉体的あるいは精神的に楽だが賃金の安い仕事もあるといった、多様な雇用が生じます。
しかし、最低賃金が上がれば、最低ラインの労働の強度も上がります。
経営者からは
「賃金を上げざるを得なくなったのだから、それに見合うだけの仕事を当然してもらうからね」
ということになります。この最低ラインに見合わないような、体の弱い労働者や未熟練の労働者、障害者や高齢者は、労働市場から締め出されてしまいます。
昨年、国民民主党の玉木代表が
「Googleは就職の条件から大卒を撤廃する。AI時代、採用時の学歴、年齢、性別による差別禁止は当然。それと人生100年時代、これからは定年制の撤廃も不可避だ。私は高齢者就労を応援したい。そのためには、本人の同意など一定の条件の下、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要だと考える。」
「補足すると、当然、同賃金が望ましいですが、生きがいを求めて働きたい意欲のある高齢者の働く場の確保がままらない実態があります。なので、下限(例えば最低賃金の7割)を設け、その下限との差額を助成することも一案ですし、逆転現象を防ぐため、生活保護費との整合性も考えていきたいと思います。」
とつぶやいて炎上した件がありました。
(この発言の路線を突っ走っていたら、私は国民民主党の支持者になっていたかもしれません。)
賃金は本人の同意によって成立する、良いこと言ってるじゃないですか。
下限設定や差額の助成といった蛇足はありますが、この考え方に概ね賛成です。賃金や労働条件、解雇について様々な規制を設けた結果、条件に合わない人は排除され締め出されるのです。
この労働者が労働市場から締め出される度合いは、最低賃金が上がれば上がるほど強くなります。
上記の妄想で描いた時給10,000円にもなれば、ほとんどの労働者は職を失っていることでしょう。
最低賃金「早期に1000円」骨太方針へ 地方に照準
=====【引用ここから】=====
自民党の最低賃金一元化推進議員連盟(会長・衛藤征士郎氏)は22日の会合で最低賃金引き上げに関する提言を近くまとめ、政府に要請する方針を確認した。議連幹事長の山本幸三氏は「最低賃金の全国一元化は地方創生のカギだ」と述べた。
公明党の石田祝稔政調会長は22日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、政府が6月に決める経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に2020年代前半に最低賃金を1000円に引き上げる目標を盛り込むよう求めた。
=====【引用ここまで】=====
月1万円の家賃補助 国民民主が参院選公約 家計支援重点
=====【引用ここから】=====
児童手当は年齢の上限を15歳から18歳に引き上げる。対象年齢などにかかわらず一律で月1万5千円を支給する。家賃補助は年収500万円以下の世帯を対象とする。最低賃金は「全国どこでも1千円以上を早期に実現」とした。
=====【引用ここまで】=====
立憲、最低賃金1300円に=参院選へ経済政策発表
=====【引用ここから】=====
立憲民主党は20日、参院選に向けた経済政策「ボトムアップ経済ビジョン」を発表した。「賃金・所得アップで消費拡大を」と訴え、最低賃金を5年以内に時給1300円に引き上げる目標を明記。
=====【引用ここまで】=====
「減らない年金」提言=最低賃金1500円目標-共産公約
=====【引用ここから】=====
共産党は21日、参院選公約を発表した。老後資金「2000万円不足」を指摘した金融庁報告書をきっかけに年金生活への不安が広がっていることを踏まえ、物価や賃金の上昇に応じて年金支給額を抑制する「マクロ経済スライド」廃止を明記するなど、「減らない年金」への制度改革を柱に据えた。中小企業の賃上げを支援し、最低賃金を全国一律1500円まで引き上げる目標を打ち出した
=====【引用ここまで】=====
政策 | れいわ新選組
=====【引用ここから】=====
全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
最賃1500円でも月収では24万円程度。
決して高すぎる賃金ではありません。現状が酷いだけなのです。
これまで政治主導で壊してきた労働環境や処遇を改善するためには、
賃金の最低水準を強制的に引き上げる必要があります。
中小零細企業に影響がない様に、不足分は国が補填。
=====【引用ここまで】=====
=====【引用ここから】=====
自民党の最低賃金一元化推進議員連盟(会長・衛藤征士郎氏)は22日の会合で最低賃金引き上げに関する提言を近くまとめ、政府に要請する方針を確認した。議連幹事長の山本幸三氏は「最低賃金の全国一元化は地方創生のカギだ」と述べた。
公明党の石田祝稔政調会長は22日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、政府が6月に決める経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に2020年代前半に最低賃金を1000円に引き上げる目標を盛り込むよう求めた。
=====【引用ここまで】=====
月1万円の家賃補助 国民民主が参院選公約 家計支援重点
=====【引用ここから】=====
児童手当は年齢の上限を15歳から18歳に引き上げる。対象年齢などにかかわらず一律で月1万5千円を支給する。家賃補助は年収500万円以下の世帯を対象とする。最低賃金は「全国どこでも1千円以上を早期に実現」とした。
=====【引用ここまで】=====
立憲、最低賃金1300円に=参院選へ経済政策発表
=====【引用ここから】=====
立憲民主党は20日、参院選に向けた経済政策「ボトムアップ経済ビジョン」を発表した。「賃金・所得アップで消費拡大を」と訴え、最低賃金を5年以内に時給1300円に引き上げる目標を明記。
=====【引用ここまで】=====
「減らない年金」提言=最低賃金1500円目標-共産公約
=====【引用ここから】=====
共産党は21日、参院選公約を発表した。老後資金「2000万円不足」を指摘した金融庁報告書をきっかけに年金生活への不安が広がっていることを踏まえ、物価や賃金の上昇に応じて年金支給額を抑制する「マクロ経済スライド」廃止を明記するなど、「減らない年金」への制度改革を柱に据えた。中小企業の賃上げを支援し、最低賃金を全国一律1500円まで引き上げる目標を打ち出した
=====【引用ここまで】=====
政策 | れいわ新選組
=====【引用ここから】=====
全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
最賃1500円でも月収では24万円程度。
決して高すぎる賃金ではありません。現状が酷いだけなのです。
これまで政治主導で壊してきた労働環境や処遇を改善するためには、
賃金の最低水準を強制的に引き上げる必要があります。
中小零細企業に影響がない様に、不足分は国が補填。
=====【引用ここまで】=====
選挙を前に各党とも景気の良い無責任な主張を並べています。
このように、選挙があるたびに短絡的に補助金・給付金をぶら下げて票集めに走り、政府による社会・経済への介入を強めていくのが民主制の弊害と言えます。普通選挙制においては、このバラマキの弊害がより顕著に現れます。民主制・普通選挙制と自由主義は本当に相性が悪いと思いませんか。
【最低賃金の妄想】
さてここで、各政党の主張を見てみると、最低賃金の目標を時給1,000円、1,300円、1,500円とバラバラに設定しています。一体、幾らが妥当なのでしょうか。
彼らは、どういった根拠に基づいて最低賃金の目標を設定しているのでしょうか。
高ければ高いほど良いのなら、じゃあ、時給3,000円でも良いのではないか、いっそのこと時給10,000円でも良いのではないか。こういった疑問がわいてきませんか。
最低賃金時給10,000円なら、一日4時間勤務でも40,000円。
一月のうち十日出勤で400,000円。
このくらい収入があれば、時間にゆとりを持ちつつ素敵な生活できそうです。
最低賃金時給10,000円社会、最高☆
・・・・・・なんてことは起こりません。
【最低賃金の弊害】
あなたは経営者です。最低賃金800円の地域で、あなたは時給900円でバイトを5人雇っていすます。1時間あたり4,500円の人件費が必要になります。これが、お馬鹿な某党が主張するように、最低賃金が全国一律で時給1,500円になったとします。
あなたはどうしますか。
経営状況に余裕があるなら、今までと同じように5人を雇い続けて、1時間あたり1,500円×5人=7,500円の人件費を払うことができるでしょう。
経営状況に余裕がなく、1時間あたり負担できる人件費の上限が4,500円であれば、5人のうち2人を解雇して1,500円×3人=4,500円の体制で今までの業務を回すことになるでしょう。勤務内容、密度はハードになるわけですが、解雇されたくなければ仕方ありません。耐えて働くしかありません。
経営状況に余裕がなく、かといって3人で業務を回すことも難しいのであれば、ここで店仕舞いして5人全員を解雇することになるでしょう。
解雇された人達はどうなるでしょうか。
労基法や最低賃金法なんか最初から無視したブラック企業で働くか、違法な商品・違法な営業の世界に飛び込むのでしょうか。
あるいは、「党機関紙の配達は、党員としての活動であって雇用関係ではありません。だから賃金ではありませんし、最低賃金とか関係ありません」という某党の新聞配達員として時給120円でこき使われるのでしょうか。
最低賃金制度は、底辺の労働者の収入を底上げする制度ではありません。
最低賃金に満たない労働契約を違法なものとして失業者を増やす制度であり、同時に、経営基盤が不安定な中小企業、新規参入企業の経営状況を悪化させ、相対的に大企業を優遇する制度です。これによって大企業による独占・寡占が進みます。独占禁止法において最初に規制すべきは、この最低賃金法を運用する厚生労働省と、最低賃金UPを主張する各政党です。
最低賃金の引き上げと中小企業支援を同時に挙げる党公約もありますが、これは給付金を受け取る企業側と給付金を支払う役所側の双方に膨大かつ無駄な事務仕事を発生させます。同時に、不正受給の温床となり、企業と役所の無限のいたちごっこに悩まされることになるでしょう。
【第三者から強制されない賃金が妥当な金額】
本来、賃金とは雇用側と労働者との間で契約することで金額が成立します。そして、雇用契約が様々な場所、企業、組織で何度も任意に繰り返されることによって、その職種、その形態ごとの相場が定まってきます。これが妥当な金額です。当事者間で任意に定められる賃金であれば、キツイが賃金の高い仕事が存在し、並行して、肉体的あるいは精神的に楽だが賃金の安い仕事もあるといった、多様な雇用が生じます。
しかし、最低賃金が上がれば、最低ラインの労働の強度も上がります。
経営者からは
「賃金を上げざるを得なくなったのだから、それに見合うだけの仕事を当然してもらうからね」
ということになります。この最低ラインに見合わないような、体の弱い労働者や未熟練の労働者、障害者や高齢者は、労働市場から締め出されてしまいます。
昨年、国民民主党の玉木代表が
「Googleは就職の条件から大卒を撤廃する。AI時代、採用時の学歴、年齢、性別による差別禁止は当然。それと人生100年時代、これからは定年制の撤廃も不可避だ。私は高齢者就労を応援したい。そのためには、本人の同意など一定の条件の下、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要だと考える。」
「補足すると、当然、同賃金が望ましいですが、生きがいを求めて働きたい意欲のある高齢者の働く場の確保がままらない実態があります。なので、下限(例えば最低賃金の7割)を設け、その下限との差額を助成することも一案ですし、逆転現象を防ぐため、生活保護費との整合性も考えていきたいと思います。」
とつぶやいて炎上した件がありました。
(この発言の路線を突っ走っていたら、私は国民民主党の支持者になっていたかもしれません。)
賃金は本人の同意によって成立する、良いこと言ってるじゃないですか。
下限設定や差額の助成といった蛇足はありますが、この考え方に概ね賛成です。賃金や労働条件、解雇について様々な規制を設けた結果、条件に合わない人は排除され締め出されるのです。
この労働者が労働市場から締め出される度合いは、最低賃金が上がれば上がるほど強くなります。
上記の妄想で描いた時給10,000円にもなれば、ほとんどの労働者は職を失っていることでしょう。