2年前に取り上げた『地球防衛宣言に関する陳情書』の陳情者は、まだ同じ活動を継続していたらしい。タイトルを『地球社会建設決議陳情書』に変え、相変わらず地方議会へ陳情書送付を繰り返しているようだ。地方議会における陳情の取り扱いを考える上で、この『地球社会建設決議陳情書』はとても面白い。
一般に、陳情の取り扱い方法の中で多いのは「陳情書の写しを議員や執行部へ配布」とか「議長預かり」としているパターン。元来、陳情についてこうした取り扱いをしている地方議会であれば、これで良い。「『地球社会建設決議陳情書』についても他の陳情書と同様、議員へ配布のみしています」で済む。
ところが、「陳情についても請願と同様、委員会付託を経て採否を決める」という地方議会の場合、そうはいかない。どんなに馬鹿げていても、同じ内容の繰り返しでも、形式が整っている以上は受理し、他の陳情と同様の取り扱いをしなければならないからだ。
付託先の委員会に所属する委員や事務方は「またあの陳情が来たの!?」「何度も何度も送りつけられてくるあの陳情書を、その都度日程に組み込んで委員会審査の時間を確保しなきゃいけないの!?」と頭を抱えるところだろう。
そんな悲鳴が聴こえてきそうな中、委員会付託をして審査を行い、その内容や経過をしっかりと開示している市議会を発見。
○ひゅうが市議会だより 2012年1月28日発行 No.126
=====【引用ここから】=====
総務企画常任委員会
地球社会建設決議陳情書
陳情の要旨は、国家間の生存競争という現在の世界の前提を変え、戦争のない世界、互助の世界を創るために、「すべての人間が地球で共同生活をしているのが世界であり、この共同体社会をより安全に、より豊かにしようとする思い、努力、行動こそ、市民としての人間の義務であり、責任である、とする決議」他8項目からなる「地球社会建設決議」を行って欲しい。「この決議を拒絶する人間は『人類の敵対者』の立場になるだけです。分かりますか。」などというものです。
この陳情は、先の6月議会、9月議会に提出され、不採択となった陳情と、文章表現、主張の一部に相違はあるものの基本的に同様のものです。
委員会では、審査の中で、この決議が分からなければ「腑ふ抜け」だとか、自らの言い分を「分かりますか」などきわめて独善的、一方的で基本的な礼を失しており、これはもう審査に入る以前の問題、門前払い的扱いをすべきという意見、あるいは、基本的な歴史認識、課題認識に欠け、内政干渉が必要だとか民族自決権の理解もまったくなく、主張全体が空想的、観念的、教条的で現実離れしており、とても同意できないなどの意見が出され、全員一致で不採択にすべきものと決定しました。
=====【引用ここまで】=====
議会広報紙の紙面上で、陳情者が
「独善的、一方的で基本的な礼を失しており」
「審査に入る以前の問題」
「空想的、観念的、教条的で現実離れしており」
と酷評されているものを、未だ見た事が無い。委員会の中でこういった意見が出たから掲載したのだろうが、そのまま掲載するというのは余程のことではなかろうか。この広報紙の編集者が過激なのか、あるいは、陳情書がむちゃくちゃなのか(おそらく後者だろう)。陳情書全文が公開されているサイトが見つからず、非常に残念。どこまで酷い内容なのか、原文で是非見たいものだ。
全国各地の地方議会へ繰り返し送付され続ける、荒木實の『地球社会建設決議陳情書』。この陳情書の存在が、「陳情の委員会付託」を制度として導入することを地方議会に躊躇させている・・・のかもしれない。
一般に、陳情の取り扱い方法の中で多いのは「陳情書の写しを議員や執行部へ配布」とか「議長預かり」としているパターン。元来、陳情についてこうした取り扱いをしている地方議会であれば、これで良い。「『地球社会建設決議陳情書』についても他の陳情書と同様、議員へ配布のみしています」で済む。
ところが、「陳情についても請願と同様、委員会付託を経て採否を決める」という地方議会の場合、そうはいかない。どんなに馬鹿げていても、同じ内容の繰り返しでも、形式が整っている以上は受理し、他の陳情と同様の取り扱いをしなければならないからだ。
付託先の委員会に所属する委員や事務方は「またあの陳情が来たの!?」「何度も何度も送りつけられてくるあの陳情書を、その都度日程に組み込んで委員会審査の時間を確保しなきゃいけないの!?」と頭を抱えるところだろう。
そんな悲鳴が聴こえてきそうな中、委員会付託をして審査を行い、その内容や経過をしっかりと開示している市議会を発見。
○ひゅうが市議会だより 2012年1月28日発行 No.126
=====【引用ここから】=====
総務企画常任委員会
地球社会建設決議陳情書
陳情の要旨は、国家間の生存競争という現在の世界の前提を変え、戦争のない世界、互助の世界を創るために、「すべての人間が地球で共同生活をしているのが世界であり、この共同体社会をより安全に、より豊かにしようとする思い、努力、行動こそ、市民としての人間の義務であり、責任である、とする決議」他8項目からなる「地球社会建設決議」を行って欲しい。「この決議を拒絶する人間は『人類の敵対者』の立場になるだけです。分かりますか。」などというものです。
この陳情は、先の6月議会、9月議会に提出され、不採択となった陳情と、文章表現、主張の一部に相違はあるものの基本的に同様のものです。
委員会では、審査の中で、この決議が分からなければ「腑ふ抜け」だとか、自らの言い分を「分かりますか」などきわめて独善的、一方的で基本的な礼を失しており、これはもう審査に入る以前の問題、門前払い的扱いをすべきという意見、あるいは、基本的な歴史認識、課題認識に欠け、内政干渉が必要だとか民族自決権の理解もまったくなく、主張全体が空想的、観念的、教条的で現実離れしており、とても同意できないなどの意見が出され、全員一致で不採択にすべきものと決定しました。
=====【引用ここまで】=====
議会広報紙の紙面上で、陳情者が
「独善的、一方的で基本的な礼を失しており」
「審査に入る以前の問題」
「空想的、観念的、教条的で現実離れしており」
と酷評されているものを、未だ見た事が無い。委員会の中でこういった意見が出たから掲載したのだろうが、そのまま掲載するというのは余程のことではなかろうか。この広報紙の編集者が過激なのか、あるいは、陳情書がむちゃくちゃなのか(おそらく後者だろう)。陳情書全文が公開されているサイトが見つからず、非常に残念。どこまで酷い内容なのか、原文で是非見たいものだ。
全国各地の地方議会へ繰り返し送付され続ける、荒木實の『地球社会建設決議陳情書』。この陳情書の存在が、「陳情の委員会付託」を制度として導入することを地方議会に躊躇させている・・・のかもしれない。