公的介護保険制度の現状と今後の役割(厚生労働省)
これによると、利用者負担分以外の介護保険の財源構成は、
第1号保険料が21%、(65歳以上の保険料)
第2号保険料が29%、(40歳~64歳の保険料)
調整交付金が5%、
国庫負担金が20%、
都道府県負担金が12.5%、
市町村負担金が12.5%、
となっている。
この構成について、かの『しんぶん赤旗』は次のように評している。
○介護保険料5千円突破/40~64歳 4月から値上げ
======【引用ここから】======
介護保険は利用者負担分を除いた介護費用の50%を保険料でまかなう仕組み。うち29%分が40~64歳の保険料、21%分が65歳以上の保険料です。国の負担を2割台に低く抑えているため、保険料が上昇していきます。
40~64歳の保険料は毎年改定されます。実際の額は所得などによって異なり、会社員や公務員は基本的に労使で折半します。
65歳以上の保険料は3年ごとの改定。12~14年度は全国平均で1人あたり月4972円となっており、15年4月に値上げが見込まれます。
======【引用ここまで】======
この『しんぶん赤旗』の記事だけを読んでいると誤解が生じそうなので、ちょっと解説をしておこう。
国の負担が2割台に抑えられているから保険料が上がるのではない。保険料が上がるのは、介護全体の費用が増加しているからだ。
上記の厚生労働省の資料には、最後のページに次のような記載がある。
======【引用ここから】======
介護費用の見通し
現在約9兆円の費用が2025年には約20兆円に
※ 医療の費用は41兆円(2012年)から61~62兆円程度(2025年)になる。
======【引用ここまで】======
まさに青天井。これから現役世代は減っていくのに、医療費と介護費用はうなぎ登りに増えていく。国の負担を低く抑えているから保険料が増えるのではない。費用総額が増えているから保険料負担が増えるのだ。医療費を抑制するために介護保険制度を導入したのに、今度は介護費用の増加に頭を悩ませなければならないという、なんとも皮肉な話である。
さて。
どうして、公営社会保障制度の費用は増えていくのか。
それは、「出ずるを量りて入るを為す」だからだ。
○故事百選「入るを量りて出ずるを為す」
======【引用ここから】======
「礼記・王制」には「三十年の通を以て、国用を制し、入るを量りて、以て出ずるを為す」とあります。「三十年間の平均で、国の予算を組み立てるようにし、まず収入の方をよく押えてから支出の方を計画する」と記されているのです。
財政均衡は、古今の鉄則ですが、現実の世界ではなかなか守られていないようです。
======【引用ここまで】======
収入の見込みを立て、この範囲内でやりくりをする。
この「入るを量りて出ずるを為す」が本来あるべき姿なのだが、現実では、これが全くできていない。歳出を賄うために次から次へと第三者へ負担を転嫁する「出ずるを量りて入るを為す」が常態化している。これが公営社会保障が膨らみ続ける一因だ。
・社会保障費用が幾ら必要です。
↓
・税収は幾らです。
↓
・不足分は国債を発行します。
・社会保障費用に充てるため消費税を増税します。
という流れから、
・税収は幾らです。
↓
・この範囲内で社会保障給付を行います。
↓
・不足が見込まれるのであれば、利用者負担を増やします。
・不要不急な給付メニューを廃止します。
という流れに転換しないと、現役世代の人生は、無駄と不公平が蔓延し青天井に膨らみ続ける公営社会保障に奉仕するだけになってしまう。「紂王の苛斂誅求な悪政」にいつまで耐えられるだろうか。
殊、介護保険に関して言えば、
「社会全体の冨が、介護制度を実施できるほど十分にあるわけではない」
というのを感じている。
メイドや家政婦を雇えるのは金持ちに限定されていることからも分かるように、ヘルパーさんに来てもらったり、老人ホームに入所したりというのは、ヒト・モノ・カネといった資源を大量に必要とする。金持ちの贅沢を全国民の要望に応じて提供できるほど、果たして日本は豊かなのか。
答えはノーだ。
ノーだからこそ、増え続ける費用を誰が負担するかで揉めているのだ。また、公営社会保障の悪癖である低い自己負担で需要を過剰に喚起したがために、「特養の入所は3年待ち」といった状況を生じさせることになった。中には、順番待ちをしている間に死んでしまう人まで出てくる事態となっている。そうした一方で、じゃあ介護報酬を下げようとなると、介護従事者の不足に拍車がかかるという騒ぎになる。自己負担1割の介護制度を提供できるほど、日本に豊かさや余裕は無いのだ。
さてさて。
平成27年4月から、介護保険料は全国的に上がることがほぼ確実視されている。これを止めることは不可能だろう。
「歳出を見込み、これを頭数で割って保険料を算出し、被保険者に賦課する。」
この「出ずるを量りて入るを為す」を繰り返した結果、平成12年に月3000円弱だった65歳以上の介護保険料は、平成27年には月5000円を超えると予想されている。15年で1.7倍である。
保険料は上がる。消費税も上がる。どこまでも上がる。
公営社会保障とは本当に恐ろしい搾取の機構だ。
これによると、利用者負担分以外の介護保険の財源構成は、
第1号保険料が21%、(65歳以上の保険料)
第2号保険料が29%、(40歳~64歳の保険料)
調整交付金が5%、
国庫負担金が20%、
都道府県負担金が12.5%、
市町村負担金が12.5%、
となっている。
この構成について、かの『しんぶん赤旗』は次のように評している。
○介護保険料5千円突破/40~64歳 4月から値上げ
======【引用ここから】======
介護保険は利用者負担分を除いた介護費用の50%を保険料でまかなう仕組み。うち29%分が40~64歳の保険料、21%分が65歳以上の保険料です。国の負担を2割台に低く抑えているため、保険料が上昇していきます。
40~64歳の保険料は毎年改定されます。実際の額は所得などによって異なり、会社員や公務員は基本的に労使で折半します。
65歳以上の保険料は3年ごとの改定。12~14年度は全国平均で1人あたり月4972円となっており、15年4月に値上げが見込まれます。
======【引用ここまで】======
この『しんぶん赤旗』の記事だけを読んでいると誤解が生じそうなので、ちょっと解説をしておこう。
国の負担が2割台に抑えられているから保険料が上がるのではない。保険料が上がるのは、介護全体の費用が増加しているからだ。
上記の厚生労働省の資料には、最後のページに次のような記載がある。
======【引用ここから】======
介護費用の見通し
現在約9兆円の費用が2025年には約20兆円に
※ 医療の費用は41兆円(2012年)から61~62兆円程度(2025年)になる。
======【引用ここまで】======
まさに青天井。これから現役世代は減っていくのに、医療費と介護費用はうなぎ登りに増えていく。国の負担を低く抑えているから保険料が増えるのではない。費用総額が増えているから保険料負担が増えるのだ。医療費を抑制するために介護保険制度を導入したのに、今度は介護費用の増加に頭を悩ませなければならないという、なんとも皮肉な話である。
さて。
どうして、公営社会保障制度の費用は増えていくのか。
それは、「出ずるを量りて入るを為す」だからだ。
○故事百選「入るを量りて出ずるを為す」
======【引用ここから】======
「礼記・王制」には「三十年の通を以て、国用を制し、入るを量りて、以て出ずるを為す」とあります。「三十年間の平均で、国の予算を組み立てるようにし、まず収入の方をよく押えてから支出の方を計画する」と記されているのです。
財政均衡は、古今の鉄則ですが、現実の世界ではなかなか守られていないようです。
======【引用ここまで】======
収入の見込みを立て、この範囲内でやりくりをする。
この「入るを量りて出ずるを為す」が本来あるべき姿なのだが、現実では、これが全くできていない。歳出を賄うために次から次へと第三者へ負担を転嫁する「出ずるを量りて入るを為す」が常態化している。これが公営社会保障が膨らみ続ける一因だ。
・社会保障費用が幾ら必要です。
↓
・税収は幾らです。
↓
・不足分は国債を発行します。
・社会保障費用に充てるため消費税を増税します。
という流れから、
・税収は幾らです。
↓
・この範囲内で社会保障給付を行います。
↓
・不足が見込まれるのであれば、利用者負担を増やします。
・不要不急な給付メニューを廃止します。
という流れに転換しないと、現役世代の人生は、無駄と不公平が蔓延し青天井に膨らみ続ける公営社会保障に奉仕するだけになってしまう。「紂王の苛斂誅求な悪政」にいつまで耐えられるだろうか。
殊、介護保険に関して言えば、
「社会全体の冨が、介護制度を実施できるほど十分にあるわけではない」
というのを感じている。
メイドや家政婦を雇えるのは金持ちに限定されていることからも分かるように、ヘルパーさんに来てもらったり、老人ホームに入所したりというのは、ヒト・モノ・カネといった資源を大量に必要とする。金持ちの贅沢を全国民の要望に応じて提供できるほど、果たして日本は豊かなのか。
答えはノーだ。
ノーだからこそ、増え続ける費用を誰が負担するかで揉めているのだ。また、公営社会保障の悪癖である低い自己負担で需要を過剰に喚起したがために、「特養の入所は3年待ち」といった状況を生じさせることになった。中には、順番待ちをしている間に死んでしまう人まで出てくる事態となっている。そうした一方で、じゃあ介護報酬を下げようとなると、介護従事者の不足に拍車がかかるという騒ぎになる。自己負担1割の介護制度を提供できるほど、日本に豊かさや余裕は無いのだ。
さてさて。
平成27年4月から、介護保険料は全国的に上がることがほぼ確実視されている。これを止めることは不可能だろう。
「歳出を見込み、これを頭数で割って保険料を算出し、被保険者に賦課する。」
この「出ずるを量りて入るを為す」を繰り返した結果、平成12年に月3000円弱だった65歳以上の介護保険料は、平成27年には月5000円を超えると予想されている。15年で1.7倍である。
保険料は上がる。消費税も上がる。どこまでも上がる。
公営社会保障とは本当に恐ろしい搾取の機構だ。