○タトゥー条例で若者消えた! 関西屈指・須磨海水浴場、人出が最低に
===【引用ここから】===
神戸市須磨区の須磨海水浴場の今シーズンの人出が約52万7千人(29日現在)と、過去最低となった昨シーズンの約62万人をも割り込み、大幅に減少していることが31日、同市などへの取材で分かった。
昨シーズンに違法薬物事件が起きるなど、治安の悪化を受けて、同市は入れ墨(タトゥー)の露出を禁止するなど条例を改正。海の家の規制も強化され、若者をターゲットにしたイベントが激減したこともあって、海の家の関係者は「条例を見直してもらわないと死活問題になる」と悲鳴を上げるが、市は「海岸の健全化が進めば家族連れが戻り、将来的にはにぎわいが取り戻せる」と条例の“効果”に期待を寄せる。
須磨海水浴場は、例年より遊泳期間を10日間延長(7月7日~8月31日)したこともあり、同市は70万人に回復すると予想したが、最終的には50万人台にとどまる見通し。
2011.8.31
===【引用ここまで】===
行政の予想ってのは本当にあてにならない。なるわけがない。予想するための情報も道具も手法も、行政は何も持って無いんだから。自治体が規制を条例化する手法は「政策法務」として流行っているが、その規制がもたらす影響をキチンと考える発想に乏しいように思う。
「昨シーズンが62万人。今年は遊泳期間を46日間→56日間と2割増しにしたから、利用者も2割増しで75万人。控えめに見ても、70万人はいくはず(^^)ウフフ」
・・・くらいの大甘で大雑把な計算を、市担当者はしてたんじゃなかろうか。
この条例から、自治体の政策法務を考えてみる。
政策法務、自治体独自の規制という時、規制によって達成しようとする立法目的、利益の面だけが大きく語られ、これによってもたらされる害悪、損失はあまり考慮されない。市ホームページにあった須磨海水浴場の条例資料を見ても、損失の面をきちんと検討した跡が見られない。「海水浴場の健全化」という一面的な価値観を掲げただけで、他には何もしていないのだ。
昨今の健康ブーム、美白美肌、シミ対策、老化防止の流れで、日光にモロに当たる海水浴人気は下り坂。そんな中でも、ひと夏のチョメチョメに思いを馳せ、ハメを外すために海へ繰り出す若者たちの存在が、海水浴客の減少に歯止めをかけていた面はあっただろう。
そこに、市職員がジロジロ見てきて「タトゥーは禁止」と言って回る。タトゥーをしてない若者にとっても、ウザい存在と映ったことだろう。可愛い子に声かけようとしたら、隣に巡回中の市職員とか、興醒めだ。
遊泳期間を延長したにもかかわらず、お客は大きく減少。お客が海水浴から得られる満足が、大幅に減少したということだ。まともな経営者なら、「方針を誤った」と反省し、転換を図るところだろう。
ところが、海水浴客が減っても市職員の懐は痛まない。海水浴場がどうなっても、給料は減らない。だから、転換を図ろうとせず、「健全化が進めば家族連れが戻る」と悠長な事を言い続けることができる。行政には、試行錯誤による改善は期待できない。そういうインセンティブがない。
「規制を作った際の立法目的は正しい、方針転換は立法目的を否定するものだ」と市職員は思っている。行政は一つの価値観に基づく規制、補助、介入ならできるが、複数の価値観の調整、利益衡量が苦手だ。
参加者が試行錯誤を繰り返すのが、市場という場の強みだろう。試行錯誤の結果、参加者がどこかで折り合いを付ける。こうした試行錯誤を伴わず、一つの価値観で規制をかけると、単なる自己満足に終わる。
自治体の政策法務は、どうも「立法目的→規制」という一段階の理屈付けで条例化する傾向にある。そして、一度条例化されると、これを撤回するのは非常に難しい。
===【引用ここから】===
神戸市須磨区の須磨海水浴場の今シーズンの人出が約52万7千人(29日現在)と、過去最低となった昨シーズンの約62万人をも割り込み、大幅に減少していることが31日、同市などへの取材で分かった。
昨シーズンに違法薬物事件が起きるなど、治安の悪化を受けて、同市は入れ墨(タトゥー)の露出を禁止するなど条例を改正。海の家の規制も強化され、若者をターゲットにしたイベントが激減したこともあって、海の家の関係者は「条例を見直してもらわないと死活問題になる」と悲鳴を上げるが、市は「海岸の健全化が進めば家族連れが戻り、将来的にはにぎわいが取り戻せる」と条例の“効果”に期待を寄せる。
須磨海水浴場は、例年より遊泳期間を10日間延長(7月7日~8月31日)したこともあり、同市は70万人に回復すると予想したが、最終的には50万人台にとどまる見通し。
2011.8.31
===【引用ここまで】===
行政の予想ってのは本当にあてにならない。なるわけがない。予想するための情報も道具も手法も、行政は何も持って無いんだから。自治体が規制を条例化する手法は「政策法務」として流行っているが、その規制がもたらす影響をキチンと考える発想に乏しいように思う。
「昨シーズンが62万人。今年は遊泳期間を46日間→56日間と2割増しにしたから、利用者も2割増しで75万人。控えめに見ても、70万人はいくはず(^^)ウフフ」
・・・くらいの大甘で大雑把な計算を、市担当者はしてたんじゃなかろうか。
この条例から、自治体の政策法務を考えてみる。
政策法務、自治体独自の規制という時、規制によって達成しようとする立法目的、利益の面だけが大きく語られ、これによってもたらされる害悪、損失はあまり考慮されない。市ホームページにあった須磨海水浴場の条例資料を見ても、損失の面をきちんと検討した跡が見られない。「海水浴場の健全化」という一面的な価値観を掲げただけで、他には何もしていないのだ。
昨今の健康ブーム、美白美肌、シミ対策、老化防止の流れで、日光にモロに当たる海水浴人気は下り坂。そんな中でも、ひと夏のチョメチョメに思いを馳せ、ハメを外すために海へ繰り出す若者たちの存在が、海水浴客の減少に歯止めをかけていた面はあっただろう。
そこに、市職員がジロジロ見てきて「タトゥーは禁止」と言って回る。タトゥーをしてない若者にとっても、ウザい存在と映ったことだろう。可愛い子に声かけようとしたら、隣に巡回中の市職員とか、興醒めだ。
遊泳期間を延長したにもかかわらず、お客は大きく減少。お客が海水浴から得られる満足が、大幅に減少したということだ。まともな経営者なら、「方針を誤った」と反省し、転換を図るところだろう。
ところが、海水浴客が減っても市職員の懐は痛まない。海水浴場がどうなっても、給料は減らない。だから、転換を図ろうとせず、「健全化が進めば家族連れが戻る」と悠長な事を言い続けることができる。行政には、試行錯誤による改善は期待できない。そういうインセンティブがない。
「規制を作った際の立法目的は正しい、方針転換は立法目的を否定するものだ」と市職員は思っている。行政は一つの価値観に基づく規制、補助、介入ならできるが、複数の価値観の調整、利益衡量が苦手だ。
参加者が試行錯誤を繰り返すのが、市場という場の強みだろう。試行錯誤の結果、参加者がどこかで折り合いを付ける。こうした試行錯誤を伴わず、一つの価値観で規制をかけると、単なる自己満足に終わる。
自治体の政策法務は、どうも「立法目的→規制」という一段階の理屈付けで条例化する傾向にある。そして、一度条例化されると、これを撤回するのは非常に難しい。