安部政権(1次・2次)の犯した罪は数あれど、その最大のものは「ふるさと納税」かもしれない。
======【引用ここから】======
今では3分の2を市外の物産が占めるまでになった。ふるさと納税を担当する市企画政策課は「返礼品は地元の農水産物というイメージがあるが、藤枝はまず地域経済の活性化を目的とし、地元農産物にはこだわらなかった」と説明する。だが、「スペイン産のイベリコ豚」や、東京・横浜の一流ホテルの「ブッフェ・ランチ券(ペア)」が、地域経済の活性化につながるのかどうか疑問だ。
======【引用ここまで】======
市役所が、市内にある業者に
「おたくの取扱い商品をふるさと納税で出品しませんか」
と誘い、業者側が
「じゃあ、うちが輸入・販売しているイベリコ豚を出品します」
と応じる。
そして、市役所は業者から定価で1万円分のイベリコ豚を購入し、3万円のふるさと納税をした人に贈る。
3万円のふるさと納税をした人は、住所地の市町村から、2千円を除く2万8千円の税控除を受ける。
この時、
・ふるさと納税をした人は、実質、2千円で定価1万円のイベリコ豚を買えたことになるので8千円の得。
・市役所は、3万円-1万円=2万円の歳入増。
・業者は、何ら営業をせずに1万円の売り上げ。
みんな得してハッピーだねっ♪
・・・と、そんな美味い話はない。
「業者が安売りセールをする。市役所が定価と値下げ額の差額を補助金で補填し、そのツケを他の役所に回す。」
という補助金行政、官製ダンピングである。
しかも、他の役所にツケを回すという点、かなり歪んでいる。
「安部政権によって行政が歪められた」
という批判はふるさと納税にこそ相応しい。
ふるさと納税が盛んになるということは、市町村間でのツケ回しが横行するのと同義だ。補助金ダンピングによる損失を自治体間で押し付け合い、すればするほど全体としては自治体の収入が減る構図になっている。
また、全国民から集めた税金を「ふるさと納税で控除を受けられる一部の納税者」へ分配する逆進性も問題だろう。
ふるさと納税で売り上げが増え、一度美味しい思いをした業者がいたとする。
この業者が、先経営が苦しくなる場面に遭ったら、
「役所が、売れ残ってるこの商品を返礼品として取り扱ってくれないかな?」
と発想してしまっても不思議ではない。
役所と結びつくことで、業者は補助金依存症を発症してしまうのだ。
「何が売れるか」
よりも
「何をしたら補助金が貰えるか」
が気になり、顧客の動向ではなく役所の方針に意識が向くようになってしまうと、それは衰退の始まりだ。
ふるさと納税が今以上に盛んになり、補助金によるダンピング後の価格が消費者に定着してしまうと、今度は、ふるさと納税と提携していない業者が
「最近、1万円のイベリコ豚が定価だと全然売れない・・8千円に値下げしても売れない・・なぜだ?
えっ、隣の業者がふるさと納税でイベリコ豚を出してる?
実質的な販売価格2千円!?」
となり、この業者の売り上げは減少、最悪の場合経営が傾くことも考えられる。
その結果、この業者が
「うちが輸入販売しているイベリコ豚や、他の商品もふるさと納税で取り扱ってくれ」
と役所に頼み込みに行くことも考えられる。
このように、ふるさと納税は他の補助金行政と同様、業者間の健全な競争や市場における価格形成を阻害する。
「みんなハッピー♪」
に見えたふるさと納税は、実は、長期化すればするほど全国民を貧しくしてしまう悪政なのだ。
ただ、自治体からすれば、
「この制度に乗って勝ち組にならないと、ただ税収減に苦しむことになってしまう」
というインセンティブが働くので、自治体による自主的な改善は望めない。
最近になって、総務省は市町村に対し
「返礼品は地場産品に限定するように」
という自粛要請を出した。
これで、ふるさと納税がもたらす弊害の蔓延が食い止められればなぁ・・・と期待をしているが、あくまでも淡い期待。
なんせ、ふるさと納税の発案者の1人はあの菅官房長官(発案当時は総務大臣)。
総務省がふるさと納税を良く思っていないとしても、総務省は安部・菅体制の下にある。そんな総務省が、ボスの意向に背き、ボスが始めたふるさと納税制度を大幅縮小、あるいは廃止することは組織の論理として難しいだろう。
「地場産品以外は不可」という禁止措置ではなく、今回の自粛要請という形になったのは、これが総務省の採り得る上限だったことを意味しているのだろうか。
もう、安部・菅体制は終わりにして良い頃合いだ。
森友・加計騒動が政権の責任問題とは思わないが、マイナンバーやふるさと納税といった欠陥制度を推し進めた罪は非常に重い。
○ふるさと納税のおさらい
○なぜ?ふるさと納税のお礼、市外の品ずらり 静岡・藤枝 阿久沢悦子 2017年12月26日16時16分======【引用ここから】======
今では3分の2を市外の物産が占めるまでになった。ふるさと納税を担当する市企画政策課は「返礼品は地元の農水産物というイメージがあるが、藤枝はまず地域経済の活性化を目的とし、地元農産物にはこだわらなかった」と説明する。だが、「スペイン産のイベリコ豚」や、東京・横浜の一流ホテルの「ブッフェ・ランチ券(ペア)」が、地域経済の活性化につながるのかどうか疑問だ。
======【引用ここまで】======
市役所が、市内にある業者に
「おたくの取扱い商品をふるさと納税で出品しませんか」
と誘い、業者側が
「じゃあ、うちが輸入・販売しているイベリコ豚を出品します」
と応じる。
そして、市役所は業者から定価で1万円分のイベリコ豚を購入し、3万円のふるさと納税をした人に贈る。
3万円のふるさと納税をした人は、住所地の市町村から、2千円を除く2万8千円の税控除を受ける。
この時、
・ふるさと納税をした人は、実質、2千円で定価1万円のイベリコ豚を買えたことになるので8千円の得。
・市役所は、3万円-1万円=2万円の歳入増。
・業者は、何ら営業をせずに1万円の売り上げ。
みんな得してハッピーだねっ♪
・・・と、そんな美味い話はない。
○歪んだ官製ダンピング
これは、「業者が安売りセールをする。市役所が定価と値下げ額の差額を補助金で補填し、そのツケを他の役所に回す。」
という補助金行政、官製ダンピングである。
しかも、他の役所にツケを回すという点、かなり歪んでいる。
「安部政権によって行政が歪められた」
という批判はふるさと納税にこそ相応しい。
ふるさと納税が盛んになるということは、市町村間でのツケ回しが横行するのと同義だ。補助金ダンピングによる損失を自治体間で押し付け合い、すればするほど全体としては自治体の収入が減る構図になっている。
また、全国民から集めた税金を「ふるさと納税で控除を受けられる一部の納税者」へ分配する逆進性も問題だろう。
○補助金依存症を発症する引き金
業者の側から考えてみよう。ふるさと納税で売り上げが増え、一度美味しい思いをした業者がいたとする。
この業者が、先経営が苦しくなる場面に遭ったら、
「役所が、売れ残ってるこの商品を返礼品として取り扱ってくれないかな?」
と発想してしまっても不思議ではない。
役所と結びつくことで、業者は補助金依存症を発症してしまうのだ。
「何が売れるか」
よりも
「何をしたら補助金が貰えるか」
が気になり、顧客の動向ではなく役所の方針に意識が向くようになってしまうと、それは衰退の始まりだ。
○補助金依存症の蔓延
補助金行政は、補助金を貰った業者だけでなく、他の業者の経営まで歪ませてしまう。ふるさと納税が今以上に盛んになり、補助金によるダンピング後の価格が消費者に定着してしまうと、今度は、ふるさと納税と提携していない業者が
「最近、1万円のイベリコ豚が定価だと全然売れない・・8千円に値下げしても売れない・・なぜだ?
えっ、隣の業者がふるさと納税でイベリコ豚を出してる?
実質的な販売価格2千円!?」
となり、この業者の売り上げは減少、最悪の場合経営が傾くことも考えられる。
その結果、この業者が
「うちが輸入販売しているイベリコ豚や、他の商品もふるさと納税で取り扱ってくれ」
と役所に頼み込みに行くことも考えられる。
このように、ふるさと納税は他の補助金行政と同様、業者間の健全な競争や市場における価格形成を阻害する。
「みんなハッピー♪」
に見えたふるさと納税は、実は、長期化すればするほど全国民を貧しくしてしまう悪政なのだ。
ただ、自治体からすれば、
「この制度に乗って勝ち組にならないと、ただ税収減に苦しむことになってしまう」
というインセンティブが働くので、自治体による自主的な改善は望めない。
○安部・菅の退陣が唯一の改善方法
「プレミアムフライデー」と同様、ふるさと納税も下火になり、早く消滅してくれればいいといつも願っている。最近になって、総務省は市町村に対し
「返礼品は地場産品に限定するように」
という自粛要請を出した。
これで、ふるさと納税がもたらす弊害の蔓延が食い止められればなぁ・・・と期待をしているが、あくまでも淡い期待。
なんせ、ふるさと納税の発案者の1人はあの菅官房長官(発案当時は総務大臣)。
総務省がふるさと納税を良く思っていないとしても、総務省は安部・菅体制の下にある。そんな総務省が、ボスの意向に背き、ボスが始めたふるさと納税制度を大幅縮小、あるいは廃止することは組織の論理として難しいだろう。
「地場産品以外は不可」という禁止措置ではなく、今回の自粛要請という形になったのは、これが総務省の採り得る上限だったことを意味しているのだろうか。
もう、安部・菅体制は終わりにして良い頃合いだ。
森友・加計騒動が政権の責任問題とは思わないが、マイナンバーやふるさと納税といった欠陥制度を推し進めた罪は非常に重い。