前回記事で
「「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。」
と書いていたところ、その公開質問状がネットでアップされてました。
○みんなではぐくむ会: 議長と懲罰特別委員長に公開質問状提出
はい、釣られましょう。
前回までのシリーズで述べたことの焼き直しになってしまいますが、質問ごとにコメントしてみます。
(今回の記事は、熊本市議会宛ての公開質問に対し、これを素材に外部の個人が勝手に回答風なものを作ってみたものです。組織・団体を代表するものではありません。)
質問1)今回の懲罰について、「会議規則に具体的に禁止する旨規定されていない」のに、懲罰を行なった理由は?
======【引用ここまで】======
回答1)
地方自治法には、議長の権限についての規定があります。この中で、議事整理権・秩序保持権と呼ばれるものがあります。議長には、議場の秩序保持を目的として1次的に議員の発言、行為を制止し、退席させることが認められています。議員が議会の品位を尊重することは議会の秩序を保つことにつながり、円滑な議事運営や市民の議会への信頼向上に資するものと考えます。
ここで、「秩序」や「品位」といった文言は、幅広い意味内容を含む包括的なものです。秩序を保つために必要な措置や品位を欠くと判断される行為について、予め網羅的に条文化することはできません。このため、秩序保持権を有する議長や会議規則の審査を行う議会運営委員会において、問題が生じた場合にその都度解釈し判断する必要があります。
今回、議場において議長は、緒方氏の飴を舐めながらの登壇・発言は品位を欠く不適切な行為と考え、熊本市議会会議規則第134条に抵触するものとして注意しました。また、会議規則の審査を所管事項とする議会運営委員会も開催され、改めて緒方氏に対し謝罪の意思の確認が行われています。このように、緒方氏は議長から議場において、また議会運営委員会においても注意を受けたにも関わらず、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。さらに、議長がその行為を止めたにもかかわらず、緒方氏は改めませんでした。
このように、議長の注意、制止に従わなかった緒方氏に対し、地方自治法第135条第1項第2号及び熊本市議会会議規則第143条に基づき懲罰としての陳謝文による陳謝が決定されたものと理解しています。
そして、緒方氏がこの陳謝文による陳謝も拒んだことから、地方自治法第135条第1項第3号に基づき、懲罰として1日の出席停止が決定されたものです。
緒方氏が議長に対し事前に了承を得ていれば、あるいは、注意を受けたその時点で謝罪し飴を舐めるのを中止していれば、懲罰にまで至ることはなかったのにと思うと非常に残念です。
============
○地方自治法
第百二十九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
第百三十五条 懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
○熊本市議会会議規則
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。
============
質問2)緒方議員の「咳が出ていたため、咳の発作が出ないように、議事がスムーズに侵攻するようにのど飴をなめていた」行為が、「議会の品位の尊重に明らかに抵触する」と判断された理由は?
======【引用ここまで】======
回答2)
物を食べながら人に相対して会話するという行為は一般にマナー違反とされ、品位を欠くものと考えられています。やむを得ない場合は、会話する相手の了承を得た上で行うべきものです。
議場で登壇し発言する際、登壇する議員は、傍聴者、庁舎モニターでの視聴者、インターネットでの視聴者を意識し、議会の品位を保持するよう配慮する必要があります。このため、物を食べながら発言することは極力避けるべきと考えられます。仮に、飴を舐めて登壇し発言する必要性があるならば、せめてその旨を事前に議長に伝えて了承を得て、議長から議場にいる議員や市長その他幹部職員、傍聴者等に対しその説明がなされた上で、発言を始めるべきと考えます。
こうした事前説明が無ければ、傍聴者等は
「よくわからないけど、飴を舐めながら長時間発言している無礼な議員がいる」
としか理解のしようがありません。これを放置することは、市民の議会に対する信頼を損なうことになります。事前了承が無いまま飴を舐めながら登壇、発言したことは、議会の品位の尊重を求める会議規則の規定に抵触するものと理解しています。緒方氏に対し議長が注意し改めるよう求めたことは、議会の品位を保つ上で必要な措置であったと考えられます。
質問3)「熊本市議会会議規則」は上位法に当たる「地方自治法」に基づいて解釈運用しなければならないが、熊本市議会、懲罰特別委員会及び議会事務局の解釈と運用は地方自治法に基づいていないと考えますが、見解をお示しください。
*地方自治法132条「品位の保持」、同133条「侮辱に対する措置」や札幌高裁判決『「無礼の言葉」や「議会の品位」要件は厳格に解されなければならず、またそれを客観的判断を下したと解し得ない限り、たとえ議会が主観的に判断して懲罰を科したとしてもそれは違法な処分で取り消しを免れない』を参照して検討したか?
======【引用ここまで】======
回答3)
回答1)で述べたとおり、地方自治法に基づいた議事運営であったと考えます。
なお、札幌高裁判決は懲罰としての除名の違法性を争ったものであり、出席停止については議会の自律の観点から原則として司法判断の対象外とされています。例外的に、議場外の発言や行為を指して出席停止とされた場合や、出席停止に伴い議員報酬減額がなされた場合については、出席停止であっても司法判断の対象となる可能性がありますが、いずれも今回の場合には該当しません。
質問4)恣意的に規則を解釈し、懲罰に値する要件を欠いた理由で、地方自治法に反する手続きで懲戒処分を行ったことについて、懲罰委員会と議会に瑕疵があると考えるがどうか?
======【引用ここまで】======
回答4)
議場における注意、議会運営委員会における注意があり、これに対し謝罪しなかったことから懲罰としての陳謝文による陳謝という判断がなされ、これすら拒んだことから懲罰としての出席停止に至ったという流れが前提にあると理解しています。地方自治法・会議規則に沿ったものであり、手続きに瑕疵はないと考えます。
======【引用ここから】======
質問5)議会運営委員会や本会議で緒方議員本人の弁明・説明・釈明の機会を保証しなかった理由は?
======【引用ここまで】======
回答5)
議会運営委員会で緒方氏に対し謝罪の意思があるのかどうか確認がなされ、その際に事情の説明をする機会もあったかと思います。
======【引用ここから】======
質問6)「のど飴を口に含んで登壇したこと」を理由に党院停止の懲罰は適切であったとお考えか?
======【引用ここまで】======
回答6)
上記回答で述べたとおり、「のど飴を口に含んで登壇したこと」のみならず、議長の指示に従わず、議会の決定にも従わず、議場における秩序維持に著しく反したという出席停止に至る一連の過程があったことをご理解ください。
質問7)緒方議員の質問権と討論権は市民の請願権と一体になったもの。緒方議員の質問と討論を懲罰で奪った議会の決定は、市民の請願権の侵害に当り不当な排除と考えますが見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答7)
団体からの請願書については、請願法及び地方自治法に基づき適切に処理されています。具体的には、地方自治法第124条に基づき緒方氏の紹介により請願書が熊本市議会に提出され、請願法第5条に基づき受理され、本会議で委員会付託された後、地方自治法第109条第2項に基づき議会運営委員会で審査されています。
他方、会議規則に基づき行われる議員の質疑・討論については、その発言によって請願の内容が分かりやすくなるという一定の効果が認められます。しかし、質疑・討論は請願者とは別人格である議員が行うものであって、請願権と質疑・討論とは一体のものではありません。最終的には、個々の議員が請願書を読み内容を把握した後に賛否を判断し表決に臨むのであって、質疑・討論の発言内容は判断材料の一つに過ぎません。
また、請願の手続きとして、質疑、討論が不可欠の要素として定められているわけではありません。会議規則においても、一定の場合に発言通告が無効となることが予定されています。
なお、緒方氏の質疑の発言通告に、
「請願を採択すべきでは」
という文言が複数見られますが、質疑の中でこの内容の発言をすることは会議規則に違反するものであることを申し添えます。
============
○熊本市議会会議規則
(発言の通告及び順序)
第50条
4 発言の通告をした者が欠席したとき又は発言の順位に当たっても発言しないとき若しくは議場に現在しないときは、当該通告は効力を失う。
(質疑における意見の禁止)
第53条 議員は、質疑に当たっては、自己の意見を述べることができない。
============
質問8)本会議を招集し、中断された議会運営委員長に対する緒方議員の質問を再開し、緒方議員による賛成討論を行い、再度、採決等の手続きがなされることが、正統な手続きを経た上の決定と言えますが、見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答8)
上記回答のとおり、正当な手続きに沿って請願の受理、委員会付託、審査、委員長報告、表決が行われています。質疑の中断、討論の省略についても、発言予定者が出席停止になった以上はやむを得ないものと考えます。
また、地方自治法における再議を行うのも難しいのではないでしょうか。
======【引用ここから】======
質問9)議会運営委員会では当会の7つの請願について十分な審議がされていないため、委員会にさしもどし「再審議」を行うべきと考えます。見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答9)
繰り返しになりますが、正当な手続きに沿って請願の表決まで終了しています。このため、議会運営委員会への審査のさしもどしは不可能であると考えます。
・案件を会派へ持ち帰り、会派内で協議することを議運委員間で確認する。
↓
・議運委員が会派で内容を伝え、会派内で協議し、会派としての意見をまとめる。
↓
・委員会で議運委員が会派の意見を報告する。
↓
・会派ごとの意見に相違があれば、再度会派へ案件を持ち帰る。
という流れになっているものと推察されます。
議運委員が会派選出となっていることから、議運での審査は、その場で議論を戦わせるというよりも、会派間のすり合わせが中心となっているようです。このため、審査の中身が見えづらく、決定までのスピード感を欠いている印象は否めません。ただ、審査の中身が見えづらくスピード感に欠けているということは、表決まで終わった案件を議運へ差し戻す理由にはなりません。
現状の議会運営委員会の構成や審査方法の中で請願内容の採択を目指すのであれば、緒方氏は何をすべきであったのでしょうか。
これについては、緒方氏が、他会派の議員が協議を行う場に趣旨説明に赴き、内容について理解を深めてもらい、賛同してもらうようお願いすることが必要であろうかと思います。採択には過半数の賛成が必要であるため、複数の会派を回ってお願いに行くべきです。そのためには、日ごろから他会派であっても友好関係を築いておくことが不可欠です。
逆に、紹介議員である緒方氏が飴を舐めながら演壇で長時間演説を行い他の議員の反感を煽ったことは、請願の不採択に向けた最短ルートであったということが言えます。
このため、当ブログとしては
「緒方氏は議員に向いていない。」
「『熊本市自治基本条例をより良くする会』は紹介議員の選択を誤った。」
という意見を述べて、今回の記事を終わります。
「「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。」
と書いていたところ、その公開質問状がネットでアップされてました。
○みんなではぐくむ会: 議長と懲罰特別委員長に公開質問状提出
はい、釣られましょう。
前回までのシリーズで述べたことの焼き直しになってしまいますが、質問ごとにコメントしてみます。
(今回の記事は、熊本市議会宛ての公開質問に対し、これを素材に外部の個人が勝手に回答風なものを作ってみたものです。組織・団体を代表するものではありません。)
【議長の注意をきかない緒方氏】
======【引用ここから】======質問1)今回の懲罰について、「会議規則に具体的に禁止する旨規定されていない」のに、懲罰を行なった理由は?
======【引用ここまで】======
回答1)
地方自治法には、議長の権限についての規定があります。この中で、議事整理権・秩序保持権と呼ばれるものがあります。議長には、議場の秩序保持を目的として1次的に議員の発言、行為を制止し、退席させることが認められています。議員が議会の品位を尊重することは議会の秩序を保つことにつながり、円滑な議事運営や市民の議会への信頼向上に資するものと考えます。
ここで、「秩序」や「品位」といった文言は、幅広い意味内容を含む包括的なものです。秩序を保つために必要な措置や品位を欠くと判断される行為について、予め網羅的に条文化することはできません。このため、秩序保持権を有する議長や会議規則の審査を行う議会運営委員会において、問題が生じた場合にその都度解釈し判断する必要があります。
今回、議場において議長は、緒方氏の飴を舐めながらの登壇・発言は品位を欠く不適切な行為と考え、熊本市議会会議規則第134条に抵触するものとして注意しました。また、会議規則の審査を所管事項とする議会運営委員会も開催され、改めて緒方氏に対し謝罪の意思の確認が行われています。このように、緒方氏は議長から議場において、また議会運営委員会においても注意を受けたにも関わらず、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。さらに、議長がその行為を止めたにもかかわらず、緒方氏は改めませんでした。
このように、議長の注意、制止に従わなかった緒方氏に対し、地方自治法第135条第1項第2号及び熊本市議会会議規則第143条に基づき懲罰としての陳謝文による陳謝が決定されたものと理解しています。
そして、緒方氏がこの陳謝文による陳謝も拒んだことから、地方自治法第135条第1項第3号に基づき、懲罰として1日の出席停止が決定されたものです。
緒方氏が議長に対し事前に了承を得ていれば、あるいは、注意を受けたその時点で謝罪し飴を舐めるのを中止していれば、懲罰にまで至ることはなかったのにと思うと非常に残念です。
============
○地方自治法
第百二十九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
第百三十五条 懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
○熊本市議会会議規則
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。
============
【せめて事前了承を得ましょう、社会人として】
======【引用ここから】======質問2)緒方議員の「咳が出ていたため、咳の発作が出ないように、議事がスムーズに侵攻するようにのど飴をなめていた」行為が、「議会の品位の尊重に明らかに抵触する」と判断された理由は?
======【引用ここまで】======
回答2)
物を食べながら人に相対して会話するという行為は一般にマナー違反とされ、品位を欠くものと考えられています。やむを得ない場合は、会話する相手の了承を得た上で行うべきものです。
議場で登壇し発言する際、登壇する議員は、傍聴者、庁舎モニターでの視聴者、インターネットでの視聴者を意識し、議会の品位を保持するよう配慮する必要があります。このため、物を食べながら発言することは極力避けるべきと考えられます。仮に、飴を舐めて登壇し発言する必要性があるならば、せめてその旨を事前に議長に伝えて了承を得て、議長から議場にいる議員や市長その他幹部職員、傍聴者等に対しその説明がなされた上で、発言を始めるべきと考えます。
こうした事前説明が無ければ、傍聴者等は
「よくわからないけど、飴を舐めながら長時間発言している無礼な議員がいる」
としか理解のしようがありません。これを放置することは、市民の議会に対する信頼を損なうことになります。事前了承が無いまま飴を舐めながら登壇、発言したことは、議会の品位の尊重を求める会議規則の規定に抵触するものと理解しています。緒方氏に対し議長が注意し改めるよう求めたことは、議会の品位を保つ上で必要な措置であったと考えられます。
【除名と出席停止は程度が違う】
======【引用ここから】======質問3)「熊本市議会会議規則」は上位法に当たる「地方自治法」に基づいて解釈運用しなければならないが、熊本市議会、懲罰特別委員会及び議会事務局の解釈と運用は地方自治法に基づいていないと考えますが、見解をお示しください。
*地方自治法132条「品位の保持」、同133条「侮辱に対する措置」や札幌高裁判決『「無礼の言葉」や「議会の品位」要件は厳格に解されなければならず、またそれを客観的判断を下したと解し得ない限り、たとえ議会が主観的に判断して懲罰を科したとしてもそれは違法な処分で取り消しを免れない』を参照して検討したか?
======【引用ここまで】======
回答3)
回答1)で述べたとおり、地方自治法に基づいた議事運営であったと考えます。
なお、札幌高裁判決は懲罰としての除名の違法性を争ったものであり、出席停止については議会の自律の観点から原則として司法判断の対象外とされています。例外的に、議場外の発言や行為を指して出席停止とされた場合や、出席停止に伴い議員報酬減額がなされた場合については、出席停止であっても司法判断の対象となる可能性がありますが、いずれも今回の場合には該当しません。
【懲罰の段階】
======【引用ここから】======質問4)恣意的に規則を解釈し、懲罰に値する要件を欠いた理由で、地方自治法に反する手続きで懲戒処分を行ったことについて、懲罰委員会と議会に瑕疵があると考えるがどうか?
======【引用ここまで】======
回答4)
議場における注意、議会運営委員会における注意があり、これに対し謝罪しなかったことから懲罰としての陳謝文による陳謝という判断がなされ、これすら拒んだことから懲罰としての出席停止に至ったという流れが前提にあると理解しています。地方自治法・会議規則に沿ったものであり、手続きに瑕疵はないと考えます。
======【引用ここから】======
質問5)議会運営委員会や本会議で緒方議員本人の弁明・説明・釈明の機会を保証しなかった理由は?
======【引用ここまで】======
回答5)
議会運営委員会で緒方氏に対し謝罪の意思があるのかどうか確認がなされ、その際に事情の説明をする機会もあったかと思います。
======【引用ここから】======
質問6)「のど飴を口に含んで登壇したこと」を理由に党院停止の懲罰は適切であったとお考えか?
======【引用ここまで】======
回答6)
上記回答で述べたとおり、「のど飴を口に含んで登壇したこと」のみならず、議長の指示に従わず、議会の決定にも従わず、議場における秩序維持に著しく反したという出席停止に至る一連の過程があったことをご理解ください。
【請願権と、議員の発言の機会とは別物】
======【引用ここから】======質問7)緒方議員の質問権と討論権は市民の請願権と一体になったもの。緒方議員の質問と討論を懲罰で奪った議会の決定は、市民の請願権の侵害に当り不当な排除と考えますが見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答7)
団体からの請願書については、請願法及び地方自治法に基づき適切に処理されています。具体的には、地方自治法第124条に基づき緒方氏の紹介により請願書が熊本市議会に提出され、請願法第5条に基づき受理され、本会議で委員会付託された後、地方自治法第109条第2項に基づき議会運営委員会で審査されています。
他方、会議規則に基づき行われる議員の質疑・討論については、その発言によって請願の内容が分かりやすくなるという一定の効果が認められます。しかし、質疑・討論は請願者とは別人格である議員が行うものであって、請願権と質疑・討論とは一体のものではありません。最終的には、個々の議員が請願書を読み内容を把握した後に賛否を判断し表決に臨むのであって、質疑・討論の発言内容は判断材料の一つに過ぎません。
また、請願の手続きとして、質疑、討論が不可欠の要素として定められているわけではありません。会議規則においても、一定の場合に発言通告が無効となることが予定されています。
なお、緒方氏の質疑の発言通告に、
「請願を採択すべきでは」
という文言が複数見られますが、質疑の中でこの内容の発言をすることは会議規則に違反するものであることを申し添えます。
============
○熊本市議会会議規則
(発言の通告及び順序)
第50条
4 発言の通告をした者が欠席したとき又は発言の順位に当たっても発言しないとき若しくは議場に現在しないときは、当該通告は効力を失う。
(質疑における意見の禁止)
第53条 議員は、質疑に当たっては、自己の意見を述べることができない。
============
【請願は終わりました。やり直しは無理筋】
======【引用ここから】======質問8)本会議を招集し、中断された議会運営委員長に対する緒方議員の質問を再開し、緒方議員による賛成討論を行い、再度、採決等の手続きがなされることが、正統な手続きを経た上の決定と言えますが、見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答8)
上記回答のとおり、正当な手続きに沿って請願の受理、委員会付託、審査、委員長報告、表決が行われています。質疑の中断、討論の省略についても、発言予定者が出席停止になった以上はやむを得ないものと考えます。
また、地方自治法における再議を行うのも難しいのではないでしょうか。
======【引用ここから】======
質問9)議会運営委員会では当会の7つの請願について十分な審議がされていないため、委員会にさしもどし「再審議」を行うべきと考えます。見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答9)
繰り返しになりますが、正当な手続きに沿って請願の表決まで終了しています。このため、議会運営委員会への審査のさしもどしは不可能であると考えます。
【委員会審査が不十分であるという点について】
熊本市議会の会議録を見る限り、議会運営委員会の審査方法は・案件を会派へ持ち帰り、会派内で協議することを議運委員間で確認する。
↓
・議運委員が会派で内容を伝え、会派内で協議し、会派としての意見をまとめる。
↓
・委員会で議運委員が会派の意見を報告する。
↓
・会派ごとの意見に相違があれば、再度会派へ案件を持ち帰る。
という流れになっているものと推察されます。
議運委員が会派選出となっていることから、議運での審査は、その場で議論を戦わせるというよりも、会派間のすり合わせが中心となっているようです。このため、審査の中身が見えづらく、決定までのスピード感を欠いている印象は否めません。ただ、審査の中身が見えづらくスピード感に欠けているということは、表決まで終わった案件を議運へ差し戻す理由にはなりません。
現状の議会運営委員会の構成や審査方法の中で請願内容の採択を目指すのであれば、緒方氏は何をすべきであったのでしょうか。
これについては、緒方氏が、他会派の議員が協議を行う場に趣旨説明に赴き、内容について理解を深めてもらい、賛同してもらうようお願いすることが必要であろうかと思います。採択には過半数の賛成が必要であるため、複数の会派を回ってお願いに行くべきです。そのためには、日ごろから他会派であっても友好関係を築いておくことが不可欠です。
逆に、紹介議員である緒方氏が飴を舐めながら演壇で長時間演説を行い他の議員の反感を煽ったことは、請願の不採択に向けた最短ルートであったということが言えます。
このため、当ブログとしては
「緒方氏は議員に向いていない。」
「『熊本市自治基本条例をより良くする会』は紹介議員の選択を誤った。」
という意見を述べて、今回の記事を終わります。