前回記事の続編です。
「議会軽視だ」と主張するのは、今を置いて他に無い ~ 専決処分による新規事業 ~ 若年寄の遺言
この自治体、政策的経費の補正をまた専決処分でやってしまいました。
行橋 休業支援で追加の協力金|NHK 北九州のニュース 2020年(令和2年)5月13日 水曜日
======【引用ここから】======
行橋市では、すでに県の休業要請に応じ、今月6日まで休業した市内の中小企業や小規模事業者に対し、独自の協力金を支給していますが、要請の期間が今月31日まで延長されたことを受けて、新たな協力金の支給を決めました。
今回の協力金は、今月18日から31日まで休業した場合に支給されます。
金額は、1店舗あたり20万円、複数の店舗を運営している場合は、40万円が上限となっていますが、これまでに協力金を受け取っているところは半額となります。
対象となるのは、これまでと同様、県が休業を要請している施設と要請には入っていない居酒屋や喫茶店などの食事を提供する施設に加え、新たに理髪店や美容室などが含まれます。
行橋市は、必要な予算およそ1億3000万円を12日、市長の専決処分で決定しました。
申請の受け付けは、委託を受けた行橋商工会議所で、13日から始まります。
======【引用ここまで】======
ちなみに、この行橋市では、5月8日(金)と5月11日(月)に臨時議会が開かれています。
整理しましょう。
・5月 8日(金) 臨時会開会
・5月11日(月) 委員会審査、臨時会閉会
・5月12日(火) 休業協力金1億3千万円の補正予算を専決処分
・5月13日(水) 申請受け付け開始
5月12日に行った補正の専決処分を1日前倒しして、5月11日まで開催されていた臨時議会に補正予算案として提出することが出来ない・・・というのは、通常考えられません。5月13日から申請受け付けを開始する事業について、5月11日の時点で経費の総額や中身の詳細を決めていなかったはずがありませんから。
この時系列では、地方自治法第179条で定められた専決処分の要件、
「普通地方公共団体の議会が成立しないとき」
「第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき」
「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」
「議会において議決すべき事件を議決しないとき」
のいずれにも当てはまらないと考えます。違法の疑いのある専決処分と言えましょう。
ここの市長は、何を考えてかつての阿久根市級の暴挙に出たのでしょうか。
副市長や法務担当部局は何も意見しなかったのでしょうか。
まともな法律相談のできる顧問弁護士とかは居ないのでしょうか。(以前、土地占有問題の際には顧問弁護士が居たようですが、今は居ないのかもしれません。)
もしこのやり方が許され、脱法的ではあるが合法であるという事になれば、ですよ。市長が、毎年、裁量の余地の無い義務的経費だけを計上した当初予算案を2月、3月の定例議会に提出し、とりあえず議決を受け、市長の意向を反映した政策的経費についてはその定例議会が閉会した翌日に専決処分で補正してしまえば良い、という事になりかねません。
政策的経費の審議を行う機会を失い、議決権を行使できず、事後的な追認しかできないとなると、議会の必要性は著しく低下し、形骸化します。
議員定数の上限・下限について地方自治法上の縛りはなく、条例で定めることとなっています。いっその事、条例で議員を3人にしてしまったらどうでしょうか。
議員定数を3人にして、うち1人を議長にするのです。これで一応、地方自治法が想定している合議制の体裁は整うと思います。
本会議は、市長の応接室で行いましょう。委員会は設置せず、全議案を本会議で審議しましょう。3人の議員に対し市長が応接室で形式的に説明して、3人の議員が義務的経費だけを計上した当初予算案を議決し、あとは市長と議員とで談笑している光景をネットでアップするのです。裁量的・政策的な部分については、翌日、市長が専決処分で処理するのです。
3人の議員が形式的に存在するだけであれば、議員の議会事務局を単独部署として設置する必要もなくなります。どこかの部署が片手間で議会業務を処理すれば足ります。広い本会議場は不要になります。委員会が無ければ、別途、委員会室を設ける必要もありません。会議時間も、配布する資料の部数も大幅に削減できます。
議員報酬、職員給与、本会議場等の維持管理費、庁舎内のスペース、時間、諸々のものが省力化できます。超高齢社会、人口減少社会、アフターコロナ・ウィズコロナを考えた時、社会を支える現役世代の人手・時間・費用を形式的な業務に割く余力は、減ることはあっても増えることはまずありません。議会の実質的な意義・役割が薄れてくれば、不要論・削減論が出てくるのは避けられないでしょう。
市長による政策的経費の専決処分という手法を議会が容認してしまうと、回り回って議会は自分の首を絞めてしまう事になります。市長提案条例・予算を時には否決する所に究極的には議会の存在意義がある訳で、追認するだけの形式的な機関であれば形式的な待遇で良いということになります。
行橋 休業支援で追加の協力金|NHK 北九州のニュース 2020年(令和2年)5月13日 水曜日
======【引用ここから】======
行橋市の田中純市長は「たとえ県が休業要請を緩和することがあっても、市としては、今月一杯は休業要請を続けるつもりだ」と話していました。
======【引用ここまで】======
補正予算を専決処分し何度も給付策を打ち出す一方で、個人や企業の活動を抑制して県全体より一歩進んだ休業要請を明言した行橋市。歳出が増え、休業要請延長でその分だけ事業者の収入が減り税収が減るのですから、財政悪化は避けられないでしょう。
「議会軽視だ」と主張するのは、今を置いて他に無い ~ 専決処分による新規事業 ~ 若年寄の遺言
この自治体、政策的経費の補正をまた専決処分でやってしまいました。
行橋 休業支援で追加の協力金|NHK 北九州のニュース 2020年(令和2年)5月13日 水曜日
======【引用ここから】======
行橋市では、すでに県の休業要請に応じ、今月6日まで休業した市内の中小企業や小規模事業者に対し、独自の協力金を支給していますが、要請の期間が今月31日まで延長されたことを受けて、新たな協力金の支給を決めました。
今回の協力金は、今月18日から31日まで休業した場合に支給されます。
金額は、1店舗あたり20万円、複数の店舗を運営している場合は、40万円が上限となっていますが、これまでに協力金を受け取っているところは半額となります。
対象となるのは、これまでと同様、県が休業を要請している施設と要請には入っていない居酒屋や喫茶店などの食事を提供する施設に加え、新たに理髪店や美容室などが含まれます。
行橋市は、必要な予算およそ1億3000万円を12日、市長の専決処分で決定しました。
申請の受け付けは、委託を受けた行橋商工会議所で、13日から始まります。
======【引用ここまで】======
ちなみに、この行橋市では、5月8日(金)と5月11日(月)に臨時議会が開かれています。
整理しましょう。
・5月 8日(金) 臨時会開会
・5月11日(月) 委員会審査、臨時会閉会
・5月12日(火) 休業協力金1億3千万円の補正予算を専決処分
・5月13日(水) 申請受け付け開始
5月12日に行った補正の専決処分を1日前倒しして、5月11日まで開催されていた臨時議会に補正予算案として提出することが出来ない・・・というのは、通常考えられません。5月13日から申請受け付けを開始する事業について、5月11日の時点で経費の総額や中身の詳細を決めていなかったはずがありませんから。
この時系列では、地方自治法第179条で定められた専決処分の要件、
「普通地方公共団体の議会が成立しないとき」
「第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき」
「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」
「議会において議決すべき事件を議決しないとき」
のいずれにも当てはまらないと考えます。違法の疑いのある専決処分と言えましょう。
ここの市長は、何を考えてかつての阿久根市級の暴挙に出たのでしょうか。
副市長や法務担当部局は何も意見しなかったのでしょうか。
まともな法律相談のできる顧問弁護士とかは居ないのでしょうか。(以前、土地占有問題の際には顧問弁護士が居たようですが、今は居ないのかもしれません。)
もしこのやり方が許され、脱法的ではあるが合法であるという事になれば、ですよ。市長が、毎年、裁量の余地の無い義務的経費だけを計上した当初予算案を2月、3月の定例議会に提出し、とりあえず議決を受け、市長の意向を反映した政策的経費についてはその定例議会が閉会した翌日に専決処分で補正してしまえば良い、という事になりかねません。
政策的経費の審議を行う機会を失い、議決権を行使できず、事後的な追認しかできないとなると、議会の必要性は著しく低下し、形骸化します。
【地方議会を縮小する思考実験】
市長が政策的経費について度重なる専決処分を行い、議会が具体的な対抗策を取らず容認を繰り返す事で、議会の審議・議決は形式的なものと多くの人に認識されるようになります。その分、議会の地位は低下します。形式的な組織であれば、数十人も議員を置く必要はありません。議員定数の上限・下限について地方自治法上の縛りはなく、条例で定めることとなっています。いっその事、条例で議員を3人にしてしまったらどうでしょうか。
議員定数を3人にして、うち1人を議長にするのです。これで一応、地方自治法が想定している合議制の体裁は整うと思います。
本会議は、市長の応接室で行いましょう。委員会は設置せず、全議案を本会議で審議しましょう。3人の議員に対し市長が応接室で形式的に説明して、3人の議員が義務的経費だけを計上した当初予算案を議決し、あとは市長と議員とで談笑している光景をネットでアップするのです。裁量的・政策的な部分については、翌日、市長が専決処分で処理するのです。
3人の議員が形式的に存在するだけであれば、議員の議会事務局を単独部署として設置する必要もなくなります。どこかの部署が片手間で議会業務を処理すれば足ります。広い本会議場は不要になります。委員会が無ければ、別途、委員会室を設ける必要もありません。会議時間も、配布する資料の部数も大幅に削減できます。
議員報酬、職員給与、本会議場等の維持管理費、庁舎内のスペース、時間、諸々のものが省力化できます。超高齢社会、人口減少社会、アフターコロナ・ウィズコロナを考えた時、社会を支える現役世代の人手・時間・費用を形式的な業務に割く余力は、減ることはあっても増えることはまずありません。議会の実質的な意義・役割が薄れてくれば、不要論・削減論が出てくるのは避けられないでしょう。
市長による政策的経費の専決処分という手法を議会が容認してしまうと、回り回って議会は自分の首を絞めてしまう事になります。市長提案条例・予算を時には否決する所に究極的には議会の存在意義がある訳で、追認するだけの形式的な機関であれば形式的な待遇で良いということになります。
【歳出増・収入減】
ところで・・・行橋 休業支援で追加の協力金|NHK 北九州のニュース 2020年(令和2年)5月13日 水曜日
======【引用ここから】======
行橋市の田中純市長は「たとえ県が休業要請を緩和することがあっても、市としては、今月一杯は休業要請を続けるつもりだ」と話していました。
======【引用ここまで】======
補正予算を専決処分し何度も給付策を打ち出す一方で、個人や企業の活動を抑制して県全体より一歩進んだ休業要請を明言した行橋市。歳出が増え、休業要請延長でその分だけ事業者の収入が減り税収が減るのですから、財政悪化は避けられないでしょう。