若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

前副市長の出馬タイミングと失策への関与 ~ 行橋市前副市長・松本英樹氏に正当性はあるか ~

2022年01月20日 | 地方議会・地方政治
タイトルのとおり、行橋市の松本英樹前副市長に正当性があるかどうかを考えてみたいと思います。

私は、
前副市長としての出馬タイミングは賞味期限切れであり、田中市政の失策にも深く関与している松本氏に、市長選に出馬表明するような資格・正当性は無い
と評価しています。

【パターン1 禅譲型】

副市長が市長に立候補するパターンには、3つあります。

そもそも、副市長とは何でしょうか。

副市長は、市長の市政運営を支える補助機関です。市長の意向を実現するために政策立案や組織内部の調整を行い、時には市長の名代として外部との交渉や記者会見も行う、市政のナンバー2です。女房役と言われる事もあります。

ですので、市長の施策方針と概ね同じ人物が選ばれます。市長が、自分を補佐するに足る人物を選び出し、議会の同意を得て任命することになります。

そして、市長が1期、2期、3期・・と務めて引退を決意した際に、ナンバー2として仕えてきた副市長を次の市長候補として推すということがよく行われます。

これを第1のパターン・「禅譲型」と呼ぶこととしましょう。

安倍元首相が退陣表明し、その官房長官であった菅氏が後任の首相となる。あるいは、福岡県知事であった小川氏が病気で引退する際、副知事であった服部氏が小川路線の継承を掲げて出馬し当選した例などは、その典型と言えるでしょう。

また、今後控えている選挙では、加東市なんかもそうでしょう。現職の安田正義市長が今期限りで退任する意向を示し、これを承けて令和4年1月に岩根正副市長が令和4年4月の市長選へ立候補する意向を表明しています。
4月の加東市長選 副市長の岩根氏、立候補表明へ|総合|神戸新聞NEXT

【パターン2 対抗馬型】

この「禅譲型」に対し、市長が継続して出馬を表明しているのに副市長も出馬を表明するパターンもあります。これを「対抗馬型」と呼ぶことにしましょう。

この対抗馬型は、住民から理解がしにくい所です。
従来の市長の路線と、その市長に仕え補佐していた人の路線と、どこがどう違うのか分かる住民はそう居ないでしょう。当の市長・副市長も、どこが違うのかと問われてスラっと答えられないんじゃないかなと思います。
立候補した副市長が市長を批判しても、その批判は補佐をしていた副市長にそのまま返ってきます。

「あなたが批判する市長の路線や施策を補佐し遂行しようとしてきたのは副市長、あなたでしょ?」

というブーメランが発生します。

なので、この「対抗馬型」を成立させるためには、明確な争点であったり、「前副市長である私は市長とここが違う」という点を説明できることが必要です。

何かハコモノを作る・作らない、とか、
施設を誘致する・しない、とか、
新たな規制や補助金を導入する・しない、とか、
そういった「どちらにするか」で市長と副市長が対立し、調整が付かず、副市長が
「もうあなたにはついて行けません。あとは選挙で決着を付けましょう」
といった対決構図があると、住民としては分かりやすいですね。

あるいは、市長から副市長として選任されたが、1期目の途中で
「この市長とは合わない」
となって任期途中で副市長を辞めるのであれば、住民としてもまぁ理解できるかと思います。

ここで、令和4年に選挙を控えた上田市の例を見てみましょう。

======
平成26年4月 母袋倉一市長の下で、井上晴樹副市長を選任。

平成30年4月 土屋陽一市長の下で、井上晴樹副市長を再任。

令和2年 井上晴樹副市長から土屋陽一市長へ退職届が提出されたが、コロナ対応等を理由に退職時期を延ばすこととし、令和3年3月31日付で退職することとなった。

令和3年12月 井上晴樹前副市長が令和4年3月の市長選へ立候補する意向を表明。

======
井上氏が立候補を正式表明 3月の上田市長選 | 信濃毎日新聞デジタル
令和3年3月 上田市議会定例会 会議録

井上晴樹氏は、母袋前市長とは相性が良かったけれど、土屋市長とは合わなかったのだろう。母袋市長再選の前に、袂を分かって独自の井上路線を打ち出そうとしたのだろう・・・という想像はできます。

【パターン3 賞味期限切れ型】

ここで、本題である行橋市の松本英樹前副市長を見てみましょう。
松本英樹氏の場合は、「禅譲型」「対抗馬型」のいずれにも当てはまりません。

市長が立候補を表明していますので、「禅譲型」は成立しません。
かといって、ハコモノを作る・作らないといった明確な争点があるわけでもなく、市長1期目の途中で対立軸を提示したわけでもないことから、「対抗馬型」を成立させる条件も満たしていません。

田中純市長の1期目の終わり頃、行橋市は
「新図書館を作る・作らない」
で真っ二つに割れていました。
その選挙で田中純市長は再選を果たし、この市長を補佐してきた松本英樹氏も2度目の副市長選任を受けています。
田中純市長から、
「松本さん、2期目も副市長を頼みます」
と言われこれを受諾している時点で、松本氏は、細部に不満点はあれど、田中純氏の1期目の市政運営を全体としては容認したわけです。
この瞬間に、松本英樹氏は田中純市長の対抗馬として
「選挙を通じて対立軸を提示する」
という資格を失っています。

その後、松本英樹氏は田中純市長から副市長を解職されました。
その理由は、
市長に黙って会社役員に就任したから
というものでした。
(人として信用置けませんし、公職にある者が任期中に会社役員へ就任するのは公平性を疑わせますね。)

この解職の後、松本氏はそれまで主人であった市長に対し批判を展開し始めたようですが、
「それなら、なぜ田中純市長1期目の終わりに反旗を翻さなかったのか」
という疑問はずっと残ります。

この松本氏のパターンを「賞味期限切れ型」と呼ぶことにしましょう。

【拭いきれない「いまさら」感】

上記の新図書館を作る・作らないの時、私は

「無駄なハコモノは増やすべきでない。人口減少社会に突入するのにハコモノ増やして維持管理費を増やすのは自殺行為」

と反対をしてきました。この新図書館を作る・作らないで揉めている時に、時の市政ナンバー2・副市長が抗議を兼ねて辞意表明し、自らが反対派候補として出馬するか反対派候補の支援に回っていたら、91票差がひっくり返って田中純市長の2期目は無かったかもしれません。
その反旗を翻すべき時、明確な争点があった時には田中純市長に付き従い、今頃になって

トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのかを問いたい

と出馬しても遅い。遅すぎる。今じゃない。
トップダウンが強すぎることは、田中市政1期4年で分かっていたことじゃないのか。

そう、出馬タイミングから見るに、松本英樹前副市長はとっくの昔に「賞味期限切れ」なのです。

【松本英樹氏の汚点】

さてこの松本英樹前副市長ですが、田中純市長の下で1期目4年間+2期目途中2年間にわたって副市長を務めていました。

この6年間、松本氏は市政ナンバー2として田中純市長を支え、施策や運営を消極的にであれ承認してきた訳ですが、次の

1.実行委員会500万円使途不明金問題

2.新図書館建設

3.私立美術館の公営化


については、松本英樹氏は消極的な承認のレベルを遥かに超えた、積極的な関与をしています。過去の当ブログで紹介したネタですが、改めて確認しましょう。

【1.実行委員会500万円使途不明金騒動】

まず、田中市政を語る上で忘れてならないのが、使途不明金問題。

これは、市がイベント実行委員会を立ち上げて、そこに公金を入れて運営していたところ、約500万円の使途不明金が発覚。ところが、市はこれを有耶無耶に終わらせたという事件です。

この事件が発覚した時、議会は紛糾したというのが新聞記事になっていました。
当然ながら追及する議員もいましたが、
実行委員会の情報は開示の対象外
と市側は情報提供を拒み、事件の真相は不明なまま終わりました。

実行委員会方式で実施した事業の情報公開 ~ 実行委員会だから非開示とは限らない ~ - 若年寄の遺言

腐ってやがる・・・古すぎたんだ・・・ ~ 情報公開の谷のユクハシ ~ - 若年寄の遺言

この時、
実行委員会の情報は開示の対象外
として資料提供を拒む法解釈を示し情報隠蔽に加担したのが、当時の副市長であった松本英樹氏です。

この「実行委員会の情報は開示の対象外」という法解釈は、最高裁の決定に反しています。
他自治体では、イベント実行委員会の決算資料等をホームページでも出していると言うのに。

ビーチバレー運営費使途不明 行橋市 副市長「各団体で予算執行違う」 議会文教厚生委の追及に壁 /福岡 毎日新聞2017年8月23日 地方版
======【引用ここから】======
 行橋市議会・文教厚生委員会が22日あり、市が実行委員会事務局を兼ねる「ゆくはしビーチバレーボールフェスタ」の2015年度決算で不明朗な会計処理があった問題を審議した。実行委員の松本英樹副市長(副会長)と米谷友宏教育部長が出席し、一部で領収書がない点などに松本副市長は「領収書の再発行はないが、支出は全て確認した」と述べ、改めて職員による着服を否定した。【荒木俊雄】
 市情報公開条例では、情報公開の対象機関は市長、教育委員会、議会など10部局で実行委は含まない。また、議会の調査権は自治体の補助金が適切に使われたかどうかの審査までとされ、同委に唯一示された使途のわかる資料は15年度決算書(A4判1枚)だった。

======【引用ここまで】======

○行橋市議会、監査求める決議否決 市は資料も非公開 /福岡 毎日新聞2017年9月27日 地方版
======【引用ここから】======
 市は着服否定の根拠として記者会見などで「570万円について、領収書のない部分も含めて支出確認がとれた」と説明。だが、実行委が市の情報公開対象外であることなどを理由に所管の市議会・文教厚生委員会にさえ領収書なども示していない。
 一方、最高裁は2005年9月、岐阜県が「実行委は別団体でその文書は公開条例の対象外」として市民団体に非公開とした文書を「公文書にあたる」と判断。公開を命じた2審判決を支持・確定させた。【荒木俊雄】

======【引用ここまで】======

もし、松本英樹氏に公僕としての良心があれば、実行委員会の支出に関する資料を隠蔽する事をためらったことでしょう。
もし、松本英樹氏が市職員あがりの副市長として情報公開に関する最高裁決定の知識を有していれば、隠蔽が誤りであることは分かったことでしょう。
もし、松本英樹氏に市政ナンバー2としての気概があれば、トップである田中市長からの隠蔽指示に公然と待ったをかけたことでしょう。

「この件については最高裁の見解も示されていることだし、副市長として、非開示には賛同できない」
と、議会や会見の場で述べるべきであったのです。松本英樹氏には、副市長としてあるべき良心、知識、気概が欠けていたことがこの事例から分かります。
イベント実行委員会の支出に関する情報を非開示とする最終決定をした田中純市長の責任は重大ですが、その決定の根拠となる歪んだ法解釈を示した松本英樹氏の責任も同等です。

【2.新図書館建設】

前述のとおり、行橋市を二分した案件として新図書館建設問題が挙げられます。田中市政1期目終了時の選挙では最大の争点となりました。

この問題について、新聞記事や議事録等から松本英樹氏の建設に対する賛否の考えを察することはできませんでした。

ただ、行橋市が防衛省から補助金をもらい、新図書館建設地となった旧ミラモーレという宴会場の跡地を公益財団法人増田美術・武道振興協会から購入する交渉の担当者となっていたのが松本英樹氏です。
防衛省のひも付き補助金で購入していなければ、建設目的が文教施設に限定されることはありませんでしたし、土地を買っていなければそもそも図書館建設問題は起こらなかったのです。

松本英樹氏は、新図書館建設問題の発端から関与している人物です。

【3.私立美術館の公営化】

以前、公益財団法人増田美術・武道振興協会が半分を所有し、理事長が半分を所有する私設の美術館がありました。これを、田中市政において、公益財団法人増田美術・武道振興協会が半分を所有し、市が半分を所有するという形態に変えました。土地・建物のうち理事長の持ち分を市へ譲渡し、公営美術館に改めつつ、市が行う美術館の管理運営を公益財団法人増田美術・武道振興協会が引き受ける形に変更しています。

税金支出を増やす名誉市民 ~ 他人の金でパトロン気取り2 ~ - 若年寄の遺言

公益財団法人増田美術・武道振興協会が管理を行う実態はほぼ変わらないのに、市から公益財団法人増田美術・武道振興協会へ管理委託料が支払われるという公金支出が余計に発生していることになります。
この一連において、松本英樹氏がメインとなって新聞記事に掲載されていますし、議会答弁も主となって行っています。

新図書館建設問題における、防衛省補助金を利用した財団法人から土地購入、
そしてこの美術館公営化に伴う管理委託料の財団法人への支払い、
さらには市の負担で財団法人オーナーの美術品寄贈を受け付けたことにより相続税が軽減され、
これと並行して、財団法人オーナが経営する企業の役員に松本英樹氏が就任、
・・・これはどう考えても縁故、癒着としか評価のしようがありません。

上記1・2・3は松本氏の副市長として関与した責任は免れないものと考えます。これ以外の事業についても、約6年の間に起きた施策・事件については、田中純市長とともにその批判を受けるべき立場にあります。

トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのか(僕は反対だったんだけど、トップがやれと言うからやったんだ)」
というのは、下っ端の職員ならいざ知らず、元ナンバー2が言うと非常にダサい。

【まとめ】

ということで、

田中純市長1期目終了時の4年前ならいざ知らず、2期目途中で解職された前副市長が出馬表明するのは賞味期限切れ。今更出てきて何をしようと言うのか、争点も全く明確ではありません。出馬理由が、解職されたという個人的な逆恨みくらいしか想像できません。
松本英樹氏がすべきは出馬表明ではなく、過去の不祥事や癒着についての説明と謝罪です。


行橋市長選に松本元副市長が出馬表明 「市民に寄り添う市政に」|【西日本新聞me】2021/5/21 5:57
======【引用ここから】======
 来年3月の任期満了に伴う行橋市長選に、元副市長で新人の松本英樹氏(63)が20日、無所属で立候補すると表明した。同市長選への立候補表明は初めて。
 松本氏は1982年に市職員となり、総務部長などを歴任。2014年に初当選した田中純市長(74)から副市長に起用された。だが次第に田中氏の市政運営に批判的になり、19年に解職された。現在は市内の不動産管理会社員。
 市内で記者会見を開いた松本氏は「トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのかを問いたい。市民に寄り添い、膝詰めで意見を聴きながら政策を決める運営に変えたい」と語った。
 同市長選には他にも複数人が立候補を準備している。 (石黒雅史)

======【引用ここまで】======

工藤市議が出馬表明 行橋市長選|【西日本新聞me】2021.09.10
======【引用ここから】======
 来年3月の任期満了に伴う行橋市長選に、新人で同市議の工藤政宏氏(43)が9日、無所属で立候補すると表明した。市長選への立候補表明は、無所属新人で元市副市長の松本英樹氏(63)に続き2人目。
 市内で記者会見を開いた工藤氏は、現在2期目の田中純市長の市政運営について「公正性の欠如や大型公共事業への膨大な予算配分、不透明な職員採用などに強い危機感を抱いている」と発言。「古い政治、行政を打破したい」と語った。
 東九州道今川パーキングエリア周辺開発事業は見直し、大賞賞金1千万円の国際公募彫刻展や大規模スポーツイベントなどは「対話を積み重ねながら在り方を考える」とした。
 工藤氏は行橋市出身。学習塾社員や茨城県議会議員秘書を経て2012年に市議初当選、現在3期目。(石黒雅史)

======【引用ここまで】======

田中氏 3選出馬表明 行橋市長選「人口増」など実績強調 2021年10月2日 毎日新聞
======【引用ここから】======
 任期満了(2022年3月17日)に伴う行橋市長選で、現職の田中純氏(75)が1日、3選を目指し無所属で立候補することを表明した。同市長選での立候補表明は元副市長の松本英樹氏(63)、市議の工藤政宏氏(44)=いずれも無所属=に続いて3人目。
 記者会見した田中氏は、「就任から市の人口は約1000人増え、税収も毎年約1億円ずつ増えた」と実績を強調。九州自動車道今川パーキングエリア周辺の開発や国際公募彫刻展などの事業も引き続き推進する意向を示した。

======【引用ここまで】======
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人口問題と財政問題 ~ 行橋市政ウォッチ ~

2022年01月14日 | 地方議会・地方政治
知人のところに、「有言実行」と銘打った行橋市政に関するリーフレットが投げ込まれていました。
以前に私が書いた記事のテーマと重複している部分がありますので、読んで感想を述べたいと思います。

参考・以前の記事
田中純・行橋市長の「公約」「実績」を検証してみるコーナー - 若年寄の遺言

結論は、以前の記事と同じです。
8年間で行橋の人口問題、財政問題は改善していない。むしろ悪化している
ということです。

【行橋市の人口問題】


それにしても、表紙で笑ってしまいました。
有言実行
ですってwww

過去の選挙公約で
「人口10万人構想!」
とぶち上げていた行橋市長。

言ったとおりに実行しているのか。
2期8年を経た成果は、住民票ベースで

平成26年2月末の人口 72,830人
令和3年10月末の人口 72,830人

という、甘めの評価でも横ばい、ピーク時を考慮すれば人口減少が始まっています。
どこが有言実行なのでしょうか。

令和3年3月、市議会で工藤政宏市議から、田中純市長の人口10万人構想の公約を問われた際に、
リアルにこの人口減少時期に、リアルになるということは、私自身もクエッションだなということは、当時から申し上げていたはずであります。
などと供述する田中純市長。
自身の公約の実現可能性を自分で「クエッションだな」と否定し開き直る市長に、有言実行を求める。
木に縁りて魚を求めるようなものです。
このパンフを作った方々も、なかなか皮肉が効いています。

なお、

このグラフは国勢調査の人数なので、5年刻みでしか推移が分かりません。

グラフ中に「人口増に連動した税収曲線」とコメントが入っていますが、これもおかしい。
住民税の税収につながるのは住民票で把握している人数なので、税収と並べるのであれば国勢調査の人数ではなく住民票上の人数を並べないとおかしい。住民票上の人数を並べると人口減の開始が見える化されてしまうので、隠すために国勢調査の人数を使ったのでしょうか。

税収の増加については、総務省の資料を見る限り全国的に微増を続けています。自治体における税収増は全国的な傾向です。この8年の間に消費税増税をはじめとする税制改正が幾度か行われており、これが原因だと考えられます。
これを、田中純市長が実施した事業によって増えたと評価するのは困難です。実際、人口増えてないんだし、高齢者だけ増えてるんだし。

【行橋市の財政問題】

次に、



こちらの数字は、数字自体は合っていそうです。
私の以前の記事で紹介した数字を改めてご覧ください。
地方債は、
平成25年度決算
地方債現在高    173億 827万1千円 
うち、
臨時財政対策債    88億5738万5千円
(差し引きの債務)  84億5088万6千円

令和2年度決算
地方債現在高    214億8623万9千円
うち、
臨時財政対策債   101億4597万1千円
(差し引きの債務) 113億4026万8千円


そして、基金は、
平成25年度決算
基金全体   91億6771万2千円
うち、
財調基金   34億 815万7千円
減債基金    3億6627万2千円
その他    53億9328万3千円

令和2年度決算
基金全体  134億9950万2千円
うち、
財調基金   47億7899万3千円
減債基金    3億7168万6千円
その他    83億4882万3千円


ということで、パンフレットの数字自体は合っています。

問題は2点。

まず1点目は、基金の数字。
パンフレットの基金が全部込み込みの数字になっていて、比較対象を誤っているということです。

市の借金からは臨時財政対策債を除いているのに、基金は全ての基金込み込み。
基金の中には、借金に充てられない、使途を限定されたものが多数存在します。
借金の増減と比較すべき基金は、そうした特定目的基金を除く部分で見なければなりません。決まった目的があってそれ以外に使えない積み立て、こうしたものを除いた基金の残高はどうなっているでしょうか。
上記基金内訳の財調基金(自由に使える基金)と減債基金(借金返済のための基金)の合計は、

平成25年度 令和2年度
 37億7千万  → 51億4千万

と、13億7千万円しか増えていません
臨財債を除く借金は

平成25年度 令和2年度
 84億  → 113億

と、29億円も増えているのに、です。

2点目として、この、臨時財政対策債を除く地方債が増え続けている事自体がヤバい、ということです。
こちらをご覧ください。



これは全国の数字をグラフ化したもの。
グラフの上部の赤い部分、臨財債は毎年増え続けています。しかし、赤い部分の下、臨財債を除く地方債は減り続けています。これが全国的な傾向です。

たとえば、最近、財政破綻するのではないかと話題になっている京都市。
トータルの債務は増えていますが、臨財債を除く市債は徐々に減っています。

※参考 12分40秒頃から
【なぜ京都は貧乏?完結編】臨時財政対策債の闇!国めちゃめちゃ悪い説を検証してみた


財政破綻が話題になる京都市ですら、臨財債を除く地方債は減らしています。
他方、行橋市では臨財債を除く地方債が29億円も増えています。全国的な動向と真逆を進んでいます。

人口増を目指し積極財政に打って出たものの、人口は思ったように増えなかった。
積極財政に打って出たのに、これをペイするだけの税収増に結び付かず、結果、地方債が増えた。

これが今の行橋市です。

(追記)
リーフレット中に、
「平成30年度 ふるさと納税額 全国13位」
とありますが、この頃、地場産品でも何でもないipadを返礼品にして、総務省から怒られてましたよね。
コメント (5)
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