「ユニコーン・フィスト」
原題:麒麟掌/Fist Of Unicorn
1972年 香港 90分
■監督:
唐迪(タン・ディー)
■出演:
小麒麟(ユニコーン・チャン)
孟秋
孟海(マン・ホイ)
黄仁植(ウォン・インシック)
倉田保昭
池漢載(チ・ハンツァイ)
李文泰(リー・マンチン)
魏平澳(ウェイ・ピンアオ)
金帝(ガムダイ)
火星(マース)
成龍(ジャッキー・チェン)
馮敬文(フォン・ギンマン)
●あらすじ
ブルース・リーの幼友だちのユニコーン・チェン(小麒麟)が主演して映画を作ったので、
ブルース・リーがほんのすこし友情出演した。
ユニコーンと大悪党(倉田保昭)との追いかけっこだが、ちっとも面白くないのだ。
(ドラゴン大全科より)
★感想など
上のあらすじは、原文ママです。
最初に読んだ時から、ちっとも面白くないの”ちっとも”と言う単語が頭から離れなくなってしまっている。
まあ本作に関する逸話は知っていたから、どれ程面白くない映画なのかなと思って観てみたが
感想は意外とそうでもなかった。
と言うのも今の目でみるとこんな役者が出ていたんだ!
的な驚きが沢山あって、そういった点で面白いと感じていただけで、映画としては決して面白いわけではない。
ただ1970年代の香港功夫映画って、この程度の水準の映画が山ほどあるので
それらを観慣れている私だからこそ、こんな感想を抱くのだと思う。
1970年代の低予算香港功夫映画をほとんど観た事ない人には、恐ろしく退屈な映画に感じるであろう。
あとこの映画の公開当時は無名な役者ばかりで全然知らない人ばかりの状態なら、ちっとも面白くないかも知れないが
今観るとキャストが凄いよ。
と言うか、ブルース・リーが自分の映画に出演している人たちをこころよく貸し出しているのが良くわかる。
まず魏平澳(ウェイ・ピンアオ)は「ドラゴン怒りの鉄拳」と「ドラゴンへの道」で共演。
この人は他の映画で滅多に見かけないので、絶対にブルース・リーのおかげだと思う。
他にも金帝(ガムダイ)も出ているが、彼は「ドラゴンへの道」からリーと共演しているので
本作の撮影って「ドラゴンへの道」の最中か、終わった後とかなのかなあ。
と言うのも池漢載(チ・ハンツァイ)は「死亡遊戯」の撮影のために韓国から呼んでいたからだ。
池漢載の弟子である黄仁植(ウォン・インシック)はその前の「ドラゴンへの道」にも出ていた事を考えると
やっぱり本作は「ドラゴンへの道」終了後に「死亡遊戯」の準備をしていた頃なのかなあ。
あと面白いのが敵の手下役で成龍(ジャッキー・チェン)が出ていること。
この当時のジャッキー・チェンはこれほどの大きな役にはつけてない頃。
これは推測なのだが「ドラゴンへ怒りの鉄拳」のクライマックスのスタントダブルをやったジャッキーを
ブルース・リーはえらく褒めて気に入ったらしいから、それを覚えていて本作にジャッキーを推薦したんじゃないかなあ。
だってこの映画の手下は5人くらいしか同時に戦うシーンはなかった。
その少人数に当時のジャッキーが入れるわけがないんだから、これはやっぱりブルース・リーの口利きなのではと思うのだ。
そして孟海(マン・ホイ)が出ているのも興味深い。
彼は「燃えよドラゴン」に出演しているので、孟海、ジャッキー辺りは本作を経て「燃えよドラゴン」にも出演したのかも。
何かそういったストーリーが見えるような気がすると、益々映画が楽しく感じられるね。