イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

何か容喙?

2010-08-12 19:18:53 | テレビ番組

放送開始早々に「要らない」「やっぱり要らない」「返す返すも要らない」としつこく決めつけたNHK『あさイチ』ですが、気がつけばここで結構、触れているんですよね。昨日(11日)放送のプレミアムトークセレクション再放送、気がつけば「見た見た」「確かこんなこと言ってた」「ホラ言った」のノリで、ゲスト3人(向井理さん坂本冬美さん福山雅治さん)ぶん観てしてしまいました。

なんだかんだでTVってのは“習慣の海”に浮かぶ小舟みたいなもので、朝の815なんていう生きるか死ぬかの時間帯に、多少、要らないからといって、能動的にもっと有用なチャンネルを探して換えるという手間ヒマは、人間おそろしく惜しむものです。

結局は、4月から『ゲゲゲの女房』がそれだけ強力だということに尽きるのですけどね。

それにしても“スーパー主婦による家事のお悩み一挙解決”みたいなテーマは、有用でないことはないのでしょうけれど、どうなのかなあ。家事のある分野に、あるいは全般に、ちょっと世間一般よりひいでた知恵を持っているからといって、お地味な、そこらにいるようなおばちゃんがスーパー店内での買い物手順を、アドヴァイス求め側の、これまたお地味なおばちゃんについて回って駄目出ししたり、お宅に上がり込んで冷蔵庫開けて収納の仕方をチェックしたりしている絵と声をTVで見せられ聞かされるのは、朝から気持ちのいいものではありません。

家事というのはリミットを切られたプロジェクトではなく、ある時点で評価や達成感が得られ、その先はきれいさっぱり解放されるということは一生望めないジャンルなので、詰まるところ、“やらざるを得ないことを、片っ端からやりながら、どうやったらうまく進むか考える”“考えついたら、とにかくやってみる”の無限繰り返しでしかお悩み解決はあり得ません。あるお悩みが、未解決のまま長く残存しているとしたら、それは“考えていない”か“やってみていない”かのどちらかです。

考えてみても考えつかないとしたら、アイディア、ヒント不足。考えついた通りやってみても、その通りいかないとしたら、手先の技量や、グッズ、ツールが不足なだけです。

グッズやツールなら、売っている、入手できるところを教えてくれればいい。技量なら、達者な人を見て死ぬほど真似しまくる。アイディア、ヒントならひとこと示唆してくれれば、そこから閃き、枝葉を伸ばして事足りる。

こっちの家の事情何も知らないお地味なおばちゃんに買い物の順路や冷蔵庫の中にまでずかずか踏み込まれてあだこだ言われる筋合いは無い。いや、番組内で、アドヴァイス求め側のおばちゃんが何とも思ってない、むしろ歓迎ありがたモードなら番組としては何の問題もなく成立するのでしょうが、そのやりとりを観てる側としてはどうも、“頼みもしないのに土足で踏み込まれてる”感を、自分自身がそうされてる感をおぼえてしまうんですよね。

考えれば、あるいはやってみれば、あるいはツール、ヒント少々で打開できるに決まっている状況に、知恵と技量においてちょっとばかり先んじてるだけのおばちゃんの容喙なんぞいれてなるものか。容喙したかったら、旦那の学歴勤務先年収、自分の学歴実家の資産、子供の学校名偏差値学年席次フリップに書いて首に掛けながら指南役ヅラしてみろおばちゃん、ってなもんです。

………ぶわははははははは、不快指数にまかせて、どうだこの、アリ一匹這い出る隙もない心の狭さは。

場所もあろうにネットで惜しみなく公開してスカッとした(したのか)ところで、気を取りなおして(なおるのか)『ゲゲゲの女房』行きましょう。

先週の妹いずみちゃん(朝倉えりかさん)に続いて、4年後=昭和47年の春に時制を進めた今週は、10歳小4になった長女藍子ちゃん(再登場菊池和澄さん)が、“ヒロイン布美枝(松下奈緒さん)間接フィーチャー照射役”をつとめます。家族クロニクルとしても、結婚10年前後のこの時期は、夫婦間より、一にも二にも子供次第な時期。

頑是ない幼児から、ちょっと人見知り、自意識が芽生える微妙な年頃の少女。お父さん(向井理さん)が有名漫画家、しかもTVアニメでもおなじみ不気味な妖怪漫画の先生とクラス仲間に知られて心穏やかならない藍子と、「お父さんはお仕事がないときも、一生懸命漫画に打ち込んで、苦労して藍子を育ててくれたんだから、胸を張って“お父さんは漫画家”と言ってほしい」布美枝。

お仕事部屋に籠もる時間が長くてあんまり話してくれなくても、藍子もお父さんは大好きだし、漫画家であることを恥ずかしいと思っているわけじゃないのです。でも、できれば何でも一緒、似たようでいたいクラス仲間から、珍しがられる、からかわれる、やっかみ混じりの好奇の視線にさらされる、「お父さんが漫画家だから、藍子ちゃん絵が上手いのは当たり前」式の文脈で論評される。これは子供にはやりきれないことで、大人の社会とは違う、子供同士だけに流れる空気感を肌で知らない布美枝お母さんには理解まで距離があり過ぎるようです。ましてお父ちゃんの仕事の邪魔を気づかってか、藍子は幼稚園の頃から同年代のお友達を自宅に呼んで、お母さんの目の届くところで一緒に遊ぶ習慣が無いようだし、商店街の店主妻や団地のリーマン妻と違って、布美枝さん自身も、同じ年頃の子供を持ち子供ぐるみのお付き合いをするママ友が皆無のよう。

布美枝さんも、安来での子供時代「ノッポ」「電信柱」と悪ガキにからかわれていた頃を思い出せば少しわかりそうなものなのにね。布美枝さんの子供への目配り、怠慢ではないけれどもあまりに天然過ぎて子供の痛みが視野に入らないじれったさは、ちょっと辛いものがある。今週はどアタマから、大人視聴者でも、布美枝さんより藍子ちゃんの身になって見るような構成になっていますからね。

布美枝役松下さんは、以前インタヴューでも「子供とどう接していいかわからないほうなので、子役さんとすぐ仲良くなってなつかれる向井(理)さんにちょっとジェラシー」と語っておられた通り、実年齢や未婚であることを別にしても“いかにも母親らしい風情”を漂わせる演技は不得手のようです。新婚貧乏時代、素人アシ時代の、いちばん主要にからむ相手が子供さんでない頃はそれなりにはまっていましたから。髪を横まとめから後ろまとめのワンテールにしたり、リボンを紺ドットに変えたり、眉も娘時代から徐々に細くしたり、ヘアメイクさんもがんばっているんですけどね。

松下さん、女優さんだけど、持ち前キャラがオットコマエなんだろうな。想像ですけど、いつか実生活でお子さんをもうけられても、こまごま世話を焼いてお小言したりするタイプのお母さんではなく、スポーツも音楽も一緒に汗かいて学んで教え、生き方の指針はクチじゃなく背中で見せるみたいな“お父さん的”なお母さんになるのではないでしょうか。これは悪いことじゃない。女優一代!という大物さんには、外見ははんなり色っぽくても、セクシーむんむんでも、血中オトコ濃度のほうが濃厚な人、多いですからね。

家庭訪問で「学校が居心地悪そう」と心配していた担任の畑野先生(堀内敬子さん)にご披露するためかのように、偶然繰り広げられたしげるお父さんの締切り前修羅場は、菅ちゃん(柄本佑さん)がわざわざ廊下に出てきてぶっ倒れたのを合図に、目覚ましは鳴る、「来るぞ!」と仕事に集中してる振りする、「落ちるーー!」と編集者は背後霊になる、イトツじいちゃん(風間杜夫さん)は美人編集者目当てに一張羅にネクタイで覗きに来る(←空振り)、「あーなたッ、掃除の途中!」とイカルばあちゃん(竹下景子さん)も追ってくる、全員期せずして仕事部屋に集結して、戻れば喜子ちゃん(松本春姫さん)がアダルト誌広げてる…と、いちいちギャグ漫画のシークエンスっぽかったですな。

「あーー奥さんの顔も点描画に見えてきた」で、ワンカット、CGでいいから点描画の布美枝さんポートレートが、実写布美枝さんとダブってインサートされれば完璧でした。

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飾らない生活

2010-08-11 23:34:32 | コスメ・ファッション

アクセサリーの諸アイテムを、“好きで、何はなくともはずせない”→“苦手で極力つけたくない”順にざっくり並べると、①イヤリング②ブレスレットorバングルネックレスorペンダント指輪、となります。前世紀の勤め人時代から、在宅労働メインになった現在も変わりません。

イヤリングは、顔を洗ったり歯を磨いたりするのと同じテンションで、起床するとまずつけます。入浴やシャワー時にははずしますが、夜半でも、就寝まで1時間となくても、起きていれば、就寝する前まで再びつけます。

指輪は、労働の邪魔かつ危険なので、どうしてもつけなければ社会的にまずいとき以外はつけません。

微妙な中間2アイテムのうち、ネックレス系は、暑いシーズンには割愛しがちです。先日『スパモニ』の汗疹(あせも)特集でもやっていましたが、女性の場合、顔にファンデを塗って毛穴をふさぎがちなので、顔から出るべき分も二倍増しで、併せワザで首~鎖骨~胸近辺から汗が出るわけですよ。汗っぽくなった肌に触れるネックチェーンやストラップの感触ってのは実に不快で不健康なものです。

その点ブレスレット系は短袖に合うし夏向きだよねーと思っていたら、夏は夏でもこうシャレになんない、亜熱帯級の高温多湿になると、そうでもなくなってきました。

電車で吊り革を持つときや、高い棚のファイルや商品を取るときに、腕を上げますわね。そのとき、いつもならゆらり、シャラシャラ、スルッと優雅に手首から肘方向に落ちていたブレスレットが、手首にひっついて落ちないの。手首にまで汗って結構、かくもんです。

そう言えば実家の男性軍も、革バンドの腕時計をいたく嫌っていたっけ。実家が当時、北国にしては盆地の大陸性気候で、夏は、多湿ではないまでも、日中の最高気温だけは国内五指に入ることもある地域に住んでいたのです。

ネックレスが決裂、ブレスレットも離反、指輪は有史以来国交なし。

あまつさえ、最後の砦だったイヤリングまでが、猛暑日ラインが緯度を上げて来る警報とともに、少しずつ背信の気配を見せはじめて来たという。

さすがに耳たぶには汗はかきませんが、下がり部分の先端ないし内辺が、体表面でもっとも体温の高い部位のひとつであろうところの、頚動脈の近辺にツンツン、チコチコ当たって、当たるのは夏も冬も関係なく当たるんですけれども、今夏はとにかく朝から晩まで、じんわり汗含みの肌に当たるので、当たって離れる瞬間に微々量“ピトッ”と粘っこい、高濃度の塩水っぽい感触を残して去るわけです。

去ったかと思えば、また来る。当たったかと思えば、また離れる。離れるたびに“……ピトッ”を残して。

水木しげるさんだったら、こういう感触に、どういうオノマトペを当てるかな。

揺れて、擦れて、触れて、ピトッ。「サガサガッ、クチョ」かな。「リュンリュン、ニュパ」かな。

鬼太郎を讃える虫の鳴き声を「ゲゲゲ」と表現したかたですからね。こういう、ミクロなかそけき感触ほど、濁音もしくは半濁音多用でしょうな。

それはともかく、下がりのないやつだけつけるようにすればいいんでしょうけどね。クリップみたいに耳をはさんでそれだけみたいなのは、イヤリングつけてる気がしないんですよ。顔の近くでささやかに、細チェーンの先にジルコニアひとかけら、ビーズひと粒でも、揺れてるものがないと、落ち着かない。

夏も、殺戮的なレベルの酷暑になると、ひとつまたひとつとアクセサリーが装着困難になることがわかった2010年、平成22年でした。

「…でした」ってことはないか。まだ終わってませんね、夏。

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虎よ虎よ

2010-08-10 13:39:04 | 国際・政治

気がつけば、昨年の夏の終わりの総選挙→民主党政権誕生から1年になろうとしていますね。光陰矢のごとし。あたふたしてもダラダラしても、必死にものを考えても考えなくても、汗だくで働いても働かなくても、24時間経ちゃ1日過ぎるし、7日終われば一週間過ぎるし、12ヶ月過ぎれば1年経っちゃってるわけです。

国民の多くが大いに期待して成ったはずの政権交代だったにもかかわらず、鳩山由紀夫前総理が短期間で面白いように下げた内閣支持率。菅直人総理に交代してほどほど持ち直し、かと思ったら参院選前後の例の消費税発言からまた一本調子で下げ勾配となり、早くも支持・不支持逆転の局面を迎えていますが、ここへ来て「日本の総理大臣が1年ももたずにころころ変わるのは問題だ」「腰を据えた政策が何も打てないうちに立ち消えになる繰り返し、嘆かわしい」「トップがこう安定しないのでは、国対国のグランドプラン的な話が日本とはできないと、アメリカはじめ先進諸外国からも指摘されている、カッコ悪い恥ずかしい」みたいな論調が目について来ているのはどうなんでしょう。

トップがころころ変わる、つまり内閣ないし政権の短命化は、前の政権与党の所謂“55年体制”にかげりが見えはじめた1990年代前半から、もっと言えば中曽根康弘さん以降からすでに歴然としているのに、何ゆえそれから10数年、無為無策ころころ変わるにまかせたのちの2010年になってやっとこさ「ころころ変わっちゃイカンのだ」なんて、あっちの媒体でもこっちのメディアでも言い出すのか。

“いままでは我慢してきたが、もう堪忍袋の緒が切れた”という地合いでのこの論調ではないように思える。堪忍袋のせいにするには、いささか遅すぎ、溜めすぎです。

つまりは、思いっきりプリミティヴな言い方をすれば“上のほうからの圧力”が発生しているのではないかと思えてならないのです。

“世論が逆風でも、不支持率が支持率を下回っても、とにかく次の総選挙までの任期いっぱい、ひとりの総理大臣が踏んばって政策にあたるべきだ”と言わせたい、思わせたい、そういう空気にしたいという作為が、現政権から、もっと言えば菅総理とその周辺からはたらいているのではないか。

月河が民主党をいけ好かないのは(←逆に、他党にない好ましい、興趣尽きないところもありますが)、一事が万事こういう具合に“世論の風”に過敏で、神経質で、なおかつ、反対に「世論の風をどうにかすればどうにかなる」と思っているふしが濃厚なことです。

世論の風、国民の気分の風向きにヘコヘコちょろちょろし、かつ、なめてかかってもいる。

政権を任せ、リスクもコストもメリットも、この人たちの舵取りにゆだねて日本丸の乗客として生きて行こう…というハラを据えさせてくれる頼り甲斐、論評のし甲斐、ハッパのかけ甲斐から、これほど遠い政治家集団もない。

先頃の参院選で返り咲き当選された片山虎之助さんは、媒体での初見では「山上たつひこ『こまわり君』と同じ顔の輪郭の人って実在するんだなあ」という印象しかありませんでしたがそれはさておき(誰が何て言おうとさておき)、自治省官僚としてあるいは総務大臣としての在職中の業績とは別に(て言うかほとんど知らないし)、あまり政策や政局に直接影響を及ぼさない、一歩引いた距離からのコメントにおける表現力が実にユニークなかたで、いつだったか「民主党は風力発電だから、風が吹いている間は威勢がいいが、風がやむとたちまちガス欠になる」というような意味のことを言っておられました。

“風”次第、“風”に汲々、右往左往。“風”に目クジラ、本気で喧嘩。

片山さんのこの発言は今年の菅政権誕生に先立つこと何年も前でしたが、菅さん個人どうこうではなく、民主党自体の体質、志向、人となりならぬ“党となり”を言い当てて妙でした。

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詫び寂びの世界

2010-08-08 16:18:42 | テレビ番組

わはは、言うねえ。『週刊こどもニュース』8日)のお父さん=岩本裕解説委員。

近所のおにいさん=ハイキングウォーキングのロン毛暑苦しいほう=Qちゃんが今週めでたく結婚との報告があり、“セミはどうして鳴くの?”という視聴者からの質問に答えた後で、コスプレでセミの翅つけたまんまのQちゃんに、相方松田、光浦靖子お母さん、3人のレギュラー子供たちも含めて全員「ヒューヒュー」ムードで盛りあがったところで、岩本お父さんニコニコしながら「人にはいろんな好みがありますからネー♪」だって。

 地合いがだいぶ違うけど、1ヶ月ほど前だったか、いずれにせよ夕方600台のローカルニュース4月からメインキャスターをつとめておられる、若きロマンスグレー登坂淳一アナが、火災だったか事故だったかのニュースを淡々と報じて、その後幾つかニュースとコーナーを消化した後で「…ここでお詫びと訂正です。○○町の△△で、“現場から××歳の女性が遺体で発見”とお伝えしましたが、“意識不明の重体”の誤りでした。」「…では、次のニュースです。」

……音声だけで聴いていた月河も、画面を横目で見ていた家族も思わず向き直って「まろーーーー!!!」と吹き出してしまいました。一歩間違えれば抗議の電話どころか、訴訟にもなりかねないところを、あたかも高級料亭の素麺流しのごとく(高級料亭で素麺流しがあるのかとか、そういうことはさておき)サラッと華麗に通過させましたよ。

 取材調査や、原稿書きには直接タッチせず、書き上がってディレクターから渡されたものをひたすら正しく読み上げるのが仕事のアナウンサーだからこそ、この淡々さに徹することができるのでしょう。しかし、重体を遺体で発見とは。お詫びして済むことと済まないこととの、ギリギリの、白髪…じゃなくて髪の毛ひと筋の隙間を、武器“淡々”ひとつでよくぞスリッと(←隙間だけに)すり抜けたもんです。

 まじめ、几帳面、悪意なしニュートラル。

カッカと燃えさかる粗暴な悪意より、これが場合によってはいちばん強力なんですね。登坂アナも、現在進行でお詫び読み上げ中は「時間内にそつなく読み切ろう」ぐらいの意識しかなかったでしょうけど、読み終わってから「…いまオレ、すごいこと読んじゃった?」と微量ドキッとして、ショックで髪が少し黒に戻ったのではないでしょうか(ない)。

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地獄のゼタも金次第

2010-08-07 15:26:07 | 夜ドラマ

昨日(6日)の放送回で、大手からの屈辱的吸収合併話をみずから壊し、バーでヤケ酒大暴れして村井家で介抱されていた深沢さん(村上弘明さん)(@『ゲゲゲの女房』)、嵐星社設立時からのパートナー郁子さん(桜田聖子さん)にも去られて傷心の出直しスタートと思ったら、1年弱後の今日(7日)放送の昭和43年初夏時点でしげるさん(向井理さん)が「(アシスタントのうち2人が辞めることになり)また深沢さんに頼んでゼタに募集広告を出してもらおう」と言っていましたから、気をとりなおして堂々続刊中のようです。まずはよかった。

劇中のゼタのモデルになっている昭和の金字塔的漫画専門誌『ガロ』は、深沢さんのモデルである長井さんという名物社長兼編集長のもと、有望新人漫画家のチャンスの場として1990年代まで刊行が続けられたそうですが、ドラマはまた別ものですからね。

それにしても、プロダクション旗揚げの週から2話ほどにちょっと顔を見せてすぐいなくなったゼタの3人めの社員、ぼれろ渡辺扮する斎藤は何だったんだろうか。

成田出版のヘッドハンター浜野(小木茂光さん)に対しても深沢さん、郁子さんのことは「(合併が成ったら)彼女も一緒にお世話になりますが」と配慮怠りませんでしたが、斎藤にはノータッチ。て言うか、すでに、定位置だった事務所内の階段上がって上の物置スペースみたいなデスクに居ないし。ちゃんとネクタイ締めて、ネーム写植切り貼りしたり、それなりに仕事してる風情はただよわせていたんですけどね。

笑いはいっさい取らなかったし、ぼれろ渡辺である必然性もまったく無い役。ぼれろの所属がサンミュージックだから、もっと重い役の売れっ子さんとのセット販売かな?とも考えましたが、『ゲゲゲ』レギュラーであそこ所属の俳優さんといえば…と、こういうの、ヒマにまかせていちいち調べるにはいま、あまりにも暑すぎるし。

ひょっとしたら、べらぼうに掘り出し物ナイスキャスティングだった同じNHK『鉄の骨』へのカンニング竹山とのセットという、超ロングパスかな。まさかね。それにしても竹山のあのゼネコン積算マン役は素晴らしかった。

数年前の結核再発で片肺切除の大手術を敢行、2年余の療養所生活を余儀なくされた深沢、ともすれば過ごしがちだった酒もそれなりにつつしんでゼタに専心してきたでしょうに、悪酔いするまで深酒したのは、仕事上の相棒以上の気持ちが互いにあったに違いない郁子の退職がこたえただけではなく、“大手とのおいしい話、意地張って断って、惜しいことをした”と微量残念がっている自分に嫌悪、許せなかったのだと思う。雑誌を大きくし、潤沢な資金を得てスケール大な企画をものにし、いまとは比べものにならないくらい大勢の漫画ファンにゼタを手にとってもらえる状況を、深沢とて夢に見なかったはずはないのです。

「マトモな出版社が漫画の本を出してるなんて、先進国の中で日本だけ」「しょせん、カネ儲け目当てのオモチャ産業」という、漫画の魅力を解さないリーマンたちの、酔いに任せてのウダ話に、“その、マトモな出版社の、カネ儲け目当ての合併話を、断って惜しいことをしたとうじうじ後悔してるオレ”が、深沢には一瞬、途方もなく惨めに思われたに違いありません。合併破談やパートナーとの別離より、自分の中にひそかにあった商業主義への傾斜、信念のぐらつきを思い知らされて、深沢は「飲まなきゃやりきれない」とあの夜、ひととき弱気になったのです。

それにしても、独酌でメートル上がった状態で、ひとりで、3人の大人男性リーマン相手にバー内大立ち回りを演じた深沢、「変身すればいいのに」と思った視聴者は少なくなかったと思います。スカイライダー筑波洋で、必殺仕事人花屋の政で、しかも十番勝負柳生十兵衛でもある。

なんならそのまた10年ぐらい前には、天才外科医財前五郎だったこともある。

あのウダ話リーマン3人組、上等だったじゃないですか。知らないぞ。常緑樹の生垣の近くを通ったら、延髄にぞくっと寒い風が吹くぞ。

なんなら健康診断で引っかかって入院したりしたら、肺への転移ばんばん見逃しちゃうぞ。

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