★永く二輪の世界に生きてきた。
それもレース界という先端の世界や、『カワサキ』という独特の熱狂的なファンの多いそんな中で50年も過ごしているのだが、
自分自身は、一度も自分のバイクを持ったこともない、所謂『ユーザー』にはなったことはないのである。
免許も大型二輪を持っているし、ライデングを教えてくれたのが、レース界のトップライダーだったので、結構上手に乗ることも、バイクを操ることも出来るのだが、あまり乗ったことはないのである。
そういう意味では、冷静に二輪業界を眺めてきたとも言えるのである。
二輪業界は好きだし、人一倍愛情も持っているし、今でも健全に育って欲しいと願っている。
四輪などと違って、業界のことも二輪車自体のこともあまり知られてはいないのだと思うが、
『速遅速遅密遅密遅』という二輪産業の歴史を書いた素晴らしい文献もある。
二輪業界の方で、ご存じない方は、ぜひご一読願いたい。
★ 二輪の産業界というのは、勿論戦前もあったのだが、『世界一の二輪産業』として確立されたのは、
戦後のことで、本田技研というか本田宗一郎さんの先見性に負うところ大である。
その原動力となったのは50ccのカブだったのだろうが、
その販売のネットワークの造り方も、その後世界へ進出したその方法も、日本の産業界の中では異質の独特のモノだったのである。
日本の産業界に根強くある談合体質などは微塵もなくて、業界の中では『競争』がベースであったし、
海外進出は商社に頼る輸出ではなくて、『海外での事業展開』そのものだったのである。
そんな産業界自体の先進性がベースにあったにも関わらず、日本における二輪車は、これもまた、世界の中では一種独特の発展というか展開を見せたのである。
間違いなく世界一の商品でありながら、国内では特に学校が『三ナイ運動』などを展開して、二輪車は学生にとっては永く『悪』の存在であったし、『暴走族』など実際は四輪の方が数が多かったのだろうが、『暴走族』に代表されるのは、バイクであったりしたのである。
確かに、『暴走族』が乗る大型バイクにはカワサキも多くて、安全運転や『二輪のイメージ改善』に私自身も永く関係してきたのである。
★そんな環境とは別に、
バイクのユーザーも、バイク自体も、バイクの販売店の人たちも、ちょっと異種独特のモノを持っていて、私はホントに好きだったし、
ちゃんと本音で付き合える人が多くて、退職して10年以上経った今でも、昔と同じようにお付き合いが出来ているのだが、
国内の二輪業界は、何となくだんだんと元気がなくなって、昔のような溌剌さがないのも事実なのである。
二輪車そのものは、省資源、省エネの今の時代にぴったりの乗りモノなので、もっと若い人たちや、一般の人たちに乗って欲しいなと思っている。
『健全な二輪文化の創造』というようなものに向かってのメーカーや業界の活動がより活発に行われないものかなどと思ったりしている。
つい先日、Facebook の中に『二輪文化を語る会』というグループを立上げて、その中での意見交換などを試みているのだが、
以下は、ある方の意見に大して、私自身の感想文なのである。
私も二輪の世界に永くいましたが、ある意味特殊な社会であることは間違いありません。
バイクが趣味嗜好の強いレースやら、同じメーカーのファンの集まりであったりするために、そこに集まる人たちの一種独特のスタイルが生まれるのも当然のことかも知れません。
ただバイクはほかのスポーツや趣味の世界のモノと違って、通常は公道を走り社会と共存する乗りものだけに、バイクを全然知らない一般の社会の人たちに自然に受け入れられる『世の中の常識に通用するマナー』みたいなものが要るのでしょう。
なかなか難しい問題ですが、メーカーなどが取ってきた対策がややもするとバイクのユーザーばかりを対象にしたところに大きな問題があるのだと思っています。
20年前にKAZEを創った時に、バイクのユーザーをその対象にせずに、むしろバイクを持っていないが『バイクに幾らかでも関心のある周辺の人たち』に焦点を合わせたのは、そんな発想があったからです。
私自身が永く二輪業界に属し、レースという一番先鋭的な世界も、カワサキという一種独特のユーザーが多い世界も、よく解っていましたが、自分自身は一度もバイクを持ったことナイ、所謂メーカーの言う『ユーザー』になったことがなかったので、より客観的に二輪の世界を見つめられたのだと思っています。
ただ、二輪のライダーたちも好きですし、二輪マニアもいいと思っています。
それゆえに余計に二輪が『一般社会に受け入れられるような活動』が要るのだと思います。
そんな活動の結果が、二輪の需要を生み出すのであって、ただバイクを売ることだけに専念するメーカーの姿勢が結果的に市場を小さくしてしまっています。
今回『二輪の文化を語る会』というグループを立ちあげたのも、いろんな人たちが、日本の小さな二輪の世界に大きな愛情を持たれていると、思ったからです。
本音の楽しい二輪トークが展開されたらいいなと思っています。みなさんよろしく。
★こんなトークの世界に現役のメーカーの人たちが入ってくれたらいいな、と思っている今日この頃なのである。
今、この仲間の一人松島裕さんが、こんあGIGAZINEに載った長い長い文章を『二輪文化を語る会』に投稿してくれている。
この話の中に、二輪ではないけれど、川崎重工の車輛の話、いっぱい出てきます。
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