★石原元知事の記者会見のあとのマスコミの報道があまりにも不勉強で、無責任なので、少々腹が立って昨日のブログをアップしたのですが、閑に任せてもう少しまともな論評でもないのかと自分なりに探してみました。
幾つか拾って、その意見をご紹介していますので、少々長文ですが、ご関心のある方は、目を通してみて下さい。
★まずは、石原元知事が、現場で記者諸君に配った資料がこれです。
http://sensenfukoku.net/column/201733.php
これは結構ちゃんと纏めてあるのに、これに基づいて書かれた記事は少なくとも記事の中からは見つけられませんでした。
この中に書かれていることは過去の事実ですから、調べようと思えば資料もあるのだと思います。
この資料に書かれていることは、以下の橋下徹さんのツイッターの中にはちゃんとその記述があります。調べる方はちゃんと調べるのです。
大要はこんな感じで、橋下徹さんも『豊洲に移っても問題ない』ので小池さんは政治的判断をすべしと言ってるのでしょう。
豊洲問題)今回の結果を受けても専門家会議の平田座長は「地下水は飲むわけではなく、土壌が飛散することもないので安全に問題はない」と説明。それって安全基準を満たしてるやんか!その通り、豊洲は現状でも土壌汚染対策法の安全基準は満たしている。じゃあ、今、何を騒いでいるの
豊洲問題を解決するには、豊洲の安全基準を現在の過剰基準から原点に立ち返り、土壌汚染対策法上の安全基準に戻すこと。これは専門家や官僚組織ではできない。できるのは小池さんによる政治主導しかない。これこそがまさに政治の役割だ。メディアもその視点から報道せよ。
何が「問題」なのか?
石原元都知事の豊洲に関する会見を見ました。中身に入る前の印象としては、石原氏が大組織のトップとしてまっとうなことを言っているのに対し、記者達の「世間の空気」をカサにきた質問が、いかにも失礼で、勉強不足であるというものでした。マスコミの通り一遍の論調と、ツイッターの中の論調の多様性とのズレが目立ってきたという印象も持ちました。そもそも、本件は何が「問題」なのか整理が必要でしょう。
石原氏と記者達のすれ違いの最大の要因であり、本件の核心は、そもそも豊洲への市場移転に問題があるのかという点でしょう。石原氏は、豊洲を市場として使う上での安全性の問題は、科学によって決着がついている。その判断は、今もって権威ある専門家によって是認されている。したがって、今すぐ豊洲に移転してもなんら問題ない、というものです。豊洲移転が完璧ではないかもしれないが、耐震基準を満たさず吹きッ晒しの前近代的な施設である築地に残ることによるリスクや不衛生より「まし」であろうと。
対して、石原氏をバッシングしたがっている「世間の空気」は、豊洲への移転は危険であると思っています。仮に専門家が「安全」と言っても、「安心」はできないと。安全と安心は違うというのは、政治的な現実として真実です。本来は、安全で十分なはずなものについて、安心までを求めるのは民主主義のコストであり、文脈によっては払わざるをえないコストです。
しかし、安心をゼロリスクと定義するならば、それは追い求めてもしょうがない「青い鳥」であり、実際には存在しません。リーダーとは、どこかで一線を引いて、世間を安心に導かないといけないものです。あくまでも安心を求める安心至上主義者は残るだろうけれど、安全について疑義を生じさせる客観的な事実が出てくるまでは、それらは極論として捨て置くしかないのです。
このあたりに「問題」をめぐるすれ違いがあるのだろうけれど、もう一つ感じたのは、日本社会に時として流れるなんとも言いようのない陰湿な雰囲気です。石原氏に押し付けられようとしていた責任は、「世間を騒がせた」責任なのでしょう。何が本当の「問題」であるかを整理できずに、とにかく「責任」を認めろと。昨日の会見を見る限り、マスコミの関心は真実の追求にではなく、石原氏の「腹切り」にしかなかったように思います。
美学の問題
会場の雰囲気、記者達の質問、そしてスタジオに戻った後のコメンテーター達の発言が一様に求めていたのは、「責任」の二文字を石原氏と結びつけること。それは、報道ではなくて、魔女狩りです。瑕疵担保責任というマジックワードに焦点を当てて、それを知っていたか否かの一点に論点を絞り込む。科学的な知見を要する大組織の決断がいかに行われるかという石原氏の発言については、聞いていないのか理解できないのか。
会見で争われたのが、美学の問題であったということはあります。石原氏は、スター作家の出身で、国民的な英雄のお兄さん。無頼派のデカダンな態度に、世間の政治家とは異なる美学が感じられて支持されてきた人です。石原氏の外国人差別的で、女性蔑視の言動について「あの世代の保守的な男性だから」と言って免責する気にはさらさらなれないけれど、氏のビジョンと魅力を多くの人が支持してきたということでしょう。
美学の石原さんであるからこそ、日本的な模範回答は、「最終的な裁可は私が行った。当然全責任は私にある」と言って頭を下げること。マスコミの目的は、その絵姿をカメラに納めることであり、英雄が頭を下げたと囃したかったのでしょう。繰り返しますが、それは真相解明とは何の関係もない腹切りの美学でしかありません。
石原氏の弁明で感じたのは「世間の空気」が作り出した、安っぽい善悪二元論の茶番に乗っかる気はないよということです。むしろ、最後まで反抗してやるぞと。人生を通じて反抗期であった元作家としての、それはそれとして、別の矜持であり、美学を感じた方も多かったろうと思います。
手続きの問題
美学の問題は、それこそ「感性」の問題でしょうからこれ以上深入りはしません。現状での豊洲移転に問題がないとすれば、「問題」は手続きに帰着せざるを得ません。昨日までに提示された事実に基づけば、石原氏が知事に就任した時点での前提条件は下記になります。
- 築地の防災リスクと不衛生に基づく近代化は長年の懸案であったこと
- 現地での建て替え案が検討されたものの現実的でないと判断されたこと
- 豊洲などの海岸近くの移転案以外は現実的に検討された形跡がないこと
- 豊洲の地権者であった東京ガスは汚染の問題があることから売却に消極的だったこと
その上で、知事に就任した石原氏の判断は、市場関係者や議会の議論は堂々巡りになってしまっており、自らが方向性を示さない限り問題が解決しないということ。その上で、最終判断に至る経緯として、下記の手順を踏んでいます。それは、豊洲案は、完璧ではないかもしれないが、現状の築地での現状維持よりはましであるという、現状でも成立する問題意識に根差しています。
- 土壌汚染の問題について専門家の意見とともに、都の関係機関に検討させて「解決可能」という結論を得ていること
- 土地購入の手続き及び価格が適正であるかについて都の関係機関に検討させて「妥当」との結論を得ていること
以上の条件が満たされたことで、裁可したというわけです。焦点となっている瑕疵担保責任の免除について「知らなかった」、「報告を受けていない」ということについて、石原氏を責めることはありだと思います。これほど政治問題化していた案件について、知らなかったでは確かに恰好は悪い。しかし、恰好が悪いということと、なんらかの「不正」があったと前提することは違います。ましてや、そこで生じた「コスト」について、現在出揃っている証拠でもって石原氏個人に請求するというのは、暴論でしかないでしょう。
兆円単位の予算を預かる知事です。部下には、明確な目的(豊洲の土地購入)を与え、そのための手段(瑕疵担保責任の免除)について細かく介入しないというスタイルはあり得ます。大組織で仕事をしたことがあれば、想像がつくのではないでしょうか。
仮に、瑕疵担保責任の免除について石原氏が知事として知っていたとしても結論は同じだったと思います。民間企業である東京ガスの立場からすれば、法令上の安全対策をする義務はわかるが、「世間の空気」であるところの安心対策までを、青天井で引き受ける契約を結べるわけがないからです。豊洲以外に現実的な移転先の選択肢がなかったならば、その土地を確保する以外にはないわけだから、土地を入手して物事を前に進める上での必要な妥協だったということです。
政治の問題
本件も、最後は当然に政治の問題となります。今もって、豊洲問題が「におう」というのはわからないでもないからです。石原氏自身も、自分が話すと「困る人がいる」という趣旨の発言をしています。
豊洲の土壌汚染対策が高騰した経緯は理解したいところです。安全が達成された後に「安心」の旗を振って不安を煽ったのは誰か。豊洲の建物の工事が高騰した経緯は何か。築地の跡地利用がどのようになされようとしているのか、等々。そのあたりにこそ、都政を浄化する論点があるように思います。
マスコミは、小池知事と石原家の因縁の対決構図を作ろうとしています。週刊誌的な関心としてそこに面白さがあるのはそうでしょう。都知事選中の慎太郎氏の女性蔑視の発言は醜かったし、都連会長の伸晃氏が桜井パパから増田氏まで官僚上がりの実務家っぽい人を次から次へと担ごうとした経緯は滑稽でした。政治には復讐という人間的な要素があるのは否定できませんから、それはそれでやればいい。
御年84歳、足腰は衰えていても頭脳はしっかりしていた。かつてほどの攻撃力は発揮されなかったけれど、腹切りを求める「世間の空気」を十分に理解した上で、会見に臨んだ石原氏は、私にはまっとうに見えました。
その、石原氏がもっとも強調したのは、小池知事の不作為の責任です。使う見込みのない地下水の汚染レベルについて喧伝するのは的外れではないかと。現代の政治が迫られる科学的な決断について、どこまで「安心」の論理を引っ張るのか。日々、積み上がっていく判断延期のコストにどのように落とし前をつけるのか。
築地に関する客観的な事実がきちんと出てくれば、世論における豊洲移転派と築地残留派は拮抗するでしょう。都議選までは、自陣営が割れるような論点を作り出したくないということかもしれないけれど、リーダーの資質というのは困難な局面においてこそ発揮されます。晴れた日の友も、晴れた日のリーダーも役に立たないものです。
政治的嗅覚に優れた小池知事のこと、「世間の空気」の潮目の変化を嗅ぎ取っているのではないでしょうか。
★ 私も同感です。
いつまで石原慎太郎元知事と争っていては、小池さんが今度は不利になるような気がします。
できる限り速やかに、『豊洲移転』を決定すべき、そんな時期に来ているのではないでしょうか?
大田市場 急増中という こんな記事も、ありました。ぐずぐずしてると豊洲へ移る人が少なくなってしまう可能性もあります。
豊洲でも築地でもない第3の道…大田市場に水産卸が急増中
2017年03月04日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL
豊洲に続き築地まで――豊洲新市場の移転問題に新展開だ。東京都が築地市場の敷地に「土壌汚染のおそれがある」とする文書を正式に発表した。ドライクリーニング工場で有機溶剤の「ソルベント」が大量使用された疑いがあるといい、安全が確認できなければ、築地での営業継続に異論が出る可能性がある。
これで移転推進派と慎重派の間で再びスッタモンダが始まるのは確実。築地の水産仲卸業者の中には、先が見えない不安に辟易して、豊洲でも築地でもない第三の道を模索する動きが出始めている。青果がメーンの大田市場の水産売り場に入る仲卸業者が急増しているのだ。
「大田市場の水産仲卸業者は5年前と比べ5割増え、直近では100カ所ある水産売り場スペースのうち、87カ所が入居済みです。小池都知事が移転延期を決める前から、豊洲市場の使い勝手の悪さを懸念する声が広まり、羽田空港に近く利便性が高い大田に拠点を移す仲卸業者が増えてきました。築地市場に土壌汚染の疑いが浮上したことで、ますます流れが加速しそうです」(水産ジャーナリスト)
そんなタイミングで都は3月6日から大田市場の新規入居者の募集を始める。築地の仲卸業者の応募が殺到しそうだ。
「小池知事は仲卸業者らに移転延期に伴う補償をすると表明していますが、結論が出るのは7月の都議選の後。中小零細業者は資金がショートしてしまう恐れがある。悠長に構えてはいられないのです」(前出の水産ジャーナリスト)
しかし、大田市場の水産取扱額は築地の2%にとどまる。希望する仲卸業者を全て受け入れることができるのか。大田市場の視察を重ねている大田区議の岡高志氏が言う。
「大田市場は日量300トンの水産物を取引できるキャパシティーがあるのに、今は1割程度の33トンしか使われていません。受け入れ余地はまだまだあります。しかも都が大田市場の周辺にたくさん土地を所有しています。仲卸業者が入りきらなくなれば、水産棟を建て増しすればいい。この際、問題のある豊洲と築地の両方を閉鎖して大田へ集約する手もあると思います」
都がグズグズしている間に生活がかかっている仲卸業者たちは先回りして動き始めている。
★今回の『百条委員会』では一体何を議論しようとしているのか?
小池さんのいう『瑕疵担保責任』を仮に追求してみても、具体的に大したことにはならないのでは?
汚染問題のある豊洲にどうしても移りたかったのは、『かっての自民党』であったのかも知れません。それを浮き彫りにして7月選挙の勝利を確実にしたいのか?
もう大勢はほぼ決まりだから、そんなことするより『早く豊洲移転』を決めないと、小池さんが今度は危なくなるのでは?
いずれにしても、20日ごろまでには、いろいろと解ってくるのでしょう。
★三木 緑が丘 サンロードを愛する人のカイ!のホームページです
★毎日発行される NPO The Good Times 新聞です。