2006年に出たニール・ヤングのアルバムが、Living With War。
(ジャケはアメリカの小さな食料品店でもらうような紙の袋に名前とアルバム・タイトルが印刷されたシンプルなもの)
前年に出たアルバム、Prairie Windはフォーキーで穏やかなニールだった。
雑誌でふと見たイラク戦争での傷ついた帰還兵達の写真に衝撃を受け、その時の衝動がこのアルバムの制作をさせたそうな。
2003年イラク戦争を始めたブッシュ政権に対する批判を歌にしたものがこのアルバムに収められた。
穏やかな気分ではないニールのサウンドは静から動に変わり、独特の歪んだエレキ・ギターを中心としたシンプルなロック・サウンドがこのアルバムの骨格に。
ニール曰く、これがプロテストなメタル・フォークなるものだそうだ。
I'm Living War Everyday、Don't Need No More Lies、Let's Impeach The President For Lyin’とかLooking For A Leader To Bring Our Country Homeなどと辛辣で政権批判的な歌詞が全編を通して続き、なんとなく皮肉っぽさを表したのか子供達を交えたアカペラ・コーラスのAmerica The Beautifulでアルバムの幕が閉じる。
もちろん戦争はダメだってことは重々理解しているが、実際アメリカで生まれそして暮らした経験のない者が軽々しくこのアルバムについてああだこうだと語るのもなんだか違うような気がしてならない。
これは長年海外で仕事をしてきて、大人の事情から訪れた国の政治について決して知ったかぶりで語るなってその道の先輩からの教えがずしっとその身に焼き付いているから。
こんな時は歌詞にどっぷりと深入りしないで、動のモードに入ったニールのエレクトリック・ビートをただただ追いかけて楽しむだけ。
またいつかPrairie Windが吹くから...