1968年、ホワイト・アルバムのレコーディング終了後、アップルのアーティストだったジャッキー・ロマックスのレコーディングのプロデュースをするためロスのスタジオに飛んだジョージ・ハリスン。
ビートルズは4トラックの時代から色々レコーディングに工夫を施しまたメロトロンなどの新しい楽器も早い段階で取り入れてきた。中でも探究心旺盛なジョージはロスのスタジオで興味を持ったのが開発されたばかりのムーグ・シンセサイザーで、ちょうどサイケデリック・ロックが流行り出しバーズやドアーズなどが使い始めた頃だった。
ジョージは早速購入しイギリスのスタジオにセッティングを依頼。
そして翌年にシンセを使ったジョージのソロ・アルバム、Electronic Soundがザップル・レーベルから発売されたのだった。
(ポールも興味津々)
片面それぞれに長尺曲が1曲づつ収録されたアルバムで、ムーグの試し弾きと言った感のある実験的な作品で、初めの数分聴いたところで“ナヌ~、これ?”ってギブ・アップしてしまう内容ではあるが、このステップを踏んだことによってビートルズの最後のアルバム、Abbey Roadにおける音源制作に新たな味わいが加わることに。
ムーグなしにはHere Comes SunやBecauseでのあの独特な浮遊感は味わえなかったと思う。