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オツムが楽しく跳ね回っている連中って? BRAIN CAPERS - MOTT THE HOOPLE

2016年02月06日 | Bowie, T.Rex, Hoople and Glam.

初めて聴いた時の印象は、アメリカン・バンドじゃないかと感じた。

1971年MOTT THE HOOPLEがアイランド・レーベルから出した4枚目のスタジオ・アルバムBRAIN CAPERSである。

当初の仮タイトルは、ロックなナンバーとスローなナンバーの2面性があるということでAC/DCであったが、収録後に、BIZARRE CAPERS(奇妙に跳ね回っている連中)とBRAIN DAMAGE(脳損傷)の二つのアルバム・タイトルが浮かび、中をとってBRAIN CAPERSとなったそうである。なんといい加減で意味不明な…

プロデューサーのガイ・スティーブンスが、個人的な意向でストーンズとボブ・ディランをミックスしたようなロック・バンドを作ってみたいということから、MOTT THE HOOPLEの前身バンドのボーカルを個性的な歌い方をするイアン・ハンターに差し替え、1969年にスタジオ・アルバム、MOTT THE HOOPLEを制作しデビューさせた。

今回のアルバムは、ライブ感の溢れるストレートでラフな演奏をするアメリカ志向のロック・バンドという印象である。

しかし、アメリカで受けてイギリスで全く受けないケースなどはよくあることで、残念ながらアルバムの出来の良さや熱狂的なライブ活動で、カルト的なファンは付いてきてくれたものの、アルバムのセールスには繋がらず、1971年の時点で解散する方向に向かっていた。

その後ファンだったデビット・ボウイーの助けも借り、解散せずにコロンビア・レーベルに移籍し出したアルバム、ALL THE YOUNG DUDESがイギリスでよく受けたみたいで大ヒットとなった。まあ、同じバンドでもプロデュースの仕方でこれほどまでに変化するのかと非常に興味深い。

彼らのどの時期のサウンドが好みかは、意見の分かれるところで、聴く人のそれぞれの音楽の嗜好によって変わるのであるが…

イアンは、たった5日間のやっつけ仕事のような期間で制作されたBRAIN CAPERSについては、セールスが良くなかった理由もあったのか、それほど気に留めなかったと言っていたのだが、 後日それを改めて聴いてみると意外にもご機嫌になり、今までの活動の中でも良い出来だと思い直したとも言っている。

ライブでの大騒ぎと穏やかなスタジオ録音の中間を狙った、HAPPY MEDIUMと彼は称している。つまり、スタジオ録音でありながらライブに近いMOTT THE HOOPLEを楽しむ事が出来るのではと言っている。

興味のある人は、是非御一聴をと言いたいところだが、オリジナルがほとんど売れなかったので、 再発CDのプレス量も多くはなく、名盤といわれている割にはなかなか手に入らないのが難点である。コロンビア時代のものは安価で結構出回っているのだが…

それから、びっくりしたのはイアンが1939年生まれだとわかったことである。何と御歳、76歳なのである。

2009年に40周年再結成ライブを行い、2013年にも同様のものをやっているし、自身のバンド活動も2015年時点で継続している。

歳を取っても楽器はこなせる人が多いが、この人の場合は昔と比べると声量は落ちたかもしれないが、ハード・ロック・バンドの現役ボーカリストなのである。

1959年にリッチー・バレンス(ラ・バンバで有名)とバディー・ホリーらが飛行機事故で亡くなった日をTHE DAY THE MUSIC DIEDと歌ったドン・マクリーンのアメリカン・パイという曲があった。

MOTT THE HOOPLEは、かって彼らのライブ・アクトでその曲をオープニングに持ってきて、THE DAY THE MUSIC DIEDという言葉を否定する形でTHE GOLDEN AGE OF THE ROCK ’N’ ROLL(ロックン・ロール黄金時代)に繋げ歌い上げた。

そして今でもイアン・ハンターは歌う、ロックン・ロール黄金時代なのだと。

ライブでのSWEET ANGELINEはアップテンポで歌われるハード・ロック・ナンバーのアレンジであるが、BRAIN CAPERSに収録されているスタジオ録音盤は、まるでボブ・ディランが歌っているかのようなミッド・テンポのアレンジとなっている。

Mott The Hoople - Sweet Angeline



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