大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・21
『坂東先輩からのダメ』
☆音響係が決まりました
放送部3年生の長曾我部さんが兼業部員で、やってくれはることになりました。
実は、先月の半ばからやってもろてたんですけど、放送部の実務を2年生に引き継げたいうので、稽古にべた付きできるいうのんで入ってもらいました。
原曲は、N音大さんがやらはったのをお借りしました。著作権についてはエーベックスに確認しました。
高校生が既成の曲をコンクールで使う場合、著作権には触れません。ただし原曲に改編(編曲したり、歌詞をかえる)せえへんことが条件です。以前近畿大会でアニソンを替え歌にして、著作権に抵触するということで審査対象はら外された学校がありました。その審査員の先生は「ここまで来るのに二回コンクール通ってるんでしょ。地区と県大会。そこの審査員は何をしてたんだろうね?」と、言わはったそうです。
うちらは編曲も、替え歌もしませんけど、一応ご挨拶の手紙は書いておきました。
音響が決まったんで、我が真田山は万全の体制になりました。ちなみに照明は淀先生がやらはります。近畿大会まで行ったら、これも生徒がやらならあきません。ああ、どないしょ(´;ω;`)ウッ…今から考えて、まあオメデタイうちらです。
☆道は遠いです
昨日テストが終わったんで、さっそく一本通して前1/3を動画でとって先輩の坂東はるかさんに送りました。
すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)
大橋むつお
時 ある年のすみれの花のさくころ
所 春川町のあたり
人物
すみれ 高校生
かおる すみれと同年輩の幽霊
ユカ 高校生、すみれの友人
看護師 ユカと二役でもよい
赤ちゃん かおると二役
人との出会いを思わせるようなテーマ曲が、うららかに聞こえる。すみれが一冊の本をかかえて、光の中にうかびあがる。
すみれ: こんちは。あたし畑中すみれです。
これから始まるお話は、去年の春、あたしが体験した不思議な……ちょっとせつなく、ちょっとおかしな物語です。
少しうつむいて歩くくせのあるあたしは、目の高さより上で咲く梅とか桜より。
地面にちょこんと小さく咲いている、すみれとかれんげの花に目がいってしまいます。
その日、あたしは春休みの宿題をやるぞ! というあっぱれな意気込みで図書館に行き、
結局宿題なんかちっともやらないで、こんな本を一冊借りて帰っていくところでした。
あーあ、机の前に座ってすぐに宿題はじめりゃよかったのに。
つい、なにげに本たちの背中を見てしまったのが運のつき。
だから、この日、うつむいて歩いていたのは、いつものくせというよりは、自己嫌悪。
だから、いつもの大通りを避けて、久しぶりで図書館裏。
春川の土手道をトボトボうつむいて歩いていたのです……ところが、
そこは春! 泣く子も黙って笑っちゃう春! そのうららかな春の日ざしを浴び、
土手のあちこちに咲きはじめた自分と同じ名前の花をながめていると、
ふいに母親譲りの鼻歌などが口をついて出てくるのです。
春川橋の手前三百メートルくらいに差しかかった時、保育所脇の道から土手道に上がってくる、
あたしと同い年くらいの女の子が目に入りました。
セーラー服に、だぶっとしたズボン……モンペとかいうのかな。
胸には、なんだか大きな名札が縫い付けて、肩から斜めのズタブクロ。
平和学習で見た映画の人物みたい、一見して変!
近づいてくると、もっと変!……あたしと同じ鼻歌を口ずさんでいる!
まるで学校の廊下でスケバンのキシモトに出くわした時みたいな気になり。
目線をあわさぬよう、また、不自然にそらせすぎぬよう、なにげに通りすぎようとした、その時……。
舞台全体が明るくなり、ちょうど通りすぎようとしている少女、かおるも現れる。すれ違った瞬間かおるが知り合いのように声をかける。
かおる: こんにちは……。
すみれ: え……。
かおる: こんにちは……!
すみれ: こ、こんちは……
かおる: 通じた!……あたしのことが分かるんだ!
すみれ: あ、あの……
かおる: ア、アハハ、ごめんなさいね。多分通じないだろうと思ったから。
いつもそうなの……だから、いつもの調子でひょいと声をかけちゃって。ごめんなさい、驚かしちゃったわね。
すみれ: あ、あの……。
かおる: あたし、咲花かおると申します。よろしく。
あたし、ずっとあなたみたいな人が現れるのを待っていたの。
急にこんなこと言われたって信じられないかもしれないけど。あたし幽霊なんです。
すみれ: ゆ、ゆうれい!?
で、冒頭の、この五分にもならんとこで大きな指摘をされました。
台詞と動きに動機が無い……です。すみれの最初の長台詞は、いわば導入でナレーターでもあります。せやから半分はすみれやないんです。この長台詞でお客さんを引付ならあきません。
そのためには、お気楽さ、自己嫌悪、かおるがやってきたときの興味半分の不気味さが出てんとあかんいうことです。
うちらは、これを演るについては、You TubeでN音大やら、真田山、天王寺商業(なんでか見られます)の芝居を何べんも観ました。で、いっちゃんええ出来になったと自負してました。
そやけど、プロの目から見たらまだまだなんですね……。
あたしの「かおる」ものっけから言われました。「通じた!……あたしのことが分かるんだ!」が偽物やと言わはります。
「三好さん、通じることを分かってて言ってるでしょ?」
う~ん、そんなつもりはないんですけどね。
坂東先輩の指摘は鋭いです。
「いつものように通じないと思って声をかけたのなら、言い終わった後は、もう別な何かを見て聞いてるはずです。そこで手を抜いてはいけません」でした。
何気ない演技と言うのが一番むつかしいです。蒼井優という女優さんが言うてます。
「一番難しいのは、人に呼ばれて振り返るシーン。だって、役者としては声を掛けられるの分かってるんですから」
ムムム……まあ、蒼井優さんと同じことで悩んでるんやと、自分を慰めるあたしでした。
文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)
『坂東先輩からのダメ』
☆音響係が決まりました
放送部3年生の長曾我部さんが兼業部員で、やってくれはることになりました。
実は、先月の半ばからやってもろてたんですけど、放送部の実務を2年生に引き継げたいうので、稽古にべた付きできるいうのんで入ってもらいました。
原曲は、N音大さんがやらはったのをお借りしました。著作権についてはエーベックスに確認しました。
高校生が既成の曲をコンクールで使う場合、著作権には触れません。ただし原曲に改編(編曲したり、歌詞をかえる)せえへんことが条件です。以前近畿大会でアニソンを替え歌にして、著作権に抵触するということで審査対象はら外された学校がありました。その審査員の先生は「ここまで来るのに二回コンクール通ってるんでしょ。地区と県大会。そこの審査員は何をしてたんだろうね?」と、言わはったそうです。
うちらは編曲も、替え歌もしませんけど、一応ご挨拶の手紙は書いておきました。
音響が決まったんで、我が真田山は万全の体制になりました。ちなみに照明は淀先生がやらはります。近畿大会まで行ったら、これも生徒がやらならあきません。ああ、どないしょ(´;ω;`)ウッ…今から考えて、まあオメデタイうちらです。
☆道は遠いです
昨日テストが終わったんで、さっそく一本通して前1/3を動画でとって先輩の坂東はるかさんに送りました。
すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)
大橋むつお
時 ある年のすみれの花のさくころ
所 春川町のあたり
人物
すみれ 高校生
かおる すみれと同年輩の幽霊
ユカ 高校生、すみれの友人
看護師 ユカと二役でもよい
赤ちゃん かおると二役
人との出会いを思わせるようなテーマ曲が、うららかに聞こえる。すみれが一冊の本をかかえて、光の中にうかびあがる。
すみれ: こんちは。あたし畑中すみれです。
これから始まるお話は、去年の春、あたしが体験した不思議な……ちょっとせつなく、ちょっとおかしな物語です。
少しうつむいて歩くくせのあるあたしは、目の高さより上で咲く梅とか桜より。
地面にちょこんと小さく咲いている、すみれとかれんげの花に目がいってしまいます。
その日、あたしは春休みの宿題をやるぞ! というあっぱれな意気込みで図書館に行き、
結局宿題なんかちっともやらないで、こんな本を一冊借りて帰っていくところでした。
あーあ、机の前に座ってすぐに宿題はじめりゃよかったのに。
つい、なにげに本たちの背中を見てしまったのが運のつき。
だから、この日、うつむいて歩いていたのは、いつものくせというよりは、自己嫌悪。
だから、いつもの大通りを避けて、久しぶりで図書館裏。
春川の土手道をトボトボうつむいて歩いていたのです……ところが、
そこは春! 泣く子も黙って笑っちゃう春! そのうららかな春の日ざしを浴び、
土手のあちこちに咲きはじめた自分と同じ名前の花をながめていると、
ふいに母親譲りの鼻歌などが口をついて出てくるのです。
春川橋の手前三百メートルくらいに差しかかった時、保育所脇の道から土手道に上がってくる、
あたしと同い年くらいの女の子が目に入りました。
セーラー服に、だぶっとしたズボン……モンペとかいうのかな。
胸には、なんだか大きな名札が縫い付けて、肩から斜めのズタブクロ。
平和学習で見た映画の人物みたい、一見して変!
近づいてくると、もっと変!……あたしと同じ鼻歌を口ずさんでいる!
まるで学校の廊下でスケバンのキシモトに出くわした時みたいな気になり。
目線をあわさぬよう、また、不自然にそらせすぎぬよう、なにげに通りすぎようとした、その時……。
舞台全体が明るくなり、ちょうど通りすぎようとしている少女、かおるも現れる。すれ違った瞬間かおるが知り合いのように声をかける。
かおる: こんにちは……。
すみれ: え……。
かおる: こんにちは……!
すみれ: こ、こんちは……
かおる: 通じた!……あたしのことが分かるんだ!
すみれ: あ、あの……
かおる: ア、アハハ、ごめんなさいね。多分通じないだろうと思ったから。
いつもそうなの……だから、いつもの調子でひょいと声をかけちゃって。ごめんなさい、驚かしちゃったわね。
すみれ: あ、あの……。
かおる: あたし、咲花かおると申します。よろしく。
あたし、ずっとあなたみたいな人が現れるのを待っていたの。
急にこんなこと言われたって信じられないかもしれないけど。あたし幽霊なんです。
すみれ: ゆ、ゆうれい!?
で、冒頭の、この五分にもならんとこで大きな指摘をされました。
台詞と動きに動機が無い……です。すみれの最初の長台詞は、いわば導入でナレーターでもあります。せやから半分はすみれやないんです。この長台詞でお客さんを引付ならあきません。
そのためには、お気楽さ、自己嫌悪、かおるがやってきたときの興味半分の不気味さが出てんとあかんいうことです。
うちらは、これを演るについては、You TubeでN音大やら、真田山、天王寺商業(なんでか見られます)の芝居を何べんも観ました。で、いっちゃんええ出来になったと自負してました。
そやけど、プロの目から見たらまだまだなんですね……。
あたしの「かおる」ものっけから言われました。「通じた!……あたしのことが分かるんだ!」が偽物やと言わはります。
「三好さん、通じることを分かってて言ってるでしょ?」
う~ん、そんなつもりはないんですけどね。
坂東先輩の指摘は鋭いです。
「いつものように通じないと思って声をかけたのなら、言い終わった後は、もう別な何かを見て聞いてるはずです。そこで手を抜いてはいけません」でした。
何気ない演技と言うのが一番むつかしいです。蒼井優という女優さんが言うてます。
「一番難しいのは、人に呼ばれて振り返るシーン。だって、役者としては声を掛けられるの分かってるんですから」
ムムム……まあ、蒼井優さんと同じことで悩んでるんやと、自分を慰めるあたしでした。
文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)