大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『オブリビオン』

2013-05-31 15:35:48 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『オブリビオン』



 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。



 映像良し、アイディア…う~ん、悪くはない。

 原案は、コシンスキー監督(TRON/Regacy)のグラフィックショートノベル(恐らく制作プロモ用に作られた?) デザインは極めてシンプルで徹底的に機能的、リアルな造形です。
 ただ、食い足りない。殊に普段からアニメの描く未来絵図に浸っている我々日本人を唸らせるには3つも4つも仕掛け不足。
 初めに説明される2077年の世界感が180度覆されるのだが、これじゃ足りない。日本のSFの優れているのは、180度から更に進み 359度…あと1度で元に戻る、そこで地平線がひっくり返る。世界は円ではなく、あるいは螺旋であったり 球体であったり、後1度の先は虚空に落ち込んだりする。日常、こんなひねたストーリーに触れていると180度の世界感は途中経過にしか過ぎず『これで終わりなん?』と感じてしまう。
 ならば、せめてキャラクターのドラマを見せて欲しいが…その部分が不足している。監督の感性なのか(トロンでも同じように感じた)映画化プレゼンを受ける連中の意識が古いのか(あり得る、今50台後半以上、漫画と言えばアメコミが限界の世代)のいずれか。
 40年前に『starwars』で我々の度肝を抜いた力を今のハリウッドに期待しても無理と言うものでしょう。これなら、ディックの長編やハインラインを最新のデザインで丁寧に作る方がよほどワンダーな映画になる。前半、荒廃した地球上で孤独な作業に明け暮れる一組の男女が描かれるが、この部分が長すぎて、この後の世界の真相が一枚ずつ剥がれて行く部分が駆け足過ぎる。しかも、伏線をすっ飛ばして設定があやふやになっており、後からの一言二言で納得しろと言う作り方はいかがな物かいな?
 SFの内容をバラすほど無粋な事もあるまい、この先はご覧になった方の判断にお任せいたします。

 本年は、これに続いて「壊滅後の地球」テーマの作品が知る限り3本あります。果たして納得いく映画がありますやら……この作品に限らないのですが、最近のハリウッド作を見ていて 思うのが……アメリカ人が『特攻』を認めはじめてるなぁって事です。前大戦中、日本軍の特攻は米軍にとって恐怖の作戦だったのですが、戦意萎縮を恐れた米軍はそれを否定、戦場PTSDと同じく無かった事として扱われてきました。今や、どちらも情報としては公開されていますが、ドラマの中では無視されて来ました。核兵器の影響が過小評価されるのと同じ理屈です。それが、9・11以降 違う評価に成って来ていると感じられるのは私だけなんでしょうか。ただ、彼らには『特攻』の精神がまだ判らないか、直視したくないのかのどちらかで……なら、如何なる絶体絶命の窮地からでも笑って生還するハリウッドの脳天気を大切にしたほうがええのんちゃいましょか?
 私には本作ラストでジュリアがジャックを見て そして浮かべる微笑みの方が、よっぽど不可解です。 こんな書き方だと、見に行きなはれと勧めるようなもんですかねぇ。アハハハハ〓


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『くちづけ』

2013-05-25 16:28:14 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『くちづけ』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


いやぁ~ 参った〓

バスタオルかティッシュが1ケースいります。劇場内、鼻をすする……なんてもんじゃない、嗚咽、オエツです! マジ泣きしてる人もいらっしゃいました。
 これ、芝居を見たかった、絶対芝居の方がもっとボロボロに泣けただろうなぁ…確実です。  映画をくさしているつもりはありません。監督は大嫌いな堤幸彦だけど、彼は今回“撮影監督”であって、本当の監督は 元の芝居を上演した“東京セレソンデラックス”主催、脚本、演出、出演の宅間孝行です。だから芝居のテイスト、ニュアンスは保持されていると考えられます。  
 知的障害者自立支援施設ひまわり荘を舞台に入所者と周りの人々の触れ合いが描かれる。そこで……とても悲しい事件が起こる。
 時に 事件の真相を知るにつけ、怒りや悲しみの前に涙があふれてしまう経験をする事がある。感慨、理解は後から……とにかく泣けてしまう。有るでしょ? そういう事って。
 宅間の脚本は障害者を必要以上に“ピュアな存在”として描いていない。舞台になる ひまわり荘はどこかファンタジアではあるが、障害者その者は社会的通念にてらして「困った人々」として描かれている。  そして、この作品は誰も告発していない。障害者年金を使い込む親も、功利主義で排他的な社会(健常者)をも……ただ……ただ『どうしてなんだろうねぇ』と問いかけてくる。

 事件そのものは極めて残酷な現実の果てなのだけど、その事で泣くんじゃない、怒るんじゃない。  言うなれば これを見ている自分が『もしかしたら、もう少し 優しくなれるんじゃないだろうか』という希望に泣けてしまう、というのが近いだろうか。
 泣かせの芝居は作りやすい、しかし流される涙が浄化の涙になる事は少ない。人間の“泣く”という行為には、必ず何がしか“浄化”の意味があるのだけれど、洗い流してしまう程の涙は滅多にない。我が身に起こった現実ではなく、芝居なり本なりに触れた結果なら 尚更である。だから、この映画で流した涙は自分にとって特別な意味があるんだと感じられる。
 お薦めしたいけれど なんだか 自分のお気に入りの店は秘密にしておきたいのと同じ気持ちで そおっとしておきたい。
 今回、堤君は撮影監督に徹していて偉かった! 脚本の宅間孝行って、どんな魂の奴なんだろうか、俄然「今会って話したい人間」No.1やなぁ。芝居から引き続き彼が演じた“うーやん”現実になんの前置きもなく“うーやん”が目の前に現れたら殴るやろなぁ……俺なんか大して優しく無いもんなぁ。貫地谷しほりの“マコちゃん”大変やったよね……でも……良かったよね、この役は本当に難しかったと思いますねぇ。貫地谷のあふれてしまう想いを内に押さえ込んだ演技は鬼神の域だと思います。それを受ける竹中直人/マコちゃんの父親・漫画家いっぽん先生……あなたと同じ選択が俺に出来るだろうか。竹中も同じく 叫び声を押し込めて演じている。すげえなぁ……俺なんか50年修行しても こんな芝居はできそうもないです、改めて御尊敬申し上げます。
 他の役者陣にも拍手です。ひまわり荘主人・小児科医 國村先生は平田満の為にある役です。その妻/麻生祐未、スタッフ/岡本麗、娘/橋本愛、うーやんの妹/田畑智子、みんな優しさあふれて本作の救いでした。殊に、橋本愛ちゃんは将来(現在だって)の大女優間違いなしです! 保証します。他の入所者、周囲の人々、一々ふれずにゴメンナサイ、みんな素敵でした。 キージー作、ジャック主演の あの映画を思い出しましたよ。  
もし、見に行くなら… バスタオルかティッシュ一箱、お忘れなく……。  チーフへ、「グッバイ マイラブ」 アン・ルイスでした。たまらん歌でした。


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『探偵はひとりぼっち』

2013-05-23 19:48:09 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『探偵はひとりぼっち』


 この読書感想は、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流しているモノですが、もったいないので転載したものです


 迷ってましたけど、結局読んじゃいました。
「探偵はBARにいる 2」の原作。 作者:東直己は1956年生まれ、北大文科中退後、ススキノでその日暮らし……結構アナーキーな生活を経て92年「探偵はBARにいる」でデビュー。ススキノ探偵“俺”は作者の生き様を反映して映画よりアナーキーな存在……映画は「原作物」と言うより古沢良太がインスパイアされて脚本化、大泉/松田が自分達のニュアンスで命を吹き込んだと言えそうです。

 原作中の“俺”と映画の大泉では背負っているものが違います。いずれの“俺”もニヒルな自分を演出しようとしながらそうは成りきれない。どちらも内に熱い塊を持っているのだけれど、その背に見えるペーソスが違っている。
 事実上、原作は今から20年前の作品、作中年数は出てこないが80年代らしき書き込みがある。  映画は現代の話になっているからニュアンスの違いは致し方ないが、それだけでは捉えきれない変更がある……だから、原作ファンは全く別物と思って見た方がいいと思います。

 さて、小説です。いわゆる探偵物カテゴリーよりも、ミッキー・スピレーン的ハードボイルドに分類した方がピッタリきます。
 船戸与一のような汗臭さはなく、探査手法は行き当たりばったりだが 結構スタイリッシュである。荒事の腕前は、トーシロー2人相手が限界、そっち方向は映画と同じく 高田にお任せ。
 今作では高田が早々と骨折でリタイア、なんの展望も無いままにそこら中で跳ね返ったため、複数正体不明のグループから付け狙われる……あらあら、これじゃ命がいくらあってもたまったもんじゃない。そこんところをなんとか切り抜けて行く訳ですが、それなりに納得いくストーリーになっていて、ラストの謎解きで全部“落ち”がつくかたちになっている。
 ススキノの裏も表も、それなりに見て来た作者ならではのリアリズムと言える。 映画と小説が補完しあっていると言うのではないので、どちらかのファンという形になる。
 私としては、映画/小説どちらとも言えず、ちょうど真ん中にいる感じ。今すぐ全シリーズ購入一気読み……までの“ノリ”は有馬線なぁ。
 映画を見ていて あんまり思わなかったのですが、“社会党国会議員の橡脇”という重要キャラが登場します、読んでいて「これって露骨に道知事から国政に出たY路じゃないの?」と思っていたら……解説の所に「道民なら一目瞭然のモデルがいる」と書いてある。もとより虚実ない交ぜと断ってあるのですがぁ~。  これって“実はホモ”ってのは虚? “身を守るに手段を選ばず”が実?
 最近あんまり名前が出ませんが……さて、どうなんでしょうねぇ。北海道の政治ってのは 中川一郎にせよ、鈴木のおっちゃんにせよ ミステリアスですからねぇ。ひょっとしたら各作中にそんなネタが転がっているんでしょうか? ちょっと興味ありますなぁ。
 こういうジャンルは読者にこだわりがあるので 特にオススメはいたしませんが、作者の腕前は確かです、この点は保証します。


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大人ライトノベル・ライトノベルセレクト№41『基礎代謝』

2013-05-22 16:44:33 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト№41
『基礎代謝』
      


 わたしは、いま事務用のジャンパーを着てパソコンに向かっている。向かいに座っている息子はTシャツである。我が家は三階建てで、なぜか二階が一番暑い。今日は三十度になったので、一階に非難してきている。
 で、なぜか中間考査の中休みというのがあって、平日にもかかわらず家にいる息子と、心ならずも、同じ座卓を向かい合わせで、それぞれのことをいたしている。で、息子がエアコンを点けたから驚いた。
 勉強しているのかと思いきや、家内のパソコンで、なにやらJとかKとかが頭に付くポップスを聴いている。

「R介、ちょっと寒ないか……」
 遠慮がちに聞いてみた。
「ちょっとの間、我慢して」
 いささかムッとした。しかし、ただでも多感な高校生である。まともに言ってもコミニケーションは成立しない。息子は、気持ちだけ設定温度を下げた……たぶん一度だけ。またたくうちにエアコンはアイドリングになり、室温を下げるのをやめた。
 リモコンをチラ見すると二十六度を指していた。

 別に、息子は働きの悪いオヤジに(ここで不覚にも鼻をすすってしまった)意地悪をしているわけではないのである。
 基礎代謝が、十七歳の息子と、還暦になりたてのわたしとでは大きな開きがあるのである。十七歳の基礎代謝量は1580キロカロリー、六十歳のわたしは1400キロカロリーである。
 その差、わずかに180キロカロリーであるが、午前中三階の自分の部屋でエレキに絞り声で元気いっぱい張り上げていた息子と、朝の六時から、ただ座ってパソコンを相手にしているわたしとでは、エネルギー消費は倍近く違うであろう。
 
 しこうして……この間、わたしは靴下を履きにいった。

 しこうして、Tシャツのアゲアゲニイチャンと、ジャンパーに冬用靴下のオッサンが同じ部屋で同居のはめとなった。
 基礎代謝は、バカに出来ないもので、感受性などにも影響してくる。
 息子はヘビメタとまではいかないが、かなりハードなポップスにはまっている。ビーズ、カンジャニ、スマップ、ゴールデンボンバー、いきものがかり……ぐらいまでは分かるが、あと目を輝かせて教えてくれたミュージシャンは、まるで分からない。わたしは、アイデアを喚起するために入り込んだAKBを時たまに聞くぐらいで、どうかするとナット・キング・コールの「LOVE」や、ジュディーガーランドの「オーバーザレインボウ」を聞いている。初音みくが歌う「軍艦マーチ」を聞いていたときは、母子揃って、ゴキブリを見るような目で見られた。

 息子は、大阪市内の男女共学の私学でケイオンをやっている。昔のようにチマチマしたものではなく、部員百余名、ケイオンの国体と言われるスニーカーエイジでは次代の優勝候補と目されている……そうである。
 三時過ぎに授業が終わると、三時半には家に帰ってきて……といっても、近鉄で十個も向こうの駅から準急で帰ってくる。そして私服に着替えると、心斎橋や大正区のスタジオに通いバンドの練習に余念がない。
 なぜ、正規の部活としてのケイオンをやりながら、そんな外のスタジオを借りているかというと、とにかく部員の多さである。遮音性のある練習場所は学校に三カ所しかなく、したがって、一度にレッスンできるのは部員の一割程度で、あとの九割は自分で都合をつけてくる。こういう根性は、わたしが応援している高校演劇からは概ね失われた。
 息子の帰宅時間は、日によっては十時を回る。それでも明くる日にはカミサンに叩き起こされて、遅刻、欠席もせず。欠点もとらず……スレスレはいくつかあるが、毎日を過ごしている。

 やはり、基礎代謝が違う。

 身長は、わたしより三センチほど高い。通知票で、それを知ったとき、同じ目の高さまでつま先立ちして見てみたことがある。わずか三センチであるが、見える景色がまるで違う。大げさにいうと七人のドアーフの家に入った白雪姫の目線になる。

 ずいぶん長かったが、ここまでが前説である。

 年齢とガタイからくる基礎代謝の違いは、他の感受性にも影響してくる。2011年11月11日という分かり易い日に逝った父の遺骨を家に連れて帰った夜のこと。親子三人葬儀の疲れでひっくり返っていると、急にガバッと起き出して「下におじいちゃんが居てる!」と叫んだ。本気で怯えるので、わたしは二階の祭壇を見に行くと、父はおとなしく骨箱に収まっている。
 わたしは、一年余、父の遺骨と同じ部屋に居て、何度も父を感じた。晩年を施設で過ごした父は、我が家のダンマリときどきアラシのような家庭が気に入ったようで、息子とは違った父を感じていた。
 先日納骨を済ませた。あきらかに人一人が居なくなった感じがある。気味悪がられるので、息子やカミサンには言っていない。

 で、さっき靴下を履きに三階まで上がったとき、息子の部屋で気配を感じた。
 わたしの家には、五十七年前に水子にされた栞(しおり)という十五歳の姿をした妹がいるが、普段は小説の中でいろんな役をやらせて、本人も、わりと、その生活に馴染んでいる。が、その妹の気配でもない。
 
 そっと覗くと、目線が合った。

 十六七の女子高生である。わたしでも知っている女子校の制服を微妙に崩している。白のブラウスは第一ボタンを外しているだけだが、リボンのストラップはやや緩めで、外した第一ボタンのちょい下。紺色のタンクトップが透けて見えている。スカートはお目こぼしギリギリの膝上五センチ。メイクはナチュラルだが、こういうのを長年チェックする仕事をしていたわたしには分かる程度。
 こいつが、息子のベッドに後ろ手ついて両足を緩いハの字に開いてくつろいでいた。
「あ……」
 目があった瞬間、自分の姿が見えていることに気づいたようだ。フェミニンボブの頭をクシャクシャ掻くと、照れ笑いで、こう言った。
「すんません……こないだまではオジイチャンいたんで遠慮してました……いけませんでした」
「自分が何者かは、分かってるんやろ?」
「はい、分は心得ています」
 そう言って、ベッドの上に正座した。いちおう心得ているとは思えた。
「自分名前は?」
「え、あ、はい。サチって呼んで下さい。苗字とかは勘弁して下さい」
「……ほんなら約束。息子といっしょに風呂に入らないこと。夜は、オッチャンのパソコンの中に入ってること。あ、オレの妹が入っとるけど、500ギガあるよって、住み分けて」
「はい!」
「それから、息子に彼女ができても邪魔せんように」
「イエッサー!」
「真面目に」
「はい、承知しました」
「ほんなら、よろしく」
 そう言って、ドアを閉めかけて、振り返った。サチは崩し掛けた足を正座にもどし、リボンまで直した。
「あ、なにか?」
「サッチャン、基礎代謝の良さそうな顔してるなあ」
「はい?」
「いや、独り言」

 サッチャンには通じにくいジョークのようだった。後ろで、目玉を回して考えている気配がした……。

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高校ライトノベル・志忠屋繁盛記・6『雨上がりの奇跡』

2013-05-21 23:06:39 | 志忠屋繁盛記
志忠屋繁盛記・6
『雨上がりの奇跡』
       


 通り雨が過ぎた跡の香りに夏を感じるのは、もう六十になろうかという歳のせいかもしれなかった。

 今夜は晴れて、けっこう繁盛するかと思ったが、案に反してディナータイムは坊主であった。
 予想に反して、イレギュラーな土砂降りになってきた。まだ、こういう勘が当たるほどの歳でもないかと苦笑して、片方の尻をあげて放屁しても笑う相手も居ない。パートのトモちゃんは娘(坂東はるか)のテレビ出演に、若手俳優の母ということで、バラエティーに出演中である。まあ、夜の入りはしれているので、自分一人でもこなせると、トモちゃんには見栄を張ったが、正直、この土砂降りには少し感謝でもある。
 それにしても、完全な坊主ではオーナーとして業腹である。
 自分の身から出た臭いに閉口して換気扇を強にしにいくと、それがスイッチでもあったように客が入ってきた。
「いらっしゃ……」
 そこまで言って、マスターは驚いた。レインコートを脱いだその下は、新しいともクラシックとも言える青と白の大柄なギンガムチェックのワンピ。それが若いプロポーションによく似合っている。
「マスターおひさです。とりあえず、白のワイン。で、覚えてたらいつもの」

 この子は、以前悪友の大橋が、よく連れてきた、大阪の高校演劇の名門(マスターも大橋も認めないが)R高校出身の君子である。けして名前を訓読みした君子(くんし)ではなく、取り扱いの難しい娘であるが、マスターほどのオッサンには面白い子である。たしか、この春に短大を卒業して就職したはずである。ワインを出しながら、マスターは思った。
 
「今日は、二重の意味で珍しいなあ」
 マスターの意地悪な言い回しに、君子は一睨みしておいた。このマスターを睨みつけられるなんて、わたしも大人になったもんだと、君子は思った。
「へい……チーズセットとサラダ」
「嬉しい、覚えていてくれたんだ!」
「ベッピンさんの好みは忘れへん……君子なあ、ワイン一気のみするやつあるかあ」
「ハハ、つい喉ごしいいもんで」
「おかわりか?」
「とーぜん、もう二三杯」
「一杯だけにしときや、まだ若葉マークやで」
「わたし、お客なんですけど」
「……突然変な天気になりよるし、君子はブスッとしとるし」
 カエルの面になんとかで、マスターは、完全な業務用の笑顔。この肉厚な笑顔に対抗できるだけのボキャブラリーは、二十歳の君子にはない。
「彼とは、あんまりけえへんけど、どないやねん?」
「ノーコメントです!」

 実は、昼間、君子には、あいつから電話があった。仕事が早く終わりそうなので、「今夜会わないか」というのだ。君子は、二人にとって恒例になっていた週末デートを二週続けてキャンセルしていた。最初のは、都合をつけられないこともなかったが、職場の女子会があるからと断った。二度目は本当にウザかった。
 理由は、その男の距離の取り方だった。

 成人式の日、家まで送ってきたやつにキスされた……させてしまった。

 成人式のアゲアゲのムードもあったし、ほどよく……少し度を超したアルコールも入っていた。
 でも、これは、その場限りの、成人式にありがちな、君子としては限度一杯の飛躍でしかなかった。
 それを男は、勘違いしている。もう恋のカリキュラムを一つ進めて良いような気になっている。その独りよがりな距離の詰め方が、君子にはウザかった。

「まあ、男て、そんなもんやけどな……」

 気づいたら、君子は喋らされていた。どうもオッサンというのは油断がならない。
「なんやったら、試しに彼読んで、テストしたろか?」
「はあ?」
「そやかて、ここは志忠屋やで」
「うん、シチュ-とパスタのお店」
「こういう書き方もでける」
 マスターは、メモ用紙にこう書いた。
『試チュー屋』
「もう!」
「君子のそういう顔は、高校生のときのままやな」
 そう、オチョクッて、紅の豚のポルコのように豪快に笑った。
「そういや、このお店来るようになってから、足かけ四年目かな……」

 君子はマスターの毒消し笑いで、昔の思いにふけっていた。

「このごろ、大橋とは会うてないんか」
「あ……ご無沙汰してます」
「まあ、ええけどな。あいつちょっと苦戦しとるで」
「え……?」
 マスターは、店のパソコンを大阪高演連のサイトに合わせて見せてやった。あいかわらず大橋ののブログは、ヤフーでもグ-グルでもトップのあたりにあった。トップのブログを見て、君子は悲しくなった。

 どうやら、大阪は曲がり角にきているようで、この三月には臨時総会を開いている。総会の内容は、定例なら明くる日にはアップロードされるが、これについては、連盟のオフィシャルには、なにも書かれていない。それも含め、先生は、この一年の大阪の不始末を列挙し、大阪の後退をラディカルに訴えて、三月の総会についても、いろんな資料から類推し、幹部の先生にも確認をとって書いていたが、見事に外れていた……もう、大橋には、君子たちのような存在がいないようだ。
「これって、卑怯です!」
「せやろ、さんざん確認させて、答えもせんとひっくり返す。連盟も大人げないなあ」
 君子は、スマホを出して、大橋にメールを送ろうとした。
「やめとき。大橋は、そういうの一番嫌がりよる。打つんやったら、還暦祝いぐらいにしとき」
 で、デコメいっぱいつけて、ちょっと月遅れのハッピーバースデイを送った。

 その時、にわかにカミナリがして、お店の電気が一瞬消えた。

「おいおい、昭和とちゃうねんで、こんなカミナリぐらいで……」
 マスターのボヤキの途中で、灯りが戻った。

「あ………」

 マスターが魂の抜けたような顔で、テーブル席を見た。つられて、君子も、そちらの方を見る。四人がけの席にソフト帽を被った、麻生副総理に、もっとスゴミをきかせたような、オッサンともオジイサンともつかない人がが座っていた。
「久しぶりやな。自分は山本高校で、ようゴネてた……コウチャンやな」
「まさか……四天玉寺高校の藤木先生……」
「今のカミナリで、二か月ほどはよ来てしもた。ちょっとロックで一杯くれるか」
 そういうと藤木先生は、帽子を脱ぎタバコを探した。
「切らしたなあ……コウチャン、朝日あるか」
「え、朝日ですか……あった……なんでやろ?」
 マスターは、そう呟くと、オンザロックと朝日というタバコを持って行った。
「君は、どこの演劇部やったんや?」
 鬼瓦のような顔に似合わない笑顔で、君子に聞いてきた。
「はい、R高校に居ました」
「ああ、あの道具に凝る学校やな。名前忘れたけど、顧問の先生は元気か?」
「あ……しばらく行ってないもんで。でもクラブの様子、ネットとかで見ていたら元気みたいですよ」
「コウチャン、そのパソコンで、R高校の顧問出してくれるか」
 マスターが、操作するとパソコンがオモチャのように見える。
「なんや、ガキチャレと格闘家しか出てきまへん……」
「あ、頭にR高校つけると出てきます」
 わたしの、アドバイスで、うちの顧問が出てきた。
「なんじゃ、難波の高演のリーダーがこれかい。RF高校のあいつは?」
「……九州の信用組合のえらいさん……ああ、二ページ目に出てきました」
「大げさな芝居やるわりには、しょぼいなあ……大の字は?」
「四万件出てきます。見ます?」
「ええわ、あいつも数だけやのう……」
 そう言いながら、藤木先生は老眼鏡を取りだした。
「ほう……そこそこには本も出しとるようやけど、こいつも口だけやからなあ」
 この先生にかかっては、蒼々たる先生達もカタナシである。

「芝居は、おもろないとあかん」
 そう先生が言ったころには、灰皿は『朝日』という強烈な臭いの吸い殻で一杯になり、マスターは手際よく灰皿を交換した。
「わし、沖縄戦の生き残りでなあ……斥候に出たとき、敵に囲まれてしもてなあ。撤収しよ思たら、隣の分隊長が撃たれてしもて……なまじ英語がでけるもんで、すぐに捕虜になってしもた。で、一年ちょっと捕虜生活。捕虜て退屈なもんでな。アメチャンの所長と相談して、収容所の中で劇団こさえた」
「え、ほんとですか!?」
「ああ、ウケタで。馬場の忠太郎、国定忠治、金色夜叉、松竹の舞台の真似もやったな。賢弟愚兄とかな。とにかく芝居は理屈やない。分かり易うて、笑うて、泣かしてくれるやつ。おもろかったなあ……」
「その間、奥さんは毎日大阪駅行って、『○○部隊の藤木はおりませんか!?』やってはったんだっしゃろ」
 そこで、先生は激しくむせかえった。
「コウチャン、それ、誰から聞いた?」
「大の字が、先人の体験を語り継がなあかんいうて、いろんな年寄りから話し集めとります」
「『戦争を知らない子どもたち』か……もう還暦のオッサンのくせして」
「でも、奥さんとは、感激の再会やったんでしょ?」
「それが、合うなり張り倒されてな」
「え、どうしてですか!?」
「わし、収容所でえらい肥えてしもてな。カミサンは栄養失調でガリガリや、そんなんが、汽車から降りてきて『よお、元気やったか!』……そら、張り倒したあもなるわな」
 先生は、ワケありげに体を傾けると放屁された。奇しくも、マスターが放屁した同じシートである。朝日の香りと混ざって、えも言えない空気になり、君子はは思わずファブリーズを探してしまった。
「今は、ケイオンやらダンス部やらが人気あんねんやろ?」
「ええ、参加団体では、去年ケイオンに抜かれてしまいましたわ」
 マスターは、また灰皿を替えた。
「いつまでも、とろくさい芝居やってたらあかんで、お嬢ちゃん、あんたも現役のころはハッチャケとったんやろ。せめて、今の気い抜けた高演、どないかしたってえや」

 それから、藤木先生とマスターの面白い話は続いた。そうやって、ボトルが一本空になったころ……。

「ああ、やっぱりここに来てたんか!」
 男が、店に入ってきた。
「あなたのこと呼んだ覚えはないんだけど……あれ?」
「どないした、君子?」
「藤本先生は?」
「え……そんな人おらへんで。オレと君子だけやったで」
 マスターはマジな顔で言う。
 姿は見えないが、まだ気配はしている……。
「マスター、おあいそ」
「へい、千五百円」
「じゃ、また……」
「今度は、オレに付き合えよ」
「ごめん、家帰って、メール打たなきゃならないから」
 それでも、男はは店の外まで付いてきた。
「あんまりしつこくすると、そこ交番だからね!」
 そんな若い二人の会話を聞いていると、フト記憶と藤木先生が戻ってきた。
 
 ブラインドの隙間から見上げた空には、すっかり上がった雨のあとに化かされそうな満月が浮いていた……。 
 この物語はフィクションであり、登場人物、団体は実在のものではありません


『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

お申込は、最寄書店などでお取り寄せいただくか、下記の出版社に直接ご連絡いただくのが、一番早いようです。ネット通販ではアマゾンや楽天があります。青雲に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。

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送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。

大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
 高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
 60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351

大橋むつお戯曲集『自由の翼』戯曲5本入り 1050円(税込み) 
門土社 横浜市南区宮元町3-44 
℡045-714-1471   
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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『キャパの十字架/天の血脈』

2013-05-14 12:16:40 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『キャパの十字架/天の血脈』


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が、個人的に身内に回しているものですが、もったいないので転載しました

☆キャパの十字架
 キャパはスペイン戦争で“くずれおちる兵士”という おそらく世界一有名な写真を撮ったカメラマンとして知られる人です。

 しかし、随分前から この写真は本当に銃弾に倒れた兵士を撮った物ではない、当初言われていた兵士の名前も場所も間違っている、それどころか これはキャパの撮影ではないと訴える人びとがいた。
 ただ、これまでは状況証拠ばかりで確定にはいたらなかった。 本書は、撮影の日時と場所をほぼつきとめ、撮影の状況の推理も展開している。キャパはこの当時“ライカ”と“ローライフレックス(カメラを腰だめに構えて上から覗くようにして撮影するカメラ)”の2機のカメラを持っていて、キャパがライカを 同行していた恋人がローライフレックスを持っていた。
 ライカで撮影された写真は“くずれおちる兵士”と前後すると思われるシーンが残っており、それが有力な証拠となる。この経緯と結論は最高の推理小説が裸足で逃げ出す程の面白さ、敢えてここでは触れないでおく。カメラマン沢木ならではの探索と推理は唸るばかりではある。
 ただ、本書を読んでも納得いかない所が二点。
(1)丘を駆け降りる兵士が銃撃されたとして、写真のようにのけぞる事はあり得ない、運動の法則からして前のめりになるんじゃないのか…としている点、確かに首から下の着弾ならそうかもしれないが、唯一 頭部に正面から着弾したとすれば状況は全く変わる。当時の銃器/銃弾の性能及び想定される狙撃者との距離から沢木の推理は妥当と言えるが……。
(2)写真がライカではなくローライフレックスで撮られたのは ほぼ間違いないとしても、カメラマンがキャパであった可能性は無いに等しい可能性ながら 残されるのではないかと思える点(書いていて“無理臭い”と我ながら思うが) いずれに判断するのも本書を手にした人次第ではあるが……書いてしまえば(本書の評判を知っている方には周知ではあるが)沢木はこの写真がキャパの撮影ではないと結論している。
 ただ、沢木は“真実を暴き出す”姿勢で調査執筆したのではなく、同じ戦場カメラマンとして この世界一有名な写真に迫ろうとしている。時には沢木のペン先に彼の涙さえ感じる。
 毎度 半端な書評ではあるが、興味の有る方はどうか本書を手にしていただきたい。単に写真の事ばかりではなくキャパの内実にも迫った名著だとおもいます。


☆天の血脈
「天の血脈」は安彦良和の「ナムジ」「神武」に続く古代史漫画の最新刊です。かねてから予告されていたように“神功皇后”について語られるようですが、まだ二冊目、しかも日露戦争前夜の満州近代史と絡まり、内田良平やら、まだ馬賊のターランパだった張作霖や 好太王碑文調査隊なんかが出てきて、これらがどう絡んでいくのか不明、詳しくは3巻4巻を見てからにします…てえ事は数年後です。先行する「ナムジ」「神武」は山本常治の「日本古代史」(学会からは相手にされていないが、日本中の神社古伝を調査した労書)を底本に安彦の独自視点を加えた伝奇ロマンで 読み応え有ります。


『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『探偵はBAR にいる2』

2013-05-11 16:17:10 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『探偵はBAR にいる2』
      

これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです


久しぶりに“大お薦め!”面白いの保証!前作を1だとすれば10倍面白い!
 原作は 全く読んでいないので脚本の古沢良太を大絶賛します。パンフによると原作には尾野真知子のヴァイオリニストは出てこないらしい、このオノマチが最高です。彼女の関西弁は違和感なく聞けて(本物関西人だけど 何故か映像にでるとけったいなイントネーションになってしまう人が多い)良いのであります。もう一つ、彼女は解放された肉体の持ち主であり、いつもリラックスしているので いつ見ても安定したリアルな存在を演じる。池脇千鶴と双璧であります。

 設定は非常にベタであります かつ コミカルな部分も多い、ともすればコミック方向に流れがちだけど きっちり探偵ハードボイルドの世界に存在している。盛り込み過ぎてる感120%ながら ビシッと整理されて伏線の取り落とし皆無、三者三様の涙が描かれ これまたベタベタながら…泣ける! この感覚は新感線の芝居を見ていて 大爆笑しながら泣かされる感覚に似ている。
 大泉/松田の主役コンビと光岡のオンボロ車も最高、途中 波岡(前作のキャラクター……ここは前作を見ていないと解らない)がいきなり出てくるのにはビックリ。おそらく今後シリーズ化されたら 探偵の絶体絶命シーン(次回はオホーツクの氷の下に沈むらしい、大泉が真剣に嫌がっている)と共に お約束になりそうです。 しかし、大泉洋って役者も不思議な人ですねぇ、全身からコメディアンのオーラを発しながら 決めるべき所はビシッと決める、ニヒルな表情も良く似合う。しかも、100%ではなく 一歩引いた所に着地する……この肉体感てかバランス感覚が素晴らしい。 もう一人は ガレッジセール/ゴリさん。この人とぐっさんは“内に悲しみを秘めた”役をやらせるとピカイチです。本作は配役の妙でも光っています。
 続編が第一作より面白いのはめったに無い現象です。前作を見ている方は必見、見ていない人は“波岡君は前作のやられキャラ”だって事だけ 頭に留めて見て下さい。

 現在、原作を読むべきか否かを真剣に悩んでおりますです(作者が一瞬カメオ出演しています)


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大人ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『聖☆おにいさん』

2013-05-10 16:03:47 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『聖☆おにいさん』
      

これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです


アハハハ〓〓〓 ここまで予想通りだと笑っちまいます。

 確かに'09この漫画大賞なんですけど……未だに連載中とは言え、もう4年前 「旬は過ぎてる感」満タン。しかも、ストーリー構成に難有りすぎ。(泣き)

 ご存知無い向きに解説いたしますと……無事 世紀末を越えたブッダとイエスが長期休暇で東京立川にやって来ている ってな 真面目な信者ならブチ切れそうな内容の漫画です。結構コアな宗教ネタと現世東京下町人情が 繋がらなさそうながら変に絡まるのと、たまにやってくる弟子や天使とのトンチンカンギャグがそこはかとなく可笑しい漫画なんですが…そらまぁ見事にコアってかディープな部分は全部削ってあります。 極 上っ面で一般に知られていると思われるブッダとイエスの話のみで繋いであります。
 原作そのものが若干賞味期間切れな所にもって、テレビシリーズも無いのにいきなり劇場映画ってのは、いくらなんでも無理ですわ。その上、脚本も監督も本作の可笑しさを勘違いしているから……たった一言「無惨」であります。
 ご存知無い方へ、これを見るお金があるなら、原作漫画を3冊買って クスクス笑いながらお読み下さいませ。映画は金と時間の無駄遣いです。チャンチャン〓


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