大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

銀河太平記・258『大統領のサンルーム』

2024-11-24 12:06:16 | 小説4
・258

『大統領のサンルーム』 胡盛媛中尉 




 モンゴルでの戦闘は無かったことに……なってしまった。

 でも、現実にはロシアとモンゴル双方に千を超える犠牲者、我が漢明軍にも40名の負傷者が出ているので、前哨戦の地名をとってノモンハン事変という呼称になった。

「つまり、あの馬乳酒の乾杯で、本当にチャラになったというわけですか?」

 お茶碗に手をかける前でよかった。お茶碗を手にしていたらひっくりかえしていた。もし、少しでもお茶を口に含んでいたら噴き出すか、盛大にむせかえっている。

「うん、ロシアもモンゴルもメンツが掛かってるし、うちも怪我人出しただけで済んでるしね。じっさい、ノモンハンでもロシアとモンゴルは戦ってるしね」

「はぁ」

「それに、あれを公的に戦闘にしてしまうと、准将は抜け駆けで処罰しなくちゃならない」

「あ……」

「朱元尚准将は、あくまでも、軍広報部長として取材中の事故で頭を打った。それで入院」

「はぁ」

「補任にあたっては、この大統領官邸に呼び出して、昔で言えば勅任官待遇で記念写真まで撮ったから、無下には扱えない」

「そうなんですか」

 実は、あの補任式も釈然としない。軍の中枢からは外したとはいえ、准将に昇格させて特別待遇の大統領とのツーショット。撮ったのはわたしだし。

「准将の一族はね、グノーシス戦争の英雄なのよ」

「ええ!?」

 グノーシス侵略。

 百年前、火星がようやく独立国家群として発展しようかという時に、突如襲った正体不明の侵略。マス漢、扶桑、連合国が中心になって乗り切ったぐらいしか知識は無いけど、マス漢の宗主国である漢明も、いろいろカンでいるんだ。

「マッパ病(マースパルスウィルス感染病、略してマッパウィルス病、もっと略してマッパ病)も収束の兆しを見せ始め、おそらくは、もう数週間で終息宣言が出されるわ」

「あ、それは良かったです(^▽^)」

 戦争も疫病も無いにこしたことは無い。起きてしまったのなら、最大の努力でさっさと終わらせるべきなんだ。

「終結したら、今のフーちゃんみたいに、火星の人たちは喜ぶでしょ」

「はい、いいことですよね!」

「そう、マス漢も官民こぞって喜んで、連日お祝いするでしょうね。でも、終わったばかりの災厄や戦争は総括に時間がかかる。でも、国家や民族でお祝いしたい気持ちは捨てがたい。そこで……フーちゃんが、マス漢の文化大臣とかだったらどうする?」

「あ……それ以前のマース戦争やグノーシス戦争の英雄を、マース戦争は扶桑や連合国に差しさわりがありますから、グノーシス侵略……あ、そうか!」

「マス漢でブームになったら、遅れて、漢明でも注目される」

 そうか、それでグノーシス戦争の英雄の子孫……朱元尚准将を粗略には扱えない。

「まだまだ、この劉宏の体制は盤石とは言えないからねぇ」

「どうされるんですか?」

「履歴に傷が付かないようにして退役させる。退役させれば、取りあえず軍部への影響力は抑えられるでしょう。そして、開発公司からもね……」

 ピピピ ピピピ ピピピ

 大統領のハンベが子どもの防犯ベルのようなアラーム音をさせる。

「はい、わたしだけど……」

「あ、外します」

 腰を浮かせると、大統領は右手で――そのままいてちょうだい――とサイン。

「あ、うん、分かったわ。牽牛が戻り次第連絡をちょうだい。うん、それまでは……うん、このサンルームでお茶してるから。現時点での情報だけ送ってちょうだい。はい、ご苦労さま」

 ハンベを切ると、鼻の付け根を指で挟んで揉んだ……PI以後ほとんどやらなくなった大統領の癖だ。

「火星連絡船の牽牛が遭難船とぶつかってねぇ、その遭難船の乗員を保護して戻って来るの」

「衝突ですか?」

「そう、いまどき珍しいんだけど、いきなりワープアライブしてきて制動が間に合わなかったらしいの」

「ワープアライブですか!?」

 実験的には可能だけども(パルスギとかを使えば)船体や人体に影響が出るので、まだ実用化はされていないはずだ。

「旧型の内火艇だし、オートの牽引ビームが効いて大惨事にはならなかったんだけどね……」

 そこまで言うと、大統領はズイっと身を乗り出してきた。

 なんだか、女子高の先輩が後輩に秘密の話をするみたいで、ドキドキする。

「それが、乗っていたのは……日本の皇族なのよ」

「日本の皇族!?」

 そう言われて思い浮かぶのは、わたしが来る前に島を出られた心子内親王殿下。

「森之宮茂仁殿下……まだ、わたしと牽牛の船長しか知らないんだけどね……」

 大統領は期末テストで欠点を三つ取った女子高生のような顔になった。

 

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・257『エマージェンシーっす!!』

2024-11-09 13:57:17 | 小説4
・257

『エマージェンシーっす!!』 ツナカン 




 ガピーーーン!!


 もし、モニターに擬音を付ける機能があったら、そういう音!

 そんな感じでココちゃんの1号艇はブイに引っかかって、二時の方角に飛んで行ってしまったっす!

「エマージェンシー! ただちに救命艇を出せ!」

 艦長が鬼のように叫ぶっす!

 その救命艇が始動する前に、すぐ後ろを走っていた2号艇が牽引ビームを撃って接弦したっす。

『シゲです、ココちゃんは2号艇に収容して先に帰します。怪我の具合はわかりませんが、意識がありません。自分は1号艇に乗って戻りますので、2号艇の収容を最優先でお願いします』

 落ち着いた声で伝えてくるシゲさん、いや茂仁殿下っす!

「ココちゃんのバイタル出せ!」

「出しました!」

 ツナカンがモニターに出したバイタルは、血圧が少し低い以外はノーマルっす!

「ボートはオートで帰って来る、収容準備! 医務長、至急中央医務室へ! 医療班待機! それから……ん? だれだ、ひとりで飛び出した奴は!?」

 モニターにランドセル(パーソナルロケット)を背負って2号艇を迎えに行く……サンパチ殿が見えたっす!

「さすがサムライ、黙っていても行動が早いぜ!」

「男は黙ってレスキュー一番ってか!」

「カッケー!」

「オレタチもいくぞ!」

「あたしも!」

「おれも!」

「「「「オオ!」」」」

「勝手に動くな! 受け入れ準備急げえ!」

「左舷二番ゲートの方が一分早く収容できます!」

「救急室も左舷二番が早いです!」

「よし、二番で応急措置! できしだい中央医療室に移送! 取り舵フタジュウ、二番ゲートを2号艇に正対させろ!」

「艦長!」

「なんだ!?」

「1号艇、亜光速で三時方向に飛んで行きます!」

 ええ( ゚Д゚)!?

 ブリッジのみんながビックリしたっす!

 ココちゃんの2号艇ばかりに注意がいって、シゲさんが乗り込んだ1号艇には注意が行ってなかったっす!

「1号艇、光速を超えて突き進んでいきます! 地球の軌道方向です!」

「2号艇の収容急げ! 収容でき次第1号艇を追うぞ! なんで、内火艇が光速なんだ……」

 ヤバイ……自分らが、勝手にチューンしたのが裏目に出たっす。

 ただただ、ココちゃんに一等賞取らせてあげたいって気持ちからだったっすけど、裏目に出まくってしまったっす!

「1号艇進行方向に漢明の輸送艦隊!」

「まずい、急げ!」

「2号艇の収容が済んでいません」

「急げえ!」

「収容まで5分」

「もっと早く!!」

 ああ、船長キレかけ……(-_-;)

「サンパチ殿が取りついて後ろから押してます! 1分縮まります!」

「でかしたサンパチ!」

「しかし、間に合いません!」

「グヌヌヌヌヌ!」

「1号艇から通信『2号艇の収容を優先されたし』です」

「…………………」

 ブリッジに船長の無言の怒気が満ちて、乗員は、ただただ船長の直近の指示とエマージェンシーアクトに従って行動したっす。

 結果、ココちゃんは無事に収容。手当てが早かったので、あくる日には元気になったっす。

 ただ、1号艇は通りかかった漢明船に収容されて、シゲさんを取り返しには行けなかったっす。



 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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銀河太平記・256『エキシビジョンレース』

2024-10-27 15:45:01 | 小説4
・256

『エキシビジョンレース』 ツナカン 




 エキシビジョンレースはゲストの人たちのレースっす!


 1号艇=ココちゃん(須磨の宮心子内親王殿下)

 2号艇=森ノ宮茂仁殿下

 3号艇=周温来

 4号艇=ミナホ(マーク船長の部下の美少女アンドロイド)

 5号艇=ポチ(マーク船長の犬型クルー)

 6号艇=桔梗(扶桑幕府所属、ココちゃんのガード)


「み、みなさん、お手柔らかにお願いします(≧▢≦ )!」

 ココちゃんは緊張しまくりで、メッチャ可愛いっす。エキシビジョンだから見る方もやる方も楽しめばいいっす。でも、ココちゃんは根が真面目なお姫さまなんで、こういうお楽しみでも気が抜けないんすね。

 がんばれココちゃーん! 楽しめばいいからあ! 力ぬけえー! 

 温かい声援もココちゃんにはプレッシャーみたいなんすけど、プレッシャー感じた時の表情が可愛いんで、みんな調子にノルっす(^_^;)

「エキシビジョンではあるが、ボートにはブースターが付けてある! ここ一番という時にブーストをかけて、みんなをハラハラドキドキさせてほしい。通過地点には花火を仕掛けてあるから楽しみにな。では、いくぞ!」

 バキューーン!!

 船長がスターターのパルスガンを撃って、全艇いっせいのスタートっす!

「いっけー!」「ダッシュー!」「いけいけー!」「日本一ぃ!」「宇宙一ぃ!」「ココちゃーん!」「ココ姫ぇ!」

 いやあ、他のゲストには悪いんすけど、クルーはみんなココちゃんを応援するっす。

 ここだけの話っすけど、ココちゃんのボートには特性のパルスブースターが付けてあるっす。折り返し地点のところでブーストさせると、すっげードリフトしながら旋回してトップに出るようにしてあるっす!

 折り返し地点のブイドローンには通過速度に応じて派手になる花火が仕掛けてあるんで、メチャ楽しみっす! 

「え、ツナカンもなにか仕掛けたのか?」

「え、なんだ、オデンカンもなんかやったのか!?」

「燃料タンクを大きくしたぞ、ノズルもいじったし」

「ええ、自分は燃料をパルスギに換えたぞ……」

「自分も……」「オレも……」「あたしも……」「実は……」

「ええ、おまえらもかあ!?」

「ええ、船長もっすかあ( ゚Д゚)!!」

 みんな、ココちゃんに肩入れして、ちょっとずつココちゃんのボートに仕掛けをしてたっす!

 ヒンメルの乗員は、こっそり仕掛けをすることにかけては右に出る者がねえってやつばかりっす。ちょっとビビったっす!

「ああ、でも……」

 ココちゃんは、性格がいいので、そういう裏技的なのは使わずに通過点を一つ二つと通過していくっす。

「まあ、ブースト使わなければ、普通の内火艇だからなぁ(^_^;)」

 第三ポイントを通過した時には5番目、6番目が森ノ宮殿下っす。

「意外にのろいのな、森ノ宮さん」

「ちがうぞ、オデンカン、万一のことが無いように、見守っているんだ」

「そうなんすかぁ……ちょっと詰まらねえかもっす」

「いや、折り返しを過ぎて、安心できたらダッシュをかけるつもりなんだろう」

「さすが船長、読みが深いっす!」

「フフフ、それぐらい読めなければ、貴様らのボスは務まらん」

「アハハ、そうっすね(^_^;)」

 
 で、それは、折り返し地点でスピンターンを決めようとした時に起こっちまったっす!

 
 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・255『船長がレースクイーンのコスで宣言したっす!』

2024-10-20 15:29:52 | 小説4
・255

『船長がレースクイーンのコスで宣言したっす!』 ツナカン 




 人が集まると騒いでみたくなるのがヒンメル魂っす!


 巨大戦艦と言ってもヒンメルは船は船、毎日同じ乗員同士顔付き合わせて、同じルーチンで任務とかこなしていると、マンネリっつうか飽きるっつうか、 モチベーションが下がるっす。 口に出しては言わねえっすけど、非常事態になった時にも十分能力が発揮できなくなる恐れも無きにしも非ずっす。

 で、冥王星軌道を離れた時にマーク船長たちファルコンZのクルーたちが密航してるのが分かって、ちょっとしたお祭り気分になったっす。


「ようし! では、ただいまからヒンメル・ファルコンZチーム対抗のボートレースを開催するぞ!!」

 船長がレースクイーンのコスで宣言したっす!

 ああ、やっぱ船長も分かってるんだなあと、ちょっと見直したっす(^_^;)

 
 ヒンメルは300名の乗員が三交代で勤務して、一直、二直、三直になってるんで、直番ごとのチームと兵科別(砲雷・航空・航海・機関・船務)のチームで競うっす。

 そして、直番と兵科の優勝者とファルコンZのチームが最終決戦やって最後の優勝者が決まるって段取りになってるっす。

 自分は副長なんで船務チームに混ぜてもらってるっす。副長なんて大した肩書っすけど、元々がストリートチルドレン。かっぱらったマシンをチューンしては悪さばかりやってたんで、こういう時は萌える、いや燃えるっす!

「副長、偵察してきました!」

 通信士のサバカンが目を輝かせて船務科のピットに戻ってきたっす。

「どうだった、ファルコンチームは?」

「はい、バルスってのがオーソリティーみたいで、マーク船長の無理な注文も半分以上こなして、内火艇とは思えないパワーがあるみたいです。特にブーストがハンパじゃないみたいで……」

「……内火艇をそこまでチューンしたら、急旋回した時のGに耐えられないっぽいぞ」

「はあ、構造補強もやってるんでしょうけど、外側からでは……」

「そういう時は敵の表情をだな……」

「はい、見てきました。マーク船長の目はうちの船長と缶蹴りやって勝ったときみたいな目をしてました。油断なりませんよ(;'△')」

「そ、そうか……!」


「おまえらぁ、あんまり熱くなるなよぉ」


 船長が涼しい顔をしてピットの入り口に立ったっす。

「って、このレース言い出したのは船長っすよ!」

「いやあ、シャケカンのところも見て来たんだけどなぁ、ピットの中がアッチッチでなあ。いやぁ困ったもんだ」

「船長ヽ(`Д´)ノ」

「怒るな、そこで対策を考えたぞ」

「対策ぅ(゛○゛)?」

「そうだ、決勝の前にエキシビジョンレースをやろうと思うんだ」

「エキシビジョンっすか?」

「ああ、勝ち負け抜きでホノボノするようなやつをな、考えたぞ(^▽^)」

 この笑顔はクセモノなんすけど、エキシビジョンなんで、そう物騒なこともないかと思ったっす。

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
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  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟

 
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銀河太平記・254『密航者っす!』

2024-10-15 17:13:26 | 小説4
・254

『密航者っす!』 ツナカン 




 ええと……解説の続きっす。


 読者の中には気づいてる人もいるかもっスけど、マーク船長のねぐらは、うちらの火星基地の裏側にあるっす。

 うちらの基地を畳むときには「もう少し様子を見る」ってことで残ってたっす。

 規模が小さいのと、大海賊アルルカンが退避した後ならかえって目立たないってことなんすけど、横着で面倒くさいからだと船長もヒンメルの乗員も思ってるっす。

 うちらは、超宇宙戦艦ヒンメルを使って銀河系レベルで活躍する大宇宙海賊。言ってみりゃ巨大企業なんすけど、マーク船長はファルコンZってボ-トみたいな宇宙船で、チマチマと太陽系の中を走り回ってる零細企業。

 その巨大企業のボスのアルルカンと零細企業のマーク船長は、表面はカタキ同士みたいなんすけど、根っこのところでは仲がいいっす。

 だから、駆逐艦松のブリッジに隠れていて、姿を現した今も「き、貴様ぁ、ファルコンZのマーク船長(;・`д・´)!」とか言いながら嬉しそうに松のデッキに上がって行ったっす。

「いやぁ、ちょっと事故っちまってファルコン・Zオシャカにしちまってな。他に船もねえから、冥王星のコレクションの中に忍び込んでお待ち申し上げていたってわけだ」

「不埒なやつめ! でも、よく松に乗り込んだもんだなあ。冥王星のコレクションは300隻はあるぞ」

「あはは、長い付き合い、アルルカンの趣味と事情は分かってるさ。お前なら、きっと松竹梅を選ぶってな」

「いや、ほんとはナガトを持っていくつもりだったんだぞ」

「でも、ツナカンやアルミカンに反対されて、妥協の末に松竹梅。図星だったろう?」

 アハハハハハ(ᵔᗜᵔ* ) 

「笑うなツナカン!」

「マーク船長、そっちのクルーはどうしたんすか?」

「ああ、竹と梅にな……」

 船長が指差すと、竹のデッキにバルスのおっさん、梅のデッキにミナホとポチが出てきたっす。

「おお、みんな元気にしてるっすかぁ(^▽^)/」

 思わずゲストのココちゃんたちと手を振ったっす!

『おーーい!』『元気かぁ!』『ワン!』

 向こうも元気に手を振ってくれたっす!

「あらあ、でも、みなさん顔や服が汚れてぇ……」

 ココちゃんが気づいて、うちらも、ちょっと気になったっす。

「ああ、密航してるだけじゃヒマなんでな、あっちこっち弄ってスペック上げといたんだ」

「ええ、わたしのコレクション触ったのか!?」

「映画の道具にされてた船だけど、レプリカのナガトと違って元々は現役の軍艦だ。触ってみたくもなるぜ……んな顔すんなよ」

「なんだか、自分の娘が好きにされたみたいだぞ」

「ちょ、マジで泣くなよ!」

「ググ、でも、マーク、なんでお前の服や手はきれいなまま……あ、そうか、いちばんオキニの松だけは触らなかったんだな!」

「いや、あいつらは興が乗っちまって、内火艇とかもいじってたからな」

『もう、ギンギンにチューンしました!』『ミナホもがんばりましたぁ!』『ワン!』

「ああ、目まいがぁ……」

「あ、船長!」

「アハハハ(≧ε≦*) 」

 ショックのあまりガラにもなくよろめく船長、反射神経で介抱するココちゃん、爆笑の周温雷。殿下(森ノ宮親王)と胡蝶さんは、さすがに微笑むだけっす。

 うちら乗組員は――ああ、またかあ――って感じなんすけど、これで挫ける船長じゃねえんす(^_^;)。

 でも!

 これ以上の話しは、このツナカンをもってしても心臓に悪いんで、この次にするっす(-_-;)。


☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
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銀河太平記・253『アルルカン、松を自慢する』

2024-10-11 15:20:32 | 小説4
・253

『アルルカン、松を自慢する』 ツナカン 




 ご無沙汰してるっす。ツナカンっす。

 ほら、銀河一の賞金首、海賊アルルカンの手下で、海賊船ヒンメルの副長のツナカンっす。

 あ、読者のみなさんとは192『ココちゃんに決めてもらうっす!』以来っすから、ちょっと解説するっす。

 火星では病気が流行るわ戦争は起こるわヤバヤバなんで、カサギのアジトを畳んだっす。カサギのアジトは扶桑幕府のお目こぼしでやってきたんで、密かに頼まれてココちゃん、須磨宮心子内親王殿下を密かにお乗せしてプロキシマ・ケンタウリbって4光年先の星に向かってるとこっす。

 ヒンメルは全長1200m、基準排水量600万トンて巨大戦艦なんすけど、とんでもねえ船で速度が光速を超えるっす。プロキシマだって一か月足らずで着くっす。

「だぁからぁ、いいだろぉ」

 船長はダダをこねて冥王星で船を停めたっす。

 冥王星の陰にはあちこちから拾ったりかっぱらったりした船が、船長はコレクションって言ってるっすけど隠してあるっす。

 で、船長は、ナガトのレプリカとか持っていくってきかなかったんすけどねえ。松・竹・梅の駆逐艦を持っていくってことで納得させたっす。

「いちど見ておくぞ」

 微速で出航して、航海長操艦になると、すぐに艦尾のウェルドッグに行きやがったっす。

「ナガトは残念だったけど、戦時急造艦もカクカクしててかわいいからなあ(^_^;)」

 お供は自分とゲストのみなさんっす。

 ゲストがいっしょなのは、見せびらかしたいからっす。ナガトを連れて行けなくて残念無念なのを、駆逐艦松を自慢することでなだめたいからっす。ゲストもいい人たちだから、みんなニコニコついて来てくれるっす。

「ほら、艦首がダブル・カーブド・バウじゃなくて直線なのがいいだろぉ! なんか、幼稚園出たばっかりの子がピンピンに折り目の付いた制服着てるみたいだろ! ちっこいのにいっちょまえに四連装の魚雷発射管持ってるとこなんて、ピカピカの一年坊主が大きなランドセル背負ってるみたいでカワイイぞ!」

「 煙突とか細くって、ほんとうに一年生の手足みたいですね」

「そうだろそうだろ(^▽^)」

 ココちゃんは付き合いがうまいっす。

「しかし、艦橋が低くて小さいなあ」

 周恩雷がボソリと印象を言うと――言うと思ったわ――って感じで指をチッチッチとワイプさせるっす。

「チッチッチ、中に入ってみるとな、航海用の装具は特型の駆逐艦よりも優れていて、船団護衛とかには心配りがされていてだなあ……」

 ラッタルを上がって甲板に向かうと、艦橋のてっぺんから誰かが飛び降りてきたっす!

「なにやつ!?」

 さすがにゲストを庇って、そいつに立ちふさがる船長! 自分も腰の拳銃を抜いたっす!

「おいおい、オレだよオレ(^_^;)」

 お道化てホールドアップするのは、船長のライバル、目の上のタンコブ!

「き、貴様ぁ、ファルコンZのマーク船長(;・`д・´)!」

 ニクソゲに言いながら、どこか嬉しそうな船長だったっす(^_^;)



☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 重要事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・252『朱元尚張り倒される』

2024-10-07 15:22:56 | 小説4
・252

『朱元尚張り倒される』 メグミ 




「フーちゃんを助ける!」

 ひとこと言うとマイさん(児玉元帥)は窪地を飛び出した。

 同時にわたしも飛び出す。ハナも同時に飛び出して、マイさんは0.02秒だけハナを視線の端に捉え、構わずに突き進む。

「そばを離れないで」

 一言だけハナに命じた。

 西之島戦争を経験した三人に、こまかな指示は要らない「フーちゃんを助ける」というだけで、戦術的な目安は決まっている。

 フーちゃんに向かって来るロシア兵を排除してフーちゃんを漢明の部隊に戻すことだ。広報とはいえ軍服を着たフーちゃんをこちらで保護することは憚られる。劉宏も前衛の一個分隊をだけしか救出の為に出していない。
 状況的には一個大隊を動かして完全を期さなければならないんだろうけど、そんなことをすれば本格的に漢明とロシアとの大戦争になってしまう。

 だから、マイさんはハナには命じたんだ。そばに居させておく限り、ハナが世界大戦を始めてしまう気遣いはないだろうし、青銅の騎士を相手をしながらの救出には十分役に立つ。

 漢明の分隊は数体の青銅の騎士に阻まれているけど、三騎ずつが当たってフーちゃんと朱准将に近づかせないようにしている。残りの騎兵は逃げ道確保のため啓開にあたっている。

 不十分だ。

 今さらに自分が窮地に陥っていることに気づいた朱元尚はオロオロするばかり。フーちゃんが泣きそうな顔でなだめたり逃げ道を示すが、ロクに聞いていない。その狼狽えぶりは馬にもうつって、オートホースのはずであるのにロデオに出たリアル馬のように暴れまわっている。

「いっそ、朱元尚のおっさんぶち殺してフーちゃん一人逃がしてやるのが早いぜ!」

 ハナが正論を言うけど、仮にも准将、死なれては漢明軍はじっとしているわけにはいかなくなるだろう。

「とにかく青銅の騎士を無効化、めぐみさんは一人でやって!」

「はい!」

 漢明兵が手を焼いている青銅の騎士に向かってジャンプ!

 一瞬目が合った漢明兵に「交给我吧 (まかせて)!」と叫ぶ。

 青銅の騎士の首に飛びつくわたしに目を丸くするが、味方であることは分かったみたいで、引き続き比較的弱点の手足の関節への攻撃を続ける。

 マイさんやハナほどではないけど、わたしもラボや診療所を守るため、西之島戦争では十数体のロボットを無力化した。こいつらの弱点は関節は第二なんだ。第一は首の後ろにあるサーキット。漢明製もロシア製も大きな違いは無いはずだ。
 むろん、首やら肩のアーマーで保護されているけれど、首に取りついてさえしまえば、意外と楽に処理できる。

 問題は、激しく動き回るロボットの首に掴まることだが、数多の戦闘を経験した三人には難しくはない。

 ガガガガガ ガガガガガ

 実直な漢明兵が足の関節を集中的に攻撃、騎士の首が膝に向いてアーマーと首の間に隙間ができ、その隙間にレーザータガーをぶち込み出力を最大にする。

 ピューーーン

 一丁上がり!

 ドシャ

 騎士が倒れる音を後ろに聞いて、次の騎士に取り掛かる。

 所要時間は30秒ほど、まだまだ天狗党で鍛えた腕は衰えていない。

 次、まだ馬を失っていない騎士に取り掛かる。視界の端にマイさんとハナが共同で騎士を倒しているのが見える。

 連携がとれていて、次に見た時には、もう三体目にかかっていた。

 しかし、易々と青銅の騎士を討ち取られ黙っているロシア軍ではない。一般騎兵たちがモンゴル騎兵の隙を縫って二騎、三騎とこちらに向かって来る。

 メグさん感謝!

 声に驚いて一瞬目を向けると、野戦服の上だけを兵隊のに換えた劉宏元帥が馬の背から騎士の首に飛びつくところだった。

 二秒で青銅の騎士を無力化した劉宏元帥は、たちまち朱元尚の馬を突き止め、鞭で朱元尚を絡めとると自分の馬の鞍壺に引き寄せる。

 パン!

 盛大な音をさせて朱元尚の顔を張り倒す。

 正気に戻すというよりは、ショックで動けなくさせ、馬の首に掴まらせたまま自分の旅団目がけて駆け去っていく。

 ありがとうございました!

 フーちゃんが泣き笑いでお礼を言いながらそれを追いかけ、残った分隊も空に向けて一斉射すると旅団の待つ方角に走り去っていった。

 
 マイさんがボートに戻ってきたのは、それから三十分以上経ってからだった。

「いやあ、どういうわけか孫大人まで出向いてきていてね、テムジンも居たもんだから馬乳酒で乾杯してきた」

「え、孫大人もですか?」

「あいつ、きれいな女の人連れてやがってよ、ちょっと冷やかしたら……」

「まあ、言ってやらないでよ。大事にしてるみたいだったし」

「えへへ、弱みを握るってのは面白れぇかもな」

「ハナ、人が悪くなったぁ」

「まあいい、とりあえず戦争の芽は摘み取れた」

「マイさん、元帥に戻ってます」

「アハハ(^_^;)」

「なあ、帰ったらよぉ……」

 ゆっくりお風呂に入ろうということにまとまって、一路西之島に向け、ボートはモンゴル平原を東に走った。

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・251『ペシペシと頬を叩く劉宏』

2024-10-03 11:26:50 | 小説4
・251

『ペシペシと頬を叩く劉宏』 劉宏元帥 




 青銅の騎士は超小型の核エネルギーエンジンを動力とし、チタン合金の装甲で全身を覆ったロボット騎兵だ。

 二十三世紀の今日、兵器に限らず、世界の動力はパルスエンジンが標準なのだが、ロシアは艦船や大型の航空機以外は核融合エンジンに頼っている。
 小型化などの技術が未発達なのだ。民生品は輸入のパルスエンジンを使っているが、軍用品には使えない。輸入品はどこで外国の軍隊や諜報機関と結びついているか分からず、情報が筒抜けで、いざというところでロシアの支配を離れてコントロールされてしまうかもしれない。また、アンチパルス化された空間ではパルスエンジンは使えない。

 我が漢明軍も同様なのだが、燃料はパルスバッテリーを使っている。エンジンではなく動力源なのでアンチパルスの影響を受けることも無く、ロシアのそれよりも出力は二倍から三倍になる。

 漢明軍が本気で乗りだせば、互角に戦えるロシア兵は青銅の騎士ぐらいしかいない。

 数において十分とは言えない青銅の騎士は、我が軍と渡り合えば、各個撃破される。じっさい、目の前でモンゴル騎兵が身を犠牲にしながらも十騎あまりの青銅の騎士を撃破している。

 第二次大戦におけるドイツのタイガー戦車の運命に似ている。1対4までなら怖れる敵のいないタイガーだが、連合軍は5両以上の戦車で対処することでタイガーを仕留めていった。我が軍には、青銅の騎士を5騎以上で対処するだけの兵が準備されている。

 他にも厄介な問題がある。

 ロシアは、いざとなれば人の命など、たとえ自国民であっても考慮しない国なのだ。第二次大戦でロシア人は三千万も人命を失ったが政権が倒れることは無かった。

 ロシアは、いざとなれば無尽蔵と言っていい兵力を繰り出せる。

 どのように優れた兵器と優秀な軍隊を持つ国でも、ロシアと事を構えるのは二の足を踏む。

 ……どうも、こと軍事のことになると、劉宏の思考になってしまって王春華の姿には似つかわしくない言葉になってしまう(-_-;)。


 ペシペシ


 両手で頬を叩くと、近くの兵たちがクスリと笑う。

 テヘペロまではカマさないが、十分にクールダウンできた。

 と、肩の力を抜いたら、その努力を踏みにじる者が現れた。

「朱准将が突出していきます!」

 副官が叫んで、わたしは馬の上で跳びあがってしまった!

「胡盛媛中尉が追っております」

 だめだ、すぐに国境を超えてしまう!

「引き止めろ!」

 一声で十分。

 旅団長が手を挙げると、スイッチが入ったように前衛のうちの一個分隊が飛び出していく。

 しかし遅かった。

 分隊があと数十メートルというところで朱元尚は国境を跨いでしまい、次の瞬間には青銅の騎士を先頭に十数騎のロシア兵が二人に向かってきたのだ!



☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・250『ボートを出て密かに観戦』

2024-09-26 11:02:18 | 小説4
・250

『ボートを出て密かに観戦』 メグミ 




 露蒙騎馬軍団の衝突は五分五分に見えた。

 むろん、ボ-トを出て草原の窪地に身を潜めての印象だから戦場全体が見えているわけではないけど、西之島戦争や天狗党での経験が、そう判断させる。

ハナ:「くそ、身震いしちまうぜ!」

メグミ:「用を足すなら、あっちの茂みでやってよねぇ」

ハナ:「ち、ちげーよ! 武者震いだ(>▢<)」

メグミ:「これは他人様の戦争だよ」

ハナ:「わ、分かってるよ(;'▭')。でもよ、青銅の騎士は反則じゃねえかぁ……」

 戦争に反則も無いんだけど、ハナの感覚では人の10倍はあるだろう青銅の騎士の戦闘力、防御力は反則めいて見えるんだろう。

マイ:「テムジンは綻びを探してるのよ。いや、綻びを作っている。走り回っていれば、敵も味方も流動化せざるを得なくって、流動化してしまえば、おのずと隙ができるわ。騎兵戦闘ではモンゴルに一日の長がある、隙ができる確率はロシア軍の方が大きい」

 さすがはマイさん、いや児玉元帥。

ハナ:「よくジレねえなあ劉宏も」

メグミ:「漢明は見ているだけよ。ああやって元帥であり大統領である劉宏が出張っていることが最大の抑止力になるのよ。ね、よく見てみ、劉宏の軍団には闘気が感じられないでしょ」

ハナ:「そ、そうだな。メグミもなかなかの読みじゃねえか(`^´)」

 マイさんの視線が目の前の戦闘からハンベに移った。何を見ているんだろう……今のモンゴルではパルス機器は使えない。偵察衛星も軍事に関する情報はほとんどブロックされているはずだ。

マイ:「経済情報は伝わるのよ」

ハナ:「ええ、ここは戦場だろ?」

マイ:「ドンパチやるだけが戦争じゃないのよ。見てごらんなさい」

ハナ:「え、グラフとか数字とかはカラッキシなんだぞ(^△^;)」

メグミ:「え……ルーブルがメチャクチャ下がってる!」

マイ:「劉宏が手持ちのロシア国債を売りに出した。漢明だけじゃない、世界中が売りに出してる。劉宏が手を回したんでしょうねえ。化石燃料も半分以上取引停止にして、各国も追随しつつあるみたいよ」

メグミ:「ロシアは長期戦には耐えられませんねぇ」

マイ:「ええ、このモンゴルの戦闘が最初で最後になるでしょうねえ」

 わざわざ西之島からボートを飛ばしてきたけど、意外にあっけない。

ハナ:「あ、漢明の方から誰か駆けてくるぞ!」

 ハナが目を剥いて指さした方角。漢明の隊列から二騎駆けだしてきた。

メグミ:「あれは……朱元尚……後ろはフーちゃんだ!」

マイ:「まずいなあ……」

 マイさんの心配はすぐに状況の変化として現れた。

 露蒙両軍の一部がこれに気づき、モンゴルは無視したが、ロシアは数瞬で敵認定し、十数騎が二人に向かった。

 今の今まで眠ったように静かだった漢明軍にも、いっせいに緊張が走った!



☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
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  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
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銀河太平記・249『突出する准将』

2024-09-21 09:20:49 | 小説4
・249

『突出する准将』 胡盛媛中尉




 国境の向こうで戦闘が始まっても騎兵三個旅団は、パレードの順番を待っているみたいに落ち着いている。いたずらに緊張したりテンションが上がっているのは、わずかの新兵たちと、うちの准将ぐらい。

 まだ少年の匂いの残る二等兵はともかく、准将がワタワタしているのは、ちょっとみっともない。

 うちの准将は兵学校こそは出ているけど、ほとんど軍政畑に身を置いて、戦闘経験はおろか実戦部隊に居たこともほとんど無い。

 わたしがしっかりしなくっちゃ。

 一人は全員のために、全員は一人のために……お父さんが教えてくれた。

 単なるスポーツの教訓なんかじゃない。軍隊、いえ、人が複数で行動する時には必要な心構えだって言っていた。

 見渡すとあがっている新兵のそばにはベテランの兵が付いている。あるいは、伍長や先任の兵が寄り添っている。

 わたしも僭越ながら准将の傍を離れないようにしなければ。


 カメラを国境の向こう、始まったばかりの戦場に向ける。


 活発に両軍の騎兵が動く中にひときわ大きな騎兵があちこちに見える――青銅の騎士――だ。

 モンゴルの騎兵は巧みに青銅の騎士を躱して通常の騎兵を攻撃している。数騎で取り囲んだかと思うと、直後にその場を離れる。すると、ロシアの騎兵が倒れる。時どきは二三騎まとまって倒され、次の数騎が止めをさす。

 モンゴル騎兵のワイヤー攻撃だ。でも、青銅の騎士には通じない。青銅の騎士はその大剣で易々とワイヤーを切り、直近のモンゴル騎兵を追って、馬ぐるみ切り捨てていく。

 しかし、モンゴル騎兵も、その間に一騎二騎と敵と味方の間に入り青銅の騎士の目を逸らせて、味方を救う。しかし、その救助も必ず成功するわけではなく、まとめて返り討ちになりそうなモンゴル騎兵もチラホラ。

 10分ほどすると、モンゴル兵は青銅の騎士を避けて、通常の騎兵や、その背後の騎兵砲部隊に襲い掛かる。奥に入り過ぎたモンゴル騎兵を青銅の騎士を先頭に数騎のロシア騎兵が囲み、討ち取られる者、逃げおおせる者。ざっと見て五分五分の戦い……いや、微妙にモンゴルが押されているのかもしれない。

 数の上では、圧倒的にロシア兵が多い。この戦いぶりでは、時間が経つとモンゴルが不利だ。

「そうとも限らないわよ……」

 いつの間にか准将とわたしは劉宏元帥の傍まで来ていて、元帥は、わたしの心配が分かったように呟いた。

「全軍、西北に移動」

 元帥は右手を上げて進路を示し、静かに移動し始める。

 攻撃に移るわけではない、牽制しているんだ。ロシア軍が吊られて横に伸びる。本能的に漢明軍の介入を恐れているんだ。

 その僅かな怖れの隙を狙って、十騎あまりのモンゴル騎兵が一騎の青銅の騎士を取り囲み、甲冑の隙間目がけ、同時に銃を撃つ。

 パパパパーン!

 ほとんどゼロ距離射撃された徹甲弾は、騎士の関節を狂わせ、一ニ発はメインサーキットにダメージを与えて無力化していく。一体だけだったけど、突然爆発して支援に来た通常騎兵もろとも爆散した者もいる。

「おもしろい!」

 ひとこと叫ぶと、准将は突然駆けだした!

「部長!」

 わたしも追随する。このまま駆けては国境を超えて戦場に突入してしまう。広報とは言え軍人、軍服を着て携帯用の銃は持っている。戦闘への参入ととられても不思議ではない。背後の味方には期待できない。大人数が出てしまえば、本当の参入、参戦になってしまう。

 一刻も早く連れ戻さなきゃ!

「部長ぉー! 准将ぉー! 停まってくださーーい!」

 声が届かない……准将の馬は上級将校用のオートホース、わたしのはリアルポニー。届かないかぁ……。

 これはもう、准将の馬を撃って強制停止……カメラを銃に換えて狙ってみる……でも、射撃に自信のある方じゃない。間違って准将に当ってしまうかも。

 ピピピピ ピピピピ

 あ(''◇'')!

 迷っているうちにハンベのアラーム。

 国境を超えてしまった!

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・248『モン漢国境沿いで初任務』

2024-09-16 11:35:12 | 小説4
・248

『モン漢国境沿いで初任務』 胡盛媛中尉




 うちの騎兵三個旅団は見せ駒なんだ。


 騎兵旅団というのはナポレオンの昔から馬に乗った兵士の部隊ということなんだけども、三百年前に戦車が現れると、馬に乗ってる分、歩兵よりも速いというだけの騎兵は役目が無い。いや、ロボット兵なら、時速100キロで走るのがザラにいるから、ほんとうに辺境のパトロールやパレードぐらいしか使い道が無い。
 だから、第一次大戦から騎兵は馬の代わりに戦車に乗るようになって騎兵部隊とは機甲部隊、つまり戦車隊のことになった。だから、騎兵と言っても馬に乗るのは健軍祭のパレードで戦車部隊の前に一個中隊分の騎兵を歩かせるだけ。その騎兵も一個小隊を除いてはオートホース、つまりロボット馬。
 リアル馬をたくさん出すと落とし物の心配がある。パレ-ドが通った後に落とし物が残って、後続の部隊がグチャグチャに踏んでは、見た目も臭いもすごいことになる。だから、パレードの時のリアル馬は落とし物のしつけを施した一個小隊だけ。

 いま、その一個小隊のリアル馬を前衛にオートホース一個大隊。その後ろに三個旅団の戦車部隊と自走砲部隊。つまり、パレードの時の編成と同じ。つまり、見かけは立派だけども本気で戦争をやるつもりなないという編成。

 工兵隊や補給部隊、そしてなによりも歩兵部隊を連れていないので本気ではないということが、軍人でなくとも、ミリオタの高校生にだって読み取れる。

 つまりつまり、漢明軍はパレード用の部隊をモン漢国境沿いに並べ、折り目正しく国家的警戒感を示しているだけなんだ。


「中尉、カメラカメラ!」


 大佐、いや准将が手をはためかせてわたしを呼ぶ。

「元帥がお出ましになった、絶好のシャッターチャンス!」

「はい!」

 わたしは、自身でカメラを担いで馬(広報用のポニー)に乗り、頭の上三メートルにはドローンを付き従わせて劉宏元帥の前に出る。

 幕舎の脇には『帥』の元帥旗と、今朝はその半分の『劉』の字を染めだしたのが並んで草原の風にはためいている。背後と左右には一個大隊の騎兵部隊が徒列。

 元帥の野戦服に身を包んで騎乗している姿は、馬が立派な分、ちょっと可愛い。アイドルが一日署長を引き受けたみたいで、なんだかプロモーションビデオを撮っているような気になってくる。

「下から舐めるように、そう、元帥の右から左に抜けて、カメラはあくまでも元帥に。ドローンはちょっと引き気味でフォローさせよう……」

「こんな感じですか?」

「そうそう、元帥旗と被った時はゆる~くズームして、さり気にアップ……よーし、オーケー」

「あと、部隊の全景とかは……」

「まだ撮っとらんのかね」

「あ、整列したのは初めてですから」

「仕方ない、このあと、馬で駆けながら撮ろう」

 他にも二班撮影隊が居るんだけれど、准将は半分以上わたしの横に付いている。別に、旧上司の娘であることをおもんばかってのことじゃない。わたしに付いていれば元帥と接触する機会が多いからだ。

 ウワァァァァァァ  ドーーーーン  ドーーーーン  パチパチパチ

 国境の向こうから吶喊の声やら、銃撃、砲撃の音が聞こえ始めた。

 どうやら、再びモンゴル騎兵とロシア軍の戦いが始まったようだ。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・247『朱元尚 大統領と写真を撮る』

2024-09-13 14:36:24 | 小説4
・247

『朱元尚 大統領と写真を撮る』 朱元尚



 大統領の権限は大きく且つ広範囲に及ぶ。


 この朱元尚を資源開発公司の管理職のまま現職に戻し、准将にした。

 選鉱機の情報を獲得しホトケノザの試掘事業にも目鼻を付けたのだから、少将に進級して、中央の軍政職に就けるかと思った。軍務局長か作戦部次長、あるいは軍需局長。

 それが准将という半端な階級で中央軍の広報部長という役職だ。

 補任にあたっては異例なことに劉宏大統領自らが官邸に呼び出して行われた。

 大統領は陸軍元帥の軍服姿で現れた。

「いやあ、一昨日陸軍長官を罷免した後、後継が決まらなくて、暫定的にわたしが陸軍長官を兼務してるの。本来なら陸軍省の長官室で行わなければならないんだけど、仕事が立て込んでいて呼びつけることになってしまった。ごめんなさいね」

 王春華のボディーにPIしてからは言葉遣いを改めている。わたしもTPOを考える方だが、大統領の立ち振る舞いはリラックスしていてとても自然だ。

「いえ、准将クラスの補任は書類で済ますことが多くありますので、かえって恐縮しております」

 そう、准将クラスの補任は少将以上の補任がある場合についでに行われる。昔の王朝時代の言葉で言えば、少将以上が上から二番目の勅任官。准将は将の字がついてはいるが三番目の奏任官。奏任官なら、直属上司である長官から辞令を交付されるだけ。大統領から直接辞令をもらうことは、少将以上のついでがない限り行われない。厚遇であることに違いは無い。

「広報は、軍の内外、身軽に飛び回れて短期に見聞を広められるわ。人はどういうか分からないけれど、近い将来に軍の、あるいは軍関連機関の枢要に立つ人には適任のポジションだと思うわ」

「はい、この朱元尚、粉骨砕身任務に励みます」


 それから辞令が交付され、これでお仕舞と思ったら、大統領が意外の提案をしてきた。


「せっかくだから記念写真を撮りましょう」

「き、記念写真ですか!?」

 思わず声が上ずってしまった。補任のおりに記念写真を撮るのは親任官たる上将に限られ、准将単独ではあり得ない。

 これは軍広報のトップに『新任広報部長補任式』と大々的に載せられる。

 少なくとも「えぇ、准将なのぉ」と不足顔だったカミさんには喜んでもらえる。

「じゃあ、記念写真撮るから、お願い」

 大統領がインタホンに呼びかけると、すでに待機していたんだろう広報係りが三脚付きのカメラを持って次室から現れた。

「失礼します」

「え?」

「ごめん、驚かせたかなあ。君が粉を振っていたのを聞いてね、大佐、いや准将の人事と同時に発令しておいたの(๑´ڤ`๑) 」

「よろしくお願いします、准将(''◇'')ゞ」

「あ、ああ、よろしくな胡盛媛中尉」

「じゃ、その国旗の前にしましょうか」

「ハ!」

 勇んで国旗の前に行く……と、大統領が横に並んだ!

「え、あの、ごいっしょされるんですか?」

「はい」

 普通補任の記念写真は国旗の前で起立の姿勢で撮る。任命者が横に並んで撮ることなどあり得ない。

 すごい厚遇!

「視察の時なんか、よく現場の人といっしょに写真撮りますからねえ(^▭^)」

 そうだ、大統領は視察どころか、どうかすると官邸の庭掃除をやっているオバサンなどとも気楽に写真を撮っている。

 ということは、ただのスナップ写真?

「あ、えと……大統領」

「なあに、フーちゃん?」

 フ、フーちゃん? 

 あ、そうか、以前プライベートで西之島に行った大統領と胡盛媛中尉は既知の仲なんだった。

「あのう……軍服の写り具合が、生地の質感が違うので……」

「ああ、わたしのは、間に合わせのお仕着せだものねぇ」

「はい、准将のは上海縫製公司のオーダーメイドの英国製の生地で、レンズを通すと……補正はできますが」

 そうだ、西之島で以前のはダメにしてしまったが、帰国するとカミさんが新たに注文して、そのおろしたてをを着てきたんだ。

「軍服なんて、しばらく着てなかったからねえ……まあ、このままでいいわ。今日は准将が主役なんだし」

「承知しました」

「じゃ、お願いね」

「では、撮りまーす」

 パシャパシャ パシャ パシャパシャ パシャ

 十数枚の写真を撮って、そのうちの三枚が、その日のうちに大統領のSNSと軍の広報に載った。

 写真は無修正で、明らかにわたしの方が軍服もきれいでキマッテいるのだが、大統領のフランクさと可愛らしさが勝っている。

 大統領のSNSのは、三枚の写真――どれがいいか分からないので三枚とも出しました(^_^;)――と手書きのキャプションが付いている。

 いちばんイイネが付いたのは、セルフタイマーにして中尉も入って三人揃ってピースを決めた一枚だった(-_-;)。上海縫製公司のオーダーメイドでキメタわたしは、そのぎこちない笑顔ともども「悪党のボスみたい」「なにか企んでるみたいな?」「大人の七五三!」などとさんざんだった。


 その准将補任式から十日、わたしは騎兵三個旅団を率いてモン漢国境沿いに出師された大統領の簡易幕舎の横、広報部20名を引き連れて待機している。

 大統領の幕舎には元帥であることを現す『師』の旗、わたしのそれには『広』の旗が草原の風にはためいている。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・246『ボートは西を目指して』

2024-09-08 12:01:56 | 小説4
・246

『ボートは西を目指して』 メグミ




 世界中のプライベートボートの最高峰は孫大人の筋斗雲。第二が劉宏大統領のオイド。その第二のオイドと遜色が無いのがマイさん(実は児玉元帥)のボート。マイさんのボートもオイドを原型にさまざまな改良が成されて別物と言っていいものなんだけど、マイさんは単に『ボート』とか『うちのボート』としか呼ばない。

 そのボートに乗ってモンゴル平原を目指している。

 ロシアが南に下ってきている。

 ロシアは最初マンチュリアに下りてきて沿海州から鴨緑江辺りを切り取るつもりだった。半ば観測のつもりで撃った弾道ミサイルが全弾撃ち落とされ、防備が硬いことを知ってモンゴルに目標を切り替えた。

 最終目標は極東において不凍港を獲得し太平洋から世界に進出しようと言う、数百年前の帝政ロシア時代からの夢だ。

 この宇宙時代に不凍港もないのだけど、民族的、あるいは国家的生理というのは動かしがたい、あるいは度しがたいもののようだ。

 中国は漢明という核を広げようか、あるいは核のまま充実を図ろうか迷っている。

 中国は大帝国になると80年、長くとも100年で衰退と分裂の時代に入る。今の中国は漢明という国号の通り、ほぼ漢民族だけで結束した国。劉宏大統領は心の奥では漢明のまま国力の充実を図ろうとしている。その方が強く安定した国家になることを理解しているんだ。

 いかつい将軍の姿を捨てて王春華の可憐なボディーにPIしたのは、不慮の事故のためだと言われているが、わたしもマイさんも大統領の深慮遠謀だと思っている。
 しかし、いかに劉宏大統領が可憐な姿になって中華の充実と世界の平和を願っても、漢明十億の本能を制御することは難しい。偉大な軍人であり政治家である彼は戦いながらも、絶えず現状での落としどころを探っているはずだ。

 だからこそ、マイさんはシマイルカンパニーのオイドを駆って西太平洋を超えてモンゴル平原を目指している。
 今次のモンゴル事変の成り行きと、劉宏大統領の目の色、心の在りかを確かめるために。そして、事変規模の紛争を戦争に拡大させないために。

「それに、どうやら孫大人もしゃしゃり出てきているようだしね」

「え、あ、そうですね(^△^;)」

 心の中で思いを巡らせていただけなのに、しっかり読まれて、まるで会話していたかのように言葉が返ってくる。マイさんも油断がならない(^_^;)。

「向こうに着いたら戦うことになるんだろ、西之島戦争からこっち、実戦やってねえから、体が疼いちまってよ~」

「アハハ、しょうがない奴だなあ、ハナは」

「あ、いや、あくまで自衛のためしかしねえし」

「メグさん、ちょっと鏡見せてやってよ」

「はい」

「あ、いらねえって! あ、止めてよオートミラーは!」

 首を動かしても目をつぶっても見えてしまうオートミラーを強制モードにしてやる。

「あ、アハハハ……可愛くし過ぎなんだよメグさんはぁ(''='')」

「長いことほったらかしにしといたし、年が明ければ18なんだし。日本の法律だと、もう成年だぞ」

「わ、分かってるよぉ(n*´△`*n)」

「あ、またフーちゃんの放送が始まるわよ」

 マイさんが目の前をワイプするとフロントガラスの前に仮想モニターが現れた。

『ニーメンハオ漢明軍のみなさん。こんにちは世界のみなさん。胡盛媛がお送りします『KMミリタリー』の臨時ニュースです。昨日から散発的にロシア軍とモンゴル騎兵部隊との戦闘が続いていますが、今朝、未明から大きな動きがありました。青銅の騎士たちに包囲され身動きが取れなかったリムジンとドライジンの部隊ですが、未明にテムジンがわずか十数騎を引き連れて奇襲攻撃を加え、騎兵一個中隊と青銅の騎士二体を撃破しました。青銅の騎士は、それぞれ首と右腕を失いましたが完全な破壊には至っていない模様です。破壊には至っておりませんが、ロシア側は大事をとって部隊を数キロ下げた模様です。テムジンの部隊には10名ほどの戦死者が出た模様で、ただいまは、戦死者の回収と負傷者の治療にあたっているようです。軍事用語では戦場整理と申しますが、これは、おそらく数時間で終了になり、午後には再び戦端が開かれる見込み……え、あ、部長から、我々も前線に出るようにと命令を受けました、え、あ、ちょ、部長……』

『オホン、ロシア軍は思いのほか慎重、最前線での実況も可能なようなので、乾坤一擲のレポートをお送りしたいと思います(^▽^)』

「なんだか、いろいろ面白いことになりそうね」

 水平線の向こうに八重山諸島が見え始め、オイドは進路を北に向けて沿海州を目指した。
 

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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銀河太平記・245『ハナの皮膚を張り替える』

2024-09-03 15:10:47 | 小説4
・245

『ハナの皮膚を張り替える』 メグミ




「新造した方が早いんだけどねえ……」

「フフ、メグさん、三回目だぞ」

「あ……でもねえ」

 つい言ってしまう。

 胸の皮膚を張り替えてやりながら、つい口に出てしまう。

 ハナの義体は世代も型番も違う寄せ集めで出来ている。そのために、全身を同じ規格の表皮で覆うことができない。当然色合いも質感も異なり、見た目にはほとんどフランケンシュタインだ。
 
 西之島戦争では全損といっていいダメージを受けたハナだけど、コアブレインが無事だったので奇跡的に復元してやることができた。
 思えば、あの時に新造ボディーにしてやれば良かったんだけど、早く現場に戻りたがったし、正直ハナ一人に十分な時間や資材をかけてやる余裕も無かった。本人も全然平気にしていたしね。取りあえずは首から上と肩から先の見てくれだけを整えてやった。

「着替えの度にバイトの子が卒倒するようじゃなあ」

「あ、まあ、それもそうだけどな」

「とりあえずは、腕と胸から上だけはやっておこう」

「何分ぐらいかかる?」

「まあ、半日だね」

「半日もジッとしてんのかよ!?」

「辛抱しろ、いちおう外国に行くんだ人をビビらすことのないようにしとかなくちゃな」

「あ、ああ、分かったよ。でもさ、半日黙ってたら死んじまうからよ、なにか話してくれよ」

「そうだな、こんな機会もそうそう無いだろうしな」

 昨日の『KMミリタリー』を見てマイ(児玉元帥)さんが現地に行くと言い出した。

 青銅の騎士がひっかかったんだ。

 青銅の騎士はロシアが作ったロボット騎士。個体によっては人の脳を使っているという情報もあって、それを信じるならハナと同様、義体化が進んだ人間ということになるが、詳細は秘匿されているのでロボットにカテゴライズされている。

 製造にあたってはパルス動力の工作機械を騎士一機の製造に一台摺りつぶすほどに使われており、特に骨格と外殻は並のパルス特殊鋼の数倍の強さがあると言われ、運動性能と抗堪性(こうたんせい) は世界一だと言われている。
 それに、動力はパルス機関ではなくボディーに収められた超小型核融合炉なので、AP機の影響を受けないし、道義的責任を問われることもない。

 マイさんや王春華のスペックなら倒せないことも無いだろうが、重装甲の戦闘艦を撃破するくらいの手間と時間がかかる。まして、青銅の騎士は人の形と大きさ。数はそれほど多くは無いだろうが、連携してかかって来られたら攻撃できる時間も限られる。

 まあ、それもこれも含めて現物を見て、対策を考えようというのがマイさんの狙いなんだろう。

 阻止しなければならないのは、ロシア軍の漢明への侵入だ。侵入したとしても数個騎兵旅団でどうこうできるほど漢明は甘くない。せいぜい、数時間か数日か侵入した事実を残せるだけだ。
 しかし、ほんの数日でも居座られては漢明の威信が揺らぐ。威信が揺らげば、周辺国は漢明を侮り、国内的にも安定を欠くことになる。せっかくPIに成功して順調に内政を立て直しつつある劉宏政権の土台を揺るがすことになる。

 今の劉宏政権なら日本や西之島との平和的共存の道を探っていくに違いない。漢明が再び武断的政策をとるようになれば、漢明自身にも大きな損失、後退になるだろうし、世界の恒久的平和も絵に描いた餅になり果ててしまうだろう。

 地球が乱れれば月や火星も不安定化し、宇宙規模で言えばようやく緒に就いたばかりの太陽系の開拓、銀河宇宙への進出にも望ましくない影響が出るに違いない。

「なあ、一人で自分の世界に入られたら、退屈で仕方ねえんだけど」

「え、ああ、ごめんごめん(^_^;)。ハナはさ、将来の夢とかあるのか?」

「夢? 夢なら、もう叶ってるぞ」

「そうなのか?」

「うん、食うに困らなくってよ、なんでも言える仲間がいてよ、仕事もあってよ。食堂と神社と鉱山。一人で三つもこなせてよ、シゲジイもお岩さんも口は悪いけどよ、なんか、お袋と親父みたいでよ。メグさんは姉ちゃんみたいだし、バイトの連中は近所の手下って感じで。ハナ的には言うことねえ」

「そうか、そうなんだ」

「ああ、そうさ。だからよ、この島守ることなら、なんだってしてやる」

「それは心強いな」

「おお、任せとけ」

「でもさ、ハナはまだまだ若いじゃないか」

「お、おう。永遠の十七歳ってやつだ」

「ハハ、なんか似合わねえ」

「うっせー!」

「お姉ちゃんだからな」

「くそ、余計なこと言っちまった(;'∀')」

「旅行したいとか思わないのか?」

「え、ああ……」

「どうしたぁ?」

「西之島以外じゃ、その……いいこと無かったしな」

「ハナが見た世界なんて、ほんのハナクソみたいなもんだぞ」

「あはは、ハナクソかぁ……うん、クソにはちげえねえよ」

「いつか世界が平和になったら、お姉ちゃんと世界旅行に行こう!」

「世界旅行? メグさんとかあ?」

「いやか?」

「あ……それもいいけど、島のみんなで行くのもいいなあ」

「団体旅行かぁ……」

「それと……」

「それと?」

「え、あ……なんでもねえ」

 それから、ずっとあれこれ脈絡もなくお喋りして、最後に皮膚の定着をし終わった時、この妹分は静かに寝息を立てていた。


 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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銀河太平記・244『お岩食堂でKMミリタリー放送を聴く』

2024-08-30 16:49:29 | 小説4
・244

『お岩食堂でKMミリタリー放送を聴く』 メグミ



 島のクセモノたちがお岩食堂に集まっている。

 西之島最大の食堂はブンカ―の基地食堂なんだけど、みんなお岩食堂に集まりたがる。

 安くておいしいご飯が食べられるだけじゃなくて、アットホームな雰囲気が好まれてる。本来はカンパニーの社員食堂なんだけど、来る者は拒まずで、胡同(フートン)やナバホ村、ちょっと遠いけど市役所のある北区からも人が来る。

 ちなみに西之島はいちおう日本領で、日本の地方自治法が適用され、島は東西南北四つの区になっている。けれど日ごろ〇区と呼ばれるのは北区だけで、あとは旧来の呼称(胡同・ナバホ村・カンパニー)と呼ばれて結びつきが強い。

 食堂の主はお岩さん。

 昔々は月で金融関係の仕事をしていたらしいけど、その後いろんな道をたどって食堂の女将に収まった。西之島戦争の時は部隊指揮も立派にこなして、ほんとうに正体不明の女傑。

 従業員は食堂の近くにある氷室神社巫女のハナ。神主のシゲ老人ともどもカンパニーの鉱山で働いていたんだけど、シゲ老人が神社を造ると巫女を兼ねるようになり、今では食堂の人気ウェイトレスでもある。

 近ごろは北区の街の子たちもバイトで入ってくれるようになった。単に小遣い稼ぎというだけではなく、人間関係や人との接触、付き合い方の勉強になるというので、地味に人気がある。

 かくいうわたしもラボの仕事のキリが付くと自然と足が向く島のホットステーション。

メグミ:「はい、来月のシフト表できたわよ~」

 ハンベで作ったシフトを厨房のPCに送る。

お岩:「ごめんねメグ、ビールでも飲んで帰ってぇ!」

メグミ:「うん、ありがとう!」

 お礼を言った時には、もうシフト表のプリントアウトと張り出し用の指示ををしてカツ丼五人前を作り始めている。

 カツ丼の他に油の爆ぜる音がしたかと思うと、いつの間にかハナが巫女服のまま炒め物を作り、その横でバイトの子がカツ丼のご飯をよそって炒め物の皿を並べている。

シゲ:「こらぁ! 食堂じゃ巫女服脱げって言ってんだろがあ!」

 シゲ老人がビールの泡を飛ばしながら文句を言う。

ハナ:「もう、自分は神主服のままだろがあ! ちょっと頼む」

 バイトの見習いに頼むと、その場で巫女服を脱ぎ始める。

 みんなは慣れっこだけど、バイトの子たちは慣れなくて目のやり場に困ってる。ここに来たころのハナは野生児というか、ほんの子どもだったけど、このごろは一人前の体格になってきた。

 ヒィ!

 バイトの一人が小さく悲鳴を上げる。

 身を隠すと言うことをしないので、体のあちこちの傷跡が丸見えになるんだ。

 顔や手先の見えるところは直してやったんだけど、服で隠れるところは後回しになってる……そろそろ直してやらなくちゃなあ。

 はい、おまちぃ! ハナぁ、あと頼んだよぉ!

 へい!

 隣りのテーブルの客にカツ丼を渡すと、お岩さんが横に座って、それを待っていたかのようにモニターにフーちゃんの軍服姿が映った。

お岩:「ピッタリのタイミングだ」

メグミ:「タイマーでもかけてんのぉ?」

お岩:「フーちゃんは娘みたいなもんだからねぇ、気になって、いつもタイミングが合っちまう」

 この時間はKMミリタリー放送(漢明の軍隊放送)の時間で、近ごろ国内外で評判のいいフーちゃんが担当している。

胡盛媛中尉:「ニーメンハオ漢明軍のみなさん。こんにちは世界のみなさん。胡盛媛がお送りします『KMミリタリー』の時間です。先日マンチュリーへのミサイル攻撃に失敗したロシアは、その攻撃をモンゴルに向けました。ロシアの狙いはモンゴルを勢力下に置いたのち、我が漢明と雌雄を決するところにあると思われます。一昨日ハルハ川河畔で痛手を被ったロシア第三騎兵旅団は西に向かって東より侵入してきた第一第二旅団と合流を目指している模様です」

 画面がモンゴルの地図に切り替わる。

胡盛媛中尉:「西のモンゴル平原では第三旅団に壊滅的打撃を加えたテムジンの息子、リムジン、ドライジンの騎兵部隊が待ち受けている様子です。合流の為に西に向かっている第一旅団ですが、現在はその進撃速度が落ち、待ち受けていたテムジン部隊に痛手を受けたと思われ、一両日にには火ぶたが切られるであろう西部戦線の展開は予断は許さないと、我が統合参謀本部戦略室は見ております……あ、追加のニュースが入ってきました」

 画面の外から原稿が手渡される。なんか大昔のテレビニュースみたいだけど、こういうアナログ感がフーちゃんにも合っていて人気になっている。

 原稿を渡されたフーちゃんが、一瞬、笑顔のまま固まってしまう。

胡盛媛中尉:「ただいま命令を拝受いたしました。本職は、このままモンゴル平原に取材に参ります。つきまして……え、部長?」

 食堂中に怨嗟の声が上がった!

 なんと画面に朱元尚大佐が割り込んできた。

朱元尚大佐:「中央軍広報部はホットなニュースを全国の兵士諸君並びに世界のみなさんにお伝えするべくモンゴル平原に現地取材に向かいます。むろん担当は我らが胡盛媛中尉。むろん中尉ひとりではありません。この朱元尚自らが若干の部隊を引き連れ安全万全の取材であります」

 乞うご期待とばかりの笑顔の前にもう一枚の原稿が送られ、大佐はそのままフーちゃんに渡した。

胡盛媛中尉:「追加のニュースです。モンゴル平原でロシア軍とモンゴル軍の戦闘が開始されました」

朱元尚大佐:「おお、意外に早い展開になってきました。これは、ただちに出発しなければ!」

胡盛媛中尉:「まだです部長」

朱元尚大佐:「なにかね?」

胡盛媛中尉:「ロシア軍の中核には青銅の騎士が含まれており、これにモンゴル軍は苦戦中の模様で……」

朱元尚大佐:「青銅の騎士だと……」

胡盛媛中尉:「はい青銅の騎士……あ、部長!」

 画面から朱元尚が消える、いや、泡を吹いて倒れた?

お岩:「青銅の騎士……ちょっと面白くなってきたじゃない( ,,ÒωÓ,, ) 」

メグミ:「え?」

 お岩さんが目を輝かせて戦闘モードになって、周りを見ると他にも目を輝かせているろくでなしどもがチラホラいた。

 青銅の騎士……Bronze Horseman !?

 英語に変換してやっとわたしもピンときた!

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
  • 扶桑 道隆              扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)          地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)           児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
  • テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
  • 朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
  
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