大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『今年を振り返って』

2012-12-29 07:44:34 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『今年を振り返って』


 一年間、悪友の滝川浩一の映画評を掲載してきましたが、今回は締めくくりがきましたので転載しました。


  ウダウダの「押し付け映画評」にお付き合いいただきありがとうございました。 本年は先日の「レ・ミゼラブル」で終了いたしました。今週末の「ブレイキング・ドーン」はめでたく回避、編集からは「今年は散々サボったくせに、最期の依頼を蹴るんかい!」と大顰蹙でありますが、知ったこっちゃありゃぁせん ハハ
 
 ラストが大感動ミュージカル、ええ雰囲気で終わりよければ全て良し!であります。  本年の収穫は「J・エドガー」「ものすごくうるさくて~」「マーガレット・サッチャー」「バットマン/darkknight」「ミッドナイト イン パリ」「007/スカイフォール」「レ・ミゼラブル」、邦画では「のぼうの城」「外事警察」がダントツでした。 
 最低じゃ~あ~りませんか「マイウエイ」(笑)「バトル・シップ」「スノーホワイト」、邦画の大爆笑「愛と誠」、 大激怒「ヘルター・スケルター」、 どうでもええのが「スペック」、
 大失望「天地明察」、 こんなもんやろ「悪の教典」 舐めとんかい「踊る~4」…この上「5」なんか作ったらCX爆破します。
 邦高洋低(あくまでも売り上げだけの結果)の一年でしたが 「銭返さんかい!」と怒鳴りたくなる作品も仰山有ったのは邦画の方。 他にも「ダークシャドウ」「アベンジャーズ」なんてな面白おかしい映画がありました。皆さんの感想はいかがなもんだったでしょうか?
 売り上げだけから行くと、只今公開中「ワンピース/Z」 一体どこまで伸びるんでしょうねぇ。「ヱヴァンゲリヲン」がスッゲェなぁと思っていたら、あっさりワンピが抜きさりましたなぁ…げに恐ろしきはワンピの破壊力であります。 年が明けて暫くするまでランキングが判らなくなります。「ホビット」の成績が気になります。
 年明けは、12日から「96時間/リベンジ、ルーパー、それと新感線 ゲキ×シネ「髑髏城の七人」でお目にかかります。また一年間 ウダウダにお付き合い下さいませ。中で
も 一部 「読書評」にもお付き合い願っている皆様には、二重三重の苦行かとはおもいますが…笑って許して(微笑) では皆様、良い年をお迎え下さいませ。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『レ・ミゼラブル』

2012-12-23 08:07:13 | エッセー
タキさんの押しつけ映画評
『レ・ミゼラブル』


 これは、友人の映画評論家滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので本人の了解を得て転載したものです。


 ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウそしてアン・ハサウェイに神の祝福あれ。

 素晴らしい映画でした。まだ感動が身体の中に収まりきらない。とはいえ、万人にお勧めはしない。まず、キャラクターがいきなり歌いだす形式が苦手な人には苦痛だろう。冒頭から全体の1/3位までは ものすごいダイジェスト感がつきまとう、舞台だと(東宝舞台)同じ事をしていても そうは思わないが映画だとその様に感じる。一人一人がクローズアップされるので 作品世界に入り切る前だと表情のみに気を取られるからだろう、その意味、舞台のほうがスケール感があり、冒頭から観客を飲み込んで行く。
 この部分を乗り切って、1832年 革命前夜のパリに行きつければ、後には間違いなく感動が待っているのですがね。

 ユゴーの原作を読んでいる方には説明不要、舞台をご覧になった方も同じく。本作で初めて“レ・ミゼラブル”に触れられる方へ……当時のフランスの歴史など全く知らなくとも構いません。原作は間違いなく、そのフランスの歴史に根ざした物語ではありますが、その中心にあるのは人間の魂の尊厳・救済・浄化です。
 アニメ「フランダースの犬」のラストに涙する感性さえあれば無問題です。
“ミッズ”のストーリーを尚更に語るのはやめます、あまりにも無粋ですから。舞台に比べて映画の方が感動的に見える部分があります。それは先述とは逆に、キャラクターのアップによってもたらされる物です。 ジャン・バルジャンを執拗に追うジャベール警部の内実が 彼が選ぶ自己の身の処し方と共に分かりにくいのが舞台の弱点でもあるのですが、本作では一点の誤解も無く伝わってきます。それどころか、ユゴーの思惑さえ超えて ジャベール自身の浄化にも思い至ります。
 この映画で一番泣かされるポイント…3ヶ所(?)…コゼットの可憐、、、ブ~~!!ち~がいま~す。エポニーヌ(コゼットが預けられていた宿屋の娘)のマリウスに向けられる純愛、それはもう一切、混じりっけのない、正真正銘、天下無敵の純愛。神は時にとてつもない喜劇を演出され そしていきなり幕切れを見せ賜う…… 第二、革命の前章なる学生達の純粋、あまりにも無計画、無鉄砲、状況判断の甘さ……市民に見捨てられ、遺骸をさらすのだが……志しはあまりにも気高く、またあまりにも愚かしく、当然にして滅ぶ。その潔い馬鹿さ加減が美しい。そして最後は、全て受け入れられ、明らかになり愛する者の幸せを確信して旅立つジャン・バルジャンの笑顔、ファンテーヌが感謝と共に迎えにやって来る。 ジャベールの最期に涙を捧げてはならない、それが彼に対する礼儀。

 そろそろ引け時、書きたい事は10倍あるけどキリがない。後は映画館で堪能して下さい。パンフレットは購入必須、見事な解説が載っています。 来年、新演出の舞台があります。これは必見! 大阪は9月からフェスティバルホール…う~ん、新しくなったフェスティバルも魅力的だが 待ち切れそうにないので5月からの帝劇に行きてぇ!


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『カジュアルベイカンシー』

2012-12-21 12:00:19 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『ハリーポッター』の作者が書いた『カジュアルベイカンシー』



 JKローリング(ハリー・ポッター・シリーズ作者)の初の大人に向けての作品。

 題名の意味は「偶然できた空席」……イギリス とある田舎町 その町の評議員の一人が心臓発作で亡くなる。
 物語は、この死んだバリーの議席を巡るスッタモンダを中心に、このド田舎町の名士達(?)の内情をえぐって行く。最後は、ある悲劇を通しての大団円(????)になるのだが………
 一読、これはローリングの怨念の小説だと感じた。
 気取って「ルサンチマン」などとは書かない、まさに、“ハリー・ポッター”が成功する以前の彼女の人生に対する、イギリス社会に対する『怨念』の書だと感じた。
 彼女の自伝は読んでいないが、シングルマザーであり、子育てのかたわら カフェの一隅で“ハリー”を執筆していたとは読んでいる。本作は、その当時のローリングの生活に裏打ちされている(確信する)。
 日本人気質が「島国根性」(最近あまり言わない?死語?)と言われるように、イギリス人には、未だに残る身分制度に端を発する人間感があり、これがある種の尊大なイギリス人気質の基になっている。
 これは、裏を返すとイギリス国内での“持たざる”人々の恨みともセットであり、どうやらロンドンなんてな大都会よりも田舎町に顕著に見られるようだ……なんぞと見てきたように書いているが、イギリスはもとよりヨーロッパのどこにも行った事はない。
 ただ、イギリス人の書いた本を読むと、まるで判で押したように同じ光景に出会う。こういうのを読むたびに「イギリス人とは付き合えね~」と思ってしまう。それほど、本作の登場人物達は「嫌な奴」だらけです。人間の内面を覗いてみれば、大なり小なり本書に書かれているような物なんだと思いますが、ようまあ ここまでネチネチ書けるもんだと感心します。
 本屋で手に取って見て下さい。帯に絶賛の辞が多数載っています。否定はしません、そうも読めるでしょう……私ゃひねくれ者ですから「怨念」を軸に全部ひっくり返した評価になってしまいます。“ハリー・ポッター”のような物語を構築するエネルギーはどこから湧いてでるのか……答を見た気がします。
 ハリーの中にある ある種の「反キリスト」 ハグリットあるいはハーマイオニーに向けられる蔑視は、イギリスのどこにでも有る風景であり、ローリングはまさにこの中にいる。ローリングの怨念はヴォルデモートとその一党、魔法議会の支配層に向けられ、自ら求めた救済をハリー、校長以下学校の教師達に託したのである。
 作家と言う人々は、一度は自身の怨念をはっきり形にしたいと思うものらしい。その意味で、本作にはローリングというストーリーテラーの怨念で満ちている。“ハリー”の中に、ベルトを解くと噛みついてくる教科書が出てくるが、本書はまさにあれです。
 これを読もうとされる方にアドバイス…登場人物の一覧表が挟まっています。これに各人物のデータをメモしながら読むとわかりやすいですよ。なんせ一気に全員次々に登場しては交代して行きます。アタシャどうも最近 記憶力に難が出とりまして(誰が昔からやねん!!)、 最初 誰が誰やらサッパリワカメで 読んでは戻りの繰り返しでした。 ローリングが自身を仮託している登場人物を特定しにくいのですが、重要キャラとして登場する5人のハイティーンに少しずつ入っているんじゃないかと思います。
 ラストに向かって、キャラクター達が交錯し、そして終幕になだれ込んで行く。まるで映画を見ているようなビジュアルが浮かんで来るのはさすがですが……このラストにある種の救い(カタルシス)を読み取れるか否かで 本書に対する評価は別れます。

 私は「結局 嘘で固めるんだ」と思いました。でも、それが「社会智」ってか「人間知」ってもんです(「痴」「稚」と変えるのはあまりにもシニカル?)
「うぜぇ~」と思いつつも結局 結末が気になって最後まで読まされました。やっぱり力のある作家なのだとの評価に揺るぎはありません。


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高校ライトノベル・タキサンの押しつけ時事放談続『カミの怒り・続!!!』

2012-12-18 17:16:10 | 評論
タキサンの押しつけ時事放談・続
『カミの怒り・続!!!』


 これは、友人の映画評論家 滝川浩一氏が個人的に流しているものですが、まことにもっともと思われるので、本人の了解を得て転載したものです。なお、滝川氏は、かつては紙屋の営業を10年以上やった、紙のベテランでもあります。


 本日、大阪市環境局事業部一般廃棄物指導課から、あまりにもアホすぎて口の塞がらない通知が来た。

 平成23年度のゴミ処理量が115万トン以下とピークから半減した。それを「我々の努力の結果」だと、ついては27年度の処理量を100万トン以下とするため、来年10月から「資源化可能な紙類の焼却場への搬入を禁止(?!?!)」するそうである。
 これって、悪い冗談か?ゴミの総量が減っているのは景気低迷で産業規模が全て停滞しているからに過ぎず、環境局様のアリガテェご指導の賜物なんかじゃありはしない。 国からの助成金目当てなのか何なのか知らんが、紙の知識の無い一般市民を騙すんじゃねぇってんです。

 全部について語るとあまりにも長くなるんで「資源化可能」としている物に関して言うと、 新聞紙と外装用段ボール以外、製紙メーカーにとっては紙屑でしかありません。
 一覧表にリサイクル可能としている、 「折り込み広告」「雑誌・パンフレット・書籍」は紙質・印刷・表面加工などが多岐に渡るため「叩解」過程で無駄が出やすく、新聞紙等に少量混ざる程度なら処理出来るが、大量に入ると厄介物でしかない。
 
 ちり紙交換のおっちゃん達が回っていた頃を思い出して頂きたい。

 よほど原料市場が高騰していなければ雑誌は引き取らなかったでしょう?写真集や絵画集なんかの紙は、紙質としては最高ですが まず引き取らなかった筈です。叩解しにくいからです。
 段ボールも全て原料になる訳ではありません。アルミコートや樹脂コート品はさすがに省いてありますが、それ以外に まず段ボールには外装と内装の二通りの種類があり、外装用は良いのですが内装用は叩解後 繊維が短い為「スラッジ」というゴミになります。さらに外装用でも、長らく放置して日焼けしたようなものは使い物になりません。同じくスラッジになります。これは専門家でなけるば見分けがつかないでしょうから、まぁ 段ボールについてはメーカーに諦めて貰いましょう。
 シュレッダーしたものも搬入禁止になってるんですが、シュレッダーのなかには「感熱/感圧紙」やCDなどのディスクがまざっている可能性が高く、同じ理由でOA紙も敬遠されます。液体用紙パックも似た理由で敬遠されます。 製紙メーカーでスラッジに成ったものがどうなるかってぇと、どっかの山の中の廃棄場に捨てられてじわじわと水分を排出するのです。 現状、焼却炉の性能も処理量も驚く程に進歩しています。
 訳も解らず 細かく分別する手間や、細別回収に税金をかけるのではなく、焼却炉が古ければ そちらの刷新にかけるべきなんです。 昔から、廃品回収で買い上げてくれる物以外はまずリサイクルできません。それを わざわざ税金を使って市民に強制するのは、明らかに別の理由が絡むからです。 「地球温暖化」のデマが未だに声高く叫ばれています。新聞紙上にも「マイ箸」なんてな運動(?)が恥ずかしげも無く未だに掲載されていて困ったものですが…我々は、事の本質ないし その裏になにが隠されているのかにもっとこだわる必要があると思います。

滝川 浩一の「カミの怒り・Ⅱ」
 
 何やら 怒りにまかせて書いたらえらい反応が返ってきました、個人メアドに 地区や子供会で古紙回収しているが、ほんならどないせえ言うんや…との問い合わせが数件あったので、回答します。
 まず、役所は無視しましょう。近所に製紙メーカーはありませんか? 下級紙板紙といって「チップボール」「黄板紙」なんかを抄造(紙を漉いて作る事)している所があればベスト!次いでは段ボール用紙のメーカーですが、段ボール用紙メーカーは大手になるので町会単位の話には乗りにくいでしょう。そんな場合はメーカー出入りの古紙屋さんを紹介してもらいます。  
 商談の仕方ですが、町会ないし子供会で此処まで作業して渡すが、幾らで引き取ってくれるかというふうに交渉します。 やるべき作業の理想を書いておきます。とても其処までまで出来ないって場合はできる所までを相手に提示します。
(1)新聞紙……折り込み広告、日焼けしたものの除去。あくまでも本文紙(折り込みにも本文紙と同じ紙質の物がありますがそれはO.K.)だけをまとめる。この場合、出来るだけ折り畳まず全紙広げた形で結束しておく。
(2)雑誌……週刊新潮やビッグコミックのような物に限る。フラッシュのような写真誌、少年ジャンプのような背が糊付けになっているものは不可。まず、中央をとめているホチギスの針を除く。雑誌を開いて引き剥がしていけば良い。表紙、グラビアページを除き、本文紙だけを、これも開いた状態で結束する。
(3)段ボール……まず、外側にフィルムを貼ったもの(その部分だけ剥がせるなら剥がした残りはO.K.)、樹脂コーティング(耐水用の物に多い)、は除く。外装用、内装用の区別は素人にはむりなので、これは諦めるか メーカーに相談すれば何らかの回答がある筈。 次に製函が金属ピンでされている場合は取り除いておく(カッターで切り取ればよい、鎌があればなお良し)、発泡スチロールを貼ってあるものは、引き剥がすのではなく、これも切り取る。テープ類は勿論剥がしておく。段ボールは全開にする必要はないが、二つ折りにはしておく。 (3)ボール紙のケース……これも段ボールに準じる。ただ、特殊な印刷の物があるので、これは専門家でないと分からない。あまりにもゴテゴテ印刷してあったり、明らかにアルミ張り(金色をしていても…日本酒やドリンク剤のケースに多い)のものは除いておく。お菓子ケースで未包装の菓子が直接入っているもの(例えば“きのこの山”など)は、菓子に直接触れる内側に必ず樹脂コーティングしてあるのでこれも不可。これら以外なら、金属ピンなどを除いて、開いて結束する。
(4)事務用紙……コピー用紙やコンピューター用紙は本来良質な原料に成りうるのだが、 条件が難しい。まず、感圧紙や感熱紙の混入は絶対不可!これが混ざると抄造の最終段階で熱ローラーを何重にも通る(水分調整と平滑調整のため)時に染みになったり膨れの原因になる。シュレッドしなければ発見しやすいが、事業内容が記載されているので難しい。シュレッドしたものは まず間違いなく異物が混入していると見るのが常識、しかも長細く切ってあるならまだしも、最新のシュレッダーはそれをさらに粉々に切る能力があり、あまり細かいものは繊維が短くなるので原料としてはよろしくない。事務用紙はインクジェット通常紙で、できればシュレッドしていない物が望ましい。この条件はまず不可能です。
(5)液体容器用紙……紙その物は100%ヴァージンバルプだが、物によっては紙に耐水薬剤が入っている物がある、これはプロでも見ただけでは判別不能。リサイクルマーク付きの容器にもその類が有るので、これはやめておくのが良心的。 さて、ここまでやりますと、私の経験では新聞故紙引き取り価格5〜6円/㎏当時、10〜13円で引き取ってもらえました。また、メーカー、業者によりますが、完全分別してあれば折り込み広告やカラーグラビアページも引き取ってくれたりします。ようは専門家とキッチリ話をする事が重要です。後、原料として処分出来るのはアルミ缶とスティール缶位。銅なんかは高価で引き取ってくれますが家庭にはまずありません。 まぁ、こんな所です。
 個別に疑問が有れば判るかぎりお答えします。 ペットボトルがボトル容器に再生されたり、繊維に成ったりすることはありますが、極一部です。回収された大半は中国に輸出されたり、産業廃棄物として結局焼却されています。役所に渡すと、産廃業者に渡した段階でリサイクルされた事に成って、最終どのように処分されるのか確認などしません。こんな大嘘に真面目に付き合ってやる義務も義理もありません。燃えるゴミ袋にプラスチックを入れて後ろ暗い気持ちに成る必要は全くございません。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ホビット・1/ワンピース・Z』

2012-12-16 07:33:03 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ホビット・1/ワンピース・Z』


 これは悪友の映画評論家・滝川浩一クンが個人的に流している映画評ですが、もったいないので本人の了解を得て転載したものです。


 今、最悪の気分! 

 八尾のアリオにいるんですけどね……朝の8時半から……即、4階に上がったけど、ワンピース1回目9:00が既に売り切れ、券売カウンター長蛇の列、ホビット10:40を買って、ワンピースは14:25から(連絡は良し)。
 パンフレット買うつもりがショップがまた長蛇!パンフレットを入手した頃にはワンピ本日6回上映の半分売り切れ!!!! 10時に全館オープン、1階下にディスクを買いに行くとHMV 本日ベッキーが来るとかで、彼女のCDを持った奴らでキャッシャーまたもや長蛇……しゃあないねん……しゃあないねん……もう爆発寸前。
 上に上がると、ワンピ本日ラスト回 残席75……ほんまに予想はしてましたけどね。
 やっぱりすげぇでんなぁ ワンピース。おかげさまでタバコを吸うタイミングがほとんど無し。今 数少ない喫煙コーナーのある茶店で煙突5本立てて、ま……なんとか大魔神に成らずに済んだが、ちっけぇ子供連れてタバコの煙が充満しているコーナーに来るなよ!このっ バカ親共!!
 またそのガキ共がギャーギャー……と、うっ……へっ変身しそうだ。

☆ホビット1
で、ホビット 1 です。 こらぁ しゃあないよなぁ、小屋 ガラガラですわ。そらぁ、ワンピと当たったら砕け散るのは決まってる。しかも配給元が全く宣伝していない。配給元が端から負け犬根性でどないすんのよ。

 さぁて、映画の出来ですが、ようまぁ こんだけてんこ盛りサービス満点な映画を作ったなぁと感心しきり。初め、二部構成になるといわれていたが、これが「指輪~」と同じく三部作になった。確かにエピソードは3本分有りますけれど、原作の厚みは二本が良いところ……どないするのやろと思っていたら、やっぱりねぇ~ 「指輪~」第三部の後に「追補」が大量に付いているのですが、そこから「ホビット」の時期に当てはまる物を総動員、それにとどまらず、今まで読んだ事のない設定(忘れているのかもしれないが)が盛り込まれている。
 トールキンの指輪関連原稿の内、未邦訳(英語圏には全10巻の研究本が有る)のものが相当あるが、あるいはそこにヒントが有るのかもしれない。
 出版されている「ホビットの冒険」との差は、“森の守護者・ラダガスト”の存在(ガンダルフと同じく魔法使い)がある。「指輪~」でカットされた“森の守護者・トム”に当たるのかもしれない。魔法使い達の「白の会議」のシーンもあるし、「裂け谷」のエルフの館でガンダルフとガラドリエルの会話も映されている。 鷲のエピソードが軽く流されているが、その分、ゴブリンとの戦いが詳細に描かれている。また、原作では軽く触れている(追補だったかな)だけの「モリヤの攻防戦」にも時間が裂かれている。 兎に角、見せ場に次ぐ見せ場の連続、それが上映170分 終わってみると物語の1/3位の所で終わっている。
 ちょっとしたジェットコースタームービーですが登場人物一人一人の描き分けにも神経が行き届いている。さすがに「指輪物語オタク」のピーター・ジャクソンの面目躍如、痒い所に手が届いている。
 殊に、主たる三人 ビルボとガンダルフ、そしてドワーフのトーリンの描写が素晴らしい。トーリンが「オーケンシールド」と呼ばれる理由も明かされる。原作では 自分勝手なイメージの強いトーリンであるが、映画では誇り高く かつ 謙虚な人柄に描かれており、これは続く二作に決定的な意味を持つと思われる。
 指輪フリークの私としては大満足なんですけど……あまりにも露出が少ないので、フリークス以外にどれだけアピールされているのか、チョイと心配であります。初日一回目の観客がこの入りと……。

☆ワンピースZ
 
 で 超満員の「ワンピース/ Z」 です。

 ハッキリ言わして貰って不満です。「ストロング・ワールド」を基準にすると、満足度60%って所ですかねぇ。脚本の鈴木おさむが原作との連動にこだわり過ぎたのが主因か?
 とはいえ、これは趣味の違いとも考えられるのだが、今回の敵役が ガープ・センゴク・おつるさんなんかと同期の元海軍大将で、青雉・黄猿・赤犬の師匠に当たるので、マリンフォード頂上戦争後の三大将の勢力争いに関わらすにはいられない。これは、どちらかといえば原作・テレビで扱うべき題材ではないかと思う。映画の結末(なんぼなんでもこれはバラせない)からすると、後々の原作ストーリーに影響がでる。
 もっとフリーな設定にしておいたほうが良かったと思うのだが、ワンピフリークの皆さんはどう思われただろうか。作画・動画に破綻はない、サイド設定も面白いのだが、メイン設定のかつてゼファーと呼ばれた英雄と海軍との関わりがあまりにもハイスピードで語られる。かつての「海賊王白ひげ」と比肩されうるキャラクターなだけに、う~~ん、もったいないんじゃないですかねぇ。 だから、ルフィー以下麦わらの一味の存在感もいまいち薄く感じられる。
 だからだから(?)感動が薄い……俺が贅沢言ってるのかなぁ、とにかく「嗚呼!勿体ない」ってのが正直な感想でありまんにゃわ。
 周り殆ど中坊で 若干ざわついていたのにイラついていたし、予定していた時間に見られなかったり……今日はイライラしっぱなし、しかも雨は降ってる 車は来ない……時間を置いたら別な感慨が生まれる…?


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『横道世之介』

2012-12-13 07:59:38 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『横道世之介』


 『横道世之介』(よこみち よのすけ)は、吉田修一による小説で、これを原作とした映画が2013年2月23日に全国公開予定です。悪友の滝川浩一君が、個人的に仲間内に流してくれた読書感想を、本人の了解のもとに転載したものです。



 吉田修一って人は、「悪人」といい、本作といい、読んだ後 妙な気分を引っ張らせる作品をかきますねぇ。 
「悪人」では、誰が一番悪人なんだと考えさせられた。常識上は直接の殺人者がトップに来る訳ですが……ちょっと待て 本当にそうなのかいって作りでした。日常に隠れている悪意だとか、生活上のちょっとした判断が自分や他人に影響していく……そんな事が多層に重なった所で事件が起こる、そこからの判断で、いくらでも転落して行くんだ……。
 と翻って本作、これと言って なぁ~~んも事件なんぞ起こらない。
 田舎から 東京の大学に出てきた18歳の横道世之介(本名)の1年間の生活を語って行く。大学での出会い、ちょっと大人の恋、プチ暴走ってか…冒険にもならないが、本人にしてみればちょっとショックな出来事やら。別に大学に行かずとも18~9に有りがちな、アラカタは経験不足と優柔不断による事件(???)の数々。
「世之介」だから、勝手に色っぽい話かな? 位の感覚で読み出したんですが…考えてみりゃ吉田修一がそんなもん書く訳ゃぁ無い。
人格ってやつは 当然生まれながらに持ってるもんじゃなく、色々経験するうちに形成されるもんですよね。誰しも 後から考えてみると、自分の生涯に決定的な影響を与える一瞬てか、1日 あるいは一年ってのがあるんだと思います。
 本作主人公「世之介」にとっては大学一年生の一年間がその時期だったようです。世之介のその後の人生は全く語られず、どんな死に方をしたかが書かれているだけです。しかし、世之介が命終えるまで、どのような人間であったかはちゃんと解るんです。それは、読者が10万人いれば10万通りの人生なのです。
 つまり、読者が世之介と考え方を共有するのではなく、殆ど「郷愁」としか呼びようのない感覚に包まれるからで……ただし、これは青春を過ぎて、暫くしている年代でなければ解らない感覚だとは思いますね。  この人の書く物語は、単に「郷愁を覚える」だけにとどまらず、読者の人生がどこかに投影されて、それが引っかかりとなり、考えさせられたり、人によっては苛つかせたり、泣く人もいるんでしょうねぇ。 もし、自分の死ぬ日が解るなら その時もう一度読んでみたい…そんな気にさせる一冊でした。



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高校ライトノベル・志忠屋繁盛記・7『再会……そして』

2012-12-10 20:22:04 | 志忠屋繁盛記
志忠屋繁盛記・7
『再会……そして』
    

 志忠屋は実在する、わたしの悪友滝川浩一君の店ですが、彼を含め、出てくる人物などは架空のものです。


 マスターのタキさんが大あくびをした。店は、地下鉄谷町線一号出口から徒歩三十秒。ロケーションとしては悪くないのだが、天神橋筋を一筋はいるだけで、人の流れがまるで違う。景気の悪さも手伝って、ディナータイムは客の入りが悪い。
 タキさんが、あくびのためにトトロのような口を開いて大量の空気を吸ったので、Kチーフはあやうく窒息しかけた。

「ぼーずかな、今夜は」
「…………」
「なんとか言えよ」
 酸欠から立ち直った、Kチーフが携帯酸素ボンベで生き返って、やっと返事した。
「あくびとか、クシャミするときは、あらかじめ言うてくださいね」
 タキさんは、次ぎに放屁した。
「……あの、そういうときも」
 Kチーフは、換気扇を強にした。
「屁ぇは言わへんかったやんけ」
「マスターは何やってもトトロ並やさかい」
「ワハハ……もっかい、あくびするぞ」
 Kチーフが携帯酸素ボンベを構える。タキさんが大口開けて、空気を吸い込む……それに釣られたように店のドアが開いた。
「こんばんわ……」
「お、はるか。いま帰りか」
「うん、夕方には帰れるはずだったんですけど。収録のびちゃって……Kさん。それ、なあに?」
「あ、こうやって遊んでるんです。あんまりヒマやよって」
「よかった……タキさんたちには悪いけど、落ち着いて話ができそう」
「だれかと、待ちきってんのんか?」
 ホカホカのおしぼりとお冷やのグラスを出しながら、タキさんが聞いた。
「帰りの新幹線で、由香に電話したんです。あの子とも三ヵ月会ってないから」
「ああ、黒門市場の魚屋の子やなあ。いま、なにしとんのん?」
「B大学。えーと文学部」
「あんまり文学いう感じの子やないけどなあ」
「ああ、気持ちいい……」
 はるかは、ホカホカのおしぼりを広げ、顔を押さえた。
「オッサンみたいなことすんなよ。一応女優さんやねんさかい」
「オッサンてのは、こんなですよ……」
 はるかは、おしぼりをたたんで、顔やら首を拭き始めた。
「おいおい、ほんまにオッサンになるなよ。坂東はるかは、一応清純派やねんから」
「タキさんは、なんでも一応が付くのね」
「ワハハ、ワシの目えから見たら、まだまだ駆け出しやからな……チーフなにしてんのん?」
 Kチーフは、はるかが使ったおしぼりを丁寧にたたんで、ビニール袋に入れている。
「はるかちゃんが使うたおしぼり、ビンテージもんやさかい」
「あ、やめてくださいよ。そんなの」
「そやな、そういうフェチには高う売れるかもなあ」
「もう、タキさんまで!」
「ワハハ、こないやって遊んでなら、あかんくらいおヒマ」
「あ、ぼく本気で……」
「もうKさん!」
 アイドル女優も、この志忠屋に来れば、いいオモチャである。そうやって盛り上がっていると、いつの間に入ってきたのか、由香が入り口に立っていた。

「ほんま、うち三回も『こんばんわ』言うたんですよ」
 由香がむくれた……ふりをした。
「ハハ、あんまり楽しそうやから、いつ気ぃつくか思て」
「ハハ、ほんと、一瞬雪女じゃないかと思った」
「ほんまや、えらい雪降ってきよった……」
 タキさんが、ブラインドを少しずらして、ため息をついた。
「とりあえず、はるかコースで。ホットジンジャエールできます?」
「あいよ、風邪ひき予防にもなるさかいなあ」

 由香は、はるかが高校時代に東京から転校してきて以来の付き合いだ。はるかがスカウトされて東京で女優業を始めてからは、あまり会うことができなかったが、こうして会うと、女子高生時代に戻って互いにホグし合うことができる。
「で、吉川先輩とは、うまくいってんの?」
 吉川とは、高校時代の先輩で、最初ははるかに気を寄せていたが、歯車がかみ合わず、結果的には由香といい仲になり、サックスの勉強のためにアメリカに渡っている。
「うん、今は大阪に帰ってきてくれて、毎日ラブラブ!」
「おお、ヌケヌケと言ってくれるじゃん」

 そうやって、二人は危うくボウズになりかけた、その夜の唯一の客になり、楽しい一時を過ごした。
 やがて、由香のスマホが鳴りだした。
「あ、ちょっと電話みたい……はい、由香です」
 そう言いながら、由香はブルゾンを器用に着ながら、外に出た。
「客は自分らだけやから、気ぃつかわんでもええのにな」
「きっと、彼氏からとちゃいますか。照れくさいよってに」
「そうね、由香ってそういうとこあるから。ああ、ウラヤマだなあ」
「なに言うてけつかる。はるかが振ったオトコやないか」
「あ、ひどいなあ。それは違いますよ」

 と、しばらく由香抜きで盛り上がり、二十分ほどが過ぎた……。
「ちょっと寒いやろ、はるか、見にいってやり」
「はい……ちょっと、由香……」
 瞬間、はるかの声が途絶えた。
「はるか、どないかしたんか?」
 タキさんが店の外に出てきた。そこには、呆然と佇むはるかが居るだけだった。
「由香がいない……足跡もない……」
 積もり始めた雪の道路には、足跡もなかった。
「わたし、上のほう見てきますわ」
 Kチーフがビルの階段を、由香の名前を呼ばわりながら上がっていった。
「由香あ!」
 はるかも、思わず叫んで、表通りまで出た。交番の秋元巡査まで出てきた。
「どうかされ……あ、あなた、女優の坂東はるかさん!」
「あ、友だちが!」
 はるかが、半ば咎めるように言った。
「失礼しました……あ、この二十分ほどでしたら、自分はこの前の道を見ておりましたが、そちらの方からは誰も出てきてはおりません」
「ひょっとしたら、店に……」
 秋元巡査も付いてきてくれて、四人で店に入って驚いた。由香が座っていた前のテーブルには、由香が取り分けた料理が、ジンジャエールも、おしぼりさえ袋に入ったまま手つかずで残っていた。

「ちょっと由香に電話……」
 はるかはスマホを出し、由香に電話をかけた……なかなか出ない。あきらめかけたころ……。
「もしもし……あ、はい、はるかです。由香は……そんな……だって。はい、今から行きます」
「どないした、はるか」
「あとで電話します!」
 はるかは、それだけ言うと、表通りでタクシーを掴まえ、そのまま行ってしまった。

 それから一時間ほどして、はるかから志忠屋に電話があった。
――はるかです……由香は一週間前から急性肺炎で入院していて……いま危篤状態……。
 はるかの声は、それから嗚咽になった。
「はるか、大丈夫か!?」
――今夜は……付いていてやります。あ……はいすぐに! タキさん、またあとで。
 そこで、はるかの電話は切れた。タキさんは、ゆっくりとテーブルに目をやった。
「あ……」
 そこに、由香の姿がうっすら現れて、すっと消えてしまった。

 そのあと、由香がどうなったか……それは、またいずれ……。



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

お申込は、最寄書店・アマゾン・楽天などへ。現在ネット書店は在庫切れ、下記の出版社に直接ご連絡いただくのが、一番早いようです。ネット通販ではプレミア価格の中古しか出回っていません。青雲に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。

青雲書房直接お申し込みは、定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
 
 この物語は、顧問の退職により、大所帯の大規模伝統演劇部が、小規模演劇部として再生していくまでの半年を、ライトノベルの形式で書いたものです。演劇部のマネジメントの基本はなにかと言うことを中心に、書いてあります。姉妹作の『はるか 真田山学院高校演劇部物語』と合わせて読んでいただければ、高校演劇の基礎練習など技術的な問題から、マネジメントの様々な状況における在り方がわかります。むろん学園青春のラノベとして、演劇部に関心のない方でもおもしろく読めるようになっています。
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高校ライトノベル『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』発売中!

2012-12-08 23:42:02 | 小説
新作ライトノベル 『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』発売中! 序章と二章をネットで公開中です。タイトルをコピーし貼り付けて検索してください。

読みながら高校演劇の基礎とマネジメントの分かるノベライズドテキスト『はるか 真田山学院高校演劇部物語』を連載中ですが、続編ができました。『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』と申します……。

連載中の『はるか 真田山学院高校演劇部物語』……美人の一歩手前で足踏みしたようなはるかは、ただ流されるに任せて高校生活を送ってきました。学園祭のミスコンでも準ミス。それを悔しいとも思いません「わたしは色恋を超えて、人を引きつける何かが欠けている」という自覚があります。そんなはるかの唯一の楽しみは、ジャンルを問わず本を読むこと。ちょっとした作家である母は、そんなはるかを「あんたのは、ただ本を読んで『ああ、おもしろかった』と思って、あとは忘れて排泄してるだけ」と、手厳しい。

そんなはるかに、一大事がおこります。突然はるかの両親が離婚。はるかは東京から大阪にお引っ越し! 学校も東京の有名私学から、大阪の古いだけが取り柄の、公立の真田山学院高校に転校。そこで出会った福田乙女先生の口車にのせられ、部員二人という絶滅寸前を絵に描いたような小規模演劇部にとびこみ、乙女先生やコーチの叱咤激励、親友の由香に支えられながら、涙と笑いの中で、しだいに人間としても成長、演劇部を創りだしていくお話です。イケメン生徒会長吉川裕也との、価値観は違うけれども、男女の垣根を越えた友情。離婚した両親を、東京と大阪の距離というハンディーを超えて元の鞘(さや)に戻し、家族を取り戻そうとのタクラミ!

しかしそこにはガキンチョはるかの想像を超えた大人の世界がありました……

気を取り直して、コンクールに上演する『すみれの花さくころ』の猛練習を再開。ところがヒョンなことで、吉川裕也に激怒したメロスならぬはるか。学校の中庭に吉川を呼び出すが、吉川の言葉にブチっと切れてしまい、思わず手が出てしまった!

不幸が三つ重なりました……出した手には、竹内先生にもらったアメチャンが握られていて、平手ではなくゲンコツになってしまっていたこと。いつもなら感情的になったはるかを優しく止めてくれるタマちゃん先輩がいなかったこと……そして、振りだしたゲンコツの先には吉川の顔が無く、止めに入った親友の由香の顔があったこと……ゲンコツはマトモに由香の顔にぶち当たってしまった! 暴力行為は最低でも一週間の停学……コンクールの予選は数日後に迫っていた……

これが、今のところの『はるか 真田山学院高校演劇部物語』の展開です。 「ああ、やっと終わった……!」と寝っ転がると、出版社からのメール「はるか 真田山学院高校演劇部物語の続編を!」ということで書くことになりました。

長い前ぶりでした。

『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』は、坂東はるかが、まだ五代はるかであったころ通っていた乃木坂学院高校が舞台です。はるかの近所の一つ年下の仲まどかは、はるかに学園祭によばれて演劇部の芝居を観たことで、はるかに続いて乃木坂学院高校に入学。憧れの演劇部にも入部。はるかが入った真田山学院高校演劇部と違って、大規模超有名実力演劇部! ところが、ふとした事故で、主演女優の芹沢潤香は意識不明の重傷。せまるコンクール! 顧問の貴崎マリは奇策をもってコンクールに臨むが、事故の責任をとらされ、停職に……演劇部は櫛の歯が抜けるように人がいなくなってしまう。気づけば、まどかの他には武藤里沙と南香鈴(かりん)のタヨリナ三人組だけ。さあ、ここから、先輩はるかの助言を得て、乃木坂学院高校演劇部の再建が始まります。

『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』は、青雲書房から発売中。 お申込は、出版社(青雲書房)にお電話いただくか、下記の出版社のアドレスで直接お申し込みいただければ早くお読みいただけます。AMAZONなどのネット通販は、ほぼ売り切れて、高いプレミア価格の中古が出始めています。 青雲書房直接お申し込みは、定価本体1200円+税=1260円。送料無料。 送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。 お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。 青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp  ℡:03-6677-4351

『はるか 真田山学院高校演劇部物語』は、ただいまネットで分冊配信中。

      大橋むつお

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タキさんの押しつけ映画評・勘三郎さん追悼号

2012-12-08 19:55:10 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
勘三郎さん追悼号


 これは、悪友の映画評論家、滝川浩一クンが個人的に仲間内に流しているものですが、含蓄のあるものなので、本人の了解を得て転載したものです。しかし、勘三郎さんといっしょに酒呑んだとは、たまげました。


「砂漠でサーモン・フィッシング」に行く予定でしたが、事情で取り止めになりやした。
 それで適当に呟いてみます。 何人かのメンバーとは“フエイスブツク”とうで喋りましたが、中村屋…っちゅうても南森町のコロッケ屋さんとちゃいまっせ、歌舞伎の中村勘三郎…逝っちまいましたぇ。

 随分前ですが、偶然 東京のBARで一緒に飲んだ事が有ります。私の連れが知り合いだったからですが、初対面なのに、私が二個上だと判ると「大阪の兄さん」と、あの 人なつっこい笑顔で呼んでくれました。
 歌舞伎を語り出すと止まらない、他のジャンルの芝居や映画にも詳しく、そしてバレた話もムチャクチャ面白い。通常 こういう人達は一杯飲んで「それじゃ」と帰っちゃうんですが、勘三郎さんは2~3時間一緒に飲んで、結構ご機嫌さんで次の店に行きました。さそって貰ったんですが遠慮しちゃいました、なんちゅうモッタイナイ……。
 しかし、本間にモッタイナイ、惜しい人を早くに亡くしたもんです。これは絶対 先に亡くなった森光子さんが、一人で逝くのは寂しいものの まさか東を連れて行く訳にも行かず、「そんなら勘ちゃん、一緒に行こうよ」…と、連れて逝ったんやと思います。
 
 思えば勘三郎さん、何やら生き急いでいたような、殊に勘三郎襲名以来の仕事量は尋常じゃなかった。  俺たちなんかが「忙しい忙しい」なんて言うのはおこがましい限りです。まだまだ、やりたい事が山ほど有ったんだろう、息子達に教えなければならない事もたくさん有っただろうに。
 一番悔しいのは本人だろうけど…まぁ、向こうで先人たちを口説いて「雲上中村座」をおっ建てて、超絶顔合わせで芝居をしているんだろうなぁ…なんて 勝手に思って納得するしかないのかなぁ。    色々 多岐に渡った仕事の中には失敗も有りました。野田秀樹とコラボした「研ぎ辰の討たれ」なんてな失敗なんでしょうねぇ。これシネ歌舞伎でしか見てませんが、稽古不足、打ち合わせ不足剥き出し、これがスタンディングオベーションだなんぞと納得いかない。しかし、それもこれも 今となっては懐かしい思い出に成っちゃいました。合掌

 話、ガラッと変わりますが トム・クランシーの7年ぶり ジャック・ライアン・シリーズ“デッド オア アライブ”4冊、読みました。クランシー個人じゃなく共著になっているので少々雰囲気が違っていますが 懐かしく面白く読みました。ジャックは大統領を退いて 回顧録を執筆しているのだが、彼の後を継いだキールティング(白人のオバマ位のイメージ)のやることなすこと気にいらない、とうとう次期選挙に打って出る決意をする。
 本作ではジャック本人よりもジャックjr,とレインボーのクラーク、シャベスが主人公、敵役はビン・ラーディン(名前は変えてある) こいつを追って次なるテロを阻止し、犯人確保を目指す。 シリーズの愛読者ならおわかりでしょうが、ライアンは共和党でも民主党でもありません。彼はCIAの分析官(レッドオクトーバーを追え/愛国者のゲーム/今、そこにある危機)から出世して行き、とうとう副大統領にまで行き着く、その認証式のその時、大統領以下 議員達が集まっている議事堂に日航機が特攻、大統領に繰り上がる。作者クランシーは間違いなく共和党支持者だと思いますが、作中 党派の別にはあまり触れていません。今まであまり気にした事は無かったのですが、これまでの作品世界が ずっと共和党政権だというお約束になっていたんだと思います。クランシーその人にしても、WASPの正当の後裔であろうとする事が重要であり党派の違いにはあまり意味がない…まぁ、ぶっちゃけて言えば、アメリカの支配者 金持ち白人サイドって事ですね。国際情勢・軍事・諜報活動の専門家でもありますから、これまでの作品には多分に予見性があり、割と当たっています。
 そのクランシーが危機的に感じているのが、情報収集が機械的なもの(通信傍受、コンピューターハック等)に偏り、ヒューミント(人的情報収集…スパイが集めて来る)が軽視され、その方面の縮小が続いている事です。殊にオバマ政権ではCIAの規模縮小が顕著ですから、作中のライアンの焦燥感はまさにクランシーその人のそれとイコールです。ライアンが大統領を退く前に組織した“ザ・キャンパス”は、クランシーの思い描く理想の諜報機関です。表面は証券会社であり(政府部内情報にタッチ出来るので確信犯インサイダー取引で巨額の利益をあげる、とんでもない会社である) その裏ではイギリスSASとの協力のもと、直接介入組織レインボーを動かしている。CIAはどうしても議会の前に透明性を担保しなければならないが、レインボーは組織そのものが表面化していないので、ある程度の非合法活動を行える。しかも、SASに出向しているメンバーは、あるいはSEALS、或いはFBIで 時に応じて自身の元々の組織力を利用できる。資金はキャンパスから出るので国の予算に縛られない。いわゆるこれまでのスパイ小説に登場する秘密組織をリアルに作るならこうなるだろうっていう事です。
 とは言っても実際こんな組織が理性的に運営される事が可能か?という疑問が付きまとう。これまでは そんな事は当たり前として、登場人物達はあまり悩まなかったのですが、本書では度々皆さん深く悩んでおられます。シャベスやカルーソ兄弟はそうでもないんですが、ジャックJr,やクラーク…殊にクラークは慎重です。現代のスパイ小説がリアルであろうとすれば避けては通れない部分なのでしょう。この意味でクランシーと共著者であるブラックウッドの間に温度差が有るようで、多少混乱があります。これまでのクランシー単独でのシリーズ作品に比べて歯切れが悪くはあるのですが、エンタメ作品として充分に力を持っています。まぁ、あんまり理屈をこねず スパイファンタジーとして読むなら万人向き、アメリカ的価値観に馴染めない向きにはオススメいたしません。
 
 同時に 伊坂幸太郎“SOSの猿”文庫版も読了、しかし しんどなって来ました、こいつは文庫版解説を読んで下さい。ほぼ100%同意します…ただし、コラボしている五十嵐大介の「SARU」って漫画は全く知りません。作中に西遊記の孫悟空が登場します。私的にはこの扱いが面白かったですね。伊坂の小説は「風が吹けば桶屋が儲かる」的に 全く無関係無秩序に並べられたアクシデントが不思議な繋がりを持ってラストになだれ込む。初めはなんのこっちゃら訳が解らないので、兎に角 一気に読まなきゃならないってあたりが欠点(??????)ではあります…エッσ(^_^;)? さて、来週はいよいよ 「ホビッツ」,「ONE PIECE Z」です。ひょっとしたら「フランケン・ウィニー」にも行くかも…この三本、見るだけならまだしも 原稿にするのはしんどかろうなぁ~。



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    

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タキさんの押しつけ読書感想『岳飛伝・3』読了

2012-12-07 08:24:27 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『岳飛伝・3』読了


これは悪友の映画評論家・滝川浩一クンが個人的に流している読書感想ですが、面白いので、本人の了解を得て転載したものです。

  いやいや、年末近い本屋ってのは罠だらけの森みたいなもんで、入ったが最後、何冊も抱えてしまいます。
「岳飛伝」…大橋っさん以外には説明がいりますかねぇ。こいつは北方謙三の水滸伝(19巻)シリーズで、水滸伝が直訳本の半分位の所で宋江(梁山泊頭領)が死んでしまい、その後を頭目の一人、青面獣楊志の養子(洒落ではない)である楊令(楊令伝15巻)が継いで、現在 楊令の死後の話になっています。
 
 岳飛は南宋の軍閥で実在した将軍です。物語では宋の童貫(この人も実在)に鍛えられた武人で、楊令と戦ううちに男同志の絆を深めるという設定になっている。さて、梁山泊に集った108人の好漢達も粗方は亡くなり、もはや10名程が残るのみ、永く梁山泊の頭脳であった智多星呉用も死の床にあり、史進・李俊・燕青らはいるものの、第二世代の時代になっている。双鞭呼延灼の息子 呼延凌が軍総帥、宣賛の子 宣凱が呉用の後を継いでいく。元は宋の王室を私する官僚に反旗を翻すべく集まった梁山泊も、宋滅亡と共に その存在形態を変化させ、今や軍を持つ先進経済地域となっている。

 そんな中にあって、この変化を楊令の抱いた夢と信じて邁進する者、もはや楊令を知らずに育った世代、変化に馴染めず老いを感じ孤独の中に生きる者……と人間模様も多岐に入り組んだ世界になっている。
 そもそも「水滸伝」を知らない向きにはチンプンカンプンですかねぇ。もう少々お付き合い……元の明末~元初に出来た演義(講談本/小説)は宋代に現実に有った反乱を元ネタにしています。梁山泊頭領の宋江なんてな人も実在したそうです。その実話に数々の英雄(関羽の末裔で大刀関勝とか)を加えて壮大なお話にしてあるのです。
 さて、第三シリーズの主人公はかっての敵将・岳飛。この人が実在だとは先述しましたが、実史では北方の金に敗れ、揚子江の南に南宋が建つのですが、南宋丞相榛會は金との講和を目指し、岳飛はあくまで主戦派。南宋成立2~3年で岳飛は榛會に毒殺されるのですが、どうやらこの2年余りで12~3巻にはする
つもりみたいですねぇ。この後は ご存知の通り、モンゴルの侵攻で金も南宋も無くなっちまう訳ですが、それでも梁山泊は生き残るのか?まぁ、このペースだと どえらい先の話になりますが………。


 いやはや、なんとも尊敬されたものです。わたし(大橋むつお)は水滸伝(19巻)楊令伝の7巻までは読んでいますが、ざっと読んだだけ。本というのは、好きならば、10回、20回と読むモノです。滝川のオッサンは、そういう読み方をしております。わたしは、もう自分の部屋に本が入りきらないので、図書館で間に合わせておりますが、「罠だらけの森」というのは確かにその通りで、赤川次郎から、瀬戸内寂聴まで、ここで見つけました。わたしは乱読で、読んだ尻から忘れていきます。しかし記憶の引き出しには残っているようで、ときどき、自分で本を書いている時に浮かんできます。
 先日から、新連載小説『真夏ダイアリー』を始めました。ごく最初の部分しかプロットを考えていません。引き出しから、自然に飛び出してくるのを待って書き続けていくつもりです。主人公は「冬野真夏」 そう、名前から、この小説は始まっています。苗字と名前がガチンコしています。そこに青春の矛盾と、「真夏」という名前に、熱い青春を象徴させています。
 マッタリした友だちに「春夏秋冬省吾」というのがいます。苗字読めますか? 「春夏秋冬」で「ひととせ」と読みます。他に「中村玉男」という、どこかで聞いたことがあるような、ちょっとオネエな感じの男の子も出てきます。等身大の高校生(高校演劇で、好んで使われる)を書こうなどとは、思っていません。こんな女子高生、こんな友人関係、こんな青春があったら面白いだろうなあ。そんな思いで書き始めました。
 同じようなモチーフで、『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』があり、これは出版されました。書店に出た部数が少なく、今はネット販売で、僅かに出ています。希少本という事らしく。新古品のものなど5万円を超える法外な値段が付いていますが、青雲書房に、直接注文いただければ、定価の1260円でお求めになれます。
 なんだか宣伝になってしまいました。今は小野寺史宣さんの『みつばの郵便屋さん』ポプラ社を読んでいます。メグ・キャボットの『プリンセスダイアリー』なんかもお勧めです。



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

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青雲書房直接お申し込みは、定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
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青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
 
 この物語は、顧問の退職により、大所帯の大規模伝統演劇部が、小規模演劇部として再生していくまでの半年を、ライトノベルの形式で書いたものです。演劇部のマネジメントの基本はなにかと言うことを中心に、書いてあります。姉妹作の『はるか 真田山学院高校演劇部物語』と合わせて読んでいただければ、高校演劇の基礎練習など技術的な問題から、マネジメントの様々な状況における在り方がわかります。むろん学園青春のラノベとして、演劇部に関心のない方でもおもしろく読めるようになっています。
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高校演劇・勘三郎さんのM・K・T

2012-12-06 10:09:33 | エッセー
勘三郎さんのM・K・T

 平成24年12月5日に亡くなった、中村屋、十八代目勘三郎さんが常々言われていたのが、このMKTの三文字です。

 Mは守る。つまり古い日本の歌舞伎の伝統を守るということです。歌舞伎には疎いわたしですが、勘三郎さんが出た、様々な作品の中にそれが見てとれました。明晰な台詞、演技の切れの良さなどは伝統芸能を守ってきたからこそできることでしょう。先日『のぼうの城』が上演されました。主演は野村萬斎さんでしたが、吹きすさぶ雨風の中で朗々と台詞が聞き取れたのは、野村萬斎さんだけでした。狂言と歌舞伎で畑は違いますが、伝統芸能という点では共通でした。
 ニューヨーク公演のとき、劇場の構造から花道が造れませんでした。勘三郎さんは、自ら舞台に立ち、観客席から舞台を見て、オーケストラピットに、綴れ降りの花道を思いつき、急遽作りました。現実と折り合わせ、伝統を守ろうという姿勢が印象的でした。

 Kは壊すです。Mと矛盾するようですが、伝統を守り、よく知った上で、新しい工夫を交えて壊していきました。伝統的演目の中で、下駄でタップダンスをやってのけ、若い観客にも分かり易くしてくれました。その他、時事ネタや、流行のものを大胆に取り入れ、良い意味で壊していかれ、時に、先輩の歌舞伎界の方や、御ひいき筋から「何やってんだ!」と言われたこともあったようですが、勘三郎さんは、「どうもすいません」と言いながら、壊し続けてきました。

 Tは創るでした、平成中村座を立ち上げ、地元で江戸時代の歌舞伎小屋を再現した……だけでなく、日本中、いや、世界中を飛び回り、新作歌舞伎や、工夫をこらした、伝統歌舞伎を世に広めました。歌舞伎になんとマイケルジャクソンのスリラーの演出を持ち込み、かんきゃくの度肝を抜きました。
 また、こんなことがありました。息子の勘九郎さんが、ある公演の最中に高熱を発し、その日の公演が流れそうになりました。で、勘三郎さんは、それまでの上演ビデオを観て、粗々の筋と台詞を覚えて「よーし、おいらが代わりに演ってやらあ!」と意気込みました。それを聞きつけた勘九郎さんは、熱をおして楽屋にもどり、「もう、大丈夫、ぼくが演りますから!」「そうかい、無理しなくったって……」勘三郎さんは、とても惜しい目つきで、舞台に向かう勘九郎さんを見ていたそうです。

高校演劇のM・K・T
 翻って高校演劇はどうでしょう。大阪に例をとります。守る……は、一見やっておられるようですが、旧態依然と言った方が当てはまると思います。この秋に実感しましたが、高校演劇は、そのコンクール会場や、その時程さえネットで検索しても出てこず、わたしの他にも混乱された方がいらっしゃいました。加盟校に最少必要限度の情報しか与えず、常任委員会で全てが決まってしまうという伝統は守られています。
 コンクール本選会場の選定も、加盟校の意見も聞くこともなく、某ホールに決めてしまわれました。ある顧問の先生など、ごく最近までご存じなく、コーチから言われて初めて知ったような有り様です。
 高校演劇は、過去十万は超える(丼勘定ですが)創作劇が創られましたが、その99・9%は再演されることなく使い捨てにされます。芝居というのは観客に観られ、その反応で手が加えられ、絶えず姿を変えていくものなのです。わたしがみても「アイデアはいいけど、惜しいなあ」という作品が、年に一二本はあります。ブログでも、惜しいと何度か書きましたが、再演はされません。守るべきものが逆立ちしています。

 壊す。過去を顧みないことで、無意識に壊しています。勘三郎さんのように、守るべきモノを守った上での壊しではなく。生産性のない、ただの破壊です。一点に絞ります。前述した守ると被りますが、とにかく、高校演劇関係者は、自分たちの過去の創作劇を含め、本を読みません。芝居をみません。「創作劇が多いのは大阪の誇りである」大まじめに、この意見を耳にしたときは暗然としました。「高校演劇に適した本がありません」 全国の高校演劇の上演状況を見れば、そんな台詞は出てきません。神奈川などでは半数近くが既成脚本です。無意識ではありましょうが、「他の都道府県は、高校演劇に相応しくない本を上演している」と言ったことと同義になります。知ってこその壊しです。直近、唯一の例外、2012年度の本選で、OBF高校が『しんしゃく源氏物語』を上手く壊していました。平安時代の衣装を現代風にして、高校生にとって無理のない表現ができるように工夫していました。この点は、いま少し評価されてもよかったのではと思います。ただ、演技、演出で、もう一歩のところが多く、話題にもならなかったのでしょうが、審査員の方々が、この壊し方をもう少し評価してくださっても良かったのではと思います。

 創る。ここにはとても、まともには言及できません。守るべきモノを知り、その上で壊すべきモノを知って、初めて創れます。
 創作。なんと生産的で、前向きで、蠱惑的な言葉でしょう。政治家が言う「美しい日本を創りましょう」に通底するものを感じます。わたしには、かつての民主党のマニュフェストのようにしか感じません。
 顧問の若手の先生や生徒諸君に創作の技術を持ってもらおうと、いろいろ講習を企画され、2013年の三学期には、外部講師を呼んで、講習会が開かれます。切歯扼腕とはこのことです。守る(過去の作品を知る)ことなく、創作はありえません。とりあえず他人様の戯曲の百本も読んでから、講習という言葉が出てくるべきでしょう。別のブログで何度も書きましたが、藤本義一さんは(先日亡くなった、大阪の作家……これも知らなければ話になりませんが)戯曲の創作を頼まれたとき「ぼく、芝居はよう分かれへんさかい、ちょっと待って」 そう言って、とりあえず百本の古今の名作を読み、ようやく創作にかかりました。個人的には、劇作は独習しかないように思います。わたしが本書きのハシクレで居られるのは、先輩方のご薫陶によるものですが、書き方を教わったことはありません。「もっと本を読めよ」「いつまでもパロディー書いてちゃだめだよ」の二つだけでした。一度「読んでます」と生意気を言ったことがあります。「何読んでんの?」「はい、チェ-ホフの『桜の園』なんか」「で、何回読んだの?」「二三回……」「ハハハ」と鼻で笑われました。「読むってのは、散歩道にしちゃうこと。二三回歩いた道は、散歩道とは言わない」
 凹みました。この先輩はイプセン狂いなさっておられ、六十を過ぎて横浜にくるノルウェーの船員たちから生きたノルウェー語を学習、イプセンの戯曲を、戦後初めて訳しなおされました。
 ことほど左様に、劇作とは独習しかないのですが、講習会はやらないよりもましでしょう。
 しかし、ここに大きな疑問が湧きます。大阪の高校演劇の指導的立場(むろん劇作面でも)におられる先生方が、なぜ自分で書かないのでしょう。まだ、六十前です。筆を折るのは早すぎます。
 ぜひ、ご自分達でお書きになってください。

 高校生の舞台づくりに、新しい芽が出始めています。芝居の音楽化と、コント化です。2012年度の本選で、成蹊高校にミュージカル化の芽がみえました。精華高校にコント化の兆しをかんじました。予選落ちしましたが、夕陽丘高校のコントの技量は大したものでした。
 生徒たちは、無意識のうちにも、どうやったら観てもらえる芝居ができるだろうかと模索し始めています。これを上手く指導して、劇的表現までもっていってやることが大事だと思います。単に劇的構造を持っていないと、一蹴せずに。


 残念なことに、中村勘三郎を知らない演劇部員の子たちが大勢います。顧問の先生でさえ、「名前は聞いたことあるねんけど……」という程度の方がいらっしゃいます。
 野球部の子で、プロ野球を(テレビを通してでも)観たことがないというものはいません。監督で王さんや長島さんを知らない人はいません。
 この「知らない」ことが、まかり通っているのが、高校演劇だと感じています。you tubeでけっこうです。一度勘三郎さんに触れるところからはじめませんか。
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高校演劇・中村勘三郎さん逝く

2012-12-05 08:30:31 | エッセー
中村勘三郎さん逝く


 中村勘三郎と言っても、知らない人が多いかもしれない。

 藤山寛美……もっと分からない。渥美清なら知っているだろうか、フウテンの寅さん『男は辛いよ』の寅さん。その渥美清より年下だけど、今までに、演劇会に与えた影響や、これから与えるであろう影響の期待される役者であった。勘三郎さんも、その一人である。

 わたしは、今も、若い頃も、お金がなかったので、ライブで勘三郎さんを観たのは何本もない、その中で『四谷怪談』が衝撃的だった。『四谷怪談』と言えば、その名の通り怪談なんだけど、勘三郎さんの小岩さんは、上演中に観客席から笑いがおこる。拍手が絶えない。夫伊右衛門が、赤ん坊の蚊帳を質に入れるともっていこうとする。それにしがみつき「どうか、これだけは……」このシーンは、並の役者が演れば、ただただ小岩さんが可愛そうで、夫伊右衛門が憎々しくみえるだけなのだけど、このシーンで笑いがおこる。
 必死で蚊帳にしがみつく小岩さんがいささか重く、夫伊右衛門さんが少し大変なのである。「こんな演出があるのか」と驚いた。戸板返しや仏壇返しは、怖いんだけど、その見事さに拍手が起こる。

 また、ある芝居では、花道を来た馬が花道から落ちるという事故があった。裏方さんやらが懸命に馬を舞台に戻すのを、勘三郎さんは、本当に馬が畦道から田んぼに落っこち、一生懸命這い上がろうとしているのを見守るお百姓さんになり、やっと上がってきた馬に「アオよ、大丈夫だったかい?」と、アドリブをカマした。
なにがあろうが、役として反応する、その集中力と役へのナリキリ(ムツカシイ言葉では、役の典型化という)が見事だった。you tubeで、勘三郎さんの下駄のタップダンスをみたときもタマゲタ。あらゆる可能性を舞台で試した人である。創造への意欲と工夫、歌舞伎に限らず、他のエンターテイメントへの関心も強く、いろんなことを試してこられた。

 勘三郎さんが高校演劇の関係者なら、「演れるような既成の本がありません」等とはいわなかっただろう。やりたいこと、試したいことが一杯あった人で、既成の脚本でも、若い人にも分かりやすいように手を加えただろう。じっさい『四谷怪談』がそうだった。

 また、後輩の躾にも厳しい人で、息子の勘九郎、七之助さんが小さい頃、楽屋で化粧前の鏡にピースをしておどけたところを見て、張り倒した。二人の息子は、まだ幼稚園か、やっと小学校に入ったばかり。それでも「楽屋をなんだと思ってやがるんだ!!」と厳しい。
 今の、高校演劇の諸君はどうだろう。わたしは年に30本近く高校生の舞台を観るが、技量はともかく、そこまで打ち込んでいる姿を、ほとんど見かけない。変に高揚しているか、型となったストイックさが目に付く。
 先日の、大阪府高校演劇連盟の本選の幕間交流で、告白マガイのこと(笑)をやった高校生がいた。わたしは「なにチャラけとんねん」という思いだったが、発言はひかえた。昔なら「そんなことはプライベートでやってくれ!」と言われるか、無視される。そんな空気は微塵もなく、会場は暖かい空気に満ちた。調子づいた高校生が、それに続いて、告白まがい。なにかが間違っている。
 この二人が告白した芝居は、昨年の出来に比べ数段出来が悪かった。この告白二人組は去年の舞台も観ている。だったら、なぜ、そこを突かない、指摘しない。幕間交流は合コンではない。
 わたしの感想通りこの学校は昨年のような評価は得られず、選外であった。連盟は、高校生以外の発言を認めず。チョウチン質問ばかり。無意識のうちに誉め殺しをやっている。顧問の先生の多くも、この幕間交流の合コン化を、物わかりよさげに、微笑んで観ていた。何かが逆立ちしている。

 勘三郎さんの、真摯さと、貪欲な工夫が、今は必要だと思う。一度you tubeで中村勘三郎を検索して、その片鱗にでも触れることをお勧めするとともに、名優中村勘三郎さんのご冥福を祈ります。

 平成24年12月5日  大橋むつお
 
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タキさんの押しつけ映画評『007/スカイフォール』

2012-12-03 09:16:56 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『007/スカイフォール』


これは、我が悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので、本人の了解を得て転載したものです。今回は、吹き替え版の有りようなどの、タキさんのこだわりに唸らされます。

 只今9:40 八尾MOVIX上映まで1時間有り。このまにチョイと別なお話。
 
  昨日、毎日夕刊にソニーの映画担当重役の、洋画の日本語吹き替え版のウェイトを多くする旨 発言があった。洋画の動員の中で、吹き替えを見る人の割合が増えているってのがその根拠。言い訳としては、字幕だと切り捨てられるセリフ内容の全てが伝えられる。字幕を読まなくて良くなるから役者の芝居に集中出来る……と おっしゃる……。
 ハッキリ言わしてもろうて、映画観客動員数減少は業界にとっては大問題です、しかも、世界共通の傾向として観客の質が低下しています。もっとハッキリ言わして貰うなら観客がアホのガキにシフトしていると言う事で、この所映画界はこの層に配慮した作品に重点を置いて来ました。それは構わんのです、阿呆共から巻き上げた金で まともな映画を作り続ければいいんですからね。
 ただ、まともな映画をまともに見られる環境は守って貰いたい。吹き替えを全面的に否定はしない、吹き替えでしか洋画を見られない方々も多数いらっしゃる。問題は製作サイドの姿勢にある。
 ことにソニーは この所 こと信頼という地平線からはほど遠い。ここまでボロクソに言ったついでに吐き出すならば、本業が落ち目に成って 元々の文化に対する理念を見失っている。ソニー/コロンビアの作品で、本作や「ミレニアム・リメイク」といった堂々たる作品はアメリカ人重役の努力の結晶である、日本側高位スタッフは悉く邪魔をしている。本作を3Dで撮るように指示したドアホウがいたらしいが……悲しいかな映画担当日本人重役である。こんな奴がいるから信頼出来ないのだ。
 吹き替えもいいだろう、しかし、それは芝居の構造が二重に成ってしまう危険性と隣り合わせである。芝居とは役者の肉体とその言葉との統一性の上に成り立っている。そこに吹き替えを被せるのは、言うなればミケランジェロの天井画の裸身に布を書き足す行為に他ならない。日本人声優は巧い人が多い、しかしながらオリジナルキャストその人では有り得ない、スーパーから意味が漏れ落ちるというが、映画翻訳者を真剣に養成し
たのか?今作の戸田奈津子の仕事は素晴らしい、しかし、彼女が今年幾つに成られるか考えた事が有るのか?戸田さんは ある種の映画偏執狂である、このこだわりがある限り、彼女は死ぬまでこの仕事から離れないだろう。後継者は?…残念ながら彼女程の愛をそそぐ人を知らない。
 人材の発掘・育成・スーパーの見せ方にまず努力すべきじゃないのだろうか。

 で、今日の映画です(ここで34時間あいだが空いちゃいました) ダニエル・クレイグになってからの本シリーズは、007連作と言うよりリ-ブート(再起動)ですね。 「バットマン」「スパイダーマン」なんかも一緒です。中でも唸るほど渋いのが本シリーズ、ボンドが00要員に成る所から始まって、彼の過去と現在が絡まりながら、事件よりボンドの「人間」を描く事に重点が置かれている。本作は再起動三部作の最終回になる。それに相応しく、ボンドの人間としての根っこが描かれている。勿論、フレミングの原作には全く無い設定、制作者のただならない決意が伝わって来る。007シリーズは50周年を期して全く新しく産まれ変わる。それに相応しく、設定のすべてが明らかになり、得る物も有り、また失う物も大きい。大方のファンは、戸惑いながらも目が離せない状態で前2作を見たはず、大丈夫…戸惑いはもう終わる。タイトルロールにはっきりと「彼は戻って来る」と記されていた。もう一度、「Dr,NO」から辿るのか、全く新しいストーリーに成るのかは判らない。ダニエル・クレイグのボンドが続く事だけは決まっている。今回の見所は まずハビエル・バルデムの怖さ「ノーカントリー」の悪魔のような殺し屋が金髪に成って帰って来た。ジュディ・デンチ(M)も暴れる。Qが新登場して、もう一人 顔が揃えば懐かしのシリーズフルメンバーやなと思っていたら……お~やぁ そうなっちゃうんですねぇ。ストーリーがズン!と詰まっている、オールドファンほど色々見えるものがある。見なくっちゃいけませんぜ!



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』    

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

お申込は、最寄書店・アマゾン・楽天などへ。現在ネット書店は在庫切れ、在庫僅少で、下記の出版社に直接ご連絡いただくのが、一番早いようです。

青雲書房直接お申し込みは、定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。

お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。

青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
 
 この物語は、顧問の退職により、大所帯の大規模伝統演劇部が、小規模演劇部として再生していくまでの半年を、ライトノベルの形式で書いたものです。演劇部のマネジメントの基本はなにかと言うことを中心に、書いてあります。姉妹作の『はるか 真田山学院高校演劇部物語』と合わせて読んでいただければ、高校演劇の基礎連など技術的な問題から、マネジメントの様々な状況における在り方がわかります。むろん学園青春のラノベとして、演劇部に関心のない方でもおもしろく読めるようになっています。
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