- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
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- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
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- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
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- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
くノ一その一今のうち
鬼灯(ほおづき)のような炎が立ったかと思うと二秒遅れて衝撃と爆発音。
ドォーーーーン
「北に向かって!」
サマル王子の耳もとで叫ぶ。
「ウワ! と、ととと……トォ!」
ズザザザザ!
衝撃と私の声にジープが揺れ、王子は数秒かかってジープを北に北に向けた。
「いまの爆発は( ゚Д゚)!?」
「…………」
王子は狼狽えながら、アデリヤは無言で左後方に立ち昇る煙を睨んだ。
「仲間が作戦を変更したんです、直接向かいます」
どう変更したのかは分からない、直接向かってどうするかも、この瞬間には分かっていない。
視野の端にウンコをとらえ、とっさに跳ぶように北に向かっただけだ。北からは草原の国の戦闘車両が車列を組んでこちらに向かって来る。
「お二人は、ジープで敵の東側を掠め、D国を突き抜け高原の国に戻ってください」
「ノッチは?」
「草原の国に向かいます」
「草原……敵の本拠地だぞ!?」
「行けば、なにか開けるでしょう。えいちゃん、行くよ!」
『はい!』
丸めたえいちゃんを手に握ると、ジープを飛び降りた。
「ソノッチぃぃぃ!」
怒ったようなビックリしたような王女にサムズアップ、全力疾走する。
「えいちゃん、敵の車列の上を飛んだら、これを撒いて」
『これは?』
「風魔流癇癪玉、大した打撃は与えられないけど、派手に破裂して煙が出る」
『了解です!』
「いくよ」
『はい!』
バシュ
走りながらえいちゃんを手放すと、みるみる数十メートルの高さに舞い上がるえいちゃん。
ピンと張った糸を少しだけ右に振ると、グンと手ごたえがあって、えいちゃんは砂煙を上げて驀進してくる車列の上に出る。
シュパン シュパン シュパン シュパン シュパン シュパパパーン
連続して車列の上で音がして、車列は濛々とした煙に覆われる。
ダダダダダ ダダダダダ ダダダダダ ダダダダダ ダダダダダ ダダダダダ
ドローンの襲撃と勘違いした敵が空に向かって、てんでに機銃を撃ちまくる。
タタタタタ タタタタタ タタタタタタ
反対側から乾いた音が響く、アデリヤ王女が機転を利かせて車載機銃を撃っているんだ。
ダダダダダ ダダダダダ
敵は、アデリヤの方にも撃ち始める。
こちらに注意を向けさせなきゃ!
加勢はありがたいけど、二人を危険に晒しておくわけにはいかない。
シュパン シュパン シュパパパーン
こちらからも癇癪玉を投げて、煙に巻く。
キキー! グワッシャーン! ガッシャンガッシャン! ドゲシ! ボコ! グチャ!
混乱した敵は、砂煙と癇癪玉の煙の中で多重衝突を起こす。
ウンコを避けただけの足としてはうまくいった。
えいちゃんを手繰り戻すと、車列の最後尾で立ち往生しているバイクを奪って北を目指した。
☆彡 主な登場人物
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
くノ一その一今のうち
中忍は戦略的な判断はしない。
戦略とは、攻めるか攻めないかという大局的な判断。これは上忍の仕事、いや責任。
中忍は、その決定に従って具体的な戦術を決める。
日本最大の忍者組織である徳川物産においては、この中忍の仕事は服部半三と、総務二課秘書のわたし(桔梗)と樟葉が当たっている。
いつ、どのように、どんな規模で攻めるかを決めて下忍に命じ、時に、その先に立って戦いの指揮を執る。これが戦術。
下忍は集団として、時には個人として登録されていて、任務に応じて指名され戦闘や諜報の任にあたる。本社直属の下忍集団も今年から発足した。
百地芸能事務所。
この春まで、百地は独立した忍者集団だったが、社長同士の話し合いで、神田の事務所を引き払って、丸の内の本社ビルに移転してきた。
その下忍たちの中で、密かに社長が好んでいるのが風魔その。
身分は下忍集団である百地事務所のアルバイト。すでに世襲名の『そのいち』を戴いているが、良くも悪くも女子高生気質が抜け切れておらず、俗名の『その』や『ソノッチ』あるいは『ノッチ』で呼んでも機嫌よく返事する。
忍者の棟梁は世襲名にこだわる。うちの服部半三、百地三太夫、敵の猿飛佐助など。
あ、うちの服部半三は別に三村紘一を名乗っているが、あくまでも任務上の偽名の一つ。
天然なのか、企みあってのことなのか、社長も半三もそのの呼び名にはこだわりがないようなので、わたしも時と場合と気分次第でファジーに接している。
そのは下忍だから、判断していいのは戦闘術の範疇にあることだけだ。
盗めと命ぜられたら、殺せと命ぜられたら、どうやって盗むか殺すかの判断だけだ。
半三とわたしで決めたのは、A国B国の行動を遅らせることだ。
草原の国がA・B両国を抱き込んで、あるいは恐喝して高原の国を滅ぼそうとしている。
高原の国が落とされれば、草原の国の力は中央アジア全域に広がり、ロシアや中国に並ぶ勢力になる。
草原の国の背後には木下豊臣家がいる。
木下豊臣は、その力の根源を海外に求め、その勢力を持って鈴木豊臣家を滅ぼし、さらには日本を支配しようと目論んでいる。
当面の障害、それは高原の国のアデリヤ王女。
まだ17歳だが、国を想う心は国王のそれを超えている。
頭脳も明晰で、いささか未熟で跳ねっかえりではあるが、その行動力と統率力には目を見張るものがある。
敵ならば、殺すか排除すれば済む。
しかし、将来においては高原の国の優れた指導者になる逸材だ。
彼女の祖母は日本人で、その血の1/4は日本の血だ。
アデリヤ王女の保護と教育、うがった見方をすれば、それが本作戦のキモと言っても差し支えない。
おっと、これは、中忍の分際を超える。
トントン
合図のノックを天井裏で聞いて、わたしは筋向いの部屋から廊下に出る。
「もう、ビックリするなあ!」
「部屋に入って」
「うん」
ミッヒを部屋に入れて、わたしは隣の部屋に入る。そして、二人とも床下に潜り込んで、出会うのは二つ隣の、そのまた裏の空き倉庫。
旧ソ連時代の地下道の図面が役に立った。
「ドローンを二つ飛ばして注意をひいておいた。五分もすれば墜とされるだろうけど、これでみんなの注意は空に向く」
「その間に、ミサイルを破壊するのね」
「ああ、草原の国の細胞が予想以上に入っている。時を稼ぐのにはこれしかない。これは中忍の判断でいいんだよな」
「ええ、予定通りでは無いけど、プランB、わたしの権限の内よ。草原の国の浸透は予想より進んでいる、荒事で阻止するしか手は無い」
「10分で爆発する、そろそろ行こう」
「仕掛けは?」
「日差しが傾いてブツに影が伸びたら爆発する」
「そう、じゃあ、ここからは別々にね」
「了解」
言い終った時には、もうミッヒの姿は無かった。
ここからは別々に脱出する。
では、なぜ、わざわざ待ち合わせたか。
直に顔を見て、事の成否を見極めるため。
わたしの特技は、人の目とオーラを見て、人物と事の成否を見極めること。
ミッヒは、急な変更にもかかわらず、きちんと任務を果たしたようだ。
ドオオオオオオン!
変装してゲートを抜けたところで大爆発。
ゲートの兵士たちは、警備どころではなくなり、銃を構えてゲートを閉鎖。
振り返ると――早く行ってしまえ――とジェスチャーしている。
やれやれ、次善の策でなんとか任務終了。
彼方を一台のジープが疾走していく。
三人乗っている、二人は女性兵士…………まさか?
☆彡 主な登場人物
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
くノ一その一今のうち
すごい圧だ。
ジープで疾走しているのだから、当然風圧はあるけど、風圧なんかじゃない。
なにか、とんでもない事態が起こりそうな、歴史の歯車が大きく動き出しそうな、そんな圧だ。
アデリヤ王女とサマル王子を引き連れて、A国に潜入している桔梗さんとミッヒのところに行けば道は開ける。
高原の国王女とB国の王子が先頭に立って、どんなカタチであるかは分からないけど、A国の国王と政府に迫れば切り開ける道がある。ここから先は中忍である桔梗とミッヒの仕事、あるいは指令に従えば良いと思っていた。
それでは済まない、そんな圧を全身に感じる。
忍者は手足、考えてはいけない。
まして、わたしは下忍だ。下忍は、手足ですらない、指一本、いや、指の先かもしれない。
いざという時には、本体を救うために手足が犠牲になることもある。まして指の先、判断なんかしてはいけない。
でも、お祖母ちゃんは言った。
あれは、日暮里の駅を降りて内職の真田紐を納めにいく途中だった。
「火傷をしそうなとき、とっさに手をひっこめるだろ。あれは手足が勝手に判断してるんだ」
「え、そうなの?」
「脳みそに判断を仰いでいたら間に合わないときは、そうするようにできている」
「そうなんだ」
「それからね……」
微妙な間に、思わずお祖母ちゃんの顔を覗き込む。
その時、足の裏がゾワっとして、小さく横に飛んだ。
見ると、犬のウンコ。
あやうく踏んでしまうところだった。
「いま、何をした?」
「え、ウンコ踏みそうになったから、避けた」
「目で見たかい?」
「え……えと、なんとなく感じて、横に跳んだ」
「足が感じたんだよ。で、足は、咄嗟に全身の筋肉に警報を発して跳んだんだ。跳ぶっていうのは全身運動だからね、足一本だけでできる技じゃない」
「う、うん……」
「いまの東京、めったに犬のウンコなんて落ちてやしないけど、そのめったにないことに対処しなくちゃならないことが世の中にはある。憶えておきな」
あの時のことを思い出した。
「サマル殿下、あの灌木の群れのとこで停めてください」
「お、おう」
キーー
「なにかあるのか、ノッチ?」
アデリヤが友だち言葉で見上げる。
「一分だけ待って」
返事は木の上からした。
――えいちゃん、30メートルほど上がって下りてこれる?――
――後ろ45度の角度で投げてください。20秒観察して、ここに戻ってきます――
――見える範囲でいい、草原の国の気配を掴めるだけ掴んで――
――了解――
セイ!
風は高原の国からの吹きおろしている。えいちゃんは、W字型に広がると20秒間空中に留まって、灌木の5メートルほど先に下りてきた。
――すみません、少しズレました――
――ううん、上出来だ。で、どうだった?――
――A国の向こう、C国とD国の境目をすごい数の軍用車両が……A国の王都目がけて突き進んでいます!――
C国D国の向こうは草原の国だ。
事態はA国B国をどうにかするレベルを超えて、動き始めている。
埼玉県が足立区・葛飾区をシカトして、台東区・荒川区を蹂躙しながら都心に攻め寄せてくるようなもんだ。
なんの成算もないが、わたしは足の裏として、ウンコを避ける。
避けるだけではなく、避けた先の草原の国の横っ面に回し蹴りをかけるつもりになっていた。
☆彡 主な登場人物
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
くノ一その一今のうち
風に飛ばされてしまいましたぁ(;゚Д゚)
窓枠から解放してやったえいちゃんは、シワクチャになった全身の口のところだけ手で伸ばして説明した。
「あっという間に舞い上げられて、なんとか風を拾いながらここまで……」
「B国の城には戻れなかったの?」
「はい、風が一方通行で……」
「今の季節は高原から吹き下ろす南風だから、こっちに来るしか手が無いだろうが、何者なんだこれは?」
アデリヤはえいちゃんとは初対面だ。
「実はね……」
アハハハハ
えいちゃんのあれこれを説明してやると、アデリヤは初めて年相応の少女の顔になって笑った。
「そんな面白いことがあるのか、さすがはアニメ大国日本だなぁ」
「ちょっと皴を伸ばしてあげるね……忍法スチームアイロン!」
プシュー
手のひらをアイロンにしてしわを伸ばしてやると、ホッと溜息をつくえいちゃん。
「しかし、こうやって前から見ている分には普通に見えるんだなあ」
「はい、いつか三次元の女優になれるように頑張っています! 監視哨の屋上では、ちゃんとアデリヤ王女に化けていたんですからね」
「え、影武者はドーカンがジープに載せていたのだけではなかったのか?」
「いろいろ手は打っております……そうだ!」
「……え、ええ!?」
耳打ちすると目を剥くえいちゃん。
しかし、女優魂に火が点いたようだ「ま、まかせてください( ๑•̀o•́๑ )!」と胸を叩いた。
サマル王子は足取りも軽く宮殿の駐車場に向かうところだった。
すぐにキャンプに戻るつもりだったが、せっかく宮殿に戻ったのだからと自室でアニメのソフトを選んでいたのだ。
――まあ、100本も持っていけば、当分宮殿には戻らなくてもいいだっちゃ(^▽^)――
100本の中に虎柄ビキニの鬼娘の円盤も入っていて、これなら何度でも繰り返して観られる。
サマルは国同士の付き合いなどどうでもよかった。王子の身分が保証され、好きなアニメが見られるなら独立国であろうが草原の国の属国であろうが頓着は無い。
難民保護のポーズさえとっていれば、周囲の国々も悪いようにはしないと高をくくっている。
ガッシャ!!
門を出たところでジープが跳ねた。
「あ、おまえら!?」
なんと、後部座席には都合よく捨てたと思ったアデリヤとメグリが乗っている。
「あそこから飛び乗ってきたのか!?」
「そうよサマル、この程度のスタント、アニメのキャラでなくったってできるんだっちゃ」
「ア、アデリヤ(;'∀')」
「このままA国との国境まで走ってください、サマル殿下」
バックミラーに映る女忍者の目に一言も言い返せない皇太子であった。
☆彡 主な登場人物
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄
くノ一その一今のうち
「サマラ(アデリヤの母)は元気にしておるか?」
アデリヤ姫に言葉を向ける国王は、サマラ王妃の兄というよりは父親、いや祖父かと見間違えるほどに老けている。
サマル王子が父親似だということが初対面でも知れるのだけど、刻まれた皴や目の縁のクマ、丸くなった背中に国王として置かれた立場が容易なものではないことを物語っている。ここのところの草原の国からの圧力、軍事的緊張で心身ともに擦り減っているんだろう、王立牧場の難民キャンプでボーイスカウトみたいに生き生きしているサマル王子とは対照的すぎる。
「はい、大臣たちが父をよく輔弼し、国連や友好国からの援助も受け、緊張感はありますが、いたって前向きに過ごしております。母も、そんな父に安心して明るく過ごしております」
「そうか、それはよかった。王族第一の役目は臣民たちを安心させることだからな、なによりのことだ」
「父上は気に病み過ぎです、我がB国にも優秀な軍人や役人が山ほど居ります。みな、父上を輔弼し、我が国の進路過たぬように努力しております」
「え、あ、そうであったな……しかし、サマル、そなたも皇太子なのだから、少しは城に居て大臣たちの話に加わらぬか」
「我が国は、三権も軍事も国王が最終最高の権能を持ちます。むろん、大臣たちの輔弼を受けてのことでありますが、国事の最高意思決定を国王隣席の御前会議で行うのは、その基本を外さぬためであります。その席に皇太子たる自分までが同席するのは大臣たちへの圧が強すぎましょう。闊達に意見を交わし、過たぬ決定をするには要らぬ圧力になりかねないことは控えるべきかと。いま、国民と世界の目は難民への対応に向いております。これを抜かりなく処理するのが、陸軍少佐でもある、このサマルの役目かと存じます」
「む、そうではあるが……このままでは、A国と肩を並べてアデリヤの国に攻め入ることになりかねないぞ」
「陛下は国家の良心であります、常に臣民と地域の安定発展に向けた決断をされるものと信じております」
「弁えておるのう」
「はい、国家の意思決定にあっては皇太子と言えど、一臣民にすぎません」
「やれやれ、百年前の革命のおりにサマル一世が残した言葉であったな……そう言えば、アデリヤ、その衣装は映画の撮影のためか?」
「これは……」
「そうなのですよ、父上。B国は、いよいよ『バトル オブ ハイランド』の製作に入るのです。世の中が平和な証拠です」
キャンプから直接王城までやってきたので、わたしもアデリヤ姫も変装のままだ。
「『バトル オブ ハイランド』は三国がまだ一つであった頃の物語、あの時代もいろいろ争いはありましたが一つにまとまりました。この難局もA国とB国、それに高原の国も加わり、多少の困難があってもまとまるに違いありません」
「そうか……そうであれば良いがのう……で、アデリヤ、それは何の役の衣装なのだ?」
「はい、難民の衣装です。ひょっとしたら、映画だけではなく、アデリヤの普段着になるかもしれませんが」
コンコン
接見の間のドアがノックされ、侍従が御前会議の時間が迫っていることを告げに来た。
「すまん、日本のお方には挨拶もできなかったな。落ち着いたら、またゆっくりと話しができたらと思う」
「恐れ入ります、陛下」
「それではな……」
侍従に先導され、国王は会議の間に向かわれた。
「では、僕はキャンプに戻るよ、君たちはどうする?」
「今夜はお城に居る。もう少し伯父上とお話しできたらと思うし」
「そうか、では近衛には話を通しておく。万一のことがあっても、二人を敵認定しないように。明日の朝には迎えを寄こす、最終的な身の振り方はキャンプで決めるといいだっちゃ」
バシっと敬礼を決めると軽い足取りで接見の間を出て行った。
侍女に案内されて客間に通される途中、中庭の木の間隠れに軍服姿が見えた。
慌てて身を隠していなければ、ここいら旧ソ連の国々は似たような軍服、草原の国の将校とは気が付かなかっただろう。
事態は、姫やわたしの想像を超えて進み始めているようだ。
ガタガタ ガタガタ
通された客間、窓の建付けが悪いと思ったら、窓枠にえいちゃんが挟まってもがいていた(^_^;)。
☆彡 主な登場人物
- 風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
- 風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
- 百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
- 鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
- 忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
- 徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
- 服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
- 十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
- 多田さん 照明技師で猿飛佐助の手下
- 杵間さん 帝国キネマ撮影所所長
- えいちゃん 長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
- 豊臣秀長 豊国神社に祀られている秀吉の弟
- ミッヒ(ミヒャエル) ドイツのランツクネヒト(傭兵)
- アデリヤ 高原の国第一王女
- サマル B国皇太子 アデリヤの従兄