お赤飯
第21回おばさんの料理教室の講師は、男性歯医者さんで、休みの日は戸外に出て野草などを採取して、自分なりの料理作りを楽しまれたり、こんな方がおられることに敬意を表したく思います。今回加使われた栗は比良山から拾って来られた芝栗が大変印象的で素朴な味を楽しみました。
◎蒸し器について
アルミやステンレス製でなべと一体になったものは、茶碗蒸しなどをするときには中が広いので使いやすいが、赤飯には向かない。なぜなら大量に出てくる水蒸気が内面で結露して水滴となり、それが米粒に吸収され、べたべたと水っぽい赤飯になってしまうからである。アルミ、ステンレス製を使う場合は次のようにするとよい。①ふたを木製に変えるか、ふたを布巾でくるんで内面の結露を防ぐ。②蒸し器の底板に蒸し布が密着すると米粒が吸水する。これを防ぐために、太い割り箸を底板に数本並べた上に竹簾を敷き、その上に蒸し布を置く。蒸し布は綿布巾ではなく専用の麻または綿の物を使う。専用布は目が粗く、よく蒸気が通る。おいしい赤飯を作る一番のポイントは、高温の蒸気が勢いよく米粒の回りを通ることにある。
蒸し器は木製が良いのは、木自体の保温性と吸湿性が良いからである。ただし木製であってもガス代の節約を考えて一度に沢山作ろうとはしないこと。入れる量が少ない場合は蒸気がよく通りおいしくできるが、多すぎる場合は失敗する。蒸し器の大きさに合った許容量を守ること。
◎糯米、小豆、塩
粳米では新潟魚沼産のコシヒカリがたいへん有名である。糯米では滋賀県産の羽二重糯米が日本一とされている。精米したての羽二重糯米を使うと、蒸している時にたいへんよい香りがする。糯米の品質で味はほとんど決まる。滋賀県内なら「道の駅」で精米したてのものが購入できる。
赤飯の色と風味は小豆の煮汁で付ける。(関東では「ささげ」を使うようである。)小豆は粒の小さいものから、大きなもの(大納言小豆)まで何種類もある。豆の色も赤っぽいものからこげ茶色のものまでいろいろある。見た目と味で選べばよい。北海道十勝産の小豆が皮も柔らかくおいしい。「豆嘉」のご主人によると赤飯には大納言小豆が見た目がよいので、おすすめだそうである。おいしい赤飯のポイントは、糯米と小豆の割合にある。一般的に売られている赤飯は糯米1合に対してわずか20分の1合以下の小豆しか使っていない。その割合ではよい色と風味は出せない。糯米1に対して小豆3分の1くらいの割合が必要である。ただしこれだけの量の小豆を全て入れると豆で米粒が見えなくなる。入れる豆の量は好みでよい。余った小豆はあんこにすることで、楽しみが二倍になる。
「暮らしの手帳」(38号、2009年)においしい赤飯の作り方が詳しくのっている。京都の羊羹で有名な「とらや」では、このおいしい赤飯が売られているようである。価格はかなりお高いようだが、食べてみたい方は電話で問い合わせてから。
ほのかな塩味は糯米の甘味を引き出す。あら塩などのミネラルを含むものを使う。塩味が濃すぎると「ごま塩」の出番がなくなる。
◎作りやすい量(作る手間は同じなので、おいしくできたら近所におすそ分け)
小豆2~3合、糯米6~9合、あら塩小さじ1~1.5前後 (小豆2合の場合は糯米6合塩小さじ1、3合の場合は9合塩小さじ1.5 内径22センチの木製蒸し器なら、糯米6合なら2度、9合なら3度に分けて蒸す。)
◎小豆を煮る
水に小豆を入れて沸騰したら火を弱め、5~10分煮る。薄い紅茶色になったら湯を全て流す。新たに水を1~1,5リットル入れて、中火から弱火でおよそ30分間煮汁が濁らないように静かに煮る。煮汁は、紅茶とコーヒーの間くらいの色。煮汁の底の小豆が見えにくくなるくらいの濃い色になっていればよい。ざるで小豆をこして、ボールに煮汁をとる。小豆はまた水を加え10分ほど煮ると赤飯にはちょうどよい硬さになる。
(小豆は後から蒸すのでちょっと芯があるくらいの硬さ)皮が割れていれば柔らかすぎるので、煮ない。煮汁は熱いうちに小さじ1~1.5の塩を入れ、お玉ですくっては落とし、すくっては落としてよく空気を入れて撹拌する。こうすると濃い赤茶色になる。十分に冷ましたところに、2~3度水を換えて洗った糯米を入れる。1~2時間すると米が吸水して量が増えてくるので、水位は指の第一関節が入るくらいの量にしておく。5~6時間吸水させたときに、米が煮汁にひたひたに浸かっていること。(夏場は冷蔵庫に入れたほうがよい。)ざるに上げて30分ほど水を切り、小豆を混ぜておく。入れる小豆の量は煮た全体の3分の1~4分の1。秋ならば栗を入れると季節感が出てなおよい。山に落ちている柴栗は小さくてもたいへんおいしいので試す価値はある。
◎蒸す
一度に蒸せる量は直径22センチの蒸し器で2~3合。なべと蒸し器の間には布巾をリング状に置いて蒸気漏れを防ぐ。蒸気が勢いよく出ている蒸し器に、(いったん火を止め)蒸し布を敷き、ドーナツ状に糯米を入れて(中央に蒸気の通り道をつくる)、20分蒸す。蒸し器の大きさが変わっても、入れる米の厚みは5センチくらいまでにすること。一度にいっぱい作ろうとして蒸し器にいっぱい詰め込むと、蒸気の通りが悪くなり団子になる。20分蒸したら味見して芯がないか確認する。煮汁を150ccくらい回しかけてから、しゃもじで転地を返す。さらに20分ほど蒸したら出来上がり。何度も差し水をすると糯米が吸水しすぎて、もちもち感がなくなりおいしくない。出来上がったらすぐに蒸し器から出し器に移す。このときにも厚く盛らない。全体に薄くはらりとほぐしながら広げる感じ。粗熱が取れたら濡れ布巾を掛ける。好みでごま塩を振る。
余った小豆はさらに1時間ほど煮て柔らかくし、砂糖を入れて、ぜんざいまたはあんこにして食べる。
第21回おばさんの料理教室の講師は、男性歯医者さんで、休みの日は戸外に出て野草などを採取して、自分なりの料理作りを楽しまれたり、こんな方がおられることに敬意を表したく思います。今回加使われた栗は比良山から拾って来られた芝栗が大変印象的で素朴な味を楽しみました。
◎蒸し器について
アルミやステンレス製でなべと一体になったものは、茶碗蒸しなどをするときには中が広いので使いやすいが、赤飯には向かない。なぜなら大量に出てくる水蒸気が内面で結露して水滴となり、それが米粒に吸収され、べたべたと水っぽい赤飯になってしまうからである。アルミ、ステンレス製を使う場合は次のようにするとよい。①ふたを木製に変えるか、ふたを布巾でくるんで内面の結露を防ぐ。②蒸し器の底板に蒸し布が密着すると米粒が吸水する。これを防ぐために、太い割り箸を底板に数本並べた上に竹簾を敷き、その上に蒸し布を置く。蒸し布は綿布巾ではなく専用の麻または綿の物を使う。専用布は目が粗く、よく蒸気が通る。おいしい赤飯を作る一番のポイントは、高温の蒸気が勢いよく米粒の回りを通ることにある。
蒸し器は木製が良いのは、木自体の保温性と吸湿性が良いからである。ただし木製であってもガス代の節約を考えて一度に沢山作ろうとはしないこと。入れる量が少ない場合は蒸気がよく通りおいしくできるが、多すぎる場合は失敗する。蒸し器の大きさに合った許容量を守ること。
◎糯米、小豆、塩
粳米では新潟魚沼産のコシヒカリがたいへん有名である。糯米では滋賀県産の羽二重糯米が日本一とされている。精米したての羽二重糯米を使うと、蒸している時にたいへんよい香りがする。糯米の品質で味はほとんど決まる。滋賀県内なら「道の駅」で精米したてのものが購入できる。
赤飯の色と風味は小豆の煮汁で付ける。(関東では「ささげ」を使うようである。)小豆は粒の小さいものから、大きなもの(大納言小豆)まで何種類もある。豆の色も赤っぽいものからこげ茶色のものまでいろいろある。見た目と味で選べばよい。北海道十勝産の小豆が皮も柔らかくおいしい。「豆嘉」のご主人によると赤飯には大納言小豆が見た目がよいので、おすすめだそうである。おいしい赤飯のポイントは、糯米と小豆の割合にある。一般的に売られている赤飯は糯米1合に対してわずか20分の1合以下の小豆しか使っていない。その割合ではよい色と風味は出せない。糯米1に対して小豆3分の1くらいの割合が必要である。ただしこれだけの量の小豆を全て入れると豆で米粒が見えなくなる。入れる豆の量は好みでよい。余った小豆はあんこにすることで、楽しみが二倍になる。
「暮らしの手帳」(38号、2009年)においしい赤飯の作り方が詳しくのっている。京都の羊羹で有名な「とらや」では、このおいしい赤飯が売られているようである。価格はかなりお高いようだが、食べてみたい方は電話で問い合わせてから。
ほのかな塩味は糯米の甘味を引き出す。あら塩などのミネラルを含むものを使う。塩味が濃すぎると「ごま塩」の出番がなくなる。
◎作りやすい量(作る手間は同じなので、おいしくできたら近所におすそ分け)
小豆2~3合、糯米6~9合、あら塩小さじ1~1.5前後 (小豆2合の場合は糯米6合塩小さじ1、3合の場合は9合塩小さじ1.5 内径22センチの木製蒸し器なら、糯米6合なら2度、9合なら3度に分けて蒸す。)
◎小豆を煮る
水に小豆を入れて沸騰したら火を弱め、5~10分煮る。薄い紅茶色になったら湯を全て流す。新たに水を1~1,5リットル入れて、中火から弱火でおよそ30分間煮汁が濁らないように静かに煮る。煮汁は、紅茶とコーヒーの間くらいの色。煮汁の底の小豆が見えにくくなるくらいの濃い色になっていればよい。ざるで小豆をこして、ボールに煮汁をとる。小豆はまた水を加え10分ほど煮ると赤飯にはちょうどよい硬さになる。
(小豆は後から蒸すのでちょっと芯があるくらいの硬さ)皮が割れていれば柔らかすぎるので、煮ない。煮汁は熱いうちに小さじ1~1.5の塩を入れ、お玉ですくっては落とし、すくっては落としてよく空気を入れて撹拌する。こうすると濃い赤茶色になる。十分に冷ましたところに、2~3度水を換えて洗った糯米を入れる。1~2時間すると米が吸水して量が増えてくるので、水位は指の第一関節が入るくらいの量にしておく。5~6時間吸水させたときに、米が煮汁にひたひたに浸かっていること。(夏場は冷蔵庫に入れたほうがよい。)ざるに上げて30分ほど水を切り、小豆を混ぜておく。入れる小豆の量は煮た全体の3分の1~4分の1。秋ならば栗を入れると季節感が出てなおよい。山に落ちている柴栗は小さくてもたいへんおいしいので試す価値はある。
◎蒸す
一度に蒸せる量は直径22センチの蒸し器で2~3合。なべと蒸し器の間には布巾をリング状に置いて蒸気漏れを防ぐ。蒸気が勢いよく出ている蒸し器に、(いったん火を止め)蒸し布を敷き、ドーナツ状に糯米を入れて(中央に蒸気の通り道をつくる)、20分蒸す。蒸し器の大きさが変わっても、入れる米の厚みは5センチくらいまでにすること。一度にいっぱい作ろうとして蒸し器にいっぱい詰め込むと、蒸気の通りが悪くなり団子になる。20分蒸したら味見して芯がないか確認する。煮汁を150ccくらい回しかけてから、しゃもじで転地を返す。さらに20分ほど蒸したら出来上がり。何度も差し水をすると糯米が吸水しすぎて、もちもち感がなくなりおいしくない。出来上がったらすぐに蒸し器から出し器に移す。このときにも厚く盛らない。全体に薄くはらりとほぐしながら広げる感じ。粗熱が取れたら濡れ布巾を掛ける。好みでごま塩を振る。
余った小豆はさらに1時間ほど煮て柔らかくし、砂糖を入れて、ぜんざいまたはあんこにして食べる。