2月29日(土曜)夜6時からの首相談話をじっくり聞いた。頑固爺の所感は次の通り。
●これまで周囲を窺いながら、ゆっくり走らせていた車を、グイッとアクセルを踏み込んだ感がある。これで国民は非常事態であることを理解し、外出自粛や学校閉鎖もやむなしと思うだろう。
●首相が進退を賭けた意気込みが伝わってきた。これでよし。
そして昨日(3月1日)。頑固爺は読売新聞と産経新聞を購読しているが、朝日新聞が首相談話にどうケチをつけるか興味があり、コンビニで朝日新聞を買って3紙を読み比べた。
まず朝日新聞。
案の定、朝日新聞の第1面の見出しに“首相、説明不足認める”、“対応後手 不安ぬぐえず”とあり、ネガティヴ感たっぷり(写真)。先週まで連日「桜」を論じていたのが、昨日の紙面では「桜」がまったく消えたのは格段の進歩だと評価する(笑)。
さて、見出しの「説明不足」とはどういうことかと記事を読むと、小中高校の臨時休校要請に関し、「保護者の出勤が難しくなるといった問題への対応策が説明されないままの表明だったため、混乱が広がった」という意味であった。
子どもがいると親が働きに出ることが難しくなるということは、小学校低学年の児童の場合、昼食をどうするかという問題である。これについては、子どもの面倒を見るので働きに出られず、収入が減る保護者には助成金制度を発足させるのだから、それでいいはずだ。
子どもに握り飯でも渡して、「留守にするけど、TVでも見て、おとなしく家に居なさい」と命じておけばすむことだと思うが、それは頑固爺がガキだった頃の話であって、今の世の中では通用しないらしい。だから、助成金の必要性には疑問があるが、やむをえないこと納得する。
では、「対応後手 不安ぬぐえず」とはどういうことか。記事には「感染が拡大するなか、社会には不安や混乱が広がっている。・・・国民の不安をぬぐい去り、安心感を与えるような会見にはほど遠かった」、「(休校に関し)なぜ一律の対応が必要なのか、感染防止にどれだけの効果が期待できるのか。首相から具体的な説明はなかった」とある。
学校をクローズすることにどれだけの効果があるか、具体的に説明することは不可能である。それに、休校は濃厚接触の機会を減らそうという基本対策の一環であり、理にかなっている。事前の議論なしにいきなりクローズとは確かに唐突だが、延々と議論して集団感染の機会を増やすよりはましである。
「対応後手」は同感である。しかし、「不安ぬぐえず」と首相を批判する見出しは、不安を一層煽ることになるのではないか。
さらに、第3面の解説記事では、見出しに『唐突な休校要請 釈明、「ご理解」「お願い」繰り返す』とあり、第一面に続いて、首相を批判している。
総じて、朝日新聞はこの非常時にどう対応したらいいかを論じるよりも、「安倍打倒」を最優先しているように感じる。これでは朝日新聞の購読者が「嫌安倍」「反安倍」になるのは当然である。
次に読売新聞。
「よく見えない、よく分からない敵との戦いは容易なものではない。政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできない」、「(一斉休校の要請に関して)断腸の思いだ。子どもたちの健康・安全を第一に、感染リスクに備えなければならない」という首相演説のキモの部分を記事の冒頭に据えているのは適切である。
そして、第二面で「イベントの自粛や臨時休校の要請で迷走したことへの危機感が背景にある」と述べ、政権を批判することも忘れていない。
すなわち、「事実を報道する機能」を第一義とし、「権力のチェック機能」を第二義とする新聞の基本的役割をわきまえた紙面構成になっている。
最後に産経新聞。
第一面左トップ(右トップは習近平の訪日延期で、他紙より1日早い)の記事は、首相談話の解説である。この点では読売と同じ。
では、安倍政権の批判についてはどうか。「安倍首相の会見、矢継ぎ早に具体策講じよ」の見出しがある社説の中で、「新型ウィルスとの戦いはもはや、後手に回る対応をしている余裕などない」とやんわりと批判しているが(下線部分)、このほかには批判的記述はない。安倍政権支持の同紙の立ち位置そのままである。
【結論】
新型肺炎に関する首相談話の取り上げ方に関し、3紙がそれぞれの思想的立場を明確に打ち出していることは興味深い。
しかし、新聞の役割という観点で見れば、朝日は「権力監視機能」が突出しており、産経はその真逆で、ともに偏向性がある。一方、読売は「事実を報道する機能」を優先しつつ、「権力監視機能」も適切に実行している点で、中道を往く感がある。この首相談話についての報道に関するかぎり、読売に軍配を上げる。
では、株式市場は首相談話をどう評価したか。日経平均の株価は、本日一時的に300円上げたが、北朝鮮の飛翔体打ち上げ報道があって、結局201円アップで終わった。基本的には、株式市場は首相談話を肯定的に捉えたと判断する。
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