横浜そごう美術館でデザイナー中原淳一の多彩な才能に大きな刺激を受け軽い嫉妬を覚えた。美術館では撮影禁止エリアも多く作品の一部しか記録できなかった。そこで雑誌「それいゆ」の復刻版(2016)を入手した。昭和21年から14年間発刊された「それいゆ」集大成。和装、洋装のファッションに始まり髪形や化粧、小物の自作に子供服、部屋のインテリアまで。果てはつけまつ毛の作り方まで図解されていた。なんだか”えほん百科”(平凡社)を見ている気分になる。
ファッションデザインに留まらず生き方の哲学、精神論にまで言及されている。一輪の花を飾ることの大切さを学ぶ。戦後、物の無い生活のなか心豊かに過ごすノウハウが詰まっていた。物と情報に溢れた表面上の豊かさの陰で心貧しき現代にこそ「それいゆ」はその輝きを増す。
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