ご存じの通り、12月10日は皆既月食だった。
「月食、何時から?」
中学校でも話題になっていたらしく、娘が尋ねてくる。
「えーと、欠け始めるのが21時45分からだって。皆既月食は23時6分から23時58分までで、1時18分には終了と書いてあるよ」
「ふーん、遅いんだね。でも見てみようよ」
幸い、東京の空には雲ひとつない。月もキレイだが、星も点々と輝いていた。寒いけれども、たまには天体観測も悪くない。
お風呂から出ると、22時を回っていた。
「お母さん、遅い。もう月食、始まってるよ」
カメラを見せてもらうと、写りはイマイチだが、部分月食がしっかり収められていた。
(写真撮影 笹木ミキ)
急いで髪を乾かし、パジャマの上にガウンとコートを羽織ると、私はベランダに飛び出した。
おお~!!
わずかな時間しか経っていないのに、思ったより進行が早い。見る見るうちに、月が欠けていった。
そもそも月食とは、太陽と月の間に地球が割り込み、影がかかることによって、月が欠けて見える現象である。正確な時間まで割り出せる技術に、ひたすら感心した。
肉眼では、パンチで開けた穴くらいの月も、双眼鏡で見るとメロンパンになる。じわじわと、影の面積が大きくなり、光を奪っていく様子に釘付けである。
「首が痛い……」
私より先に観測していた娘が、ついに悲鳴を上げた。
寒さは、さほど気にならないが、ずっと上を向いていると、首や肩が疲れる。天文部などは、寝袋にくるまって寝ながら観測するようだが、理にかなっているのだろう。こちらも、ベランダではなく、庭でひっくり返って見ればよかった。
時計を見ると、22時55分だ。休憩を取り、23時6分に再開することにした。
部屋に戻ると、だいぶ体が冷えていたことがわかる。夢中で眺めていたから、気がつかなかったのだ。暖を取り、十分温まったあとは、再び月食観察をした。
「うわぁ、隠れてる!」
2人で声を揃えて叫んだ。
これが皆既月食か……。
もっと黒っぽくなると思ったのに、意外と明るい。暗さは均一ではなく、ところどころにムラがある。これが地球の影なのかと思うと、摩訶不思議な気がする。
写真撮影に飽きた娘が、話しかけてきた。
「さっき、携帯で撮ったら、こんなちっちゃいの……」
画面には、泥はねのような月が映っており、思わず苦笑した。
お次は、日付が変わってからの部分月食を見た。今度は、先ほどと違って、光の部分が増えていく。
しかし、デジカメがトラブった。ズームにすると、画面に何も映らなくなるのだ。寒さで誤作動を起こしたのか、超遠距離で反応が鈍くなったのか。ひょっとして、深夜の労働を拒否しているのかもしれない。
どうにか、最後の撮影を終えてから、カメラの電源を消し、寝かせてやることにした。
結構な時間、戸外にいたのに、ご近所のどなたとも会わなかった。こんなに興味深いものを見ないとは、もったいない。
もう一度、ふくらみかけた月を見て、私は部屋に入った。
素晴らしい天空劇場を、どうもありがとう。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「月食、何時から?」
中学校でも話題になっていたらしく、娘が尋ねてくる。
「えーと、欠け始めるのが21時45分からだって。皆既月食は23時6分から23時58分までで、1時18分には終了と書いてあるよ」
「ふーん、遅いんだね。でも見てみようよ」
幸い、東京の空には雲ひとつない。月もキレイだが、星も点々と輝いていた。寒いけれども、たまには天体観測も悪くない。
お風呂から出ると、22時を回っていた。
「お母さん、遅い。もう月食、始まってるよ」
カメラを見せてもらうと、写りはイマイチだが、部分月食がしっかり収められていた。
(写真撮影 笹木ミキ)
急いで髪を乾かし、パジャマの上にガウンとコートを羽織ると、私はベランダに飛び出した。
おお~!!
わずかな時間しか経っていないのに、思ったより進行が早い。見る見るうちに、月が欠けていった。
そもそも月食とは、太陽と月の間に地球が割り込み、影がかかることによって、月が欠けて見える現象である。正確な時間まで割り出せる技術に、ひたすら感心した。
肉眼では、パンチで開けた穴くらいの月も、双眼鏡で見るとメロンパンになる。じわじわと、影の面積が大きくなり、光を奪っていく様子に釘付けである。
「首が痛い……」
私より先に観測していた娘が、ついに悲鳴を上げた。
寒さは、さほど気にならないが、ずっと上を向いていると、首や肩が疲れる。天文部などは、寝袋にくるまって寝ながら観測するようだが、理にかなっているのだろう。こちらも、ベランダではなく、庭でひっくり返って見ればよかった。
時計を見ると、22時55分だ。休憩を取り、23時6分に再開することにした。
部屋に戻ると、だいぶ体が冷えていたことがわかる。夢中で眺めていたから、気がつかなかったのだ。暖を取り、十分温まったあとは、再び月食観察をした。
「うわぁ、隠れてる!」
2人で声を揃えて叫んだ。
これが皆既月食か……。
もっと黒っぽくなると思ったのに、意外と明るい。暗さは均一ではなく、ところどころにムラがある。これが地球の影なのかと思うと、摩訶不思議な気がする。
写真撮影に飽きた娘が、話しかけてきた。
「さっき、携帯で撮ったら、こんなちっちゃいの……」
画面には、泥はねのような月が映っており、思わず苦笑した。
お次は、日付が変わってからの部分月食を見た。今度は、先ほどと違って、光の部分が増えていく。
しかし、デジカメがトラブった。ズームにすると、画面に何も映らなくなるのだ。寒さで誤作動を起こしたのか、超遠距離で反応が鈍くなったのか。ひょっとして、深夜の労働を拒否しているのかもしれない。
どうにか、最後の撮影を終えてから、カメラの電源を消し、寝かせてやることにした。
結構な時間、戸外にいたのに、ご近所のどなたとも会わなかった。こんなに興味深いものを見ないとは、もったいない。
もう一度、ふくらみかけた月を見て、私は部屋に入った。
素晴らしい天空劇場を、どうもありがとう。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)