これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

佐川急便が来た!

2011年12月18日 20時14分07秒 | エッセイ
 お歳暮は、12月13日から20日までに贈るものらしい。ちょうど、今はその真っ只中なのだろう。
 先日、家の近くで荷物を抱えた配達員が、インターホンを鳴らすところに出くわした。
「こんばんは~、佐川急便です!」
 彼は若者らしく、元気のいい挨拶で、家人の反応を待っていた。
 ところが、おじいちゃんが一人で留守番をしていたらしい。インターホンからは、年配の方と思われる、素っ頓狂な声が返ってきた。
「えっ、誰?」
「佐川急便です」
「関根さん?」
「いえ、さ・が・わ、急便です」
「あーん??」
 状況を察し、彼はインターホンに向かって、ひときわ大きな声を出す。
「あの、さ・が・わ、きゅう・びんです!」
「高橋さん?」
「いやその、さ・が・わ・きゅ・う・び・んです!」
「えーっ?」
「……」
 配達員の元気は、すべて吸い取られ、みるみるうちにしぼんできた。おじいちゃんは、かなり耳が遠いようで、あてずっぽうに名前を並べているらしい。
「さ、が、わ、きゅう、び、ん、です……」
「山本さん?」
「えっと、さ、が、わ……」
 彼には心から同情したが、立ち止まって顛末を見届けるわけにもいかず、そのまま通り過ぎた。
 果たして、荷物を手渡すことができたのだろうか。

 義弟が某運輸会社に勤めているので、日中の在宅率がかなり低いということは知っている。不在通知を入れると、夕方から夜にかけての配達が殺到し、帰宅が10時11時になるという。
 加えて、12月は荷物も多いし、道路も渋滞していて本当に忙しいらしい。そんなときに、営業妨害のような対応をするとは、罪なおじいちゃんである。
 配達員も、もうひと工夫して、「お荷物です」とでも言えばよかったのかもしれない。

 今朝方は、うちでもインターホンが鳴った。
「おはようございます、佐川急便です!」
 モニターを見ると、若者ではなく、中年のオジさんだった。おそらく、通販の商品だろう。私は例によってパジャマだったので、大声で夫を呼んだ。
「パパ! 荷物だってさ。出てよ~!」
 いつもだったら、いやいや出てくれるのだが、今日に限って返事がない。聞こえないのかと思い、部屋を出ると、トイレが使用中になっていた。

 やられた!!

 娘はまだ寝ているから、頼れる人がいない。さて困った。
 一瞬、あのおじいちゃんのように、「あーん??」と聞こえないふりをして、夫が戻るのを待とうかという誘惑に駆られた。しかし、それは、いくらなんでも悪い。
 ふと、フリースのベストが目に入った。これを着れば、パジャマではなく、部屋着に見えないこともない。急いでベストを羽織り、ハンコを持って、私は玄関に向かった。
 配達、ごくろうさまです。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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