これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たち」観てきました♪

2011年12月15日 22時14分51秒 | エッセイ
(一部ネタバレがありますことをご了承ください)

 三浦友和主演の映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」を観た。さほど興味はなかったが、舞台となっている富山の友人から、「ぜひ夫婦で観て」と勧められたのだ。
 残念ながら、夫は乗り気でなかったので、一人淋しく観に行った。観客はほとんどが熟年夫婦で、一種独特な雰囲気である。さすがに、若い夫婦やわけありカップルはいない。
 あらすじはこうだ。
 運転士として鉄道会社に勤める滝島は、あと1カ月で定年を迎える。嫁いだ一人娘が出産を控え、おじいちゃんになる日も近い。定年後は、妻と二人で旅行でもして、のんびり暮らすつもりだった。
 ところが、妻は夫が定年退職する日を待って、かつての職業・看護師として働く計画を立てていた。夕食後、妻からその件を打ち明けられたとき、彼は「家の中のことがおろそかになる」と断固拒否する。しかし、妻の決意は変わらず、滝島の留守中に荷物をまとめて出て行ってしまう。
 夫婦のあり方、職業への敬意などが丁寧に描かれ、随所に笑いをちりばめた見ごたえのある作品だ。

 とりわけ気に入ったシーンは、研修中の新人運転士、小田とのやり取りである。
 乗客の命を預かっているという自覚が不足している小田は、日常的に滝島から「運転士に向いとらん」とけなされていた。
 ある日、滝島の妻が、不意に家に帰ってきた。彼は喜びを隠して話し合いに臨むが、期待通りの返事が得られず、苛立ったあげく「出て行け」と怒鳴ってしまう。妻は、無言で記入ずみの離婚届を手渡し、結婚指輪も返して、あざやかに去っていった。
 翌朝、小田が遅刻してくる。滝島が理由を問いただすと、「彼女と別れ話で揉めていまして」と泣きそうな顔で答えた。
 滝島は、「こっちは、妻に離婚届を突きつけられても、いつも通り働いているんだぞ! 甘ったれるな!!」とは言わない。ため息をついて、「小田、おまえ、やっぱり運転士に向いとらん」とつぶやくのである。この寡黙さが、昭和の男らしくてよい。

 娘役の小池栄子もハマり役である。
 滝島は、妻への想いを断ち切れず、離婚届を提出できずにいた。しかし、ある夜、誰もいないはずの家に明かりが灯っている。胸を躍らせて室内に駆け込むと、そこにいたのは臨月を迎えた娘だった。
 あの大きな目を輝かせ、「お母さんだと思ったでしょ」と、心のうちを見透かしたようなセリフを吐く。特にファンではなかったが、なんかカッコいいぞと惹きつけられた。
 そして、背景に映る立山連峰の美しいこと、美しいこと。稜線の黒い輪郭に、雪化粧した白さが彩られ、切り絵のように見える。一度はこの目で見てみたいものだ。

 さて、この夫婦がどうなるかというと……。
 今年の漢字「絆」にピッタリの結末に、心が温かくなること間違いなしである。
 続きは劇場でお楽しみください。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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