これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

男子禁制の話

2013年11月03日 16時51分46秒 | エッセイ
 この3連休は、ひさびさに仕事抜きでゆっくりできる。
 精神的なゆとりから、つい通販のカタログを開いたのが間違いだった。
「ああっ、これ欲しい~!」
 ちょうどハロウィンが終わり、クリスマス商戦がスタートしている。実にタイムリーな商品ではないか。



 ブローチ兼ペンダントトップと書かれたこのジュエリーは、アコヤパールが2個ついたシルバー製である。葉や実、ベルは七宝焼らしい。職場で着る白衣の襟につけたら、きっと映えるに違いない。
 だが、お値段は32000円。決して安くはない。
「いいよ、買っちゃおう。たまには、自分へのプレゼントがあったっていいじゃない」
 浪費家砂希が、注文の電話をかけようとしたときだ。
「待ちなさい! それは、クリスマスが終わったら使えないのよ。無駄な買い物でしょ」
 倹約家砂希が止めに入った。
「クリスマスまで使えれば十分じゃない。また来年の11月に出せばいいんだから」
「いーえ、来年は絶対使いません! 引き出しの中を見てごらん。買うだけ買って、ほっぽらかしてるジュエリーがいくつあると思ってるの?」
「ううっ」
 痛いところを突かれた。
 確認してみると、ネックレスだけでもパールが4本あり、ムーンストーン、母からもらったルビーやプラチナ、夫からもらった18金など、ぞろぞろ出てきた。決して高級品ではないが、数だけは揃っている。中には、「そういえば、こんなもの、持っていたんだな」とようやく思い出す、影の薄いジュエリーもある。ここは、倹約家の意見を聞き入れたほうがよさそうだ。
「じゃあ、やめとくね」
「よろしい」
 きっぱり、あきらめようっと!
 引き出しを整理していたら、年代物の小さな箱が見つかった。



 何だっけ、これ。

 箱の「ジュエリークリーナー」という文字を見て、記憶がよみがえってきた。
 おそらく、26年ほど昔のものだ。初めて男の子から指輪を買ってもらったとき、店員さんに勧められて、セットでいただいたのだっけ。といっても、彼氏とは3年後に別れ、指輪も不燃ゴミにしてしまったが、クリーナーだけは保管しておいたようだ。
 おおかた、新しい出会いでゲットするであろう指輪を考えたのだろう。「ちゃっかりしてるなぁ、さすがワタシ」と苦笑した。
 しかし、世の男性諸君にお知らせるのは、さすがに申し訳ない。
 男子禁制の内緒話にしておこう。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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