わが勤務校では、来年11月に大きなイベントが控えている。何度も準備委員会を開いて話し合ってきた。
「会場はどこがいいですかね」
「やっぱり、Nセンターですよ。乗り換えなしで行かれるし、駅前ですもの」
「生徒と職員だけでも1000人超えるけど、キャパは大丈夫?」
「えーと、大ホールなら1400人ぐらい収容できるみたいです。来賓を入れても余裕ですね」
「じゃあ、そこにしましょうか」
「どうやって予約するんですか」
「一年前に申し込みをするんですって。調べましょう」
そんな経緯があって、学校としてNセンターを予約することになった。システムとしては、毎月1日に、一年後の予約を調整する「抽選会」なるものを行うので、それに参加し、使用する権利を勝ち取るしかない。
でも、私のくじ運、よかったっけ?
今年は11月1日が日曜だったため、翌日2日の月曜日に抽選会が行われた。万一、外れたときの責任を考えてか、委員は誰も行きたがらず、くじ運に自信のない私が行くしかなかった。「終わったらランチが待っているぞ」と自分を励まし、会場に駆けつける。
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抽選会に参加するには、10時30分から11時までの間に受付をすませ、いつ、どの時間帯で、どの施設を希望するかを申し出たあと、11時からの開始を待たなければならない。抽選会場となる小ホールに行くと、スタッフのお姉さんが声をかけてくれた。
「ただ今の予約状況をご確認ください」
そうそう、9時から「区民抽選会」なるものがあったのだっけ。勤務校が区外にあるので、優先権のある区民抽選会には入れてもらえない。N区民が、好き勝手に予約を取った残りの枠で、一番よさそうな日程を探さなくては。
予想通り、目当ての日はすでに区民に取られていた。赤のホワイトボードマーカーで、予約番号が書き込まれている。だが、その2個隣はポコッと空欄になっていて、3個隣からはまた、赤の番号がドヤ顔で並んでいた。
「お、ここ、狙い目じゃない?」
すかさず、第一希望に唯一の空欄を書き込んだ。第二希望以下は、空いている日を機械的に書いていき、スタッフに提出する。あとは、受付順にくじを引き、番号の若い順から希望日を選んでいくらしい。
「お待たせいたしました。定刻となりましたので、抽選会を始めます」
スタッフから進め方の説明があった。今回は6団体が参加しており、1番から6番のくじがあること、使用料支払いの前にキャンセルをすると、向こう13カ月間は抽選に参加できないこと、完全防音でないため大音量の企画は調整が必要なことなどなど、参加者は静かに聞いていた。
「では、くじを引いていただきます。受付番号1番の方から順にお並びください」
つまり、早く受付をしても、くじの番号が悪ければ後回しというわけだ。列に並ぶあたりから心臓がドキドキし始め、「無事に取れますように」と念じずにはいられない。最初にくじを引いた男性は「5番」と読み上げられていた。
私の順番は4人目である。3人目の人までくじを引いたが、まだ「1番」は出ていない。確率からいえばそろそろ。心の中で「神様、仏様、おねがーい!」と念じて箱に手を入れると、3つの札が残っていた。指先からプラスチックの感触が伝わってくる。こういうときは、最初に触れたものがよさそうだ。「これかな」と決めてむんずとつかみ、勢いよく取り出した。スタッフがくじを読み上げる。
「6番!」
あらあ~。
ってことは、1番どころか、ビリになってしまったのね、トホホ。
ちなみに、1番を引いたのは私のすぐあと、5人目の人だった。つくづく、早ければよいというものではないと実感する。
あとは、くじの順に予約ボードを埋めていく。ラッキーなことに、大ホールの希望はほとんどなかった。私が第一希望に決めた日は、5番までの人全員がスルーし、最後まで残っていた。
「6番の方、どうぞ」
やっと順番が来た。もう心配することはない。スタッフもにこにこして受付票を眺めていた。
「第一希望、ありますね」
「はい」
やっと、重たい仕事が終わる。さっさとランチして帰ろうっと。
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あー、美味しかった。
それにしても、このくじ運、どうにかならないものかしら……。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「会場はどこがいいですかね」
「やっぱり、Nセンターですよ。乗り換えなしで行かれるし、駅前ですもの」
「生徒と職員だけでも1000人超えるけど、キャパは大丈夫?」
「えーと、大ホールなら1400人ぐらい収容できるみたいです。来賓を入れても余裕ですね」
「じゃあ、そこにしましょうか」
「どうやって予約するんですか」
「一年前に申し込みをするんですって。調べましょう」
そんな経緯があって、学校としてNセンターを予約することになった。システムとしては、毎月1日に、一年後の予約を調整する「抽選会」なるものを行うので、それに参加し、使用する権利を勝ち取るしかない。
でも、私のくじ運、よかったっけ?
今年は11月1日が日曜だったため、翌日2日の月曜日に抽選会が行われた。万一、外れたときの責任を考えてか、委員は誰も行きたがらず、くじ運に自信のない私が行くしかなかった。「終わったらランチが待っているぞ」と自分を励まし、会場に駆けつける。
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抽選会に参加するには、10時30分から11時までの間に受付をすませ、いつ、どの時間帯で、どの施設を希望するかを申し出たあと、11時からの開始を待たなければならない。抽選会場となる小ホールに行くと、スタッフのお姉さんが声をかけてくれた。
「ただ今の予約状況をご確認ください」
そうそう、9時から「区民抽選会」なるものがあったのだっけ。勤務校が区外にあるので、優先権のある区民抽選会には入れてもらえない。N区民が、好き勝手に予約を取った残りの枠で、一番よさそうな日程を探さなくては。
予想通り、目当ての日はすでに区民に取られていた。赤のホワイトボードマーカーで、予約番号が書き込まれている。だが、その2個隣はポコッと空欄になっていて、3個隣からはまた、赤の番号がドヤ顔で並んでいた。
「お、ここ、狙い目じゃない?」
すかさず、第一希望に唯一の空欄を書き込んだ。第二希望以下は、空いている日を機械的に書いていき、スタッフに提出する。あとは、受付順にくじを引き、番号の若い順から希望日を選んでいくらしい。
「お待たせいたしました。定刻となりましたので、抽選会を始めます」
スタッフから進め方の説明があった。今回は6団体が参加しており、1番から6番のくじがあること、使用料支払いの前にキャンセルをすると、向こう13カ月間は抽選に参加できないこと、完全防音でないため大音量の企画は調整が必要なことなどなど、参加者は静かに聞いていた。
「では、くじを引いていただきます。受付番号1番の方から順にお並びください」
つまり、早く受付をしても、くじの番号が悪ければ後回しというわけだ。列に並ぶあたりから心臓がドキドキし始め、「無事に取れますように」と念じずにはいられない。最初にくじを引いた男性は「5番」と読み上げられていた。
私の順番は4人目である。3人目の人までくじを引いたが、まだ「1番」は出ていない。確率からいえばそろそろ。心の中で「神様、仏様、おねがーい!」と念じて箱に手を入れると、3つの札が残っていた。指先からプラスチックの感触が伝わってくる。こういうときは、最初に触れたものがよさそうだ。「これかな」と決めてむんずとつかみ、勢いよく取り出した。スタッフがくじを読み上げる。
「6番!」
あらあ~。
ってことは、1番どころか、ビリになってしまったのね、トホホ。
ちなみに、1番を引いたのは私のすぐあと、5人目の人だった。つくづく、早ければよいというものではないと実感する。
あとは、くじの順に予約ボードを埋めていく。ラッキーなことに、大ホールの希望はほとんどなかった。私が第一希望に決めた日は、5番までの人全員がスルーし、最後まで残っていた。
「6番の方、どうぞ」
やっと順番が来た。もう心配することはない。スタッフもにこにこして受付票を眺めていた。
「第一希望、ありますね」
「はい」
やっと、重たい仕事が終わる。さっさとランチして帰ろうっと。
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あー、美味しかった。
それにしても、このくじ運、どうにかならないものかしら……。
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「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
お疲れ様でした
学校に戻ってもみんなに絶賛されたでしょうね!(笑)
私はくじ運が無いのできっと希望の場所が取れなかったと思います。
実は、この続きがあるのですが、あえて本文には入れていません。
私が予約してきた日は、不運にも試験の一週間前でした。
クレームが来ないといいな~(苦笑)
何事も経験ですね。
いやあ、絶賛されるほどの日じゃないんですよ。
でも、会場難民になることは避けられたので、ひとまずみんなホッとした感がありました。
ランチの予約時間が遅かったので、抽選の順番が後の方が時間調整できてよかったかもしれません。
あー、でも、1番には憧れますね。
私も冷や汗かきました(笑)
でも、トータルでみると、くじ運が悪い人は他の運がいいような気がして。
すべての運がないという人はいないと思います。
期待しないのが一番いいんでしょうかね。
ミッションクリアの後のランチ、ごちそうがいっそう
美味しかったでしょう♪
こぢんまりとした催しが多かったようで助かりました。
一方、区民抽選会の方は大ホールばかりのようでした。
5日間まで取れるので、土日は完璧に埋まっていましたね。
くじ運が悪い分、他の運に味方してもらわないと厳しいです。
ランチは久々だったので幸せいっぱいになりました♡