(左)南側入口辺り、(右)庭に入って「中門」をくぐります。
説明が始まるまでに少し時間があったので、
(左)「東門」(現在は使われていない)
(中)「古池や」の句碑の丸窓から
(右)「月見堂」(この東屋も葺き替え工事されるそうです)
天気が良く、青空の下の「蓑虫庵」です。
(滅多に庵の中に入ることはないのですが、
四季折々の木々の移ろいは「外」からでも日々見ています(笑)。
今日は、ちゃんと入り口から(入館料300円は管理料として、宜しくです…)
「蓑虫庵」の上に足場が組まれ、職人さん作業中。
さて、【茅を葺く】ってどんなん??ということで、
初めてのもの見たさの好奇心に火が付く、天気は上々、見上げれば?
飛行機も飛ぶ…
またひとつ伊賀の「たからもの」がより長生きする技を、見せてもらえたわけです。
茅葺きの職人さんは全国でも100人ほどだそうで、
蓑虫庵のために、長野は”茅葺信州“からお越しの職人さんです。
専門用語など調べようとネット検索でヒット!がここだった。
そこのHPに写ってらっしゃる方が、目の前で説明してくれてる職人さん。
「茅って何?」から始まって、「葺き方」のお話など。
*「茅」とは言うけれど、「茅」という名の植物ではない。
屋根材として使われる「草の総称」だとか。
「イネ科の多年草」で、主に「ススキや葦(アシ・ヨシ)」と言われるものですって。
*「茅加工」には多くの行程があって、葺き替えに使えるような「茅」にするまでに、
茅場からの刈取り、乾燥も含めて5年ほどかかるとか…
*今回の葺き替えで使う「茅」は1200束強、長野から運んできます。
「行程説明」の中に「リョウブ」という植物があって、
一体何に使われるんだろう?って不思議に思っていたら、
煤竹(ススダケ、古いモノ)や真竹と共に「令法(リョウブ)」という木を使います。
葺いた茅を押さえるために使いますが、とても使い勝手の良い木であるとのこと。
(林などでよく見かける木が、こういうところに使われているとは知らなかったです)
※霊山山頂で撮ったリョウブです。
一通り説明、質疑応答が終わって、いよいよ、
足場の階段を上って「茅葺き屋根」のすぐ傍!へ。
実際に使う道具と共に「茅葺きの工程」を見せていただきました。
「茅」といっても各種イロイロ、使う場所によって適材適所のモノを選びます。
中の方には若干柔らかめの「稲わら、麦わら」も使うそうです。
屋根のてっぺんももちろんですが、茅を葺く前の基礎は竹や藁で組んでいます。
「道具」ですが、これは「雁木」(ガンギ)。
横から見ると「雁が飛んでいる姿」に似ている?かな…
道具を作る職人さんも少なくなり、
自分の道具は自分で直しつつ使っているのだそう。
※道具の数々や工程図など
これは「針取り」に使う道具、
押さえに使う竹を固定する縄は、外から竹針で突き刺して、
屋根裏にいる職人が受け取ってそれを固定していく、という行程だそう。
一度聞いただけでは覚えられなかったので、
※各種【施工手順】は、このリンクを参考にしてみてください。
当日頂いた説明図から、ここで一つ面白い言葉を見つけました、
【からすおどし】って?
再びネット検索で出てきた話として、
「屋根にカブトムシの幼虫がわいて、それを食べるためにカラスがほじくるので傷むらしく、
茅葺き屋根が局所的に傷むのは、材料や葺き方に問題があって雨水が染み込んだり、
周囲の立ち木や日当りのせいで乾きにくかったりすることが原因となるのが普通です。
ところが、カブトムシの仲間の幼虫は、乾いた屋根までせっせと食べては土に変えてしまいます。
乾いた屋根よりは居心地のよい腐葉土が周りの地表にたくさんあれば、
問題になるほど屋根にわく事は多くはないのですが、
修理しても一匹でも残していると再び致命的な損傷に至ってしまう、
茅葺きにとっては癌のようなもので、この「からすおどし」は必須アイテム」とのこと。
職人さんの技術と道具、根気のいる作業などのお話を聞いて、
「蓑虫庵」の見る目が変わりました、伝統の技も一緒にお伝えしなければ…と。
帰り道、ぐるっと「蓑虫庵」を東~北へ回って帰路に着きました。
南東の角から見える「月見堂」、その屋根の上に・・・鍋??
これも「からすおどし」かもしれませんねぇ(笑)。
東門
傍の「イロハモミジ」の冬芽が赤くなってきて、もうすぐ春だと…
昔はここが正式な出入り門だったのです、南側は「溝川」だったので。
ではまた
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