この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

さらば、フロスト警部!!『フロスト始末』。

2017-09-17 21:08:09 | 読書
 よーやく、よーーーやくフロスト警部シリーズ最終巻『フロスト始末』(R・D・ウィングフィールド著)を読み終わりました。
 長かった!!本っっっ当に長かったです。
 長かったというのも道理、上下巻合わせて900pの超大作ですからね。金額にすると¥2800ですよ。文庫の値段じゃない。笑。

 本当に長かったんですけど、その長さをまったく感じさせない、超絶的な面白さでした。
 断っておくと自分だけが面白いとべた褒めしているわけではないですよ。
 amazonでのカスタマーレビューはレビュー数が20で5つ星のうち4.9というちょっと見たことがないというぐらいの超高評価ですからね。
 そして驚くことに、シリーズ全作が同じように高評価なのです。
 ミステリーのシリーズものは数あれど、フロスト警部シリーズほど、読者に愛され、支持され、新作が出るのを心待ちにされたシリーズを自分は他に知りません。

 しかし心待ちにするのも本作で最後です。
 なぜなら著者であるウィングフィールドが亡くなってしまったから。
 残念でなりません。
 本作では魅力的な新キャラクターが数名登場しているんですけどね。特に見習い婦人警官のケイト・ホールビーの今後の活躍は読んでみたかったな。
 あと新任の検屍官のキャロル・リドリーとフロストがわりない仲になるのかも気になるところではありました。

 先ほど「ミステリーのシリーズは数あれど」と、本作をミステリーにジャンル分けしました。
 しかしながら本作を純粋にミステリー小説として読むのはお薦めしません。
 ぶっちゃけ本作をミステリーとして評価するとお世辞にも出来が良いとは言えないのです。
 読んでいて、「うん?」と首をひねりたくなるような箇所一つならずありましたからね(例えばルイスはあの夜精肉店で何をしていたのか、というようなこと)。
 でもそれが作品としての疵にならないところが本作の稀有な特長と言えます。
 ジャンル分けするとすればミステリーなんですけど、本作は謎解きを楽しむ小説ではありません。
 では何を楽しむかというと、フロスト警部の減らず口ですね。それにドタバタぶりも。
 読んでいて、本当に楽しい小説なのです。

 イギリス本国ではウィングフィールドの遺族の許可を得た別の作家がフロスト若かりし頃の活躍を描く長編小説を発表したとのこと、、、まぁ翻訳刊行されたらとりあえず読みはすると思うけど、期待するのは間違いでしょうね。

 そうそう、翻訳といえば、本作が超絶的に面白いのは、もちろん原作が面白いからなのですが、それと同じぐらい翻訳の芹澤恵さんの存在が大きいですね。
 こんな面白い訳は見たことない!!ってぐらい面白いです。
 どう面白いかは実際自分の目で確かめてみてください。
 シリーズ第一作の『フロスト日和』であれば、ブックオフで¥100で売っていると思います。
コメント
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