「やあ、ラッキーぜんじろう!」と平成のボンクラ大学生たちは言った その2

2024年10月19日 | 若気の至り

 前回の続き。

 


 「おまえらが、センス見せようとしてるところが腹立つ」


 

 友人イチオカ君のメッセージは、ヤングのころ、お笑い芸人のぜんじろうさんを街で見かけたとき、

 


 「おい、ラッキーぜんじろう!」

 「ABCお笑いグランプリ最優秀新人賞、おめでとう!」

 「相方の太平かなめは、どないしてん! 捨てたか?」


 

 と呼びかけたことを示していた。

 まず友人センヨウ君が、あえて「昔の芸名」で、しかも本人が「黒歴史」認定している名で呼ぶとは、そこには当然、

 


 「そんなマニアックなことを知っている、俺様のお笑い教養の高さ」


 

 を誇っているわけだ。

 ハッキリ言ってイタいが、まだまだ話は終わらず、私も追随して、「ABCお笑いグランプリ」を持ち出す。

 これもまた、センヨウ君から受け取ったバトンで、当時の感覚ではぜんじろうさんといえば、人気番組だった「テレビのツボ」にふれるべきである。

 カラんでいくなら、当然そこで

 


 「おまえがやってるテレツボ、全然おもんないわー」


 

 などと行けばいいのだろうが、そんな中学生レベルのものが、ゆるされるわけない(?)のは自明の理。

 あえて、もう5年以上前(当時)の栄冠であるABCのタイトルを持ち出すあたり、そこはかとない「はずしてねらう」感がかもしだされている。

 今でいえば、オズワルド空気階段のふたりに話しかけるとき、М-1キング オブ コントのことはいっさい無視して、

 

 ラフターナイト優勝」

 

 にしか、ふれないようなものであろう。

 やはり、自分は

 

 玄人のお笑いファン」

 「メジャーになる前からチェック済みの情報強者

 

 なことを見せつけたい願望が、アリアリである。

 しまいには、エサカ君の「太平かなめ」発言。

 太平かなめとは、ぜんじろうさんのコンビ時代の相方さんで、それこそABCの優勝は「かなめぜんじろう」で獲得したものなのである。

 言うまでもなく、私の「ABC」に対する受け言葉

 昔、岡田斗司夫さんが声優岩男潤子さんと仕事をしたとき、アニメのことそっちのけで、岩男さんが過去に所属していたアイドルグループで、おそらくは黒歴史であろう、セイントフォー時代のことしか質問しなかったようなもの。

 当然ながら、すごい嫌がられたそうだけど、そりゃそうであろう。

 キーワードは「あえて」であり、

 

 「あえて、ラッキーぜんじろう呼ばわり」

 「あえて、今の輝きでなく、昔のローカルな栄光を呼び覚ます」

 「あえて、セイントフォー

 

 有名人にからんでいくときというのは、少なからず

 

 イラッとさせたい」

 

 という熱い想いがあると思うが、このときのわれわれは、完全に「大喜利のノリ」で、それをやっていた。

 

 「こんなお笑いファンはイヤだ。どんなお笑いファン?」

 

 それを、芸人かぶれの酔った学生が、

 

 「見てくれ、オレたちの教養ワードセンス

 「おまえなんかよ、俺らの方が全然オモロイ」

 

 みたいな顔しながらカマしてくるんだから、まったく地獄以外のなにものでもない。

 なんかまあ、淡々と書いているようで、今の私は恥ずかしさで転げまわりそうです。踊りでも踊ったろかしらん。

 もちろんのこと、こんな「かぶれ」の若者など、本人は「オモロイ」つもりだが、受ける方からすれば、しょせんは使い古された「あるある」にすぎない。

 実際、吉本新喜劇でも活躍された小藪一豊さんも、

 


 「【小藪さん、ビリジアンの時代から応援してます】とか、やってたコンビ名出して、濃いファンですアピールしてくるヤツ、マジでうっとうしいわ」


 

 なんて怒っており、

 

 「もうそれ、ボクですわ、すんませーん!」

 

 なんて裸足で逃げ出したくなるのである。ビリジアンのテニスのネタ、好きでしたよ!(←そういうとこだよ)

 いや、これねえ、おチャラけて書いてるようですけど、こっちはホンマに痛いツライ

 有名人にカラんだのもさることながら、さっきから再三言っているよう、そのワードセンスとかが、またアレだ。

 

 「俺たちお笑いのプロ

 「芸人なんかより、全然センスある

 

 とか思われたいのが、全体からにじみ出ており、そこを的確に刺してきたイチオカ君の性格の悪……感度の高さは、さすがである。

 昨今、ネットを通じた芸能人へのウザがらみや、誹謗中傷が問題になっているが、私はできるだけそういうものを減らしたいと考えている。

 それはもちろん芸能人の人権を守り、日本人の持つ倫理観民度の高さを復活させたいから、とかではなく、のちのちシャワーあびてるときや、布団の中とかで、

 

 「ギャ! また思い出してもうた!」

 「若かったんやー、阿呆やったんやー、もうゆるしてー」

 

 と悶絶する「負の遺産」を心の中に残さないようにするためである。

 いや、マジでハズいッス。

 なので、やめましょう、こういうことは。人生の先輩の、ありがたいお言葉。

 

 

コメント
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