ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

そんなもん、関係あらしまへんがな。

2013-05-17 23:35:56 | Weblog

親父さん。田中米穀店の親父さん。ライダーハウスボーダーを立ち上げた田中米穀店の三男坊の親父さん。
親父さんが、亡き息子の意志を引き継いだ。

テンペルとタットルの村を出て、田中米穀店を目指す。峠を三つ越え、宇治を抜け、観月橋、京都駅、西本願寺、二条城・・・。お昼前にボーダーにたどり着いた。駐輪する場所が分からずに、店の前にバイクを止めると、店から出て来た親父さんが手招きをする。
店の脇を抜けると、奥に広い駐輪スペース。駐輪スペースの目の前がライダー部屋。10人くらいは泊まれるそうだ。小さいながら、女性部屋もある。

親父さんが色々と説明をしてくれる。説明してくれるのは、ライダーハウスの利用規定のようなもの・・・ではない。昨日までは
どんな人が泊まっていただとか、今日はどんな人が一緒に泊まるだとか、最近のお寺は拝観料が高過ぎて、坊主丸儲けとはよく言ったもんだという話だとか、何百万円もするハーレーに乗って1000円の宿に泊まりに来る理解不能のライダー心理の話だとか、亡き息子の良き友人の話だとか、息子が乗っていた愛車カタナの話だとか・・・である。

ライダーにも色々いる。人間だから当たり前の話だ。良き人もいれば、そうでもない人たちもいる。

親父さん、きっと、大変だったろうと想う。米屋だから、客商売だから、人間を相手にすることには慣れていたのだろうけど・・・ライダーという特異な人間たちの相手を、一身に引き受けて来たのだから。

これが、いい親父さんなんだな。なんというか・・・フランクというか・・・。

近くにある銭湯や、ラーメン屋や洋食屋、飲み屋の説明をしてくれた。

「ここは夜中までやってるから」みたいな事を言うので・・・
「あっ、でも、ここの門限は9時ですよね?」と聞いてみた。

「そんなもん、関係あらしまへんがな!」

そうなんだよ。そういう、いい親父さんなんだよ。

境界線の向こう側。

2013-05-17 16:57:48 | Weblog

北海道をバイクで旅したことのある人は必ず想うものである。
「ライダーハウスをやりたい!」。
毎日たくさんのライダーが集まって・・・あぁでもないこうでもない。日本中から、世界中からライダーが集まって・・・あぁでもないこうでもない。・・・楽しいに決まってる。
マスター!とか、オーナー!とか呼ばれちゃったりして。

田中米穀店の三男坊はライダーだ。スズキのカタナを駆り、北海道を駆け抜ける。やはり、三男坊も例外ではなかった。こう想ってしまったんだな。
「ライダーハウスをやろう!」

想うところまでは誰でも出来る。「想う」と、実際に「やる」の差は、とてつもなく大きい。

そんなわけで、三男坊はライダーハウスを始めた。・・・実家で。・・・実家の米屋で。
米屋の手伝いをしながら、ライダーハウス経営。京都のど真ん中で。・・・夢のような話である。

大学時代からの友人が、あちこちで宣伝をしてくれて、お客さんもチラホラと訪れるようになったそうだ。京都随一の利便と安さを誇るライダーハウスボーダーは、こうして誕生した。

ライダー部屋の壁には、三男坊が愛車カタナと共に写った写真が何枚も貼られている。例えば、北海道最北端宗谷岬にて。

田中米穀店の三男坊、生きていれば、今年で40歳。
33歳の時に、癌を患った。手の施しようがないくらいに進行が早かったそうだ。

ボーダーに憧れて、ボーダーを誕生させた米屋の倅、三男坊。
見たい景色が、まだたくさんあったろうに・・・。神様は無情にも、彼の命を奪ってしまった。
が、しかし・・・彼がこの世界に誕生させたボーダーによって、そこを訪れる人たちは、様々な景色を見られるようになったのだろう。

そんなことを想うと、三男坊がカタナと共に写る写真の前で、彼の想いと行動力に、敬服せざるを得ないのである。

続く。


迷走しちゃっていいかな?・・・いいともぉ!

2013-05-17 00:27:46 | Weblog


座右の銘という言葉がある。座右の曲、座右の本、座右のコミックなんてものもあるのだろうか?
座右のコミック・・・。うんうん、あるある。僕には、座右のコミックというものがある。狩撫麻礼原作、たなか亜紀夫作画の「迷走王ボーダー」。
高校生か大学生の時に、この漫画を読んだ。きっと・・・それ以来・・・僕はずっと、蜂須賀さんに憧れているのだと想う。もう、なんか、上辺ではない、心の中の深い深い場所で、蜂須賀さんが蠢いているのだと想う。
だからきっと、貧乏でも、ハチャメチャでも、シレーっとしていられるのかもしれないな。

あっ、そうそう、チーペストゲストハウスインキヨトの話だったね。

今回の宿は、京都の街中、二条城のすぐそばにあるライダーハウス「ボーダー」。田中米穀店の裏にある。裏にあるというよりも、田中米穀店が、ライダーハウスボーダーなのである。
一泊・・・一人・・・1000円ポッキリ。よっしゃー!チーペストゲストハウスインキヨト決定の瞬間である。パチパチパチ。

「京都に一泊1000円ポッキリで泊まれる宿があるって?よし、今度行ってみよう!」と思った貴兄、しばし待たれよ。
宿泊するには条件がある。必ずバイクがチャリで訪れること。これをクリアしていれば、必ず泊まれる。クリア出来なければ絶対に泊まれない。これが、ボーダーのルール、掟なのだ。

なぜ、田中米穀店がライダーハウスボーダーなのか?
そこには、涙無しでは語れない・・・親子の愛情物語が・・・あるのであった。

続く。