
もう少しだけ米屋の話を。
ライダーハウスボーダーの壁に貼ってある、田中米穀店の三男坊が愛車カタナと共に写った宗谷岬での写真。
その下に、もう一枚写真が貼ってある。まったく同じ風景。まったく同じ構図。愛車カタナも同じ。一つだけ違う。写っている人が、三男坊ではないのだ。ん?ん?ん?
親父さんが言う事には、彼は三男坊の大学時代の友人。
もしかしたら、ボーダーは、三男坊が彼と一緒に立ち上げたのかもしれない。
和歌山に住むその友人は、三男坊が亡くなった後も頻繁に田中米穀店に訪れている。ボーダーと親父さんの様子を伺いに来ているのだろう。
宗谷岬の写真は、三男坊亡き後に、三男坊の愛車に乗って旅をした時の写真。
もう一度北海道を走りたい・・・と言う三男坊とカタナの願いを叶えた時の写真。
ボーダーの床の間に、一際大きなパネルが飾ってある。
その友人が四国八十八カ所を10日間で回って集めたお札。
大きな掛け軸も飾ってある。巡礼の御朱印が掛け軸に書きこまれている。
友人から三男坊と親父さんに贈られた品が、所狭しと並べられている。
親父さんは、少し照れ気味に、少し誇らしげに、息子の友人の事を語る。
とても素敵な話だった。
三男坊の徳。親父さんの徳。そして、友人の徳。
その全部が、今のボーダーを作り上げて、これからも続いていく。
いつまでも元気で、いつまでもボーダーがその場所にあるように・・・心から願わずにはいられない。
そんなことを想う、徳がだいぶ足りない、僕なのである。