
僕の北海道デビューは遅い。いや、北海道デビューは早かったが、北海道ライダーデビューは遅かった。初めてバイクで津軽海峡を渡ったのは、まだほんの四年前だ。
この四年で三回。たった三回の割には、僕は北海道をよく知っている。二十年連続で行き続けているという人と語り合えるぐらい、よく知っている。
なぜか?それは・・・滞在日数が長いからだ。たった三回なのに、130日間近くを北海道でバイクと共に過ごした。
毎年夏になると有給を取って七日間の北海道。それを20年繰り返しても140日だもんな。行き帰りのことなんかも考えると、滞在しっぱなしっていうのは有利だよな。
まぁまぁ、それはいいとして・・・ボーダーの話だ。
その日は、チャリンコで日本一周中、福島県出身のフクちゃん。もう一人、東京からチャリンコで四国を目指して走っているタオさん。そして、酔っ払いのおっちゃんライダー。
夜ご飯を外で食べライハに戻ると、宴会が始まっていた。挨拶もそこそこに仲間に入れてもらう。
なぜだろう?・・・旅人が集まると・・・京都にいるのに、北海道の話で盛り上がる。一推しスポットの発表会。セイコーマートの会員カード自慢。穴場温泉自慢。六花亭のポイント披露。・・・異様に盛り上がるのだ。不思議だ。
京都でどこへ行っただとか、京都の穴場だとか・・・そういう話は・・・出たかなぁ?
北海道帯広で、トロッコさんに教えてもらってここに来た。先にも述べたが、ここは田中米穀店の三男坊が北海道のライダーハウスをヒントにして立ち上げた場所である。そしてここでまた、北海道所縁の知り合いが出来ていく。なんとも・・・縁を感じてしまうではないか。
北海道が、ライダーの聖地と呼ばれる訳・・・なんとなく・・・伝わるかなぁ。特別なんですよ・・・特に、旅人にとってはね。
タオさん。歳が同じというだけではなく、なんとなくシンパシーを感じるこの人。
名前を聞いた時に、TAOのタオですか?と聞いたら、「そんな大それたものじゃないです」と言っていた。苗字の最初と名前の最後の文字をくっつけたらタオになるそうだ。
なんとなく、シングに似ていじゃないか?ん?似てない?新宮だからシングウだからシングだから、歌ってるからsingだよ?持って行き方が・・・似てなくもないような。シンパシーだな。
そのタオさんが勧めてくれた場所がある。
まったく行く予定ではなかったのだが、次の日はそこへ行くことにしたのであった。
つづく。