ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

かみさまはみかたするハッピー。3

2014-08-06 22:54:15 | Weblog


コデラーマン。コデラーマンは今やサラリーマンなので、毎日遊んでいるわけではない。働いているのだ。
でも、コデラーマンは毎日ねぶたのキャンプ場にいる。これはいかに?

ねぶた初日と二日目は土日。コデラーマンは張り切って、ねぶたに参加した。
三日目からは平日。青森から40キロほど離れた五所川原市の会社へと行かねばならない。今の彼の住まいも五所川原だ。

三日目から、コデラーマンは青森市のねぶたキャンプ場から会社に通ったのだ。
朝、6時半に起きて、7時に出発。8時に出社して、夜の8時まで働く。会社が終わったら、その足でキャンプ場近くの温泉銭湯へ。銭湯でガリガリくんを食べてからキャンプ場の自分のテントへと帰ってくる。毎日。
一緒に買い物に行って、ワイワイご飯を食べて、夜中の3時半頃までワイワイする。

「もう、寝る時間がないじゃないですかぁ!」と、文句を垂れながら、自分のテントへ戻っていく。そして、朝の6時半に起きて会社へ行く。

この人、死んじゃうんじゃないかな?と、何度も思った。

コデラーマンが、毎日来てくれたおかげで、毎晩ホントに楽しかった。すごく、感謝している。お互いに、相当眠かったけど、感謝している。

だが、そんな毎日にも、終わりは来る。それが今朝。
土砂降りの中、カッパを着て、コデラーマンはテントを片付ける。五日連続の3時間睡眠。きっと、もう死んじゃう。

そして、土砂降りの中、水しぶきをあげながら、五所川原の会社へと去って行った。

僕は、そんなコデラーマンを見送りながら考える。

さて、どうすっかな。すごい雨だな。どうすっかな。今日出発するのやめようかな。どうすっかな。
周りはみんな水浸しパニックになっている。

僕は、一人考える。

どうすっかなぁ。

とりあえず、ちょっと、もう一回寝よう。寝てから、ゆっくり考えよう。

僕のテントは、なぜか、濡れていない。僕がテントを張った場所は、まったく浸水していない。隣にテントがあった場所は、すでに沼になっている。なのに、僕のテントがある場所は、まるで空中に浮かぶかのように、陸地のままだ。

不思議だなぁ。なんでここだけ浸水しないのかなぁ。ラッキーだなぁ。幸運だなぁ。おれ、ついてるなぁ。さぁ、もう一回寝よう。ってことで、9時半まで眠った。
すさまじい雨の音と、けたたましい消防車のサイレンの音をBGMにして、9時半まで眠った。

かみさまはみかたするハッピー。2

2014-08-06 22:37:09 | Weblog


瓦屋の親方のテントが立っている辺りを、僕は「親方村」と呼んでいる。
大きなタープが二つ。その周りに、タープの下に集まる人たちのテントがそぞろ立つ。

早朝6時半。親方の息子、中学三年生のハナミチ君が現れてこう言った。

「目が覚めて外に出たら、足首まで水にはまった。もう、行き場がなくなった」

見ると、僕のテントから50メートル離れた親方テント村の辺りが、親方が住む埼玉吉見町の八丁湖のように姿を変えているではないか。
聞くと、何人かの携帯電話が水没したらしい。

少し時間をおいて、親方テント村を訪ねてみた。

親方と話す。今朝の惨状について話を聞く。そうこうしていると、さきほどのハナミチ君。

かつては陸の上の木に掛けてあったハンモック。今では水上のハンモックに寝転がり始めた。

東南アジアのどこかの国で、こういう風景を見たことがあるなぁ・・・なんて思いながら・・・親方と二人で笑う。

「片付けが大変だ」

そう、片付けは大変だ。片付けは大変だが、片付けが大変なだけだ。

旅や祭りには、こんな事態がつきものだ。こんな事態を楽しむのも、また旅であり、祭りなのだ。

気持ち良さそうに、水上ハンモックに揺られるハナミチ君を見ながら、そんなことを思うのであった。

つづく。


かみさまはみかたするハッピー。

2014-08-06 18:46:59 | Weblog


信じられないくらいの大雨だった。

早朝6時、消防車のサイレンがけたたましく鳴り響く。何台も何台も。キャンプ場のすぐそばで停まる。
聞くと、キャンプ場から100メートルほどの道路が冠水したらしく、復旧作業に追われていたとか。

執拗に降り続く雨は、やがてキャンプ場を沼地へと変えていく。

早朝6時。コデラーと僕は、うちのテントから30メートルほど離れた場所に張ってあるテントの住人の行動を眺めていた。

彼は、昨日の夕方にやって来て、小高い場所にテントを張った。
そして朝、僕らが眺めているのは、その彼が、テントの入り口を全開にして、Tシャツ一枚で、何かをしている姿。
青森市の朝6時頃の降水量予報は18ミリ。相当の土砂降りだ。その土砂降りの中、テントの扉を雨に向かって全開にし、中の荷物を一つ一つ取り出しては、整理している。Tシャツ一枚で。

コデラーと、彼の行動を分析する。

「あれさぁ、水没だね。浸水しちゃったんだよ」

「荷物が全部濡れちゃったんだろうね」

「きっとさ、今、どうしていいかわかんないんじゃない?」

「それにしても、寒そうじゃない?」

「合羽を着てやればいいのにね」

「合羽を着るってことがおもいつかなくらい、どうしたらいいかわかんないんじゃない?」

すると、彼は、ビショビショのロンTをテントの中から取り出して、めっちゃ着にくそうに着始める。

「いや、いや、ロンTじゃなくて、合羽でしょ」と、二人は思う。

すると彼は、ロンTを着終わって、しばらくきてから、合羽を羽織った。
つまり、ビショビショのTシャツに、ビショビショのロンTに、カッパ。

道の向こうでは、消防車のサイレンが延々と鳴っている。

そういう朝だったんだよ。今日は。

テント村の、ほとんどのテントが、水に飲まれてしまったんだよ。

つづく。