一人で夜釣りに来たわけです。
一人で夜釣りに来たわけなんだけど、一人でバイクの上に寝転がって、これでもか!ってくらいの満天の星空を眺めているのです。天の川が、空の端から端まで渡っているのです。流れ星がヒュンヒュンと流れていくのです。
なぜ、夜釣りに来たのに、バイクの上に寝転がっているのかってことなんだけど。
さっき、釣竿が海に向かってダイブしたのです。新品の釣り竿と、新品の仕掛けが、ドボーンと音を立てて海へ、海へ、海へ。
人間なんて無力なんです。新品の釣り竿が海の底へと沈んでいくのを、ただ茫然も眺めているしかないのです。海に勝てる人間なんていないんです。
でも、いいんです。自分の無力さを知れたことと、ちょっとセンチな気分で満天の星空を眺められたことは、ハッピーなことなんだから。
そうこうしてる間にも、星空はキラキラと瞬くのです。綺麗だなぁ。
そういえば、この港で釣り竿をダイブさせたのは二回目だなぁ・・・なんて思い出したりしています。
君にも、この星空を見せてあげたいよ。