ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

野戦病院。8

2014-08-18 23:45:26 | Weblog


席ありチケットを持っている人の後に、席なしチケットを持っている人が乗り込む。700人くらい。

僕らは200番目くらいに乗り込んだ。半分より前だ。全然大丈夫、だと思っていた。

だいたい、席なしチケットの経験がないもんだから、どこがいい場所かなんてわからないのだ。
とりあえず、上から2番目の甲板の海側に空いているスペースがあったのだ、敷物を敷いて寝場所を確保した。
果たして、その場所がいいのか悪いのか、まるで分からない。
ただ、風は来る。飛沫も来る。雨が降れば濡れる。
いいのか悪いのか、全然わからない場所を、僕らはキープした。

そして、大した時間をかけて、船は港を後にする。
全員乗り込むまでに、相当な時間がかかった。そして、最後の方に乗り込んだ席なしチケットの人は、寝転ぶ場所もない。でも、寝転ぶ。斜めの場所。階段の踊り場。通路。トイレの前。自販機の横。いたるところに人が寝転んでいる。

どこかで見たことのある風景だ。

避難民。

自分の場所から、どこかへ行くたびに、人の頭や足や胴を踏みそうになる。蹴飛ばしそうになる。
ここは船の上だ。船は揺れるものだろう。細心の注意を払わねば、通路に寝転ぶ床と同じ色の毛布をかぶった、床と同じ色くらい顔が日焼けしたおじさんの顔を半分くらい踏んでしまう。ほんとに。

寝転ぶおだちゃんの写真を撮った。

まるで、野戦病院で、手当てを待つ患者のようだ。

甲板の上は、猛烈な風が吹いている。
みんな、頭から毛布をかぶって寝ている。その毛布が風でバタバタと音を立てる。みんな、毛布を飛ばされないように、ぎゅっと握りしめながら眠る。

なんだこれ?

なんなんだこれ?

この日、最低ランクの2等雑魚寝席のチケットを持っていた人たちは、さぞセレブ気分に浸れたことだろう。
格差社会だよ、格差社会。

いやはや、いい経験をさせてもらいました。ほんとに。