ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

笑った顔と笑い声と。

2015-07-15 22:16:53 | Weblog
昼間は暑くて死にそうだけど、夜はいい。夜のベンチは涼しくていい。
昭和くんが死んでしまったから、なんとなく予定が狂ったような気がしている。なんとなく、心に靄がかかったような気分だ。でも、僕は生きているわけだから、しっかりと自分の人生を作ってく。という当たり前の話。

センセイの話をもう少し。

ある人が僕に言った。「センセイは、珍しくシングさんに影響を与える人だよね」。

僕は、センセイと話すのが大好きだった。遠慮深い人だったから、僕が誰かと話している時は、じっとそばでかしこまっていた。そばに誰もいない時は、たくさん話した。意見が合わない時も多々あったから、そんな時は大論議となった。

僕は、センセイからたくさんのことを教わったから、センセイの影響を受けている。その通りだと思う。

昨日も今日も、センセイと何を話したのか、センセイから何を教わったのか・・・色々と考えている。色々と考えているのだけれど、ほとんど思い出せない。
センセイと過ごした時間の風景はいくらでも浮かんでくるのに、風景の中で交わした会話が・・・全部消えてしまっている。
僕は、センセイと何を話したのだろう?僕は、センセイから何を教わったのだろう?

センセイは、僕の唄が大好きでね。新曲を作って歌ったあと、センセイに感想を聞きに行くと、100パーセントの確率で、「天才です」と言ってくれた。だから僕は、センセイが大好きだった。

僕の唄のタイトルには「ホニャララのホニャララ」という、接続詞の「の」が入る確率が多い。というのを解明したのもセンセイである。例えば、「ハート仕掛けのワルキューレ」とか、「星の奇跡」とか・・・。「の」が間に入るタイトルの曲をツラツラと、僕の前で読み上げてくれた。

僕がバンドを組んだメンバーで、僕の唄を愛してくれた人は、呆れるほどに少ないという悲しい現実がある。ギョイニーと、ジンセイと、センセイ。この三人しかいない。

センセイはマラカスを振る人である。
センセイは、なんちゃらなんちゃらという名前のライセンスを持っていた。そのなんちゃらなんちゃらというライセンスとは、さいたま新都心の広場で演奏をしてもいいという許可証みたいなものだ。
センセイはマラカスを振る人なのだが、マラカスを振りながら歌う人でもある。
許可された広場で、センセイはマラカスを振りながら歌っていた。
マラカスって知ってる?シャカシャカするやつだよ?逆に、シャカシャカしかしないやつだよ?
センセイはマラカスを振りながら歌っていた。許可された広場で。
そして、通報されて、警備員がやって来て、「ここでやるな!」と怒られたらしい。
つまり、変人なのである。一般人からしたら、シャカシャカしながら全力で歌っている人は、変人なのである。通報されるのである。
何を歌っていたかというと、それがまた問題なのである。センセイに何を歌っていたのか聞いてみた。センセイは真顔で、「セーラームーン」と答えた。変人なのである。通報されるのである。僕は強く同意するのである、通報者に。

センセイは許可証を持っているだけに、強硬に主張したらしい。だが、その願いは叶わなかった。マラカスをバックにセーラームーンを歌うことを、世間は許してはくれなかったのである。
センセイは僕のところへ来て、通報者と警備員と社会への怒りを露わにしていたのだが、僕は「病院へ送られなくて良かったじゃないか」と、口にはしなかったが、強く思っていたのである。

変人は僕の唄が大好きだった。あっ、間違えた。センセイは、僕の唄が大好きだった。

センセイの、笑った顔と大きな笑い声を、今やっと、思い出せた。