ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

翼をひろげて。この大空へ。パタパタと。

2016-03-12 05:24:59 | Weblog
朝、看護婦さんにこう言われた。

「この抗生剤で点滴は終わりだからね、終わったら点滴の針を抜くからね」

そうなんだよ。調子が出ないのは、体に繋がれたチューブのせいなんだよ。

チューブさえ外れれば、おれは自由な鳥だ、どこへでもパタパタと飛んでいける。

「早く抗生剤、終わらないかな」

僕はユラユラと点滴台を揺する。

全然減らない。あとちょっと、のところまで覚えているのだけれど、看護婦さんに起こされた。

とりあえず、点滴の針を抜いてもらい、晴れて自由の身。

やったぁ!

リハビリ室へ行かされて、松葉杖を使った歩行訓練を受ける。
そう、歩けなくなってしまったから。しばらくは、松葉杖だから。おれ。

歩行訓練からベッドへと帰還。

さぁ、晴れて自由の身だ。どこへ行こうか。何をしようか。
ベッドの背もたれを起こして考える。

「お昼ご飯だよぉ」と、看護婦さんに起こされた。

あら?寝てた?

お昼ご飯を食べる。
お昼ご飯を食べている間に、主治医の先生の回診が来た。
肩とお腹に貼ってある分厚いガーゼを外して、薄いガーゼと防水シートに変えてくれる。

「おっ、なんか、身軽になった気がするぞ?」

お昼ご飯を食べ終わって、感じる。

「なんか、今日は調子がいい!復活してきた!やった!」

さぁ、どこへ 羽ばたくかな。パタパタと。

「晩御飯だよぉ~」と、看護婦さんに起こされた。

あれ?また寝てた。

白ご飯にふりかけをかけながら、思う。

「なんだよぉ。一日中寝てたな、おれ。せっかく調子が出てきたのになぁ。おっかしぃなぁ」

の巻。

床ずれベイビー

2016-03-12 02:47:41 | Weblog
病人はベッドの上で寝ているものである。病人なのだから。

手術を受けて病室のベッドへと戻ってきて、目が覚めて、痛くて、驚いた。想定外の痛さとはこのことだ。たかを括っていた。

病人、痛みにより、動けず。

痛みにより動けず、ということは、痛みにさえ耐えられれば動ける。
動きたければ動ける。僕は動きたい。病室のベッドの上でも、色々と出来ることはある。
だけど、痛い。1ミリでも動くと痛い。動かないのもまた痛い。腰や背中が床ずれを起こして痛い。だから、動く。痛い。動かない。痛い。

病人、痛みにより、あまり動かないことに決める。

まる二日間、病室の天井だけを見て過ごす。

うたた寝を繰り返しながら、起きては寝て、寝ては起きる。起きては寝て、寝ては起きる。起きては寝て・・・。

かつて、こんなに辛いことがあっただろうか?

あった。そんなものはいくらでもあった。あったけど、最近の出来事の中では、結構辛いやつだと思う。

今回は鎖骨とともに、お腹を切った。お腹を切って骨を取り出した。だから、お腹が痛い。お腹の傷が痛い。
お腹が痛いと力が入れられない。
鼻もかめない。咳もできない。起き上がれない。歩けない。

お腹は痛いが、鎖骨は痛くないかといえば、鎖骨も痛い。先生曰く、「相当ゴリゴリやったから、痛いはずだよ」。

入院にあたって、大きなカバンを持ってきた。カバンの中には本がたくさん入っている。
ははは、一冊も読めないよ。あぁあ、持ってくるんじゃなかったよ。すげぇ重かったのに。

病室の天井だけを眺めながら、起きているような眠っているような時間を延々と過ごす。
その中で思っていたこと。

「もう最悪のピークは過ぎている。あとは、回復への道を進むだけ」

僕が「最悪」だと思う状況の中で思う事。

「最悪」の中から、抜け出せなかった事、未だかつて、無い。

そうだよ。今回も、見事に、「最悪」の中から抜け出した。
僕が想像したのよりも、少し長く時間がかかっちゃったけどね。