七曲目。「ロンドンの友へ」(未収録)。
ロンドンの友へ
DBのことを書こう。
僕とロントモを繋いだのは、友人のDBという男だ。
DBって何だ?
DBとは、ディドリームビリーバーのことだそうだ。本人がそう言っていた。
ヤツのバイクはレディージェーンという名前だった。レディージェーンは女性だそうで、だから、女の子は載せない、と言っていた。レディージェーンがヤキモチを焼くからね。と。
ちなみに、僕のバイクの名前はボブだった。
DBは言った。
「ボブ・・・男の名前じゃないか」
僕は答えた。
「そうだよ。だって、相棒じゃないか」
ヤツのバイクは彼女で、僕のバイクは相棒。
ふーん・・・と二人で頷きあった。
僕がDBに出会ったのは十八歳の時だ。
大学の一年生。同じクラスだった。
大学時代、一番多く語らったのはDBとである。
なぜならば、僕とDBはアパートの部屋が隣同士だったからだ。
僕には大学へ行かなかった二年間がある。そのせいでダブったという話は書いた。
二回目の三年生の時に、僕は大学のそばで部屋を探した。
DBは言った。「隣の部屋が空いてるよ」。
相模原市並木町のレモンホーム。家賃3万5千円。
隣の部屋にDBがいる。毎晩のように、DBの部屋で語り明かした。毎晩のように、飽きるほど、DBの部屋で語り明かした。
その頃、僕は名乗るほどのものではなかった。
正確には、名乗る名前を持っていなかった。
ある日、DBが言った。
たぶん、珈琲を飲みながら、DBが言った。
「新宮はすごいよな。だって、歌うために生まれたようなものだもんな」
なんで?
「だって、名前がsingだろ」
!!!
その日から、僕は名乗るほどのものになった。
僕は、singとして歌い始めた。
その日からずっと、今に至るまで、僕はずっとsingなのである。
つづく。
ロンドンの友へ
DBのことを書こう。
僕とロントモを繋いだのは、友人のDBという男だ。
DBって何だ?
DBとは、ディドリームビリーバーのことだそうだ。本人がそう言っていた。
ヤツのバイクはレディージェーンという名前だった。レディージェーンは女性だそうで、だから、女の子は載せない、と言っていた。レディージェーンがヤキモチを焼くからね。と。
ちなみに、僕のバイクの名前はボブだった。
DBは言った。
「ボブ・・・男の名前じゃないか」
僕は答えた。
「そうだよ。だって、相棒じゃないか」
ヤツのバイクは彼女で、僕のバイクは相棒。
ふーん・・・と二人で頷きあった。
僕がDBに出会ったのは十八歳の時だ。
大学の一年生。同じクラスだった。
大学時代、一番多く語らったのはDBとである。
なぜならば、僕とDBはアパートの部屋が隣同士だったからだ。
僕には大学へ行かなかった二年間がある。そのせいでダブったという話は書いた。
二回目の三年生の時に、僕は大学のそばで部屋を探した。
DBは言った。「隣の部屋が空いてるよ」。
相模原市並木町のレモンホーム。家賃3万5千円。
隣の部屋にDBがいる。毎晩のように、DBの部屋で語り明かした。毎晩のように、飽きるほど、DBの部屋で語り明かした。
その頃、僕は名乗るほどのものではなかった。
正確には、名乗る名前を持っていなかった。
ある日、DBが言った。
たぶん、珈琲を飲みながら、DBが言った。
「新宮はすごいよな。だって、歌うために生まれたようなものだもんな」
なんで?
「だって、名前がsingだろ」
!!!
その日から、僕は名乗るほどのものになった。
僕は、singとして歌い始めた。
その日からずっと、今に至るまで、僕はずっとsingなのである。
つづく。