ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

#7 名乗るほどのものではありませんが、しんぐくんです。

2017-09-08 02:33:35 | Weblog
七曲目。「ロンドンの友へ」(未収録)。

ロンドンの友へ

DBのことを書こう。

僕とロントモを繋いだのは、友人のDBという男だ。

DBって何だ?
DBとは、ディドリームビリーバーのことだそうだ。本人がそう言っていた。

ヤツのバイクはレディージェーンという名前だった。レディージェーンは女性だそうで、だから、女の子は載せない、と言っていた。レディージェーンがヤキモチを焼くからね。と。

ちなみに、僕のバイクの名前はボブだった。
DBは言った。

「ボブ・・・男の名前じゃないか」

僕は答えた。

「そうだよ。だって、相棒じゃないか」

ヤツのバイクは彼女で、僕のバイクは相棒。

ふーん・・・と二人で頷きあった。

僕がDBに出会ったのは十八歳の時だ。
大学の一年生。同じクラスだった。

大学時代、一番多く語らったのはDBとである。
なぜならば、僕とDBはアパートの部屋が隣同士だったからだ。

僕には大学へ行かなかった二年間がある。そのせいでダブったという話は書いた。
二回目の三年生の時に、僕は大学のそばで部屋を探した。
DBは言った。「隣の部屋が空いてるよ」。
相模原市並木町のレモンホーム。家賃3万5千円。

隣の部屋にDBがいる。毎晩のように、DBの部屋で語り明かした。毎晩のように、飽きるほど、DBの部屋で語り明かした。

その頃、僕は名乗るほどのものではなかった。
正確には、名乗る名前を持っていなかった。

ある日、DBが言った。
たぶん、珈琲を飲みながら、DBが言った。

「新宮はすごいよな。だって、歌うために生まれたようなものだもんな」

なんで?

「だって、名前がsingだろ」

!!!

その日から、僕は名乗るほどのものになった。

僕は、singとして歌い始めた。

その日からずっと、今に至るまで、僕はずっとsingなのである。

つづく。