光る竹とんぼ、欲しいなぁ。。。
でもなぁ、どうせ、すぐ壊れるよなぁ。
でも、欲しいなぁ。光る竹とんぼ。
どうするっかなぁ。
と思っていたら、異国の昭和くんが見当たらない。
異国の昭和くんがどこかへ行ってしまった。
仕方がない。と僕は立ち上がる。異国の昭和くんを追って、光る竹とんぼを手に入れなければ。
異国の昭和くんが被った帽子が人混みの中、遠くに見える。
どこへ行くんだ?昭和くん。
そして、僕は、異国の昭和くんを見失う。
と思ったら、居た。別の人だかりのある場所で、光る竹とんぼを飛ばしていた。
この国では英語が通じない。
そうなると、もう英語なんて喋っても意味がない。そうなると、もう、日本語だけで喋る。
僕は異国の昭和くんの肩を叩いて話しかけた。
「ねぇ、おじい!それ、すごいな」
異国の昭和くんはキョトンとしている。
「ねぇ、おじい!それいくら?」
異国の昭和くんは、100ドルだと言った。
そう、僕が350円までなら出すといったのは100ドルのこと。値段が見事にマッチした。
「ねぇ、おじい、おれ、それ、買う。くれ」
そして僕はさらに言った。
「ねぇ、おじい、飛ばし方を教えてくれ」
異国の昭和くんは、持っていた光る竹とんぼの説明をしてくれた。
原理はパチンコ。ゴムで竹とんぼを上空へ飛ばす。なるはど・・・パチンコね。
異国の昭和くんが僕に説明をしながらゴムを伸ばして手を離す。
そしたら、光る竹とんぼが横に飛んで、通行人の青年の顔にバチコーンとヒットした。
うげーーー!とね。
急に横から竹とんぼにアタックされた青年の気持ち・・・。嘘だろ?ってね。
この国の人たちは優しい。
「大丈夫大丈夫」と言って去っていった。隣にいた友人は爆笑していた。
おいおい、大丈夫か?光る竹とんぼ・・・と僕は思った。
青年の顔にヒットした竹とんぼは壊れてしまった。
おいおい大丈夫か?と僕は思った。
異国の昭和くんは、新しい光る竹とんぼを、腰にぶら下げたビニール袋から取り出して、飛ばし方を教えてくれた。今度は控えめに、10メートルくらい、上空に向けて飛ばしてくれた。
また壊れたら嫌なので、もうその辺でいいよと僕は思った。
家に帰ったら、畑で練習しよう。
ホントにすごいんだよ。光る竹とんぼ。見えなくなるくらい高く上がるんだからさ。
たぶん、すぐに壊れるけど。飛ばす前に壊れるかもしれないけど。
ホントにすごいんだよ、光る竹とんぼ。
繁華街のど真ん中にて。
さよなら、異国の昭和くん。また会おうね。