ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

そろそろ帰ろう、ライオンくん。

2019-07-04 12:20:30 | Weblog


去年の秋は、「玉ねぎを植えなきゃ」とつぶやいて北海道の大地を後にした。

いつまでもここに居られるわけでもない。今、僕はこうつぶやく。「あっ、そろそろ大豆の種の蒔き時だ」。

ライオンくん、そろそろ出発の時間だ。

あぁ、楽しかったな。

毎日、色々な風景を見て過ごした。

日本の天候のせいなのか?
飛行機が遅れているみたいだ。

今日中に我が家へ到着できるのだろうか?

まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど。

ライオンくんライオンくん、僕らは幸せだな。

この身一つで、何処へだって行けるのだから。
この脚が動く限り、何処へだって行けるのだから。

繁華街のど真ん中にて。3

2019-07-04 02:27:00 | Weblog


光る竹とんぼ、欲しいなぁ。。。

でもなぁ、どうせ、すぐ壊れるよなぁ。

でも、欲しいなぁ。光る竹とんぼ。

どうするっかなぁ。


と思っていたら、異国の昭和くんが見当たらない。

異国の昭和くんがどこかへ行ってしまった。

仕方がない。と僕は立ち上がる。異国の昭和くんを追って、光る竹とんぼを手に入れなければ。

異国の昭和くんが被った帽子が人混みの中、遠くに見える。

どこへ行くんだ?昭和くん。

そして、僕は、異国の昭和くんを見失う。

と思ったら、居た。別の人だかりのある場所で、光る竹とんぼを飛ばしていた。

この国では英語が通じない。
そうなると、もう英語なんて喋っても意味がない。そうなると、もう、日本語だけで喋る。

僕は異国の昭和くんの肩を叩いて話しかけた。

「ねぇ、おじい!それ、すごいな」

異国の昭和くんはキョトンとしている。

「ねぇ、おじい!それいくら?」

異国の昭和くんは、100ドルだと言った。
そう、僕が350円までなら出すといったのは100ドルのこと。値段が見事にマッチした。

「ねぇ、おじい、おれ、それ、買う。くれ」

そして僕はさらに言った。

「ねぇ、おじい、飛ばし方を教えてくれ」


異国の昭和くんは、持っていた光る竹とんぼの説明をしてくれた。

原理はパチンコ。ゴムで竹とんぼを上空へ飛ばす。なるはど・・・パチンコね。
異国の昭和くんが僕に説明をしながらゴムを伸ばして手を離す。

そしたら、光る竹とんぼが横に飛んで、通行人の青年の顔にバチコーンとヒットした。

うげーーー!とね。

急に横から竹とんぼにアタックされた青年の気持ち・・・。嘘だろ?ってね。

この国の人たちは優しい。

「大丈夫大丈夫」と言って去っていった。隣にいた友人は爆笑していた。

おいおい、大丈夫か?光る竹とんぼ・・・と僕は思った。

青年の顔にヒットした竹とんぼは壊れてしまった。
おいおい大丈夫か?と僕は思った。

異国の昭和くんは、新しい光る竹とんぼを、腰にぶら下げたビニール袋から取り出して、飛ばし方を教えてくれた。今度は控えめに、10メートルくらい、上空に向けて飛ばしてくれた。

また壊れたら嫌なので、もうその辺でいいよと僕は思った。

家に帰ったら、畑で練習しよう。

ホントにすごいんだよ。光る竹とんぼ。見えなくなるくらい高く上がるんだからさ。

たぶん、すぐに壊れるけど。飛ばす前に壊れるかもしれないけど。

ホントにすごいんだよ、光る竹とんぼ。

繁華街のど真ん中にて。

さよなら、異国の昭和くん。また会おうね。


繁華街のど真ん中にて。2

2019-07-04 02:16:52 | Weblog


繁華街のど真ん中にて。

「昭和くん?」と僕はつぶやく。
昔、昭和くんという名のおじさんと一緒に演奏をしていたことがある。ごま塩頭の昭和くん。

繁華街のど真ん中に、昭和くんがいた。

昭和くんの手のひらから、光の閃光が上空へと立ち昇る。20メールもの高さまで上がったその光は、ゆっくりと下降して、昭和くんの手のひらへと戻る。

竹とんぼ?

竹とんぼみたいなやつか?

異国の昭和くんは、繁華街のど真ん中で歌うミュージシャンの唄を聴くために立ち止まった人たちのど真ん中で、光る竹とんぼみたいなやつを打ち上げては、その手にキャッチ、打ち上げては、その手にキャッチ、を繰り返している。

僕は、もう、ミュージシャンの歌よりも、異国の昭和くんに夢中になってしまっているのである。

異国の昭和くんが放った光る竹とんぼは、時折、人混みの中へ落ち、人の頭や肩に当たる。異国のしは、その度に「ごめんごめん」と言っている。そういうところも昭和くんに似ていたりする。ゴメンなどとは思っていない。

異国の昭和くんは、その竹とんぼを誰かに買ってほしいらしい。観光客らしき子連れの家族に、しきりに話しかけている。でも、誰も買わない。誰も、興味がない。

僕は思っている。遠く離れた場所で、僕は思っている。

なんで買わないんだ?

おれ、欲しい。

すごく欲しい。

いくらなんだ?

高いのか?

350円までなら出すぞ。

ねぇ、昭和くん、350円までなら、おれは出すぞ。

繁華街のど真ん中にて。

2019-07-04 02:02:45 | Weblog


繁華街のど真ん中。僕は道端に腰を下ろしている。
道の向こう側では、青年が唄を歌っている。路上ミュージシャンの存在は、いつだって気になる。

歌う者と、唄を聴くために立ち止まる者。その両方の存在を観ているのが楽しい。少し離れた場所からそんな光景を眺める。こういう場所になら、いくらでも居られる。

ミュージシャンは、唄を歌う。
なかなかいい唄を歌う。
時々邪魔が入る。
ミュージシャンは唄を歌う。
時折雨がパラつく。

こういう光景を観ていると・・・歌いたくなる。この場所で歌いたくなる。

人は立ち止まるだろうか?
誰か聴いてくれる人はいるのだろうか?
投げ銭は入るのだろうか?
別に聴いてくれなくてもいいとも思う。
ただただ歌えばいいと、歌いたくなる。
路上とは、きっと、そういう場所なのだろう。

繁華街のど真ん中、僕はずっと、歌っていたのだな。
大宮アルシェの色とりどりの看板を眺めながら、時には無人の空に向かって、時には100人の人に向かって、歌っていたのだな。

渋谷や吉祥寺や柏や立川・・・繁華街のど真ん中で。

繁華街のど真ん中で歌うミュージシャンの傍から、上空に向けて光が立ち昇った・・・

僕は・・・なんだ?と空を見上げる。