1月7日(水)の朝日新聞に、「家電生産 進む国内回帰」の見出しが躍っていました。
内容は円安傾向を踏まえての利益の確保策とのことでした。この理由はともかく、過去の円高に支えられたブームで空洞化した生産拠点の穴埋めが進むことは喜ばしいことだと思います。
生産拠点の国内回帰が進むことによって、わが国の社会所得が増加し、税収が増え、社会資本がふえるという、経営者が好きなシナジー効果が齎されます。
したがって、生産拠点を国内に戻そうと決めた経営者の判断はアッパレなものと言っていいのではないでしょうか。
とはいうものの、経営者の考えの一部については「ちょっと待って!」といいたくなるものもあります。
例えば、シャープ社長の「国内は人手不足」には反論があります。
生産拠点を海外に移し始めた頃の、会社が必要とする労働力の見方のままでいるなら、端的に言えば、学部新卒者、高校新卒者、女性パートタイマーなどを必要とする限定的・硬直的な考えである限り“人手不足”と思ってしまう。
現在、大学・高校の新卒者や女性パートタイマーに拘らなければ、三十代や定年で一旦現役リタイアした高齢者など、就業意欲はあってもその場が与えられない、あるは短期・非正規での就業を繰り返し繋いでいくしかない国内労働力は掃いて捨てる程にあると言えます。
したがって、この「国内は人手不足」という考えには賛同できません。
必要とする労働力を画一的に求めるのではなく、就業時間帯、年代、性別など多種多様な条件を持つ人々を雇用し、会社の管理部門においてシフトのたて方・組み込み方、工場の稼働のさせ方などの工夫を凝らせば、人手不足はあり得ないことと思います。
また、空洞化を進めるにあたり下請け企業を切り捨てているので、国内生産に戻すにあたっては、新たな下請け会社の探究や旧来の下請け会社との契約内容など、下請け会社との関係の在り方をしっかり築きなおすことも必要です。
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