【後発事象】
5月25日(月)、政府は残る5都道府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、北海道)の解除が行われ、これで全面解除となる予定。全面解除となるのは、安倍首相によれば25日18時~26日0時のようだ。しかし、朝から解除されたかのような人出で、フライングも甚だしい。
政府が望む制限緩和策は聞き入れられるのだろうか。
<政府が検討する主な制限緩和策>
・イベントの自粛緩和は、2~3週間毎に順次拡大。プロスポーツは無観客試合から。接触確認アプリも活用。
・都道府県境をまたぐ移動の自粛要請は、14日に緊急事態宣言を先行解除した39県から、6月以降に段階的に解除する。
・入院患者は、症状が出なくなってから3日経てば退院を認める。
以上のような規制は6月1日から許容される。ただし、北海道と首都圏各都県へ行くことには慎重を期すよう要望している。
2020年5月14日、安倍政権は新型コロナウイルス感染拡大防止のため発令していた「緊急事態宣言」の解除を発表しました。重点的に対応している13都道府県の「特定警戒都道府県」でも、茨城、岐阜、愛知、石川、福岡の5県は解除となりました。
大阪府などはこの解除により、更なる気の緩みから次の感染拡大が起きてはならないと、独自の規制策を打ち出しました。
「ほっとした」人もいれば、「何てことをしたんだ」と憤る人もいらっしゃるかと思われます。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19、以下、新型コロナ感染症)の感染拡大が止まらない。このウイルス、いったいどれくらいの時間、環境中に残存し続けるのでしょうか。厚生労働省によれば、新型コロナウイルスの感染の経路は、大きく飛沫感染と接触感染が考えられるとしています。
飛沫感染は、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、唾液など)と一緒にウイルスが放出され、それを感染者以外の人が口や鼻から吸い込むことで感染する。これが、感染者との接触を防ぐために可能な限り外出を控え、所謂「3密」を避けることが感染予防のために重要とされている理由です。
接触感染というのは、感染者がくしゃみや咳をした後、ウイルスが付着した手で周りの物に触れることで感染者のウイルスがそうした物質に移り、感染者以外の人がそれらの物質に触れることで、ウイルスが手に付着し、感染者に接触しなくても物質を介して感染します。
では本題の、物質別の残存率を見ていきましょう。米国の国立アレルギー・感染症研究所などの研究グループが、新型コロナウイルスを2002年11月から流行したSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)のウイルス(SARS-CoV-1)と比較した調査研究です。同研究グループは、2つのウイルスをエアロゾル(Aerosol、ウイルスが含まれる空気中に浮遊する微小な粒子)、プラスチック、ステンレス、銅、段ボールの5つの環境下で比較し、どれくらいウイルスが残存していたかを調べました。
その結果、新型コロナウイルスはSARSウイルスと同様、①エアロゾルでは3時間②銅では4~8時間③段ボールでは24時間④ステンレスで48時間⑤プラスチックで72時間となりました。
銅の表面ではSARSウイルスのほうが長く残存できるようだですが(4時間:8時間)、段ボールでは逆に新型コロナウイルスのほうが残存時間が長かったのです(24時間:8時間)。さらに、感染力が半減するのは、ステンレスの上で約5.6時間、プラスチックの上で6.8時間でした。
つまり、新型コロナウイルスは、感染力が低下するものの、少なくともプラスチックの上では72時間(3日間)、物質上で残存できることになります。
なお、介護などをしている人には特に注意を要しますが、新型コロナウイルスでも糞便などの取扱いに気をつけたほうがいいでしょう。
また、感染者の新型コロナウイルスが最も多く物質の表面に付着するのは、発症して最初の1週間(66.7%)でした。
布や紙などの多孔質から滑らかな表面のステンレスやプラスチックまで、様々な物質表面の新型コロナウイルスの最大残存期間は下図の通りでした。
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