放送作家の鈴木おさむ氏が、妻であるお笑いトリオ“森三中”の大島美幸さんの名前「美幸」という文字の入れ墨(いれずみ)を、2011年に自身の背中に入れていたことが2014年3月14日に話題となりました。
入れ墨とは、針や刃物で皮膚に傷をつけ、その傷に色素を入れて着色し、文字や文様・絵柄などを描いたものです。
最近は、肌に転写する「タトゥーシール」もあり、ファッションの一部として用いられています。
転写シールような“消せるタトゥー”により、「入れ墨は消せないが、タトゥーは消せる」といった誤った認識が広まっています。
「タトゥー(Tattoo)」は欧米における呼び名であって、入れ墨のことです。
入れ墨の起源は、洋の東西を問わず多々言及されていますが、個体識別やシャーマニズム等で畏怖の念を抱かせること、刑罰などの目的で行われたものなどであると思われます。
1960年代以降においては、米国を始めとして、オカルト的、ファッション的な目的で入れ墨をする人が増えてきました。
日本や中国、韓国においては古くから、反社会的な組織の構成員の多くが組織への帰属意識の表れとして用いてきたようです。
また、最近では女性が眉毛などの恒久的美容措置として用いている人がいるようです。
私が中学生の時、社会科の教諭から「入れ墨は軽犯罪法違反になる。」との話があり、疑うことなくそう思ってきましたが、どうやら勉強不足だったようです。
1948年(昭和23年)の新軽犯罪法の公布とともに、違式詿違条例(いしきかいいじょうれい)が廃止されたため、現在の日本では入れ墨に対する規制法は存在しません。
ただし、自治体毎の条令で、入れ墨をした者の入場を禁止したり、公衆の目に触れさせることを禁止したりしています。これらの条令に違反すると、建造物侵入罪(刑法130条)、暴力団対策法、青少年保護育成条例等に抵触し、処罰されることとなります。
反社会性ばかりが取沙汰されてきた入れ墨ですが、最近では憧れや愛の『対象との同一化』を図るための自己表現ともなりつつあり、入れ墨を文化として広く受け入れようとする風潮もあります。
が、一方で、上述したように条例で規制もされます。日本では暴力団員を始めとする反社会的勢力構成員が、『入れ墨は威勢を示す手段として用いている』との考えを払拭することができず、社会的に相応しくないことと考え、規制しているようです。
また、モラルリスク、医学的リスクの観点から、生命保険には加入できず、契約後分かった場合には契約解除、告知義務違反の対象となり、保険金を受け取った後に発覚すると、詐欺罪で訴訟されることがあります。
【関連資料】
○ 刑法
○ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
○ 東京都 青少年の健全な育成に関する条例
○ 兵庫県 青少年愛護条令の運用
○ 違式詿違条例(いしきかいいじょうれい)