2016年6月17日(木)、国土交通省は、自動車のバックミラーやサイドミラーに替えて、カメラモニタリングシステムを備えた「ミラーレス車」の製造を18日から解禁すると発表しました。
解禁に先駆けて「道路運送車両の保安基準」等を改正し、2015年11月に国連で採択された国際基準に沿った対応となります。
この改正は国内基準として採用され、乗用車やトラック、バスなどに適用されますが、バイクは除外されます。国の認証を得た新型車から公道で走れるようになるとのことです。
新基準の適用日は区々です。詳細は、下記の「別紙」を参照してください。
カメラモニタリングシステムを備えた「ミラーレス車」になれば、従来車よりも広い視野範囲が獲得できたり、雨でミラーが見えづらくなり視界不良に陥ることを防いだりする効果が期待されています。
また、車外カメラを小型化し、これまでになかったような新しいデザインの車両が登場するのではないかとか、ミラーが無くなる分車体が軽くなり、燃費が向上するのではないかなどと期待する向きもあります。
ミラーレス車とは「現在車体外側に装着されているバックミラー(乗用車などのドアミラー)の代わりをカメラで行う」というもの。すでに液晶ルームミラーなら日産などが乗用車に採用しています。6月18日から製造解禁としていますが、日本の大手自動車メーカーでミラーレス車の生産を開始している様子は窺えません。ユーザーからもメーカーからも具体的なニーズが無いにも関わらず、UNECE(国連欧州経済委員会)/自動車基準調和世界フォーラム(WP29)に準拠しようとする国土交通省の独り相撲、独走ではないかと思ってしまいます。
カメラのレンズ部へのチョットした水滴や汚れの付着で、このレンズを通した視界は不良になります。また、カメラから液晶モニターに映し出すまでの機械的なタイムラグが事故原因になるのではないかなど、人間の目より視界認識能力が低いカメラの代替採用には多くの問題が残されているのではないかと思います。
バックミラーに関する私の個人的な見解を言えば、昔はすべての自動車がそうであり、現在はタクシーにのみ残されているフェンダーミラーの方が、コストも低く、安全面ではよほど優れていると思います。
≪参考…「道路運送車両の保安基準」の抜粋;2016年6月17日現在≫‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
道路運送車両の保安基準 (昭和二十六年七月二十八日運輸省令第六十七号 最終改正:平成二八年三月一日国土交通省令第一四号)
(後写鏡等)
第四十四条 自動車(被牽引自動車を除く。)には、後写鏡を備えなければならない。
2 自動車(ハンドルバー方式のかじ取装置を備える二輪自動車、側車付二輪自動車及び三輪自動車であつて車室(運転者が運転者席において自動車の左外側線付近の交通状況を確認できるものを除く。次項、第五十八条第百十一項及び第六十四条の二において同じ。)を有しないものを除く。)に備える後写鏡は、運転者が運転者席において自動車の左外側線付近及び後方の交通状況を確認でき、かつ、乗車人員、歩行者等に傷害を与えるおそれの少ないものとして、当該後写鏡による運転者の視野、乗車人員等の保護に係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
3 ハンドルバー方式のかじ取装置を備える二輪自動車、側車付二輪自動車及び三輪自動車であつて車室を有しないものに備える後写鏡は、運転者が後方の交通状況を確認でき、かつ、歩行者等に傷害を与えるおそれのないものとして、当該後写鏡による運転者の視野、歩行者等の保護に係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
4 前項の後写鏡は、同項に掲げる性能を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し告示で定める基準に適合するように取り付けられなければならない。
5 自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)には、運転者が運転者席において告示で定める障害物を確認できる鏡その他の装置を備えなければならない。ただし、運転者が運転者席において当該障害物を直接又は後写鏡により確認できる構造の自動車にあつては、この限りでない。
6 前項の鏡その他の装置は、歩行者等に傷害を与えるおそれの少ないものとして、歩行者等の保護に係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)等について、以下の改正が行われます。(改正の詳細は「別紙」参照)
1.保安基準等の改正項目
(1) 「間接視界(ミラー等)に関する協定規則」の採用(国際基準)
(2) 前面衝突時の乗員保護基準及び歩行者保護基準の基準強化(国際基準)
(3) 突入防止装置の強度要件の強化等の改正(国際基準)
(4) 走行距離計の表示桁数の明確化(国際基準)
(5) 自動操舵機能に関する基準の一部適用を猶予
(6) ドライバー異常時対応システムの車外報知に係る灯火器の改正
2.公布・施行
公布:6月17日
施行:6月18日(※各基準の適用日は別紙参照)
※ 別紙 ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 ページ5 ページ6 ページ7 ページ8
【 国土交通省HP プレスリリース〔自動車〕 】
○ バックミラー等に代わる「カメラモニタリングシステム」の基準を整備します。
【関係サイト】
○ e-gov -「道路運送車両の保安基準」
○ UNECE(国連欧州経済委員会)WP29(Article 29 Working Party)
↓
○ 国土交通省 UNECE(国連欧州経済委員会)/自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の概要
○ 国土交通省HP
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