ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

天才の棒銀

2019-06-23 17:36:05 | Weblog
昨日、藤井聡太七段が王将戦一次予選決勝で若手強豪の千田翔太七段を91手で破り、二次予選進出を決めました。先手となった藤井七段の初手は7六歩。非常に珍しいですね。先手の場合、居飛車の基本的な初手は2つで2六歩か7六歩。これまで2六歩を指し続けた藤井君が飛車道ではなく角道を開けました。そこからクラシックな矢倉に組み上げます。三段リーグの途中までは矢倉を中心に指していたらしいですね。

互いに角を手持ちにした後、藤井七段が1五歩と右端の歩をぶつけました。千田七段が同歩とした後、同銀とし、銀が香車の前に飛び出します。ひふみんの瞳がキラリ。加藤九段が得意とした棒銀戦法です。初心者の時に最初に覚える戦法の代表格でもあります。元名人から初心者にまで愛される戦法をあの藤井君が選択しました。

千田七段は端を受けずに打ち込んだ角を成り、藤井七段は矢倉の堅陣を背景に飛車角交換を強要。その後は激しい攻め合いに。局面が直線的に進む中、次第に藤井有利に傾き、最後は千田玉を即詰みに打ち取りました。

ボクシングでは井岡一翔選手が4階級制覇の快挙を成し遂げましたが、藤井君はクロスカウンターを好みます。この辺りは棋風が似ているといわれる谷川九段と同じです。つまり、自分の攻めが一瞬でも速いとみれば、相手の攻めを受けずに構わず自分のパンチを繰り出していくタイプです。そして谷川さんよりガードが高い。基本的には攻め将棋なのでしょうが、守りにも細心の注意を払っています。藤井君というと最年少、天才、連勝、勝率、AI超えなど様々なキーワードがありますが、将棋の中身もプロらしい魅せる将棋です。

藤井君が指したということで、もしかしたらプロアマ問わず、少し棒銀が指した流行る可能性がありますね。特に将棋を指す子供たちは真似するでしょう。それにしても加藤一二三九段は藤井君が棒銀での快勝を大変喜んでいるのではないでしょうか。食事も忘れて、藤井千田戦の棋譜を飽きることなく並べるひふみんの姿を想像します。

コメント
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