ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

竜王戦第6局 藤井が佐々木勇気を下し防衛

2024-12-13 13:21:45 | 将棋
竜王戦第6局が昨日まで行われ、藤井聡太竜王が佐々木勇気八段に勝ち、4勝2敗で防衛しました。これで4年連続の竜王防衛です。

全体を振り替えると、特に佐々木八段が先手番の研究が深く、藤井竜王は振り回され、そのまま押しきられる形が続きました。後手番の研究は難しいようで、そこは藤井竜王が実力を発揮し、第5局までは全て先手番が勝ちました。

第6局も佐々木八段の研究が深く、藤井竜王はまたしても敗北のレールに誘導されつつありました。しかし、1日目の夕方に佐々木八段が放った9五角、東西南北でいうと西の位置に角を打ったのですが、これがかなりひねった手で、勝負を難しくしたようです。しばらく、攻める佐々木、受ける藤井の展開が続きましたが、ついに攻めが途切れ、それを見切った藤井竜王が1六角と打ち込みました。
これを見て佐々木八段が投了。やや早いタイミングにも見えましたが、彼はもともと潔く投げる方ですし、攻防ともに見込みなしと判断したのでしょう。
佐々木八段の潜在能力は高いですし、華もあるので、またこの二人の番勝負を見てみたいですね。

しかしながら、これだけAI研究が進んでいるのかという事を改めて実感しました。これからの将棋の才能として、AIの使い方が上手い事が要求される時代になりました。藤井竜王は普段通りの王道将棋で受けて立ちましたが、苦しさを実感したでしょう。
後手番では1日目が終了した時点で、佐々木八段が2時間半ほど費やすのですが、藤井竜王は倍の5時間ほどを費やしています。AIは年々強くなる一方ですから、これは藤井竜王も考えどころです。勿論、竜王もAIを使っているはずですが、序盤・中盤でリードを奪うような使い方はしていません。先手が圧倒的に有利になれば、将棋の魅力は大きく低下します。藤井聡太の新たな一手に期待しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竜王戦第5局 藤井が佐々木勇気を下し、防衛に王手

2024-11-29 14:50:53 | 将棋
藤井聡太竜王に佐々木勇気八段が挑戦している竜王戦第5局が11月27、28日に行われ、藤井竜王が勝ち、3勝2敗としました。

第5局に関しては藤井竜王の快勝と言っていい内容でした。しかし、それまでの第4局までは、佐々木八段が内容的に上回っていました。今シリーズはいずれも先手番が勝っているのですが、佐々木八段の先手番は2局とも快勝。対して藤井竜王は勝ってはいるものの苦戦が目立っていました。

原因は藤井竜王の王道の将棋にあると考えられます。藤井さんは相手の研究を真っ向から受けて立つスタイルのため、相手の研究に乗りやすく、それに乗ってしまえば気が付けば取り返しのつかない局面まで誘導されていることが増えてきました。AIの急速な進化が藤井さんの最大の難敵でしょう。

ならば佐々木八段が研究派かといえば、どちらかというと真逆のイメージ、つまり天才肌の棋士です。中学生棋士になっても全く不思議ではなかった。デビュー当時の藤井四段の連勝を止めたのも佐々木さんでした。
その佐々木さんが深い研究で勝ちにきている。
これは藤井さんとしても次の後手番は対策を考えなければなりません。そうでなければ、将棋は先手番が圧倒的に有利という事になり、ゲームとしての魅力を失ってしまいます。そのため、第6局、藤井さんは少なくとも熱戦に持ち込まなければなりません。

それにしても藤井聡太×佐々木勇気のガードは華があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福間女流は休養した方がいい

2024-10-18 15:30:51 | 将棋
明日、竜王戦の裏で西山白玲に福間(旧姓里見)女流五冠が挑戦する白玲戦が行われます。現在、2勝2敗で本来なら盛り上がるところですが、今回に限れば将棋関係者はヒヤヒヤでしょう。福間さんは妊娠中で、年内に出産予定なのです。

実はすでに好ましくない事態は起きています。今週の火曜日の女流王将戦で福間さんは不戦敗になりました。あまりにも直前に福間さんから将棋連盟に体調不良が報告されたからでしょう。不幸中の幸いは将棋会館での対局だった事でしょう。
しかし、明日の白玲戦は北海道札幌市です。おそらく対局者は今日の午後には札幌に入り、検分や前夜祭をこなさなくてはなりません。前夜祭は福間さんは不参加でいいのではないでしょうか。

やはり最大の懸念は明日、予定通り対局が行われるかです。戦えば福間さん有利でしょう。将棋自体の調子は悪くないですし、天才肌の西山さんに対し、とにかくストイックな福間さん。西山さんの将棋を誰よりも知っています。数年前までは西山さんになかなか勝てなかった福間さんですが、今では対戦成績もリードを拡げています。福間さんが序中盤でリードを広げることが多いので、西山さんは終盤の逆転しか勝ちパターンがないのです。

また、勝ち負けはひとまず置いといて、対局が無事に終わるに越したことはないのですが、将棋連盟もこうした状況は予測出来たはずです。かといって福間さんの意向を聞かずに、無理に対局させているというのも考えにくい。将棋に関しては妥協を許さず、西山さんへの対抗意識の強い彼女の意向なのかもしれません。

福間さん、西山さんともに出産適齢期であり、この2人と三強時代を形成するとされている奨励会を退会した中七海さんも20代後半です。女流タイトルも一昔前は4つでしたが、藤井人気もあり現在は8つです。将棋連盟は場当たり的な対応でなく、女流のトップ棋士が妊娠した時の対応策を真剣に考えなければなりません。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤井、九死に一生 王座初防衛

2024-10-01 12:58:40 | 将棋
昨日、王座戦五番勝負第3局が行われ、藤井聡太王座が永瀬拓矢九段に勝ち、3勝0敗で王座を防衛しました。

それにしても第3局は熱戦でした。最終盤は生で見たのですが、AIの評価は五分五分でした。しかし、それはあくまでもAI同士が戦えば五分五分なのであって、指しているのは人間です。盤面を見る限り、永瀬九段がかなり優勢に見えました。しかも、藤井王座がすでに1分将棋に突入していて、永瀬九段は持ち時間を1時間近く残していました。
次第にAIの勝率も永瀬に傾いていきます。しかし藤井も後退してはいるものの決定打を与えません。いつの間にか永瀬も時間を使いきり、まだ藤井に逆転の余地は残してはいました。それでも永瀬の終盤は正確で、刻々と勝利に近づきつつあるように思われました。

藤井は最後の勝負手、9六香と王手をかけます。永瀬は9七歩と打ち、王手を防ぎました。ここで藤井は勝利を確信したのだと思います。9七歩と打ったために永瀬は9筋に歩を打てなくなりました。二歩の反則になってしまうのです。9筋に歩を打てないと藤井玉は詰みません。藤井、恐るべし。

それから少し指して永瀬ついに投了。朝9時から夜9時までの12時間に及ぶ激闘でした。藤井、永瀬共に内容が良く、名局賞候補ではないでしょうか。そして、この王座戦は藤井復活を印象づけるシリーズになりました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤井が永瀬に連勝、王座防衛に王手

2024-09-19 12:55:59 | 将棋
昨日、王座戦五番勝負第2局が行われ、藤井聡太王座が永瀬拓矢九段に勝ち、2勝0敗としました。いよいよ藤井王座が防衛に王手をかけました。第1局、第2局とも危なげなく、八冠制覇のかかった昨年の同カードと比べて、藤井さんの将棋の内容が全く違います。

「才能の藤井、努力の永瀬」。やはり才能が全く違う。昨年の対決は3勝1敗で藤井さんが勝ったものの、内容は完全に永瀬さんに押されていました。彼の「藤井さんの背中がはっきり見えた」という言葉が自然に聞こえました。私は藤井さんの衰えすら疑いました。彼は人より10年進んでますから。
しかしこの2局、特に昨日の将棋は藤井さんが驚きの手を何手も指して永瀬さんを翻弄し、快勝と言っていい内容でした。第3局もまた同じような異次元の将棋が指せれば、藤井さんは復活したと見ていいかもしれません。

個人的には抜きん出た才能があり、その人が努力を積み重ねて、途轍もないことをやってのける瞬間に素晴らしさを感じます。それが球界では大谷翔平であり、将棋界では藤井聡太なのは疑う余地がありません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロ編入試験第1局 西山、薄氷の勝利

2024-09-12 12:35:10 | 将棋
将棋の西山朋佳女流三冠が女性初のプロ棋士を目指して挑む「編入試験」五番勝負の第1局が行われ、西山女流三冠が高橋佑二郎四段に勝ち、白星スタートを切りました。

決して西山さん本来の調子ではなかったように思います。「剛腕」と呼ばれる豪快な将棋は影を潜め、サッカーに例えれば自陣に駒を多く配置したり、駒得の手を選んだり(駒をお金に例えれば貯金)、らしからぬ手もありました。絶対に負けられないという気持ちが強すぎて、手堅い将棋になったのだと思います。

そんな中でも終盤の9七角は善悪はともかく、西山さんらしい強い手でした。角のただ捨てで王手をかけたのです。高橋四段がこれを取れば、西山さんの勝ちだったでしょう。しかし、彼は盲点の場所に王を逃げ、強い重圧の中、時間にも迫られた西山さんは、ここでミスをしてしまいました。
これで西山勝勢から一気に互角へ。しかし、高橋四段も次の一手を正しく指せず、西山さんは再び優勢になりました。ここからは高橋四段の猛攻を見事にしのぎ、高橋四段がついに投了。西山さん薄氷の勝利でした。プレッシャーに勝てる人間はいないのかもしれません。しかし、彼女は完全には押し潰されず、激戦をものにしました。

第3局の相手の上野四段が強い事もあり、第2局が重要になります。中学生棋士は5人いますが、女性のプロ棋士は歴史上、1人もいません。プレッシャーは大きいですが、1局1局、白星を積み重ねてもらいたいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王位戦第4局 藤井が渡辺を下し、防衛に王手

2024-08-21 14:40:35 | 将棋
王位戦七番勝負第4局が8/20、21日に行われ、藤井聡太王位が渡辺明九段に勝利し、3勝1敗としました。

これまでは内容的に渡辺九段に押されていた藤井王位ですが、この第4局は快勝と行っていい一局でした。王位戦は2日制ですが、すでに1日目から、AIの数値以上に藤井さんが指しやすい形勢だったようです。それは渡辺さんの封じ手前の2時間半以上の長考に表れていました。

二日目は次第に藤井王位が優位を拡大し、最終盤での勝負を決める指し回しも見事でした。久し振りに藤井さんらしい凄みのある将棋を見せてくれました。
一方、渡辺九段は第2局の先手盤で快勝した相掛かりという戦法を採用しなかったのが意外でした。この第2局の将棋は「藤井さんのここまでの完敗はいつ以来だろう」と話題になるほどの渡辺さんの会心譜でしたし、また、彼の潜在能力の高さを改めて思い出させる一局でした。渡辺さんも当然、相掛かりは考えたはずでした。
しかし、第3局と第4局は、やや長い間隔があり、そのどこかで戦法を変更したのではと推測します。藤井さんの強さは勿論ですが、対藤井戦の相性の悪さが渡辺一流の勝負感勘を狂わせたのかもしれません。

次の第5局は藤井王位の防衛、そして永世王位の懸かった一局になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西山朋佳、プロ棋士編入試験に挑む

2024-07-05 13:33:28 | 将棋

西山朋佳女流三冠が4日に行われた朝日杯将棋オープン戦で阿倍光瑠七段との対局に勝利しました。この結果、直近のプロ公式戦で13勝7敗となり、「10勝以上、なおかつ勝率6割5分以上」の条件を満たし、プロ棋士への編入試験の受験資格を得ました。

そして、西山さんは受験する意向を表明しました。

 

それにしても西山さん、気持ちが良いくらいの早い決断でした。午後にもう一局、指すにも関わらず、昼休後に将棋連盟に意向を伝えました。阿部七段戦に勝てば、受験する事は決めていたのでしょう。

 

西山さんの将棋については、このブログでも何度も記してきました。才能は一級品です。特に終盤の強さはプロ棋士の中へ入ってもトップクラスだと思います。

ただし、編入試験に関しては厳しい戦いが予想されます。試験官は5名で、新しく棋士になった順に選ばれます。はっきり言えば、この5人の実力はプロ棋士の平均値より高いです。

他の世界では3年、5年かけて先輩に追い付くというのが普通でしょうが、将棋界は例外です。プロ養成機関である奨励会、特に三段リーグで熾烈な競争があり、その狭き門を勝ち抜いて間もない棋士たちのため、新人ながら他の平均的な棋士よりレベルが高いのです。

西山さんも三段リーグを14勝4敗という普通ならプロ棋士になれる好成績を残しながら次点となり、あと一歩届きませんでした。

 

よって、西山さんが試験官に勝ち越し、プロ棋士になることは至難です。願望を込めて合格できる確率は40%程度ではないでしょうか。序盤・中盤で離されて、得意の終盤力を生かせない心配もあります。

ただ、これだけの才能、魅せる将棋を指せる人はプロ棋士でも少ない。女性初のプロ棋士というインパクトを加えれば、事実上、藤井聡太名人ひとりで支えている現状を抜け出す絶好のチャンスでもあります。

これは西山さんだけでなく、将棋界にとって大勝負になる気がします。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤井が山崎に3連勝で防衛 永世棋聖に

2024-07-02 12:24:12 | 将棋

昨日、棋聖戦五番勝負第3局が行われ、藤井聡太棋聖が山崎隆之八段に勝ち、3勝0敗で防衛しました。これで棋聖戦5連覇となり、史上最年少での永世位資格者になりました。

 

第3局は山崎八段が先手で、得意の相掛かりという戦型になりました。藤井棋聖は普段通りの王道の将棋で受け止めます。途中で角を交換し、藤井さんの角打ちが唯一、やや隙のある手だったようで、そこで山崎さんが正しく対応していれば、分からなかったかもしれません。

しかし、全体的には藤井さんの快勝と言っていい内容でした。山崎さんもよく食い下がりましたが及びませんでした。

 

藤井さんは早くも永世位を獲得しました。現役では羽生、谷川、渡辺、森内、佐藤康光、そして藤井聡太で6人ですかね。これからも順当に永世位の数を増やしていくのか、あるいは伊藤匠七段というライバルの存在が藤井さんを苦しめるのか見ものです。

 

山崎八段が「第3局は楽しかった」と話していたのが印象的です。そしてこう付け加えました。

「自分がもっと強ければ、将棋は無限に楽しいんじゃないかと」

山崎さんはこの貴重な経験を生かして欲しい。すでに40代前半。残された時間は長くありません。これだけ魅力があり、若い頃は「東の渡辺、西の山崎」と評されるほど才能も高い棋士ですから、タイトル戦登場やA級復帰を期待しています。

次の王位戦。藤井聡太の挑戦者は久し振りに東の渡辺明です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新時代の幕開け 伊藤が藤井を制し、初タイトル獲得

2024-06-21 12:33:40 | 将棋

死闘の末、歴史が動きました。昨日行われた叡王戦第5局は、伊藤匠七段が藤井叡王に勝ち、3勝2敗で叡王を奪取しました。伊藤七段ははじめてのタイトル獲得。藤井竜王・名人は七冠に後退しました。 

 

伊藤さんは快挙を成し遂げました。無敵の藤井さんを番勝負で初めて下したのですから。タイトル10期分の価値はあります。こないだの第3局の勝ち方を見て、伊藤さんを10年に1人の逸材から数十年に1人、ひょっとしたら100年に1人の逸材に上方修正しましたが、第5局も、将棋の内容は違えど、藤井得意の角換わりを堂々と受け止め、終盤での逆転勝ちは共通しています。

10代の頃に比べると終盤に陰りが見える藤井さんとはいえ、例えれば球速165キロが160キロに落ちただけで、まだまだ快速球であることに変わりはありません。その藤井さんを上回る終盤力を持つ棋士が現れるとは。まして同い年。かつての羽生・森内のライバル関係を思い起こす人もいるようです。

「藤井さんが自分をここまで引き上げてくれた」。記者会見での伊藤さんの言葉が印象的です。

 

一方、敗れた藤井七冠。早熟の天才であるがゆえに、同学年の伊藤叡王に差を詰められていましたが、ついに実力的に並ばれた可能性は高いです。しかしまだ21才。早めに敗北を味わってよかったかもしれません。伊藤匠という明確なライバルが現れたことも藤井さんにとってプラスに働くと思いたいです。才能的には大天才であり、どん底にあった将棋界に現れた救世主ですから、これをきっかけに、また新たな藤井将棋を見たいものです。

 

何がともあれ伊藤さん、初タイトル獲得おめでとうございます。そして、藤井・伊藤という新時代のゴールデンカード、楽しみです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする