ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

重たい海岸

2019-07-31 10:31:57 | Weblog
砂の矢印は向こう側
僕は疑いもせず従った
埋もれて引き返すのは無理なようで
そのまま眩しい海を横目に進むだけ
周りには夏を満喫する音があちこちで聞かれ
背伸びして見渡せば水着姿で楽しみの栄華

重く柔らかい砂浜に足を取られ
それを引っこ抜いて前へ進むしかない
しだいに波も荒くなって
しぶきの音を立て僕はそれを被る
足はすっかり重くなった
太陽も届かなくなってきた
騒めきがかすかに聞こえるだけ

このまま海に飲まれようか
それとも砂に埋もれ白骨となり
昔の日本人として未来の学者の研究対象となろうか
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大船渡監督は佐々木朗希をどうすべきだったか

2019-07-28 14:53:28 | Weblog
163キロの剛腕、今大会最大のスターといっていい大船渡・佐々木朗希投手の登板回避が波紋を呼んでいます。「決勝なんだから投げさせるべきだった」「将来を考えれば登板回避は正解」真っ二つと言っていいでしょう。しかし、僕には第三の道があったように思います。

岩手県大会決勝戦の大船渡の相手は花巻東。くしくもこの10年で菊池雄星・大谷翔平という日本を代表する投手を2人も輩出した強豪です。佐々木君を先発させなければ厳しい戦いになることは、国保監督もわかっていたでしょう。出せば壊れるかもしれない。出さなければ大変な批判を浴びることになる。特に一緒に戦い続けたナインたちは甲子園に出るために、苦しい練習にも耐えてきたのだと思います。どちらにしても苦渋の決断をしなければなりませんでした。

実は投げさせるべき派、登板回避派どちらも納得させる方法がありました。決勝は先発させます。勿論、イニング限定ではなく完投させるつもりで。ただし、それには逆算が必要でした。決勝から逆算すれば準決勝は回避。準々決勝に登板させる。とにかく監督としては中1日以上開けさせたいという強い思いがありますから、決勝の日付から逆算して夏の岩手県予選を組み立てれば、こんな問題は起きませんでした。

まだ若い監督です。東北、とくに岩手はここの所、怪物投手を輩出しています。投手起用に気を遣う国保監督のもとに将来有望な投手が頼ってくる可能性もあるでしょう。この苦い経験を活かし、名投手を育ててほしいです。そして佐々木投手にはぜひ将来の日本のエースに上り詰めてほしいものです。
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参議院選挙ふりかえり

2019-07-24 18:37:16 | Weblog
参議院選挙の翌日、テレビをつけたら民放各局はすべて吉本興業の内紛を取り上げていて、違和感を覚えました。関心の高さはわかるのですが、昨日の今日だったので流石に選挙結果を流している局もあると思ったのですが。加藤の乱といえば、加藤紘一氏が起こした自民党内の反乱のはずですが。あの時の永田町のガッキーこと谷垣禎一氏の「加藤先生は大将なんだから」と加藤氏を身を挺して止める名演技(笑)忘れません。

投票率48.8%。低投票率は予想されていました。一応、私は行ってきました。右でも左でもない私のような有権者は棄権した人も多かったと思います。しかし、半分義務感で投票しました。日米安保堅持の立場なので、その中で存在感の薄い党に入れました。安保堅持などというと左の人からは右判定をされてしまいそうです。またベーシックインカムの導入を考えるべきといえば右の人から左認定されてしまいそうです。そうではなく保守とリベラルのいいところを混ぜ合わせればいいと思いますけどね。

全体を見れば自民党を含めた与党の勝利でしょう。野党は立憲民主党が、野党共闘に後ろ向きだったことが響きました。立憲は議席を伸ばしましたが、この結果に満足しているようでは永遠に野党のままです。

盛り上がらない選挙の中で山本太郎氏のれいわ新選組が旋風を巻き起こしたのは確かでしょう。ベーシックインカムも盛り込んでいたようですが、消費税をゼロにするなど荒唐無稽な気がします。結局その財源は企業に累進課税制度を導入するとのことですが、その発想は共産党と同じです。そうではなく、私個人の考えでは額はともかくベーシックインカムを導入するのであれば、最低でも消費税は軽減税率なしの10%以上、所得税、法人税と偏りなく財源を集めることが大切です。また社員の給料を上げるのなら、企業に優遇処置をとる方法も考えられます。分断は防ぐべきです。

自民党が今後マークを強めるのは既存の野党ではなく、れいわのような新勢力でしょう。次の選挙では国政政党になったので、テレビもれいわを取り上げるようになります。山本太郎氏も大幅に候補者を擁立してきます。今回ですら共産党は政策の似ているれいわに票を食われました。既存の野党はうまく対応しないと、自民とれいわの間に埋没するか、れいわと票を分断し、自民を利する形になる可能性が大いにあります。やはり、一人区の選挙協力だけではなく、一つの党としてまとまることが必要です。共産党とれいわはそこに入るつもりは毛頭ないですから、特にれいわとは選挙協力するところまでもっていかないと国民の関心はますます政治から離れます。

選挙にはもう関係ないですが、政府はいまからでも消費増税は見送った方がいいでしょう。日本自体が斜陽で国民が将来の暗闇に不安を持っていますし、増税前の駆け込み需要すらほとんど起らない気がします。

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藤井聡太、名人に屈す

2019-07-24 08:01:40 | Weblog
昨日、竜王戦決勝トーナメント、豊島将之名人対藤井聡太七段の対局が行われ、146手で豊島名人が藤井七段を下しました。期待にたがわぬ熱戦でした。藤井先手で予想通りの角換わり。終盤まで形勢不明の将棋でしたが、藤井七段が右隅にあった1九飛車を1七に浮いた手で形勢が豊島名人に傾いた気はしているのですが、どうだったのでしょうね。これで藤井七段は竜王戦敗退。タイトル挑戦の夢は叶いませんでした。

もともと可能性は低かったのですが、もし豊島名人に勝ち、次戦の渡辺三冠を倒すようなことがあれば藤井君に大天才、不世出の天才宣言をしても可笑しくないと思っていたのですが、やはり現実は厳しかったですね。もちろん、藤井君が天才であるのは間違いないのですが、大天才であるか、早熟の天才であるかの結論は持ち越されたようです。

藤井君が最強の中学生棋士、16歳棋士だったのは間違いない事実だと思いますが、最強の17才、あるいは18、19才棋士になれるかは今後を見てみないとわかりません。屋敷九段は17才でタイトル挑戦、18歳で獲得。羽生九段は19才で竜王獲得。渡辺三冠は20才で竜王獲得。そして谷川九段は21才で名人獲得。これらに匹敵する、あるいは上回る結果を残せば藤井聡太最強伝説は続くと思いますが。

年度内に可能性の残されたタイトルはこれで王将戦のみ。個人的には藤井君と谷川さんがあと一つずつ勝てば、初対局となるので期待したいです。まあ、藤井君は中村七段に勝つ可能性が高いですが、問題は谷川さんが高見七段に勝てるかどうかです(笑)時が経てば経つほど、40歳年下の藤井君が優位になるのは明らかなので、そろそろ実現してほしいところです。
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藤井聡太の喧嘩将棋

2019-07-20 07:51:40 | Weblog
7月18日、王将戦二次予選で佐藤康光九段対藤井聡太の対局が行われ、藤井七段が佐藤九段を141手で破りました。

それにしても凄い将棋でした。立ち上がりは角換わり模様で、藤井七段はそれに備えました。しかしそこは力戦系の佐藤九段、簡単には角の交換はしてくれず角道をふさぎました。藤井七段は飛車先の歩を交換し、その後横歩も取りました。飛車が2筋からそれたため、佐藤九段は藤井陣の桂頭に歩を打ちました。飛車を2筋に戻した藤井七段は2四歩と角頭近くに歩を打ち、佐藤九段は藤井七段から奪った桂を打ち、弱い角頭を守ります。ここからは大乱戦になりました。一手指すごとに形勢が入れ替わった決闘は最後の最後に藤井七段に傾き、熱戦に幕を下ろしました。

野球でいえば8対7のルーズブェルトゲーム。逆転、また逆転の最も面白いとされる大熱戦でした。やはり藤井君は売られた喧嘩は買うんですね。藤井七段といえば、温厚な性格で、インタビューもそつのない受け答え、こんなによくできた16歳がいるのかなというイメージが強いですが、個人的に彼には想像を超えた、熱い血がたぎっているのが見え隠れしていました。それがもろに露出した一局だったと思います。こういう藤井君も僕は大好きです。もちろん相手が力戦の勇者の佐藤九段だったことも、このような殴り合いの将棋が見られた大きな理由なのですが。佐藤九段戦のような将棋ばかり指していては勝率は上がりませんが、時にはこんな若さ溢れる藤井将棋も見せてほしいものです。勇敢な一流棋士といえば、谷川浩司九段、そしてこの日の対局相手の佐藤九段が思い浮かびますが、藤井七段というのはいわば喧嘩将棋の後継者でもありますね。

谷川、佐藤、藤井。谷川さんが前会長で今の会長が佐藤さん。そして藤井君。人望や人徳がなければ会長にはなれません。よほど実績がずぬけている場合は別かもしれませんが。谷川さんも佐藤さんも盤を離れると紳士で穏やかな印象なのですが、将棋の内容は打って変わって激しい流血戦を好みます。藤井君もやはり盤を離れると穏やかで頭の良い少年です。将棋をしなくても、谷川さんは研究者・学者系、佐藤康光さんは一流企業の部長という印象です。藤井君のクレバーさは言うに及ばずというところです。穏やかでクレバーなこの3人が童心に帰ったような激しい将棋を指すというところは面白いですね。

藤井七段はいよいよ竜王戦で豊島名人と激突です。今日のような将棋にはならないでしょう(笑)角換わりの定跡系の可能性が高いです。名人に思いきりぶつかり、厳しい戦いになると思いますが、勝利を期待しています。昨日でしたかね。藤井君、17歳の誕生日おめでとうございます。
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シテイル

2019-07-16 19:37:41 | Weblog
ぼんやりとしたカミソリ雲が空を征服している
女子高生が今が盛りと制服している

ビールをがぶ飲みしたサラリーマンが豚腹している
体調悪そうなOLが密かに頓服している

聖人君子に出会った村人が敬服している
悪人が拘置所で刑服している

ぼんやりした雲が限りなく黒に近い灰色になって
光の矢を放ち、怒声を浴びせ、大量の水を叩き落した
女子高生サラリーマンOLも
村人聖人悪人も
役立たずの傘を両手で握りしめたり、軒下で雨宿りしたり、逃げまどったり
皆、似たような格好をしている
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柱にかかる時計

2019-07-15 19:31:24 | Weblog
夜だった
自宅で多くの心が殺された
大きな音を立て白い箱車が迎えに来る
朝方、帰ってきた頃には
柱にかかる時計は数時間進んでいた

俺は生き残った心たちと外に出た
心が立てなくなっている
立ち上がろうとしても恐ろしく
すぐに手をついてしまう
這いつくばって帰ると柱時計は一回りしていた

四つ足の俺は世の中のスピードについていけず
後ろから次々と足音が聞こえ、すぐにその背中は遠ざかっていく
もう何周遅れなのだろう

家は帰るたびに少しずつ廃墟となり
時計だけが1年、10年、30年と秒針を響かせて進んでいる
単4の電池ひとつで
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天童荒太「悼む人」

2019-07-13 19:23:07 | Weblog
主人公の坂築静人は殺人、事故、自殺など、あらゆる死を遂げた人々を悼むための旅を続けている青年です。彼の人を悼むスタイルは独特です。死者たちが「誰を愛し、誰に愛され、何を感謝されたか」ということに絞り、近所の人たちに聞いて調べ、独特のポーズをとって自らの胸に刻みます。

彼がなぜ、このような行為をするに至ったかは、雑誌記者が静人の母である巡子に直接聞くのですが、結局、いくつかの思い当たるふしはあるにしても、決定的な理由は母にも、また静人本人にも、もっと言えば作者自身にも分かりかねるところなのかもしれません。先天的に死に対する感受性の強い静人が、いろいろな出来事を通して、ついにこのような行動をとるに至ると理解するほかありません。

例えば、このような行動を動画にでもアップすれば、その行為はたちまちネットの餌食になるでしょう。それを言葉の一つ一つの積み重ねで、理解できるような気がする、こういう人間がいてもいいのではないかという気持ちにさせるのは天童さんの力量であり、文学の力なのだと思います。

こないだNHKで秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大死刑囚のドキュメント番組を見ましたが、例えば彼のような人間でも悼むのかという読者の問いに静人なりのルールを設置して悼むのです。そして加藤死刑囚であれ、誰を愛し、誰に愛され、何を感謝されたかを調べ独特のポーズで胸に刻みます。ここは意見が分かれるところでしょう。

もう一つの物語の軸は末期がんに侵された静人の母・巡子と妹・美汐の妊娠です。つまり消えゆく命と新たに生まれる命が重なり合います。特に前向きな性格の巡子が静人が帰ってくることを願いながら、徐々に自分でできることが限られてゆく過程が彼女の心情も交えて丁寧に描かれていました。

そして物語の最後にこの二つの物語が融合されます。小説のテーマはストレートに生と死。よって重い話ではあるのですが、その分、読者は深くそれについて考えさせられます。さすが第140回直木賞受賞作です。
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藤井聡太、執念の勝利で夢をつないだ

2019-07-06 19:22:12 | Weblog
昨日、藤井聡太七段が竜王戦決勝トーナメント3回戦で久保利明九段に184手の激戦の末、勝利しました。

久保九段の中飛車に対し藤井七段は駒を力強く前進させ、制圧することを目指したようです。早い段階での飛車交換、互いに龍を作り自陣に引く展開になりました。その後、藤井七段の駒が前進し久保九段の玉が窮屈になり藤井有利かと思われましたが、さすが粘りに定評のある久保九段が次第に盛り返し、形勢不明になりました。

最終盤、藤井七段の攻め駒が少し足りないように見え、耐え忍んできた久保九段が藤井玉に襲い掛かりました。久保九段に勝ちがあったのかもしれませんが、寄せきれず投了を告げました。藤井七段は薄氷を踏むような思いで、何とか勝ちをつかみ取りました。終局時刻は午後11時を大きく回っていました。

それにしても藤井君にとって大きな勝利でした。いかに若いといえども疲労困憊だったのではないでしょうか。前回の対局でも久保さんとは熱戦で、その時は藤井君が敗れました。この大舞台でリベンジして初の3回戦突破は本人にとって最低限の目標だったのではないでしょうか?

ここからは思い切ってぶつかっていくだけですが、次の準々決勝の相手は豊島名人。厳しい戦いが予想されます。ぜひとも先手が欲しいところですが、振り駒なのでどうしようもないですね。今期も高い勝率で勝ち進んでいる藤井七段ですが、やはりトップクラスの棋士が相手になると苦戦が目立ちます。人気では文句なくナンバーワンですが、実力的にはトップ棋士にもう一息という状況です。いかに天才とはいえ16,7の少年にそこまで求めるのは酷なことではあるのですが。

それでも藤井聡太が将棋界の太陽であるのは間違いなく、様々なものを照らします。こないだの順位戦では将棋界としては伏せておきたい現実を垣間見せてしまいました。堀口七段は少し心配ですね。藤井君と対局が組まれてしまったがゆえに、休場も含めたいろいろな意見が出ていると思いますが、佐藤会長どうこうではなく、将棋連盟が組織としてうまく機能していないところに原因はあるのでしょう。その辺、相撲界と少し似ていますね。伝統があるがゆえに改革が難しい面があります。

とにもかくにも竜王戦の聡太の夏が終わらなくてよかった。
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朝の時は羽のようで

2019-07-01 19:19:08 | Weblog
目が覚めた時に睫毛が濡れているのは
風が吹けば涙が落ちるほどの目の弱さか
今日一日が生まれてしまった悲しみか
そんなことさえ分からなくなった

若い頃に戻りたいと思うことも寂しいが
若い頃に戻りたくないのもまた寂しく

朝の時は羽のようで
あまりにふわりと1時間が過ぎ
僕は少しだけ弱まった雨の中
少しだけ和らいだ心の重りを引きずって
見慣れた景色を歩いている
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