ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

老化した秋

2015-09-16 15:39:03 | 
久しぶりに顔を見せた太陽は老化していた

それを否定するかのように、力をこめて地上を照らす

それなりの情熱だ

しかし、もうかつての痛いほどの暑さは消えていた


セントラルリーグは3チーム、4チームによる大混戦だ

ちょうど30年前の秋

僕が14歳の秋も

セリーグは大混戦だった

担任教師にかけられた言葉を思い出す

「阪神はこれからもずっとあるけれど、受験は来年だけだ」と

タイガースに夢中になり、気持ちが勉強に向かない僕のために、かけてくれた一言


しかし、いま振り返ってみて、やはりタイガースもあの時だけだった

溢れる思いは、どこかに消えた


今はただ、必死になって生きている僕がいるだけだ

大雨で川が決壊し、家が流された惨状を楽しげに携帯のカメラに写す人々

自分が撮られているような気がして、無様だった
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とうの昔に捨てたんだ

2015-09-02 20:55:33 | 
ここのところ涼しい日が続いたが、太陽が顔を出せばまだ十分に暑い

自転車にもまともに乗れなくなった僕は、歩いて買い物に出た


光の眩しさで目がつらい

久しぶりの暑さも堪えているのか、しだいに息が上がってくる

疲れ果てた僕は前のめりに大の字で倒れたくなった

しかし、実際には立ち止まることさえせずに、足を前に出した

帰り道、缶コーヒーがうまかったことだけは覚えている


重だるい腕で自宅の鍵を開け、ラジオをつける

とぼけたおじさんがいつになく真面目な話をしている

「確かに現実は大事だけど、理想を大切にすべきじゃないか」

おじさんは言った


崩れながら生きる現実に、とうの昔に理想を捨てた僕は

しばらく目を伏せ、立ち尽くし

薄笑いを浮かべて耳を傾けた



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